■[トピック] |
◆悔しさ、怒り、悲しみ、そして……
私たちの希望への攻撃だ 上野千鶴子(社会学者)
国民の富を貢ぐ小泉政権 小林一朗(環境・サイエンスライター)
◆いずみ(編集長コラム)
◆劣化ウラン問題――米国こそが大量破壊兵器で攻撃している
山崎久隆(たんぽぽ舎・劣化ウラン研究会)
◆WORLD PEACE NOW――デモに参加して
鍋元トミヨ(チェチェンの子どもを支援する会)
曳地トシ(オーガニック植木屋)
◆がんばれ! ACT Frirends――03統一地方選 ACTが注目する候補者のみなさん
無党派・無所属へのエール 川田悦子(衆議院議員)
虹と緑の500人リスト候補
500人リスト以外の市民派候補
首長選
山口たかさん(北海道・札幌市長選)
立崎誠一さん(千葉・習志野市長選)
船波恵子さん(東京・品川区長選)
高田ちえ子(東京・練馬区長選)
どい英生(東京・小金井市長選)
ふせ哲也(東京・清瀬市長選)
次田のり子(京都・京田辺市長選)
岡山市議選で横田えつこさん、下市このみさんが当選
◆戦争報道の物語性を疑おう――ジャーナリスト・吉岡逸夫さんに聞く
◆お金と戦争について考える 安部芳裕(地域通過「レインボーリング」運営委員会)
◆CATCH UP
◆広告(2面) 『創』3月号/『オバハンからの緊急レポート』……創出版
『地域ユニオン・コラボレーション論』……インパクト出版会
『記録』4月号……潟Aストラ
『QUEST』NO.24
(5面) 健康食品ケンコウキン……泣Jルティエ
『市民派候補のための選挙必勝マニュアル』……虹と緑・地域自治政策情報センター
悔しさ、怒り、悲しみ、そして……
力がルールをつくる。誰もとめられないのか
私たちの希望への攻撃だ
上野千鶴子 (社会学者)
戦争が始まった。こんなことが21世紀の今日にあってよいものだろうか? と思うようなことが、現実になった。歴史にも人間性にも、進歩も向上もないことが、こんなにもあからさまにつきつけられてしまった。
世界一の軍事力を持つ超大国が、攻撃を受けたわけでも敵対しているわけでもないアラブの小国に、宣戦布告なしの戦争を挑む。その軍事技術の粋を駆使して、叩いてたたいて叩きのめす。その国の体制が気に入らないからと言って。皮肉にも「イラク人民を解放する」という名目のもとに。本人たちが頼んだわけでもないというのに、世界の保安官きどりで「自由と民主主義」の保護者を僭称する。
しかも国連の存在を完全に無視して。国際社会は無法地帯だ。力がルールをつくる。それをだれも止めることができない。まさか。こんなことが……。その、「まさか」がほんとうになった。
その戦争はメディアの上の戦争だ。わたしは戦争の映像をパリで見ている。フランス語のわからないわたしは英語放送を見る。アメリカのテレビ会社、CNNの映像はアメリカ軍の視線に立ち、さながらプロパガンダだ。彼らは現場に近づくことができない。フランスのテレビの映像は、もう少し地上の視点を映す。フランス人であることは、いまアラブでもっとも安全であるかのように。そしてとつぜん、アルジャジーラの映像が入る。CNNもアルジャジーラの映像に依存している。だが、だれも当事者以外に、あの炸裂する爆撃の下で起きていることを、知ることができない。湾岸戦争のときもそうだった。メディアには国籍がある、ということをとことん思い知らされたのは。
正確なピンポイントを誇るアメリカの爆撃は、戦略拠点だけをねらう、というが、その地には兵士が配置についているだろう。強力な破壊力を持った爆撃で、かれらのからだは粉微塵にふっとぶだろう。19、20才の若者たちのからだが。危険地域に配置された「人間の盾」の人々も、無力に破壊されるだろう。施設はたんなる施設ではない。人間が配備されている場所だ。逃げてくれ、怯懦に配置を離れてくれ、上官の命令など無視してくれ、使命感など持たないでくれ……祈りはなんと無力なのだろうか。
爆撃は類焼を招くだろう。油田は燃えさかるだろう。核施設に落とされた爆弾は、致命的なメルトダウンをひきおこさないだろうか? たったひとりの独裁者を殺すために、何百万人もいっきょに殺戮できるような大型兵器をなぜ使わなければならないのだろう。蟻一匹殺すのにブルドーザーを持ち出すような非効率で無体なことを、ブッシュはやっている。
世界中が見ている。疑惑と猜疑と怒りといらだちと、そして自分の無力さへのくやしさと哀しみの思いで。世界中が見ている、が、それは戦争をやめさせる助けにはならなかった。アメリカは内向きの国だ。アメリカの政治家は、ほんとうをいうと国際情勢以上に、国内動向を気にしている。「ブッシュの戦争」は、一度は評判の悪い政権を救った。アメリカ国民の80%が、男らしさのパフォーマンスを示したこのカウボーイを支持した。こんな田舎ものに世界一強大な軍事力というおもちゃを与えておくのは危険すぎる。やめさせる方法はひとつしかない。有権者たちが、かれを見放すことだ。アメリカでも。イギリスでも。日本でも。フランス人はシラクを平和主義者だとはつゆほども思っていないが、かれの選択を支持している。できないことはない。足下がゆらげば、戦争どころではない。
「あなたの首相は……」と、ヨーロッパで聞かれるたびに、わたしは恥じ入りたい気持ちになる。「わたしの首相ではありません、が……」コイズミをとり代えるには非力である事実をも、同時に認めざるをえない。この戦争は、わたしたちへ向けられた攻撃だ。ブッシュに叩きのめされるのは、イラクだけではない。わたしたちの希望もまた、こうやって叩きのめされてしまうのを、拱手して見るほかないのだろうか。
このほか、多くの方々の声を本紙で紹介しています。是非ご覧ください。
小林一朗さん(環境・サイエンスライター)
山崎久隆さん(たんぽぽ舎・劣化ウラン研究会)
鍋元トミヨさん(チェチェンの子どもを支援する会)
曳地トシさん(オーガニック植木屋)
吉岡逸夫さん(ジャーナリスト)
安部芳裕さん(地域通過「レインボーリング」運営委員会)
かつてこれほど暴力を独占し、暴力の行使において無制限の権利を有していると広言する国家があっただろうか。アメリカという国家は建国以来200年余の間に、200回をこえる侵略をくり返し、第二次大戦後だけでも今回で21回目の侵略である。
「共産主義の脅威に対抗する」と称した朝鮮、ベトナム、カンボジャ侵略にはまだしも「自由主義の防衛」という思想的大義を見せかける細工をこらしていた。
それがグレナダ、パナマ侵略あたりから恥も外聞もなくなった。自国のギャングが輸入した麻薬の生産地であるという理由で、一国の元首を拉致するのだ。アフガンではテロとの関係を証明できないのに、無関係とはいえないと、一国の政権を潰滅させた。
湾岸戦争と経済封鎖、米英軍の間断ない空爆、今回の査察でイラクの武装解除は事実上完了していた。その上査察の間に、フセインの動向を逐一知る立場にある高官の買収にも成功していた。フセインの戦闘能力はとっくに潰滅していた。にもかかわらずではなく、それゆえブッシュは戦争を決断した。腰巾着小泉は「苦渋の決断」というが、「アホでマヌケ」なコメントである。ブッシュはいかさまで大統領になるほど悪賢い男であり、「苦渋」とはもっとも縁遠いタイプの人間なのだ。
米兵の捕虜がテレビに映されたといってラムズフェルドが怒った。アルカイダの兵士は戦争捕虜ではないとして、コンテナで窒息死させられ、50度をこえる獄舎で発狂させられ焼き殺されたが、彼らは名前すらわかっていない。全世界に公表された米兵は、虐待されない保障を得たのだから、ラムズフェルドはフセインに感謝してもしすぎることはない。
ブッシュの夜郎自大に比べれば、その腰巾着の尊大ぶりは哀れなほど卑小であるが、天地がひっくり返っても米国に追随することを広言したことによって、イラクにとどまらず、アラブ世界の憎悪を一身にひきうけてしまった。
腰巾着宰相はかくも重大なことを世論に背を向け、その場の雰囲気で軽々に決断してしまった。
小寺山康雄
ACTの名物コーナー「ECOひいき」に登場してくださるみなさんを募集しています。「ECO」なお店、会社、グッズ、運動、などを是非、ACTで紹介させてください。自薦・他薦は問いません。紹介文は、本紙だけでなく、ACTのウェブサイドにも掲載させていただきます。
@お店・グループ名 Aお店の紹介や商品説明、活動案内(500字以内) B連絡先(お店などの場合、「行き方」も) C執筆者氏名 D掲載紙送付先・原稿に関する問い合わせ先 ―を明記し、EメールかFAX、もしくは郵便でACT編集部[act@jca.apc.org]までお送りください。地図・写真などを添付していただければ、それも一緒に掲載いたします。(編集部)
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