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『ACT―市民の政治―』163号(2002年2月11日)

Line Up

  ◆辛口レビュー 報酬の二重取りに反対する
          門間淑子さん(羽村市議/一部事務組合制度を見直す三多摩議員の会・代表)
  ◆CATCH UP  ◆いずみ(編集長コラム)
  ◆〈1面関連〉一部事務組合に市民の目を―小金井市議・漢人明子さんに聞く
  ◆米国テロ・各国緑の党の反応     清水耕介(関西外国語大学教員)
  ◆末端私論「158号・五十嵐講演をめぐって」
  ◆日野市議選・名取みさこさんを応援しよう
  ◆Make Green More 緑の政策研究会・結―YUI―レポート
    第3回勉強会報告「不良債権処理と小泉内閣」 講師:金子勝(慶應大学教授)
  ◆追悼・森起佐太さん
  ◆神戸市長選に臨む・苦闘する市民派(中)
  ◆[シリーズ・わが町の大問題]東京大田区・空港運用拡大事業
  ◆Hot Issue in the World(6) アルゼンチンの債務返済停止
  ◆市民派議員リレートーク(40) 神崎千香子(宮崎県門川町議)
  ◆BOOK Review  内田雅敏 著『敗戦の年に生まれて―ヴェトナム反戦世代の現在』
  ◆意識のオルタナティブ(8) 政治における失望と希望
  ◆[映評]1800円くらいの地平線  『A2』(監督:森達也)
  ◆テレビ丼  数字の巨人・大橋巨泉
  ◆広告(3面) 『軍縮』3月号……宇都宮軍縮研究所
      『創』3月号ほか……創出版
          ビデオシリーズ『人権ってなあに』……潟Aズマックス
          さつき印刷

辛口レビュー

報酬の二重受け取りに反対する
 門間 淑子さん
(羽村市市議会議員/一部事務組合制度を見直す三多摩議員の会・代表)

情報公開すすめるきっかけに

市民に説明のできないお金は受け取れません

門間淑子
もんま ひでこ
 1947年生まれ。83年から東京都羽村市に住む。アトピーの子どものため共同購入会「土と緑の会」を設立。無農薬野菜を作ってもらう生産者への援農活動を始め、以後10年間畑に通う。95年、母の介護体験から高齢者福祉の充実を痛感し、市議会議員選挙に立候補。現在2期目。米軍横田基地、大型焼却炉からそれぞれ500メートルの距離に住む。議会では1人会派。主に環境、福祉、女性問題にとり組む。学校給食の紙パック入り牛乳をビン入り牛乳に変える運動にとり組み実現させた。「市民自治をすすめる三多摩議員ネットワーク」に参加。12年間介護した母を昨年末に亡くし、現在充電中。【構成:大島正裕】

 複数の自治体(市町村や都道府県等の普通地方公共団体)が事務の一部を共同で処理する「一部事務組合」。これ自体が地方自治法で特別地方公共団体として規定されている。この一部事務組合の民主的な運営や議員報酬、管理者報酬等の撤廃など制度改革を求めている「一部事務組合制度を見直す三多摩議員の会」代表の門間淑子さん(東京・羽村市議会議員)に、お話を伺った。

 ――この問題に着目されたのはいつごろからですか?。

 私が羽村市議会議員になった95年に一部事務組合の議員にも選出されました。一部事務組合の議員として最初の報酬が出たときに「このお金はなんだ」と疑問に思いました。私たちは議会のなかで所属自治体にかかわるすべての仕事をやっていて、それに対して議員報酬を毎月いただいていると思っていましたので、一部事務組合から支給される報酬というものが、本当に不思議でしたし、これは二重に報酬が出ていると素朴に思いました。
 市長の諮問機関である審議会にも、当時は市議会議員が委員として入っていて、そこでも審議委員としての報酬が支払われていました。役所のなかで日中に開かれる審議会に出席すると、議員報酬とは別に、さらに報酬が出るということです。これもやはり二重取りだと思いました。
 一部事務組合は、構成自治体の負担金で運営されています。支出する負担金のなかに、あらかじめ報酬分も含まれていると思いましたので、このような支出の仕方はやめるべきだと羽村市議会の決算委員会の場で主張しました。
 主張した後、実際に受け取りを拒否したのですが、「報酬を受け取らないと公職選挙法に抵触する」というようなことを「助言」されて、受け取らざるを得ませんでした。
 それを論破できるだけの知識も運動的な背景も当時はありませんでした。

 ――そもそも一部事務組合とはなんでしょうか? そのメリットとデメリットは?

 一部事務組合は、自治体のなすべき事務の一部を共同処理することで効率化をはかることを目的として設立された、特別地方公共団体です。
 単一の行政施策をいくつかの自治体がいっしょになって広域的に運営したり処理することには、効率性というメリットがあると思います。個別自治体で個別課題を処理するには、職員や施設などさまざまなもものをその自治体単独で負担しなければなりません。「ごみ処理」などが最も分かりやすい例でしょう。
 広域的に処理することで効率性を高め、住民の福祉により寄与することができるからです。一方、住民に見えにくくなるというデメリットがあります。その内容について、住民にほとんど知らされないかたちで、ものごとが決まって、処理されていくという現在のあり方は、住民自治、住民参加の原則からいって非常に問題だと考えています。

 ――一部事務組合といえども地方自治体のはずですが、どうして、こんなにも住民から見えにくい遠い存在になっているのでしょうか?

 自治体議員は直接選挙で選ばれますので、そこの行政や議会は比較的身近な存在です。しかし、一部事務組合議員は所属する議会内選出という間接選挙で選ばれます。地域住民は一部事務組合の議員を直接選ぶことができません。一部事務組合の議員は、そこで何が起きているのかをしっかりと住民に伝えるなり、一部事務組合自身が情報を徹底して公開することがない限り、住民から非常に離れた存在になってしまいます。
 別の問題として、自治体議員の中から一部事務組合の議員が選出されるさいも、例えば最大会派から優先的に選ばれるとか、この「ポスト」は副議長の充て職である、ということがまかり通ってきました。つまり、議員の選出方法が住民にとって間接的であり、なおかつ自治体議会内で優先順位がある、ということが改革を遅らせている原因でもあるのです。

 ――情報公開や住民参加という一部事務組合の民主化の突破口として、議員報酬の二重取りに反対されているわけですね。

 一部事務組合は、普通地方公共団体とちがって、ごみ処理やし尿処理、斎場や病院といった一つの事業だけをおこなう特殊な地方公共団体です。歳入は、その一部事務組合を構成する自治体からの負担金がベースとなっていて、歳入と歳出の構造が一般の自治体とはまったく違います。
 焼却場や斎場、病院といった大規模施設の建設、運営が業務内容であるという特殊性から、歳入の半分が借金返済にあてられるという財政構造になります。一般の自治体であれば「破産」ですよね。
 また、競輪、競艇といった収益事業組合では、赤字運営なのに報酬だけはしっかり支給されているといったことも起きています。
 効率的に事務を処理するという本旨からいえば、やはり、報酬の二重払いの問題は、市民感覚からいっても到底納得できるものではありません。

 ――議員だけでなく管理者・理事者らの管理報酬の問題もありますね。

 そうです。この両方の報酬二重払いの問題をいっしょに考えなければなりません。各自治体の首長は実際、いくつもの一部事務組合の管理者・副管理者・理事者などを兼ねていて、それぞれの組合から報酬を得ています。例えば、三多摩地域で最も多くの報酬を得ているのは小平市長で、7つの組合から年間約340万円となっています。
 いろいろと調べてみましたら、東京23区内にある四つの一部事務組合のうち3つが管理報酬をゼロにしているんですね。そのうち二つが議員報酬もゼロ。その根拠は「効率的に運営する、都民に説明できないことはしない」というところにあると聞きました。

 ――一部事務組合の管理者や議員に報酬が支払われる根拠は?

 地方自治法292条の「普通地方公共団体に関する規定の準用」を根拠にしています。204条で自治体の長や常勤職員に関する給与・旅費・諸手当の規定がなされていて、また203条で議員および審議会委員などの非常勤職員への報酬・費用弁償等の規定がなされています。
 自治体の長は常勤職員としての位置づけです。204条には「職員の併給禁止」がうたわれています。時間給としての給与を受けている長が、時間内に果たす事務に対して、新たに報酬を得ることは「二重取り」と言えます。
 一部事務組合への出向職員はそこで給与が支払われますが、市長に同行して議会に出席する自治体職員には、報酬は出ません。議員は固定給としての月額報酬を受けているのですから、実質的な二重取りだと主張しています。
 各自治体は、行財政改革の名のもと受益者負担というかたちでさまざまなしわ寄せを住民に強いています。その決定をしている長や議員が、自らの懐にしわ寄せがおよぶ部分には知らんぷりでは、市民は納得できませんよね。
 基本的な考え方として私は、その自治体にかかわるすべての業務を一所懸命にこなしていくことは当然のことと思いますし、それは月額報酬内の仕事だと思っています。その範囲内の仕事なのに、さらに報酬を受けとるのは、二重取り以外のなにものでもありません。

 ――数年前、ある一部事務組合の臨時議会を傍聴しましたが、唯一の市民派議員以外ほとんど発言もなく、最後まで理事者側のペースで進行していました。いったい誰が主権者なのかと感じるとともに、普通地方公共団体と一部事務組合という特別地方公共団体の壁というか、タテ割り行政の弊害を感じました。

 そこには、自治の相互不介入という問題があります。自分の自治体の事務の一部であるのだから当然、自分の自治体の議会で審議が尽くされていいはずなのですが、別の地方公共団体の自治の問題にすりかえられてしまうのです。住民にとっては身近な問題が、どんどん遠くなってしまうという結果になります。
 一部事務組合は、地方自治のなかで改革や住民参加がもっとも遅れてきた部分だと思います。
 報酬決定にさいしても、各自治体のように住民参加による第三者機関の審議を経ずに管理者側と議会側との当事者間議決になっています。情報公開条例の制定も、ようやく始まったばかりです。
 一部事務組合でも、汚職や談合が発覚し、住民の不信をかう事件が全国的に起きました。私が現在所属している西多摩衛生組合でも97年、現職議員3名と前任の事務局長が逮捕されるという汚職事件が起きました。民主的運営によって透明性を高め、説明責任を果たしていくことが必要です。
 住民自治という前提からみたとき、一部事務組合はどうあるべきか、共同処理が最良の方法なのか、住民参加による意志反映を保障するには具体的にどうすべきかなども研究しながら、ねばり強く制度改革の提言を続けていきたいと考えています。

●一部事務組合制度を見直す
   三多摩議員の会(門間方) 羽村市双葉町2-6-13
    TEL 042-553-5604(FAX兼用)

いずみ

 女の後釜は女と、女性蔑視発言の舌の根も乾かぬうちに、緒方貞子外相にあてこんだが、あっさり断られた。
 そこで次にひねり出したのが、川口順子環境相である。「すばらしい男性の前で涙を流して、それは女性の武器だと1度言われてみたい」と、小泉に媚びを売り、男性議員からヤンヤの喝采を浴びた女性である。小泉は臆面もなく「こういう発言のできる女性だから立派に環境相を務めている」と、にやついた。
 田中真紀子は総理総裁までしてやった男に虚仮にされたばかりか、同じ内閣の同性の同僚から、闇夜に袈裟がけされたようなものである。まことに政治は忘恩不義理、裏切り者どもが巣くう魑魅魍魎の世界なのだ。
 そもそもの発端はNGOの代表が「お上は信用しない」と話したことに始まる。それでもNGOの実績を信用している外務省の職員は、このNGOをアフガン復興国際会議に参加することを求めた。
 それに鈴木宗男がかみつき、いったんはNGOの参加が拒否された。外相は知らされていなかったことに怒り、あらためてNGOの参加を指示したのである。
 外相の主観的意図は別にして、この問題は現代の外交について本質的な議論をする絶好の機会であった。野党の追及はそれに迫らず、「言った言わない」のレベルに終始してしまった。
 外交はいまや政府の専権事項ではないし、国家と国家の折衝にとどまるものでもない。民衆と民衆の直接的な関係がつくられ、それが具体的な成果をあげている時代である。反グローバリズムの諸運動は、自国政府をつきあげる闘いから市民の直接連帯を通じて国際政治を変えさせる闘いへと発展している。アフガンでも、本紙が紹介したようなペシャワール会など多くの市民運動が数十年前から民衆を支援してきた。
 国会で議論すべきなのは、殺りく破壊行為に加担しながら、復興を唱えるこの国の外交を市民外交と対比させることである。それはまた、鈴木、野上、小泉らの卑小性を国民の前に暴くことにある。

                                                     小寺山康雄 


店・モノ・活動を‘ECOひいき’!!

 ACTの名物コーナー「ECOひいき」に登場してくださるみなさんを募集しています。「ECO」なお店、会社、グッズ、運動、などを是非、ACTで紹介させてください。自薦・他薦は問いません。紹介文は、本紙だけでなく、ACTのウェブサイドにも掲載させていただきます。
 @お店・グループ名 Aお店の紹介や商品説明、活動案内(500字以内) B連絡先(お店などの場合、「行き方」も) C執筆者氏名 D掲載紙送付先・原稿に関する問い合わせ先 ―を明記し、EメールかFAX、もしくは郵便でACT編集部[act@jca.apc.org]までお送りください。地図・写真などを添付していただければ、それも一緒に掲載いたします。(編集部)


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