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『ACT―市民の政治―』153号(2001年9月10日)

Line Up

  ◆辛口レビュー JCO臨界事故からもうすぐ2年
               大泉実成さん(臨界事故被害者の会事務局長/ノンフィクション・ライター)
  ◆CATCH UP  ◆いずみ(編集長コラム)
  ◆[1面関連]  こぼれ話
             臨界事故被害者の会について
  ◆《一票・そのとき議員は》
     ハンセン病補償法への川田悦子議員の白票
  ◆個人情報保護法の危うさ
  ◆小泉首相の靖国参拝―日韓ネットが声明
  ◆OLのつぶやき・会社のかたすみから   Fこの私がセクハラ!?
  ◆今月のしなやかヤッシー “しなやかさ”に暗雲ただよう
  ◆11・3憲法集会に向けて
  ◆教科書問題
    未来につないだ“人間のくさり”  東本久子(杉並の教育を考えるみんなの会)
    子どもと教科書全国ネット21が声明を発表
  ◆グリーンムーブメント始動!   橋本久雄(虹と緑の500人リスト運動)
  ◆長岡市議選・直前インタビュー  尾崎百合子さんに聞く
  ◆市民派議員リレートーク(33) 加藤美恵子(大阪府島本町議)
  ◆日の出の森・トラスト運動 “風の塔”森へ帰る     中里繪魯洲(彫刻家)
  ◆Ecoひいき  福岡・和らく  
  ◆ひとときの光(6)  「定番」の光と影
  ◆Hot Issue in the World(3) 反信グローバリゼーション・デモ―次はワシントン
  ◆ACT全国交流合宿のご案内
  ◆広告(3面) さつき印刷
            シンポジウム・社会主義の可能性を考える……11月シンポジウム実行委員会
            『軍縮』8月号……宇都宮軍縮研究所
           『創』8月号ほか……創出版


辛口レビュー

JCO臨界事故からもうすぐ2年
 大泉 実成さん
(臨界事故被害者の会事務局長/ノンフィクション・ライター)

「オレたちは白菜以下かよ!」
「違うってこと証明しようぜ」

「被曝させたら莫大な補償金」の前例を

大泉実成さんプロフィール
おおいずみ みつなり
 1961年、東京生。1歳の時に茨城に移る。中央大学大学院文学研究科哲学専攻修了。家族が様々な宗教団体に所属していたため様々な宗教に関わる。10歳から「エホバの証人」グループで活動。しかし預言された75年にハルマゲドンが来なかったことと、教団が内部分裂したことに失望しエホバをやめる。88年、川崎で起こった10歳の小学生の輸血拒否死を取材した『説得−エホバの証人と輸血拒否事件』(現代書館)でデビュー。89年、講談社ノンフィクション賞。『東京サイテー生活−家賃月二万円以下の人々』(講談社文庫)、『消えたマンガ家』(新潮文庫)、『麻原彰晃を信じる人びと』(洋泉社)、『水木しげるの大冒険』(祥伝社)など著書多数。水木しげるの大冒険シリーズで、オーストラリアのカカドゥ国立公園に行きアボリジニーたちとジャビルカのウラン採掘問題について語り合っていたのが99年の9月中旬。帰国1週間後にJCO事故で両親が被曝。2000年2月10日、「臨界事故被害者の会」発足、事務局長を務める。  [構成:大島正裕]

 国内史上最悪の原子力災害、JCO東海事業所臨界事故からもうすぐ2年。JCOは健康被害への補償を拒否し、国は自らの責任を否定する一方、被曝させられた住民たち(350メートル半径だけで667人が被曝)の心身の苦痛は今なお続く。昨年2月に結成された「臨界事故被害者の会」事務局長の大泉実成さんにお話を伺った。大泉さんのご両親は事故当日、現場から130メートルに位置する工場で働いていて被曝した。父親は「原因不明」の皮膚病が悪化し現在入院中。母親は激しい下痢と胃潰瘍、PTSD及び鬱病により入退院を繰り返し現在も通院中。主戦力2人を失った大泉工業(株)は今年2月、休業に追い込まれた。

  ――東海村現地の被爆者の方々の現状は?

 相変わらずJCOと交渉中ですが、最近、村上村長がかなりJCOに腹を立てているんですね。被害者の会の会員には体調がすぐれない人が何人もいて、村長はJCOの社長に対して「誰が見てもお前のところの事故の影響じゃないか、何とかせい!」って怒鳴ったらしいんですよ。その一喝でJCOもちょっとは考えたみたいですね。被害者の会に入っている被爆者にも検査費その他諸々、分割して支払われることになり、やっと少し進んだという感じです。
 被曝させられることで周辺住民は現在と将来へのさまざまな不安を抱きます。実際、世界的にもJCO事故ほど周辺住民が中性子線を多量に被曝させられたケースはない。自分だけでなく家族、子孫への影響についての不安は周辺住民に共通するものです。
 これに対してJCOが一貫して言っているのは、健康被害に対する賠償金や慰謝料を払うには、JCO事故との因果関係を証明する医師の診断書をもってくれば検討する、というものです。しかし医師でも「関係は否定できない」とは言えても、因果関係を100%証明することはできない。最終的に補償を引き出すことが非常に難しいんです。にもかかわらず現実としては、寝込んでしまったり、入院したり、通院したりしている人たちがたくさんいる。
 これをどうするのかというときに、事故と健康被害の因果関係は証明できないかもしれないけれど、被曝させたという事実はあるわけです。その事実に対して慰謝料を請求していこうという方向性が明確になってからは、被害者の会がまとまってきました。「被曝させられた事実」ということが、今回闘っていくうえでの大きなポイントです。

 ――大泉さんご自身は、事故が起こるまで原発についてどのようにお考えでしたか?

 原発や原子力エネルギーについては、まったく興味がありませんでした。ただ、プルトニウム239の半減期は24000年だという知識や、震災後に神戸の再建マンションの取材したとき太陽光エネルギー自家発電を備えているのをみて、将来的にはこういう方向に行くのかなとか、おそらくは誰もが考えるようなことは思っていました。
 父は茨城県内の自動車会社に勤めていましたが、僕が小学校のときに自分の工場を始めて少しずつ大きくして、今の東海工場を作ったんです。僕自身も高校時代、親父の工場でバイトさせてもらったし、ずうっと両親が懸命に働く姿を見てきました。それが、こんなことであっさり崩れ去るんだなって思いましたね。

 ――被害者の会の設立から1年半、二足の草鞋で本当にお忙しそうですね。 

 地元では「大泉はテレビ朝日の契約社員だ」とかデマが流れるんですよ。出演したことはあるけど、契約した覚えはないぞ!(笑)
 ただ、私がジャーナリスト活動をしながら被害者の会の事務局長を引き受けていることをわかっていて受け入れてくれたり、こうやった方がいいと言ってくれる人はたくさんいます。地元では今でも補償問題はくすぶっているんです。言いたいんだけれども、誰が言い出すだろうかと、まわりを見てるんですね。とうとう腹を立てたヤツが出てきて、そいつがうまくいきそうだったら、俺もやろうっていうような(笑)。
 JCOの住民への脅し文句は「被害者の会に入ると私たちの敵になるから入らないでください」。そして、被害者の会に入っている人のまわりをきれいに潰していく。最後には偉そうに「この近所で示談が済んでいないのはお宅だけですよ。早く示談しましょうよ」。バカヤロー!(笑)
 JCOは結局、原子力産業の皆様と官僚の皆様にご迷惑をおかけしましたって小さくなっているだけなんですよ。お上とまわりの同業者しか見ていない。地元を見ていないんですよ、彼らは。

  ――最後に一言。

 みなさんが被曝させられて健康被害を受けても、国や自治体は何の補償もしません。それは、この間の活動の中でわかったことです。本当に冗談みたいな話でしょ(笑)。
 うちの親父が中性子線をバットにたとえて言うのは、工場で働いていたら後ろからいきなりバット持ったヤツに頭を殴られた。そいつはしばらくその辺を暴れ回っていたけれど、そのうちすごいスピードでどっか遠くへ行っちゃったらしい。そんなことがあったのに俺たちは何も補償されないで、なんで芋とか白菜とかは風評被害で補償を受けられるんだ。俺たちは白菜以下か!ってね(笑)。いやあ、お父さん、人間は白菜以下じゃないってことを証明しようよって言ってるんです(笑)。
 二度とああいう原子力事故を起こさせないために、本当はなくしちゃえばいいんですが、当面はあることを前提として、もし万が一、原子力事故を起こしてちょっとでも被曝させたら、とんでもない補償金を払わなくてはならなくなるという前例をつくりたいんです。そのために活動している被害者の会を、みなさんご支援ください。

 ――そういう流れをつくっていくことで、安全性は言うに及ばず、コストの面でも割に合わないということが、日本の原子力産業界全体に意識づけされていくでしょうね。  


いずみ

 尾崎夫妻とのつきあいは、ちょうど20年になる。81年に、杉村昌昭が留学していたこともあって、中北龍太郎夫妻も一緒に、パリ、ローザンヌ、ヴェネツァ、フィレンツェ、ローマを駆け足で旅行したのが、夫妻ぐるみのつきあいの始まりである。
 つれあいの尾崎ムゲンは教育学者だが、社会主義理論センターの教育問題研究会で知りあった。教問研は、朝鮮問題研究会、労働者自主管理研究会とともに、理論センターの三大看板のひとつであった。学者と現場教師のコンビネーションをうまくとって、運営してくれた。彼の著作には、現場からの聞き取りが豊富なだけでなく、彼自身も「日の丸・君が代」訴訟で闘う実践の人でもある。
 酒は強くないので、飲み過ぎると寝てしまうか、「タンゲバ派(単純暴力派)」を念仏のように唱える癖がある。ゲバルトが強いかどうかは知らないが、「あいつは許せん。今度遭ったら、ただではおかん」が、口癖である。単純なのでなく、純粋で関羽の如き義の人なのである。
 百合子さんはというと、すぐ感動したり、考えるよりも先に行動するところなどは似た者夫妻だが、ムゲンと違うところは、許せない人はほとんどいないことだ。何よりもいいところは人の話をよく聞くところだとは、ムゲンの惚気であるが、けっして八方美人ではない。悪口雑言では人後に落ちないぼくでも、かなわないほど辛辣な人物批評を聞くことがある。
 人物評価において、何を言ったかよりも、何をしているかで判断するのが百合子さんだ。まるでマルクスの如き卓見の人なのである。
 百合子さんが立候補するというのでわがつれあいは自分のことのように燃えている。学生時代、バイトで社会党のウグイスをやったが、岩井武雄を武井岩雄と連呼し、何度注意されても直らなかったのでクビになったことをきれいに忘れて、張りきっている。
 張り切りすぎて、もう当選したと早とちりしたわけではないだろうに、フィレンツェでヴェネツァンガラスで飾った議員ノート用の革表紙を買ってきた。

                                           小寺山康雄 


ECOひいき

和らく (福岡)
 *女性の体と心をケア*

 福岡でも特に若者の集まる町、大名。その一角に、ひっそりと「和らく」はあります。狭い通路を通り抜け、靴を脱いで、古びた階段を上がる…(ここで面倒臭がってはいけませんよ)。すると、外の喧噪が嘘のような、静かで落ち着いた空間が広がります。築120年の民家の、どっしりした梁や柱に囲まれて、まるで違うときの流れに迷い込んだよう。
 さて、そんな和らくに足を踏み入れるのは、やはり10〜30代前後のお嬢さん方です。彼女たちが口を揃えて言うことは、冷え症だとか、肌荒れがヒドイとか、アトピーだとか…。
 そんな女性のために(もちろんそうでない方も)、和らくでは、肌にやさしく気持ちのよい石けんや化粧水、布ナプキンなどの生理雑貨や、フェアトレードと地元の物を中心とした食品類を取り揃えています。どれもこれも、製造者のこだわりがつまったものばかり。また、心のケアとして、占いもしています。和らくを訪れて、日々の生活や、自身を見つめ直してもらえれば幸いです。

〈営業時間〉午後12時〜午後8時

【連絡先】 福岡県福岡市中央区大名1-15-19
       TEL 092-741-8875


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