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『ACT―市民の政治―』150号(2001年7月23日)

Line Up

  ◆辛口レビュー 土地収用法改正案の本質
           政野淳子さん(原陽子衆議院議員政策秘書)
  ◆いずみ(編集長コラム)  ◆「ACT基金」にご協力下さい
  ◆千鳥ヶ淵戦没者墓縁  無名戦死者国立墓地のあり方を問う
  ◆CATCH UP
  ◆6・17尼崎市議選
     この敗北を次の闘いの糧に   広畑貞昭(共生のための尼崎政治センター)
  ◆7・10米大使館抗議行動
  ◆経済ウォッチング(17) 不良債権処理には公的資金投入以外なし
  ◆2001参議院選挙 応援します! この党・この候補
     比例区は社民党へ            朝日健太郎(編集委員)
     〈黒岩ちづ子候補〉21世紀をひらく女性  宮本なおみ(元目黒区議)
     〈新垣しげお候補〉東京で「沖縄」を問う 鍋島浩一(新社会党兵庫県本部)
  ◆「つくる会」教科書採択問題 杉並区の取り組みを聞く
            金子貞男(みどりと反プルサーマル新潟県連絡会)さん
  ◆市民派議員リレートーク(32) 前田辰一(兵庫県芦屋市議)
  ◆法談閑談  参勤交代はいい加減にやめよ!
  ◆Ecoひいき  @長野・サンアルプス  A富山・グレーパリィ
  ◆意識のオルタナティブ(2) 日本の民主主義はどこへ行く
  ◆かわたなつみの英国Eco留学日誌(7)
  ◆広告(3面) 『QUEST』No14……オルタ・フォーラムQ
            『記録』8月号ほか……株式会社アストラ
            さつき印刷
            『創』8月号ほか……創出版


辛口レビュー

土地収用法改正案の本質
 政野 淳子さん
(原陽子衆議院議員政策秘書/ジャーナリスト)

なけなしの抵抗手段奪う
トラスト運動潰しは明確

「日の出トラストで10億円」の嘘


政野淳子さんプロフィール
まさの あつこ
 2001年2月から原陽子衆議院議員の政策秘書。土地収用法から公共事業を見直すネットワーク事務局。95年、清流と村を守る徳島県木頭村のダム反対運動と遭遇。インターネットなどでその応援活動をつづった「ダム日記」を執筆(2000年12月のダム計画中止発表まで継続)。97年からフリーランスジャーナリスト。河川法の市民改正案作成、気候変動枠組み条約京都会議のNGO海外広報担当、環境ホルモン取材など声をかけられるまま挑戦。98年に議員秘書の世界へ。2000年3月末に一度去り、再度ジャーナリスト活動を経て再び立法府へ。 [構成:清水直子]

 日本国憲法第29条第1項は、「財産権は、これを侵してはならない」と私有財産制度を保障しているが、同条第3項で「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる」とも定めている。土地収用法は、「公共の利益の増進と私有財産との調整を図る(土地収用法第一条)」ために土地を収用する手続きや補償の内容などについて定めており、国や自治体が道路、河川、空港、下水道、学校、公園、ダムなどの公共事業用地を強制的に取得する根拠になる。

 ――昨年、石原慎太郎東京都知事は、日の出のトラスト運動を指して「ちゃちな反対運動」のために金や人や時間がかかると、当時の建設省に土地収用法の改悪を求めていましたが、6月末までの通常国会であっけなく改悪されてしまいました。「土地収用法改正案」のポイントは。

 土地収用法で定める収用手続きには、国土交通相や都道府県知事が事業の公益性を判断する「事業認定」と、都道府県の収用委員会が損失補償金額などを定め、明け渡しを求める「収用」の2段階があります。このうち、前半の公益性の判断の手続きを慎重に行うようにし、後半の補償などの手続きを簡素にするのが今回の改正案の内容です。
 前半の公益性の判断の手続きでは、今まで「公聴会を開くことができる」となっていたものを「開かねばならない」と、公聴会を義務付けました。これは、1951年の施行以来、事業者側がやってこなかったものを義務付けただけのことです。
 民主党の修正案が通って、第三者機関への「意見徴収」が「意見尊重」に変わりましたが、第三者機関というのは、国土交通大臣の諮問機関の社会資本整備審議会という、どちらかというと公共事業を推進する立場で国土交通省から諮問を受けお墨付きを与えるところです。(※社会資本整備審議会委員は、東京都副知事、東京電力会長、アサヒビール名誉会長、三菱地所社長、日本建設業団体連合会会長、民間都市開発推進機構理事長、住宅生産団体連合会副会長や大学教授ら30人)
 一方、後半の補償の手続きについては、各都道府県の土地収用委員会での裁決手続きが簡素化されますが、この対象になるのがトラスト運動なのです。「一筆の土地を百人以上で所有している場合」という要件が定められ、その場合は、1点目に、収用対象の土地や家屋の調書を作る際は、一人ひとりの署名と捺印が必要だったのが、事業者が市町村長に届け出て、市町村長が公告縦覧(官報に記載し、役場で訪れた人に見せること)をするだけでよいことになりました。
 2点目に、収用委員会事務局と地権者の意見の調整にかける時間も手続きも簡略化され、3人以下の地権者しか意見を言えない「代表者意見陳述制」が定められました。
 3点目は、収用決済後、補償金を支払う際、民法で定められた到達主義の下で補償金を地権者の元に持参し、手渡して初めて効力を有するとされていましたが、補償金を書留郵便で送ることが認められるようになりました。
 でもトラスト運動が行われるようになったのは、日本では公共事業の入り口段階で、住民へのきちっとした情報公開がなく、住民の意見を反映させ、変更や中止といったふるいにかける手続きなしに事業が進められるからです。
 ごく一部の例外を除けば、住民が法的権利を持って事業を止めたり、見直しや中止を訴えたりすることができるのは土地収用法だけなのです。
 事業の計画段階の手続きの不備を改正するのではなく、一方的に事業が進められ、既成事実化されてしまったときに、なけなしの抵抗手段として行われてきたトラスト運動、一坪地主運動という住民の最後の抵抗手段を潰そうとするのが今回の改悪です。

 ――改悪の動機は。

 1つは99年の廃棄物処理法改正で、全国的に不足している産業廃棄物の最終処分場を第3セクターで建設することが可能になったため、当時の厚生省が土地収用法の対象事業を拡大するよう建設省に求めていました。結果、廃棄物処理センターも対象事業に含まれるようになりました。また、昨年から石原都知事が、日の出処分場に反対する運動をスケープゴートにし、「地権者に対する補償は5700万円で済むはずなのものが十億円もかかった」というキャンペーンを張りました。東京都は、今回改悪された収用委員会の手続きを簡素化する3つのポイントを2000年6月に当時の建設省に要望していました。

 ――法案提出の経過と審議の様子を教えてください。

 東京都の要望があって、昨年5月に当時の建設省建設経済局長の私的研究会である土地収用制度調査研究会が発足し、12月に報告書を出しました。それを受け今年の2月末に国土交通省から正式提案され、閣議決定を経て法案が出てきました。自民党が、前の臨時国会で議員立法として提出する話もありましたが、小泉内閣になった通常国会に閣法として提出されました。
 当初、連立与党は全党賛成で、野党は、社民、共産は反対で、民主は、会期終了まで一ヵ月を切った六月、衆議院本会議での趣旨説明と代表質問が終わるまで党の態度ははっきりしませんでした。それが、国土交通委員会で審議が始まると、突然、賛成にまわりました。
 最初から民主党と自民党との間で最低限の修正をつけて法案を通すことで話がついていたとも思えます。そのため衆議院の審議は二日間で終了し、社民党から出された「全部修正案」は、共産党と社民党と一部の無所属議員を除く反対で否決。民主党が出した2つの修正項目(もう1つは総合的に公共事業に関して検討を加えるという修正)がついて衆議院を通過し、参議院の審議も2日間のみで可決、成立しました。
 民主党の対応次第では廃案にすることも可能でしたから、その罪は重いと言わざるを得ません。

 ――国会の審議で何か目立ったことはありましたか。

 衆議院国土交通委員会の参考人質疑で、東京工業大学大学院の原科幸彦教授が、石原都知事が日の出トラストのせいで収用手続きに10億円かかったと言っていたことについて、「10億円もかかるのはおかしい」と意見陳述しました。
 私が、国会議員を通して処分組合に資料を提出してもらったところ、トラスト運動のせいで10億円かかったというのはデタラメだと分かりました。実は、2・6億円は権利者のデータ処理委託経費に使われていたのです。

 ――トラスト運動参加者の個人情報をデータ化したり、身元調査的なことも行われているのではないかと心配しているのですが。

 単に住所と名前を記録するだけで2・6億円も使うとは考えにくいです。非常に問題があるので、今後も追及していかなければなりません。
 弁護士費用や土地鑑定に2億円かかっていますが、住民側からの情報公開を求めた訴訟での弁護費用も含まれている可能性があります。もしそうなら、処分組合の勝手で生じた費用です。行政代執行に1・3億円かけているのもガードマンを大勢雇ったせいで、住民側を向いた対応をしていれば避けられたのにトラスト運動のせいにしている。これらに職員の通常の人件費も含めて、10億円かかると大キャンペーンをしているのです。

 ――国会議員は公共の不利益ということをどう考えているのでしょうか。

 何人かの議員から、参議院委員会議の中で、公益性とは何か、何をもって公益性と判断するのか、という質問がありました。扇国土交通大臣は、公共事業には公共の利益があると同時に公共の不利益が起きることもある、事業によって得られる利益と不利益を比較考慮して、利益の方が多ければ公共の利益があると見なす、と答えていますが、ではその中身は何かということまでは踏み込んでいません。
 そもそも公共の利益、憲法では公共の福祉ですが、公共事業が始まる前に議論されないといけないことです。公共事業に反対している団体が連携してどこかの党から対案を出そうと議論していたのですが、事業認定が2回行われるように法案を改正すべきだという結論に至りました。
 1度目の事業認定は、公益性の認定ですが、まず計画段階で、目的が達成されるためにどういう選択肢があり、建設は必要ないという結論も含めて議論されるべきだということです。次の事業認定は、土地収用法でいう地権を制限しても進める必要がある事業かを最終的に議論する。
 先進諸外国では、このような制度がすでに実現されています。衆議院本会議で、扇大臣が言ったことのなかに、事業認定はお手盛りではないかという批判に対して、諸外国でも事業の実施機関と事業の認定機関は一致していますと答えたのですが、前提が全然違っているのです。アメリカの環境アセスメント法では、事業の入り口段階で公益性の議論があり、フランスでは第三者機関が公益性の認定をしてから事業が始まる。ドイツでは行政手続法に基づいて計画確定手続きがあって住民の意見を反映しています。

 ――今後、まず何を警戒すべきでしょうか。

 付則の中の経過措置で、旧法で申請を行ったものに関しては、「公益性の判断の手続きは旧法」を「補償の手続きは新法」を適用すると定めているのです。さらにこの法律をいつ施行するかは国土交通省の裁量で決まるのです。
 懸案の事業をどんどん申請して、ある程度申請し終わったところで、この法律を施行するとなれば、公益性の判断に関わる手続きでは、旧法に従って事前説明もしない、公聴会も開かないままで、土地収用委員会の補償の手続きはトラスト運動があっても3人までしか地権者の意見は聞かない、調書もしっかり取らない、補償金は送りつけて終わってしまうのです。
 国会議員を通して、この経過措置がいつ、どのように決まったのか聞いてもらいました。建設省(当時)の土地収用制度調査研究会の報告を元にできている法律ですが、研究会の報告の中では、公益性の判断の中できちんと地権者の意見を聞いた限りにおいては補償を簡素化していいということになっていました。
 「事業認定における事業の公益性の判断が情報公開や地域住民の意見の反映の確保された適正な手続きによって行われる限り、収用裁決に関する手続きにおいて合理的かつ円滑な遂行が行われるよう所定の見直しを行うべきである」となっているので、ついてしまった経過措置はそれとまったく逆。
 事業認定も簡素、決済手続きも簡素で済まされる、というとんでもないものです。
 そこで、法制局と国土交通省の担当部署の審査録の情報開示請求をしたところ、全部開示という返事がきましたので、一体誰がこんな経過措置を盛り込んだのかを突き止めたいと思います。内閣法制局と担当部局のやりとりは今まで門外不出でしたので、骨子から法律になるまでの間が垣間見られるという点では、学術的な意味もあるでしょう。
 法律には経過措置がつきものですが、骨子の段階で経過措置について書かれていなければ法制局が入れ込んでしまったという可能性もあります。次号でそのからくりをお知らせしたいと思います。

 ――ジャーナリスト、NGOの活動を経て、議員秘書になられましたが、それぞれの場で心掛けたことは。

 私にとってはどれも手段でしかなく、目的もやっていることも同じなのです。共通しているのは情報を知るべき人のところへ行き渡るようにすることです。
 議員に対して、住民や運動から直面している問題をそのままの形でぶつけられることが多いのですが、問題解決のためどのような制度を作ったり、法律のどこを変えたりすればいいのかという政策形成能力、立法能力を議員にも住民、運動にも高めてもらえるように働きたいと思います。


いずみ

 虹と緑の市民会員で、本紙にグローバルグリーンズ世界大会の報告記事を書いてもらった関西外大の清水耕介さんに頼まれて、外大に講義に出かけた。演題は「日本の市民運動の光と陰であるが、大学当局の手前をはばかって「市民」としただけで、「左翼」のことを喋れという。
 滅相もない。俺ごときが大学で喋ることは何もない。それに左翼に光などない。日陰育ちのひねくれ者。そんな人間の話を今どきの学生がおとなしく聞くはずがない。なんだかんだと言い訳ばかりしているうちに、猛然とファイトがわいてきて、断るつもりが喜んでいくことになってしまうのだから、生来の調子もん。
 イタリア仕込みのゲバラの真っ赤なTシャツを着ていこうとしたら、女房殿が「アホちゃうか」。レジュメをワープロにしてもらった負い目があるから、ゲバラはあっさり諦め、ショルダーバックからTシャツ、ベストに至るまでオールグリーン。今、流行の赤の緑への転向という次第。
 どうせケイタイの親指遊びをするのだろうと思っていたら、2、3人を除いて、燃えるような目で聞き入ってくれるではないか。しかも九割以上は女子学生なのである。
 人生を決定づけた20歳台の二つの大闘争―60年安保闘争と全共闘運動について思いのたけだけというには90分は短すぎたが、熱弁をふるった。戦後平和と民主主義の頂点としての安保闘争。戦後平和と民主主義の虚妄を徹底的に暴こうとした全共闘運動。二つの闘争の歴史的意義と限界、今日継承すべき思想性。
 エコロジズムもフェミニズムも、60年代後半の世界的な若者の造反運動に端を発していることも語った。いつの時代も新しい思想は若者の運動の中に潜勢しているのだと、アジッたのである。
 感激した学生が、今日のような話はACTを読めば書いてあるのかと、質問した。虚をつかれて、答えに窮した。この国の運動の重大な欠落のひとつに、総括の伝統、すなわち継承性があることを思い知らされた1日であった。
 どうだ恐れ入ったか加田くん。これからは編集長のお話を傾聴しなさい。

                                           小寺山康雄 


ECOひいき

サンアルプス (長野)
 *美容・健康のためのヨモギクリーム*

 健康なお肌は本来自らを美しく正常に保とうとする力(自己回復力、自然治癒力)を持っています。美容液、クリームなどに配合されているヒアルロンサン、コラーゲン、エラスチン、濃い油分、養毛剤のホルモンなどの成分は、本来はお肌が自ら作り出し、皮膚細胞を構成している成分です。
 これらを配合した美容液やクリームを使用すると、しっとりと潤い感があり大変気持ちよいのですが、一時的に応急処置として使用するならまだしも、若いときから慢性的に使い続けると、皮膚細胞が「甘えて」しまい過保護になり、皮膚生理機能が低下してしまいます。
 私たちは、カワラヨモギを中心に、安全で高品質の原料成分を使い、「サンアルプスよもぎの里」化粧水、乳液、せっけん、薬用育毛剤、クレンジングオイルなどスキンケア、ヘアケアを開発しました。これらの自然派機能性基礎化粧品は、お肌の自己回復力、自然治癒力であるホメホスタシスの働きを引き出します。
 ヨモギは、古くから食用に美容に、生汁は虫さされや切り傷の治療に利用されてきました。天然保湿剤のヨモギエキスを配合した「ヨモローション−U」「ヨモボディソープ−U」「ヨモリンスインシャンプー−U」(すべて無着色、400mlで2000円)は、アトピーや湿疹、かゆみなどへの対策にもお使いいだけます。
 試供品(ヨモギローションのみ)、資料などご希望の方は、発送費300円を郵便振替番号:00510-7-30655、加入者名「サンアルプス」までご送金ください。

【連絡先】 サンアルプス
       長野県飯田市松尾代田1530
       TEL 0265-22-5850(電話問い合わせ平日午後2時以後)
       FAX 0265-23-4581
       http://www.i-mall.co.jp/sunalps

 

 

グレーパリィ (富山)
 *フェアトレード&エコグッズ* 

 フェアトレード品やアジアの雑貨・服のほか、シュタイナーのおもちゃ、本、動物実験をしていないミスアプリコット化粧品、シュタイナーの有機農法に基づくヴェレダのハーブティーや基礎化粧品、地球村の環境ビデオ貸し出しなどなど…。フェアトレードから出発し、最近は興味のわくまま、いろんなものが増えてしまいました。
 ギャラリーコーナーでは、現在、チベットエイドクラフト展をやっており(〜7月末まで)、お香や絵はがきも販売しています。
 〈営業時間〉午前11時〜午後7時

【連絡先】 富山県砺波市池原781
       TEL 0763-37-1636(FAX兼用)


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