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『ACT―市民の政治―』134号(2000年11月27日)

Line Up

  ◆辛口レビュー 
      生命をモノとして扱うな    天笠啓祐さん(ジャーナリスト)
  ◆CATCH UP   ◆いずみ(編集長コラム)
  ◆〈辛口レビュー関連〉 北川れん子議員(社民党)に聞く
       “ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律案”の問題点
  ◆アイヌ民族共有財産訴訟  
  ◆声明―国民の意見の反映しない原子力長期計画に国民的同意は得られない
                   (脱原発政策実現ネットワーク)
  ◆品川・第4回共生共走5時間リレーマラソン
  ◆広域化で奪われる民主主義〜ごみ処理をめぐる国の思惑〜(1)                               山本節子(ジャーナリスト)
  ◆末端私論 「議員の世襲制は完全禁止に!」
           「田中選挙は長野五輪で勝利」
  ◆ゲバ太の怒り!(10) 日本赤軍と日本原人
  ◆グローバリゼーションへの抵抗 フランス農民たちの闘い(下)
                             湯川順夫(翻訳家)
  ◆かわたなつみの英国ECO留学日誌 番外A
  ◆特集・泉南市議選・小山広明さん4期目当選
       選挙ルポ
       小山市議への応援メッセージ
  ◆市民派議員リレートーク(18) 浅田正文(福島県都路村議)
  ◆ECOひいき @兵庫・エコフレンズ A兵庫・ばるーん
  ◆旅 2000年の田舎(10) 土手際のススキたち
  ◆韓国 あれやコリア(5) オンドルのぬくもり
  ◆BOOK Review 
     日本婦人問題懇話会会報アンソロジー編集委員会編『社会変革をめざした女たち』
                                     (ドメス出版/3500円+税)
  ◆広告(3面)  『創』12月号ほか……創出版
            『QUEST』NO.10……オルタフォーラムQ
            『記録』12月号ほか……株式会社アトラス
            『環境社会主義と労働時間短縮』……労働者の力社


辛口レビュー

生命をモノとして扱うな前に
 天笠 啓祐さん
  (ジャーナリスト)

21世紀型の環境汚染を生み出す

バイオテクノロジーは
原発みたいなモノです

天笠啓祐さんプロフィール
あまがさ けいすけ
 1947年東京都生まれ。70年早稲田大学理工学部卒業。72〜93年、雑誌『技術と人間』の編集に携わる。現在、ジャーナリストとして原子力発電、遺伝子操作食品、電磁波など科学技術のもたらす問題点、科学技術と社会の関係について積極的に発言している。主著『原発はなぜこわいか』(高分研)、『遺伝子組み換え食品』(緑風出版)、『危険な暮らし』(晩聲社)、『電磁波汚染』(日本実業出版)、『環境ホルモンの避け方』(コモンズ)、『くすりとつきあう常識・非常識』(日本評論社)など。「遺伝子組み換え食品いらないキャンペーン」(03-3711-7766 FAX03-3715-9378日本消費者連盟内)代表。「DNA問題研究会」(048-461-3606)会員。     【11月16日/構成:清水直子】

 ――現在、「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律案」が国会で審議中ですが、その問題点というと?

 研究者が研究を進めるのを可能にするためにつくられる法律です。クローンで人の個体をつくることだけを規制しています。ES細胞(ヒト胚性幹細胞。受精後1週間ほど育てた人の胚から分化の始まる直前の細胞を取り出し、試験管で未分化のまま同じ細胞が増えるよう培養したもの。どんな細胞にも育つ可能性を持つ)の利用を可能にする法律ですね。
 今までは、人の受精卵を体外で育てることは発生から二週間以内にとどめるという産科婦人科学会の倫理規定があるため、ES細胞の研究は事実上規制されてきました。
 倫理規定が歯止めになったのは、研究をやっても成果として発表できないからです。人の胚を使った研究論文を発表すると、ひどいことをやっていると問題にされ、研究者生命を失う。これが罰則なしとなると何でもできる。また、法律ができれば、線引きされた範囲では何をしてもいいということになってしまう。
 バイオテクノロジーは21世紀の主力産業で、国家間の競争になりますから、政府や産業界には、研究の妨げになる規制を早くとって、世界に先駆けたいという思惑があります。たとえば、心臓に分化するES細胞の特許を取れば、相当儲かるでしょう。

 ――この法律で、どんなことが可能になるのですか?

 ヒトの個体をつくることだけは規制してても、個体をつくる以前の基礎研究に関しては例外を設け可能にしています。この法律が成立すればES細胞の使用が事実上解禁になります。ES細胞自体は、今まで動物実験で主に遺伝子組み替えを行う技術として使われてきたのです。ヒトのES細胞研究が可能になれば、いわゆる遺伝子組み換え人間の研究が進む可能性がでてきます。法案では個体まではつくってはいけないことになっていますが、基礎研究が進み、やがて応用されるでしょう。
 たとえば、まだ実現は不可能ですが、マウスのES細胞の皮膚を作る遺伝子の働きを止め、人間の皮膚を作る遺伝子を入れてやります。このままだとES細胞は分裂して細胞の固まりになるだけですから、別の胚と細胞融合させて混合胚を作り母マウスの子宮に戻します。すると胚が分化して人間の皮膚を作る遺伝子を持った人間との雑種マウスができます。そのマウスの子ども同士をかけあわせて何代か経つと人間の皮膚を持ったマウスができるのです。
 ES細胞の技術が一番商売に結びつく分野は臓器でしょう。ES細胞で細胞分裂をしたときに、ある信号を与えると肝臓ができるとか心臓ができる。それらがクローン法案を作りたい理由です。

――ES細胞も元は人間の受精卵ですよね。

 もっとも手軽な集め方は、不妊治療における体外受精で余った受精卵を集めることです。また、手術で摘出された卵巣や中絶した女の胎児が使われる可能性もあります。この場合、卵子の元となる卵原細胞を培養して、精子をかけて受精卵にするという方法をとります。
 しかしそこには、個人の遺伝情報が入っている。どう対処するかとういうことも、法案では触れていません。病院は卵子の宝庫で、卵子や受精卵を研究者が流用しているケースもあるはずです。

 ――医療界への影響は?

 直接的には臓器をつくって儲けたいという思惑があり、ES細胞と遺伝子組み換え技術を使えば自分の遺伝子を持った移植用の臓器をつくることも可能です。

 ――それをいいことだと思う人は多いでしょうね。

 まず倫理的に、ES細胞も、他の細胞と融合させれば赤ちゃんになることのできる受精卵を操作した細胞なのです。
 さらに安全性の問題があります。クローン、遺伝子組み替え、ES細胞など生命に手を加えると必ず問題が起きるのです。遺伝子組み替えで異物の遺伝子を入れると、操作した部分の働きをするシステム全体が攪乱されるのです。

 ――ES細胞の利用で「自分の延命のために臓器提供=人の死を待つ」という臓器移植の矛盾は解決できますか。

 昨年、臓器移植法が成立して、脳死での移植が始まっていますね。そうすると、臓器移植によって助かるのではないかと臓器移植を待ち望む人が急激に増えるのです。他の国ではそういった現象が起きていますし、日本も同じです。
 臓器提供者を待ち望む人が増えると、人工臓器の開発、動物の遺伝子組み換えなど研究が進みますが、矛盾を解決するためではなく、市場開拓なのです。臓器移植で助かるという幻想が生まれ、さらに希望者が増えるのです。
 人から臓器をもらわなくても自分の臓器を培養すればいいという幻想を振りまきながら開発は進みますね。生命操作をすれば想定されない問題が生じるのですが、実験が始まったばかりでそれがまだ見えていないのです。

 ――では、法案にはどんな規制が必要とお考えですか?

 規制ではなく生命操作はやめろと言いたいです。僕は人はもちろん動物のクローンもES細胞研究も問題だと思うし、植物の遺伝子組み換えにも反対です。反原発の立場から、原発をなくせと言うのと同じことです。
 20世紀の環境問題は人間が自然界の主役だという思い込みで自然に手を加えたことです。人工的物質をつくり続けた結果、ダイオキシンなど私たちの生命系と相容れないものとして返ってきました。
 21世紀型の環境問題は、自然界の内部に入ってしまった。遺伝子を操作したり、ES細胞をつくったり、生命の内部に分け入って、人間が勝手に改造して生命を支配できると思ったおかげで、自然界に大きな異変を生じさせる可能性があるのです。
 遺伝子組み替え作物に不思議な現象が起きました。殺虫毒素を持たせた遺伝子組み換え作物の殺虫毒素が根から地中に分泌されたのです。
 生命操作には、予期せぬ問題が起きる可能性の方が高いということを忘れてはいけません。


いずみ

 11月8日、編集委員会からの帰途の車中、二日酔いの目をしばたいているとき、「日本赤軍重信房子大阪府で逮捕」の電光ニュースがとびこんできた。車中には、団塊世代も結構居たが、ニュースを見ていないか、見ても反応を示す者は誰一人居なかった。
 重信逮捕に特別感慨を覚えるほど、彼女と近い立場に居たわけでなく、面識もないが、それでもこんなに冷たい反応には、義憤にかられた。
 義憤ということでは、赤軍派議長の塩見孝也のコメントにも、それを覚えた。塩見は、重信が帰国したのは、彼女はアラブ人になりきるか、日本人でいるか、思い悩んだ末、結局は日本人であることに決したのだろう、というのだ。
 重信にただしてみなければ分からないことではあるが、塩見の言には北朝鮮に在留している者も含めて、最近の赤軍派の民族主義へのかぎりない傾斜がかぎとれるのだ。
 日本赤軍は、ドイツ、イタリアの一国主義的赤軍派と違って、パレスチナ解放闘争との連帯という国際主義に依っていた。塩見が真っ先にコメントすべきことはこのことであり、現在もパレスチナは直接間接に全世界の人びとの連帯を必要としている、ということではないのか。
 日本赤軍は60年代後半の世界的な青年学生叛乱の一方の極であった。他方の極は、ドイツ・イタリア・フランスなどで、80年代に結実する新しい社会運動だ。高度管理社会の閉塞状況を打破するに、一方は政治的権力の頭部を電撃的に急襲し、上から社会政策を遂行しようとするのに対して、他方は市民社会のヘゲモニー闘争を長期に展開することで、同意を拡大しながら社会を変えようとする。
 両者の違いは明白であり、わたしは後者の道を歩んできた。しかし、両者に共通するところもこの際確認しておきたい。それはいずれの路線を選ぶにせよ、国境を超えた連帯は不可欠であるとともに、権力との熾烈な攻防が不可避であることだ。エコロジスムは一国内で解決できないし、権力は日の出の森を守る市民に暴力を振るうことを経験したばかりである。

                                          小寺山康雄


ECOひいき

エコフレンズ (兵庫)
 *製油の通販*

 私たちは、明るく楽しく暮らすための日常生活の提案をしています。「アレルギーを防ぐ免疫を高める健康法」(400円)と「誰も教えてくれない環境にやさしい虫退治」(300円)の両冊子を、送料込み910円のお振り込みで発送いたします。
 精神的肉体的ストレスのない生活をするために、農薬(殺虫剤・防虫剤・抗菌防臭加工)、クリーニング、合成洗剤、化粧品、芳香剤などの人工香料、テレビ、電子レンジ、携帯電話などの電磁波、漂白剤・水道水・化学パルプ紙などの塩素、家具・形状記憶加工衣料・化学繊維などのホルムアルデヒド、食品容器・玩具などのプラスチック、重金属を含む食器やガラス器・塗料、防水はっ水加工やテフロン加工のフッ化樹脂、インスタント食品や冷凍食品などの加工食品etc……を使わないで、冊子に書いてある代替品を使って明るく幸せになってもらう人が増えることを楽しみにしています。
 通販商品は、そのため良品質のものを安く提供しています。アロマテラピー用エッセンシャルオイル(精油)や竹炭、電磁波防衛シール、ヘンナ、竹酢液、軟水シャワー、炭と塩の洗濯用イオン化炭素、糊・防水加工・食用のこんにゃく粉、フットバス用ステンレスバケツなどがあります。詳しくは商品リストをご請求下さい。

                                                山田園子

【連絡先】兵庫県芦屋市岩園町3−6−307
       TEL 0797-23-1151
       FAX 0797-23-2482
      〈振込先〉(有)エコフレンズ
      〈郵便振替口座〉01190−7−84930

 

ばるーん (兵庫)
*リサイクルブティック*

 当店では、不要になった子供服、婦人服などを販売するお店です。
 「物があふれる」といわれるようになった十数年前、不要品を再利用しようと考え、一番不要になる確立の高い子供服のみで当初出発しました。そうするうちに、子供服同様に婦人服もまた子供服以上に捨てられる時代になり、数年前より婦人服も扱うようになりました。
 しかし、当店に持ちこまれる商品は当然不要の物のため、お預かり期間が過ぎても引き取りに来られない、または「もう、不要ですからそちらで処分して下さい」との声が多く、その処分に困っていました。そうしたところ、あるボランティアの方と出会い、難民の方々やまだ電気や水道すら通っていない国などへの物資の支援を始めました。
 現在ではアフリカをはじめ東南アジア諸島などへ送らせてもらっています。また、これ以外も使用済みのテレフォンカードを何千枚単位でユニセフにも送らせて頂いています。

                                               小西ミユキ

【連絡先】兵庫県神戸市兵庫区中道通1-3-28
      TEL 078-511-9074(FAX兼)
【行き方】神戸高速鉄道「新開地駅」徒歩3分
      神戸市営地下鉄「湊川公園駅」徒歩4分


店・モノ・活動を‘ECOひいき’!!

 ACTの名物コーナー「ECOひいき」に登場してくださるみなさんを募集しています。「ECO」なお店、会社、グッズ、運動、などを是非、ACTで紹介させてください。自薦・他薦は問いません。紹介文は、本紙だけでなく、ACTのウェブサイドにも掲載させていただきます。
 @お店・グループ名 Aお店の紹介や商品説明、活動案内(500字以内) B連絡先(お店などの場合、「行き方」も) C執筆者氏名 D掲載紙送付先・原稿に関する問い合わせ先 ―を明記し、EメールかFAX、もしくは郵便でACT編集部[act@jca.apc.org]までお送りください。地図・写真などを添付していただければ、それも一緒に掲載いたします。(編集部)


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