No. 92 | ||
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1998年2月12日 | ||
東京都千代田区三崎町 | ||
2-2-13-502 | ||
郵便振替 00120-8-45850 | 電話:030-910-4140 | FAX:03-3386-2203 |
沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック |
「軍事基地はいらない!」
97年12月21日、
名護市民は胸を張って
全世界に平和の発信をした。あれから50日。
職務放棄・無責任市長の辞任を受けて名護市長選。
軍事基地問題は凍結させ、振興策を前面に押し出した市長当選。しかし
「基地容認で当選したわけではない」
「『賛成派の市長』というのは誤解」
と新市長。あれこれ思い巡らしている暇はない
海上軍事基地建設阻止にむけて、
さらにさらに運動の輪を広げ
すべての軍用地を
生活と生産の場に取り戻すまで
一歩一歩前進を続けよう。
昨年2月に開始された公開審理は1月29日、第11回審理で結審となった。
審理の進行中に、「試合中のルール変更」に等しい特措法改悪や、普天間の代替ヘリ基地の名護移設をめぐって住民投票があり、さらに土地収用法に基づく基地内立ち入りと当該地主の「同行」をめぐって米軍がこれを拒否するなど、審理は激動の渦中で繰り広げられた。
収用委員会は強制使用裁決申請の対象にされた全地主・関係人に対して発言のチャンスを提供し、実質審理を実現。のべ90人余りの地主らが発言し「沖縄戦を教訓に、軍事基地に土地は提供したくない。使用申請は却下の裁決を!」と訴えた。
この地主による米軍の土地強奪過程についての体験談・証言は,沖縄の戦後史を構成する貴重な記録となるに違いない(審理の全記録は3月頃に『実録・公開審理』として刊行される予定。1部1000円。申し込みは関東ブロックへ)。
審理経過を検討し、収用委員会は4月には裁決を出すものと思われる。
今回の審理では、「安保体制下の沖縄の軍事基地」がアメリカの軍事戦略による戦争・介入に格好の便宜を提供するものとなっている危険性について浅井基文氏(伊江島・代理人。明治学院大学教授)が発言した。同氏は第8回までの審理での発言について概括し、基地の重圧下で苦しむ沖縄の人々をつくり出している日本・日本政府を批判した。
また、強制使用の損失補償金について、反戦地主への不当な重課税発生と裁決の使用期間とは強い関連があるとして加藤俊也氏(嘉手納。公認会計士)が、10年の(ましてや20年の)長期使用裁決は許されないと主張した。同氏は「10年間の経済的補償の 差額」を図を使ってスライドで説明、あらかじめ利息分として差し引かれる「中間利息」(20%弱)や、一括払いされるために当初地代で補償金が算出される不利益(30%強)、やはり一括払いされるための過大所得税(10%弱)課税などによって、契約地主に比べて反戦地主は大幅な補償金の控除にさらされ、実 際に受けとるのは実に40%になると指摘。重課税の事態が発生しないためには使用期間を1年とし、毎年公開審理を行うほかない、と訴えた。
この他、一部他人と間違えていた申請は「一部補正手続き」で済むものではなく申請全体が無効であることや、地籍不明地の申請は土地収用法の使用・収用対象になり得ないことなど、これまでの地主側が主張してきた諸論点についての総括的意見が述べられた。 また一坪地主の立場から新崎盛暉氏は、1月28日付けで那覇防衛施設局が収用委員会あてに回答してきた釈明について、論旨が矛盾していてまったく釈明になっていないと那覇防衛施設局を激しく批判した。
同釈明は、昨年七月の那覇防衛施設局長による書面では「一部共有者には『契約説得を控えさせていただいた』となっているが、それはだれのことか」との申し立てについての回答。強制使用手続きは任意交渉ができない場合の補完的な手段のはずなのに、一坪地主等特定の地主に対して「契約説得」をはじめからしないのはまったく不当だと、新崎氏は指摘した。
関東ブロック総会が2月7日、中野の商工会館で開催され、活動方針と会計報告等を承認・決定し、新運営委員を選出した。
総会では昨年の特措法改悪阻止闘争前後の活動を中心とした報告と、四月頃と想定される強制使用裁決が却下裁決となることをめざす活動にとりくむなどの本年度活動方針を決定した。また会計報告・予算案と関連して、これまでの活動量を維持するためには会費を年2,000円に値上げするほか、「随時カンパを会員に要請し活動費を確保する」ことが必要と判断し、論議の末にこれを決定した。
具体的な活動については質問・意見が多数出された。
総会後、午後6時から同商工会館で一坪反戦地主会・代表世話人の新崎盛暉さんに沖縄から来ていただき、記念講演を行った。参加者は80人。
公開審理について第10回・第11回の報告のほか、現地・沖縄での名護市長による海上ヘリ基地「受け入れ表明・市長辞任」前後のエピソードなどの紹介があった。
この後、新崎さんは記念講演で名護市長辞任をめぐる経過等について「政府の圧力で『受け入れ表明』させられたものの、リコールか辞任かのいずれかしか選択肢がなくなってしまった」と指摘した。
また橋本首相は大田知事も県内移設をOKしていたというが、首相ははっきり知事に伝えず、後から移設条件を持ち出したのが事実、だと述べた。首相はたしかに知事が「県内移設や海上基地でもいいという言葉は使っていない」と認めてはいるが、「しかし、私は当初から県内移設しかないと話したが、それはいけない、とも言わなかった」から知事もOKしていたという経過に過ぎない。
また大田知事が2月6日、海上ヘリ基地反対を表明したことについて、「知事はいい人ではある」と評価した。 また、11月20日に名護で住民投票を前に開かれた海上ヘリ基地反対派の集会で、反対協の許田清香さんがビラの受けとりを地元のあるオバーから拒否されたことについて発言したビデオ(3分間)を紹介した。
この発言は「賛成派の人は意外に確信を持って賛成している。しかし、基地が建設されてしまったらこの人たちは大きな絶望を背負いこまされる。この人たちも名護市民。私たちはこの人たちを救わなければならない。敵はこの人たちではなく、名護に対立を持ち込んだ政府・橋本首相」というもの。
講演後に、そのビデオをダビングさせてほしいと新崎さんに頼む参加者がいたほど、すばらしい発言の紹介であった。
この質疑応答は1時間にもなり、さまざまな発言・回答があった。また、昨日まで名護に行っていたという参加者から、現地でのタマキ・反対派市長候補の運動については万全の体制で進められていた、という報告もあった。
2月1日、渋谷駅前で東京沖縄県人会の青年部による「基地問題についての街頭パフォーマンス」が、また代々木公園では集会・新ガイドラインに反対する2・1行動」が行われた。
県人会青年部は正午から2時間あまり、渋谷のハチ公前でエイサーを踊ったり、署名集めやチラシの配布などによって沖縄の問題を訴えた。
彼女・彼らは、ヤマトにいても沖縄出身の若者は、沖縄の問題を真剣に考えているのだということを沖縄に伝えたい、という思いも込めてパフォーマンスを行ったという。
沖縄出身の若者によるアピールということで、多くの人が署名したりカンパをした。チラシの受取りもよく、準備したチラシがすぐになくなってしまうほどだった。
代々木公園で行われた「新ガイドラインに反対する2・1行動」は、屋台ありライブあり紙芝居あり、といういつもとは雰囲気の異なった集会となった。
「名護ヘリポート基地に反対する会」の青崎百合雄さんやジャーナリストの亀井淳さん、「非核市民宣言運動ヨコスカ」の新倉裕史さんなど、多くの方から名護の基地問題や新ガイドラインについての報告や訴えがあった。青崎さんは、自分がヨットに乗ったことのある名護の美しい海に、ヘリ基地が建設されることは許せないという思いから関東の地で反対の声をあげ続けているのだ、という思いを述べた後、「ヘリ基地いらない二見以北一〇区の会」からの連帯のアピールを読みあげた。
亀井さんは、先の名護の住民投票でやむなく「条件付き賛成」にまるをつけた人々が、比嘉市長の住民投票結果を無視した基地建設受け入れ発表を聞いて、基地反対への思いをあらたにし市長選挙では基地建設反対派の玉城候補を応援している、などの報告をした。
報告のあと、「アメリカ先住民運動」代表のデニス・バンクスさんたちによるアメリカ先住民族の音楽、「レラの会」のみなさんによる音楽、喜納昌吉さんによるメッセージと歌があり、その後エイサーを先頭にデモが行われた。
2月1日、名護市長選の告示の日。 私たち東京沖縄県人会青年部は、渋谷駅前でエイサーや三絃による街頭アピールを行いました。私たちなりの「海上ヘリポート建設反対」を書いたチラシをまいたり、名護・辺野古付近の写真パネルを展示したりして、街行く人達に、思いを伝えました。
遠く故郷を離れていても、沖縄に投げかけられる問題が私たちの中に様々な思いを生み、それらの行動をするきっかけとなりました。日々、沖縄が揺れるたびに常に歯がゆさだけが増し、無力感といきどおりを感じています。
今回、アピールした意義からは、渋谷を行き交う人達にどれだけ伝わったかはわかりません。しかしアピールをした私達ひとりひとりにとっては、とても良い経験になり、これから青年部の活動をしていく上で、とても意義のあるものになったと感じています。
(東京沖縄県人会青年部・事務局長)
フィリピンから
フィリピンにおける米軍基地の環境への影響
ミルラ・バルドナルド
(フィリピン基地クリーンアップのための民衆タスクフォース)
フィリピンの米軍基地撤去運動のリーダーの一人。また基地汚染問題に精力的にとりくんでおり、沖縄の米軍汚染されている可能性がある、と警告している。
フィリピンにおける米軍基地跡における有毒汚染は、戦争の結果によるものだ。冷戦の間、米国政府はベトナムや韓国、イラクでの戦争のような全世界への介入の拠点としてフィリピンを使った。このことが、他諸国の支配という目的達成のため、米軍は性急そして強力に作戦行動を行わなければならなかった理由である。その過程の中で、彼等は敵を倒すために最も致命的な武器を使用しなければにならず、戦争で必要な船舶や航空機の修理や塗装を最もよく仕上げるために、最も有毒な化学薬品を使用しなければならなかったのだ。
この場合、戦争のための機械の操縦者は、彼等の行動がもたらす長期的な影響に関心はない。彼等は人々の安全環境、資産、そして人々によって生産的に使われることができ得る天然資源に関心を持たない。ちょうど、日本がフィリピンを占領した時にカミカゼ基地となったクラーク空軍基地跡に、第二次世界大戦投当時投下された大量の爆弾が残っており、現在でもクラーク付近に住むフィリピン人の安全を脅かしているように、だ。
わたしたち「クリーンアップのための民衆タスクフォース」は、外国による支配、基地、軍事アクセスはこれらの問題を引き起こすだろうと考える。 フィリピンで現在提案されている地位協定という形での米軍のアクセスはさらに多くの生命・資産を破壊するだろう。
私達は米国に対し、彼等の残した有毒汚染のクリーンアップを要求しなが
ら、外国の支配と戦争の告発のため、ほかのアジア・太平洋の人々と連帯し立ち上がる。米軍基地のクリーンアップのためのグローバルな運動に支援を!
名護から
不思議な国・日本
真志喜トミ(ジャンヌ会)
いま名護は市長選挙の真っ最只中です。ヘリ基地建設を阻止する為に、私達市民の選んだ候補者を当選させなければ、とジャンヌ会も日夜頑張っております。
ただ選挙運動は、市民投票と違いちょっととまどったところもありましたが、ヘリ基地阻止の為ならとまどいもなんのその、とビラ配りや街宣カーに乗ったりと駆けまわっている毎日です。
政府は先の市民投票でも露骨な圧力をかけてきましたが、今度の選挙でもまたまた弱い者いじめの圧力がかかっております。学校でのいじめは問題になりますのに、国の最高責任者がやるいじめは堂々とまかり通る、不思議な国・日本にとまどっている私達。
私達は、かけられた圧力は跳ね返していくしかないと必死でがんばっておりますが、ただ直接圧力を受けている大田知事や県三役が、どれだけ苦しい立場に追い込まれているかと思うと、胸ふたがれて……言葉もなくただただ日本政府のやり様にいい知れぬ怒りと悲しみがわいてきます。
これが私達が請い求めて復帰した平和憲法下の民主主義の国・日本なのでしょうか? 言い知れぬ淋しさに涙が流れます。
でもがんばります。海上ヘリ基地阻止の日まで。
日本政府はこれまで、沖縄に基地を押しこめることによって、「本土」の国民にその矛盾を見えにくくさせて安保の延命を図ってきたと言える。
一方、米政府は先日クリントン大統領が「われわれの国益は大西洋だけでなく、太平洋の向こうにもある」と述べたように、東アジア・太平洋地域における米軍10万人体制を維持する方針を変えていない。
冷戦後の新たな世界戦略を追求する米政府と、それを利用して憲法の制約を乗り越えようとする日本政府は一昨年4月、安保の再定義を行った。この時日本政府は、安保条約の本質的な改定いにもかかわらず、国会審議にかけることもせず、既成事実化している。
そして米政府は、彼等にとっては一挙両得であるはずの普天間基地の新設とガイドライン見直しを、県民の悲願である普天間を返還する見返りとして見直しを迫ってみせた。
もとより沖縄は、米軍によって目に見えない空域までも管理・使用されているが、昨年4月の駐留軍用地特別措置法で契約拒否地主の土地を半永久的に取り上げるやり方を初めとして、今回名護海上航空基地建設に係る政府の露骨な介入ぶりなどは、新ガイドラインの先取りと言える。
そればかりではない。
日本政府が沖縄の痛みを全国で分かち合おうとして、米軍の実弾砲撃演習の移転が、97年7月北富士演習場を皮切りに開始されたが、その移動に民間機がチャーターされ演習地までは自衛隊車両が引き継ぐという形で行われた。
これも各候補地自治体への強引な押しつけと合わせて、「本土」における新ガイドラインのはしりと言われている。安保再定義あたりからささやかれ始めた「本土」の沖縄化が、いよいよ目に見える形にとなって現れてきた。
ガイドラインについては内閣安全保障室・外務省・防衛庁が関わっており97年6月の中間とりまとめを経て9月には日米両政府が新ガイドラインに合意した。
今年1月初めに出た関連法案の中間報告によると、朝鮮半島など周辺事態についての法制整備を、日本本土有事のそれよりも優先して進めるとしている。(1)基本法については閣議や安全保障会議で事態発生を認定する手順や日本の行動基準、対米支援の内容、国会承認または報告の手続き等を盛り込むA補給や輸送など後方地域支援については基本法で憲法上の制約(相互支援は公海上に限る)が明記されている場合は、周辺有事のみを対象としたACSAを適用できるように改定する。基本法を見送る場合は、周辺有事のみを対象とした新たなACSAを締結し、憲法上の制約を盛り込む(2)船舶検査への参加は対米支援とは異なるため、個別新法をつくり、外相の要請に基づき自衛隊に実施させる(3)在外邦人救出のための自衛艦海外派遣も対米支援と直接関係なため、単独で自衛隊法を改正する−−としている。
1月8日、政府は法改正について(1)米兵らの捜索・救難A非戦闘員の救出(2)国連決議に基づく船舶検査を実施するために自衛隊法を改正する方針を表明、米国との間ではACSAを適用できるように検討することも明かにした。
その際、米軍による国内施設の使用については自治体等に協力を呼びかける−−としている。
また2月3日の参議院予算委員会で現在のイラク情勢を周辺事態と考えるかどうかについて、久間防衛庁長官は「事態が発生した場合に日米間で調整してやっていく」と言っており、沖縄を見ればわかるように、彼等の「調整」とは米国の言いなりになることであり、いったい何のための指針かということにもなる。ひき続き国会その他での法制整備の動きに注目していきたい。
(野口)
沖縄を平和の島にするため、沖縄から三人の方を招き、3月13日に中野ゼロホールで集会を開きます。関東ブロック主催で、ひさびさに規模の大きなイベントです。
三度めの正直ということばがあります。95年から数えて3年めの今年、何としても沖縄から基地をなくしたいものです。
米軍は「戦後」52年を経た今もなお、沖縄島で膨大な基地を維持し続けようとしています。占領意識そのままに金武の山々を銃火で焼きつくし、地主も土地の人々も立ち入り禁止にし恩納村に返した土地はPCB汚染で跡地利用もままならない有様です。
考えてもみて下さい! 日本政府は「72年復帰帰」以後、平和憲法の下でそうした状態に終止符を打つことをせず、25年間それを放置してきたのです。その間だけでも4,700件余に上る事件・事故を起こした元凶の基地は、整理・統合を繰り返しながら強化さえされてきました。これはもはや日本政府の怠慢などではなく、「本土」においては安保条約が日本を守っているという幻想を与えながら、その実体部分を沖縄に集中して担わせるという真意のあらわれとしか思えません。
この二、三年の凝縮された反基地の闘いがそれを余すところなく証明してきたのではないでしょうか。行動する会の女たちは、安保が自分達を守るどころか、最も危険なものでしかないことを示しました。大田知事の「沖縄は日本なんですか?」という問いかけは「本土」の沖縄差別を鋭く突くものでした。
いま、沖縄は基地の整理・縮小を求めた県民意思の実現に向けて大きく踏み出しています。反戦地主は“特措法”改悪攻撃にあいながらも、11回に及ぶ公開審理を舞台に、土地取り上げの不当性を明かにしています。
名護市民も政府の介入をはねのけて新たな基地建設反対の意思を明かにしています。
海上基地の白紙撤回!
普天間基地全面返還!
(野口)
◆沖縄からの呼びかけ
−ガイドライン反対! 軍用地強制使用反対!−
3月13日午後6時から、中野ゼロホールで。沖縄から三人のゲスト。
反戦地主会・有銘政夫さん
宜野湾市民の会・島田善次さん
二見以北一〇区の会・真志喜トミさん
主催=関東ブロック
当日券1000円/前売券800円
訂正とお詫び
前号・91号にミス・プリがありました。訂正してお詫びします。
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■8ページの上段・1行目
[誤]金城香→金城 馨[正]
■11ページの註の2行目
[誤]市投票→市民投票[正]
■12ページ・上段8行目
[誤]第10回→第11回