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第130号(2001年11月28日発行)

速報:「改正」米軍用地収用特措法違憲訴訟 判決

       弁護団声明

 本日、那覇地方裁判所(裁判長綿引穣、鈴木博、高松みどり)は「改正」米軍用地収用特措法違憲訴訟において、原告知花昌一氏一部勝訴の判決を言渡した。

 知花氏は読谷村の米軍基地「像のオリ」内に軍用地を所有する者であるが、国は1996年3月31日に賃貸借にもとづく使用期間が満了したにもかかわらず、知花氏に土地を返還せず、これを占拠し続けてきた。国は、安保条約にもとづきアメリカ合衆国に対して米軍基地提供義務を負っているとして、使用期間経過後といえども土地を返還しないことは「ただちには違法とはいえない」として自己の行為を正当化してきた。国の同行為は、当時から法治国家としてあるまじき行為だとして世論の厳しい批判をあびていたものであるが、国は一貫して自己の違法行為を認めず実力で知花氏の土地を占拠してきた。

 国は「389日間のむきだしの不法占拠」を続けた後、1997年4月23日「改正」米軍用地収用特措法を成立させ、防衛施設局の一方的な担保提供行為により暫定使用権を発生させる条項を新設した。さらに同法附則において、「改正」米軍用地収用特措法成立前の使用認定および裁決申請土地についても新設の暫定使用条項を適用する旨を規定した。

 国は、同附則にもとづき知花氏の土地についても暫定使用権を取得したとして、「改正」米軍用地収用特措法成立後も「暫定使用権という名目のもとでの占拠」をつづけてきていた。

 本日の判決は、司法の場で国の「389日間のむきだしの占拠」について、はっきりと国の行為が「違法」であったと判断しての国の国家賠償責任を認定した。「改正」米軍用地収用特措法成立が成立した後の「暫定使用権という名目のもとでの占拠」については、知花氏が那覇防衛施設局が担保として提供した供託金を受領したこと及び損害(慰籍料等)が存しないことを理由に附則2後段についての憲法判断を回避している。しかし、知花氏の土地について国が不法占拠を継続している状態のもとで国が特別な立法(本件「改正」立法)をして新たに知花氏の土地の使用を継続した行為は新たな独立した不法行為と評すべきものであり、地主に多大なる精神的な苦痛をあたえるものである。この点につき慰籍料損害を認めなかった判断は、不当であり、誤っていると言わざるをえない。

 法治国家は、政府が法を遵守することから始まるものであり、政府は本日の判決が「改正特措法の成立、公布といういわばゲームの途中でルールを変えるに等しい手段により本件1の土地(知花所有地)は返還されないこととなった」と指摘していることを重く受け止め、知花氏に謝罪すべきである。

 暫定使用権を認めた「改正」米軍用地収用特措法の本文及び附則2前段については、本日の判決は、「被告は、沖縄県に基地が集中し、基地が存在することにより生じる被害の絶えない現状を改善する努力よりも、国民の権利、利益を制限方向で問題を解決しようとしたと見られなくもない」と判示しながらも、同規定を合憲と判断した。本日の合憲判断の根底には、憲法よりも安保条約を優先させる裁判所の判断が存在する。しかし、地主に事前の告知・防御の機会を保障しないまま財産権を制限する「改正」条項及び過去の事実に対して暫定使用権発生を認める附則2は、憲法及び法治主義の精神に著しく反するものと考えるので、この点については、本日の判決には重大な誤りがあるといわざるをえない。

 原告らは「改正」米軍用地収用特措法の暫定使用権発生条項及び附則の違憲性については、控訴をしてさらに争う予定である。
                  2001年11月30日

                       「改正」米軍用地収用特措法違憲訴訟弁護団