軍用地を生活と生産の場に!
 
沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック
http://www.jca.apc.org/HHK
東京都千代田区三崎町2-2-13-502
電話:090- 3910-4140
FAX:03-3386-2362
郵便振替:00150-8-120796

『一坪反戦通信』 毎月1回 28日発行 一部200円 定期購読料 年2,000円

第115号(2000年8月28日発行)

 再改悪特措法による
  新たな強制使用手続き

 調書に署名・押印しないなら、サッサと私がやります! 反戦地主は寝ていてください……。

 二○○一年三月で使用期限切れになる二米軍基地の強制使用をめぐって 森喜朗内閣総理大臣は去る八月一六日、防衛施設局職員を指名して署名・押印が拒否された土地・物件調書に代理署名させた。昨年可決された特措法再改悪案が実施に移された最初のケースだ。

 これまでは土地・物件調書に地主が署名・押印を拒否した場合、市町村長が代理署名し、裁決申請書は市町村長が公告縦覧する手続きになっていた(九七年の改悪・九九年の再改悪以前=旧特措法)。今回の特措法再改悪で、市長村長から「代理署名」権限と「公告縦覧」権限が剥奪された。都道府県知事の代理署名と公告縦覧代行も廃止された。「都道府県知事のなかからいわば『反乱分子』が生まれたとしても、強制使用を妨害させないための布石である。(注1)」

 代理署名させられた二米軍基地というのは、 楚辺通信所内の知花昌一さん(反戦地主会の会員、読谷村議)の土地=二三六平米と牧港補給地区内の古波蔵豊さん(浦添市職労委員長)の土地=一四八平米。

 九六年の期限切れ時、国に不法占拠され「貸してもいないのに借地料」を毎日持参された知花昌一さんは、今回契約拒否した経過について語る。「父親も二○年前に契約に応じた無念さがありました。(注2)」

 強制使用手続きはこれに続いて、防衛施設局長の収用委員会への裁決申請段階へ進む予定だ。しかし収用委員会ではなく内閣総理大臣が、申請書を直ちに公告縦覧に供する(再改悪特措法による)ことができる。そればかりではない。収用委員会が使用裁決ではなく却下裁決を出して強制使用を不適当と決定した場合でも、建設大臣に行政不服審査法の審査請求を行えば暫定使用できる(改悪特措法による)のである。実質的に収用委員会の裁決権限はないに等しい。

 神の国では強制使用もスイスイできるんですよ、国民のみなさん……。

 さらに進んだ段階の手続きとして収用委員会での公開審理は行われるだろう。しかしほんの僅かな回数だけで、形式的な審理が行われるにすぎないのではないか。地主側の堂々たる正義の主張で起業者を圧倒した審理は、これからはまったく期待できない。


 私たちの共有地=嘉手納と普天間基地については九八年五月、収用委員会によってそれぞれ却下裁決、容認裁決が出されている。

 却下裁決となった嘉手納基地については、那覇防衛施設局長が建設大臣へ審査請求中だ。請求は現在、関係人の主張について公害等調整委員会への報告が進行中と思われる。裁決による使用権原(しようけんげん)が得られないため、現在は「暫定使用」中。旧特措法では地主に対して損失補償金支払いがされないと強制使用できなかった。防衛施設局職員が地主を訪問、安保が地主の家に補償金を持参してきた。しかし改悪特措法によって、損失補償のための担保(金)を提供すれば暫定使用が続けられるように変わった。「適正な補償」のための担保(金)が供託されている、という通知が来るだけだ。

 容認裁決が出て強制使用できる普天間基地の方は、当初は二○○六年までの一○年使用申請だった。しかし橋本・モンデール間で返還合意したため、申請変更。後日になって返還には移設条件がついていたことが判明した。移設できなければそれを理由に、返還せずに強制使用が続く可能性もある。

 辺野古への移設=「基地の沖縄県内たらいまわし」に対する住民による反対運動と、普天間の強制使用反対の運動とは強力な連携で持続できるはずだ。一日も早く、米軍の醜悪な「足跡を消す」ように我々は闘い抜こう!   
 (Y)  

注1    浦田賢治編著『沖縄米軍基地法の現在』、二一八頁。
注2    一九七六年に読谷村内部で契約地主と反戦地主との反目が起き、不本意ながら契約に応じた。(知花昌一「陳述書」=次頁参照


1999.07.08    特措法再改悪
2000.04.01    再改悪特措法施行
2000.04.14    那覇防衛施設局、強制使用権限取得手続き開始
2000.05.20    那覇防衛施設局、森義朗首相に対し土地の継続使用認定申請
2000.06.27    森義朗首相、使用認定
2000.08.16    防衛施設庁建設部の河野孝義土木課長、那覇防衛施設局で土地・物件調書に署名、押印
2001.03.31    使用期限切れ