私たちは米軍用地特別措置法改悪という沖縄特別差別立法づくりに反対する
来る五月一四日、沖縄で米軍用地特別措置法に基づいて強制使用されてきた三千人の土地は、使用の期限切れを迎える。さらなる使用権原をあぐっては、現在沖縄県収用委員会で審埋中である。沖縄県民のたたかいによって強制使用継続の手続きが遅れ、期限切れに問に合わないと判断した政府は、収用委が審埋中は期限切れ以降もこの軍用地を継続使用できるという文言を米軍用地特別措置法に付け加えるという法改悪を目論でいる。それはなんと収用委員会で却下されても使用権原は持続するという、国家による強盗行為の「合法化」であり、有事立法そのものである。
「収用委」を頭ごしにしたこの政府の動きに対して、沖縄では、これに何重にも憲法違反を重ねてきた挙げ句に、沖縄のみを適用対象とした特別差別立法であるという大きま抗議の声があがっている。
しかし政府は、これを無視し、わずかな法律の手直しだから、それほどの問題ではあるまいという姿勢を取り続けている。「本土」のマス・メディアも、ことの重大性に目をつむり、当然なすべき報道すら怠っている。両者はあいまって、問題を沖縄の中にとじこめ、これが政府の非道な強権的政策という本質を、容易には見えなくさせているのだ。
しかし、考えてもみよ。文字通り「米軍の銃剣どブルドーザー」で住民を追いたててつくりだした基地、それを彼等は沖縄の日本復帰後は特別の法によって、その軍事使用を正当化してきたのである。
軍用地に使用されることを拒否しようという「反戦地主」等の当然の要求を、日米政府は「法」のベールをかぶせた力でおさえ続けてきたのだ。そして、今回の法改悪は、すでに楚部通信所の不法占拠を一年近くも続けている政府の歴史的な暴挙の上にさらに決定的な暴挙を重ねる行為である。
沖縄を構造的に差別し続けることによって日米安保体制は維持・強化されてきた。これまでも十分に悪法であった米軍用地特別措置法をさらに改悪することは、沖縄米軍基地縮小を口にしてきた政府のその主張が、まったくそり場しのぎのポーズにすぎないことを、さらに明白にするものである。
私たちは、沖縄への構造的差別をより強化しようという政府に、「本土」の人間こそ抗議の声をあげるべきだと考える。
私たちは米軍用地特別措置法改悪という沖縄特別差別立法づくりを画策する政府に抗議するとともに、残さされたわずかな時間のうちに、力の限りこれを阻止する運動を繰り広げることを明らかにする。
1997年4月1日