土地収用法 第123条
第百二十三条
収用委員会は、第三十九条の規定による裁決の申請にかかわる事業を緊急に施行する必要がある場合で、明渡裁決が遅延することによつて事業の施行が遅延し、その結果、災害を防止することが困難となり、その他公共の利益に著しく支障を及ぼす虞があるときは、起業者の申立により、土地の区域および使用の方法を定め、起業者に担保を提供させた上で、直ちに、当該土地を使用することを許可することができる。
2 前項の規定による使用の期間は、六月とする。使用の許可の期間の更新は、行うことができない。
3 収用委員会は、第一項の規定による許可をしたときは、直ちに起業者の名称、事業の種類、使用しようとする土地の区域並びに使用の方法および期間を土地の所有者及び占有者に通知しなければならない。
4 起業者は、第一項の場合において、土地所有者及び関係人の請求があるときは、自己の見積もつた損失補償額を払い渡さなければならない。
5 第一項の規定による使用の許可があった後、明渡裁決があったときは当該明渡裁決において定められた明渡しの期限において、第四十七条の規定によって却下の裁決があったときはその裁決の時期において、第一項の規定による使用の許可は、第二項の規定にかかわらず、その効力を失う。
6 第八十三条第四項から第七項までの規定は、第一項によって提供すべき担保並びにその取得及び取りもどしについて準用する。この場合において、同条第四項中「前項」とあるのは「第百二十三条第一項」と、同条第五項及び第六項中「工事を完了」とあるのは「補償の支払を」と、同条第五項中「耕地の造成による損失の補償」とあるのは「損失の補償」と読み替えるものとする。
(一) 略
(二) 本条の適用例として、熊本県収委昭三五・一・五裁決(ダム建設事業)、福岡県収委昭三九・八・二〇許可(鉄道線路増設工事)、(中略)、高知県収委昭六一・一〇・一許可・同六三・一一・二一裁決(道路建設事業)等がある。愛知県収委昭四二・四・四裁決(特別高圧送電線移設等工事)は不許可の例である。