職務執行命令行政訴訟・第一回口頭弁論
沖縄の米軍用地の強制使用手続きに必要な「代理署名」を求めて、村山富市首相が大田昌秀・沖縄県知事を相手に起こした職務執行命令訴訟の第1回口頭弁論が22日午前10時から、福岡高裁那覇支部(大塚一郎裁判長)で始まった。
大田知事も出廷し、開廷直後、裁判長に意見陳述の許可を求め、「県の立場に国の理解が得られず、残念。基地の実態を踏まえ、慎重な審理をお願いしたい。憲法、地方自治法に沿い、歴史の審判に耐え得る判断をして下さるようお願いしたい」と述べた。
訴状によると、「大田知事は土地収用法で義務づけられた国の機関委任事務である土地・物件調書への代理署名を拒否した。国は、軍用地の使用権原取得に必要な県収用委員会への使用裁決申請ができなくなり、駐留軍への施設、区域の提供という日米安保条約、日米地位協定上の義務を果たせなくなる。これを放置することは著しく公益を害する」としている。
これに対し、県側はまず、▼代理署名を国の機関委任事務とする明確な法規定はない▼機関委任事務だとしても、土地収用法に基づくため、首相ではなく建設相が訴えるべきだ――として首相の訴えは不適法とした。
そのうえで、軍用地が戦後、地主の意に反して米軍に接収され、本土復帰後もそのまま使用された経緯を説明。国土の0.6%の県土に在日米軍専用施設の75%が集中し、基地の存在が環境破壊や経済振興の阻害となることも強調して、米軍の軍事行動面における「加害的役割」を沖縄が担わせられると指摘した。
福岡高裁那覇支部にほど近い那覇市樋川の中央公園では、午前九時すぎから、反戦地主を支援する違憲共闘会議主催の集会があり、約200人が集まった。
米軍基地キャンプ・シールズと嘉手納飛行場に持つ土地の軍用地契約を拒否している沖縄市の農業島袋善佑さん(59)は「沖縄が夜明けを迎えた気分だ。反戦地主として頑張ってきてよかった。基地を利用して人を苦しめるのは、もうやめてほしい」と語る。
1977年5月、当時、土地を強制使用する根拠だった沖縄公用地暫定使用法の期限が切れ、新法成立まで「空白の4日間」が生じた。島袋さんは妻と子供3人を連れて、トラクターに乗ってキャンプ・シールズへ。自分の土地に目星をつけてアヒルを放し、大きな手書きの看板を立てた。
「防衛施設庁とアメリカ軍に告ぐ
ここは私の土地です。許可なく立入・使用を禁ず」
島袋さんの土地は戦後すぐに、米軍に接収された。「先祖伝来の土地を人殺しのために使われるのは忍びない。反戦地主というと、特別な存在のように見られるが、自分たちは当たり前のことをやってきただけ」と気負いはない。
4年前、大田昌秀沖縄県知事は国の求めに応じて、強制使用手続きの公告・縦覧業務を代行した。「でも、今度は県民の苦しみを代弁してくれた。シタイヒャー(よくやった)っていう感じだね」。
沖縄市で畜産業を営む反戦地主、池原秀明さん(52)も「強制使用の当事者は土地を持っている我々だ。裁判にかかわらないのはおかしい」と、首相が知事を訴えた職務執行命令訴訟への補助参加に名を連ねた。
米軍用地強制使用手続きをめぐる国と沖縄県との裁判が始まったことについて、村山富市首相は22日、「たいへん厳しいものだと思う。日米安保条約を締結している我が国としては、基地の提供はいわば義務だから、その義務を果たさなければならない」と述べ、沖縄県の心情に理解を示しながらも、あくまでも県側に強制使用手続きの代理署名を求める考えを強調した。首相官邸で記者団の質問に答えた。
(丸山:沖縄県民の生存権を守るのは国の義務ではなかったのか?)
機関委任事務廃止への策動!!
ASAHIネット・朝日新聞ニュースの記事から要約
=== <951222-16> news.asahi/politics, -(-), 95/12/22 14:27, 27行
標題: 機関委任事務廃止へ向け試案
政府の地方分権推進委員会(諸井虔委員長)は22日午前、委員会を開き、国の事務を地方自治体が肩代わりして実施する「機関委任事務」について、「廃止」の方向で議論していくことを決めた。同時に、「廃止」した場合の国と地方の新たな事務再配分や国の関与の在り方などを検討した試案をまとめた。「機関委任事務」は、地方自治を制限する中央集権体制の骨格をなす制度で、自治体側から改廃が強く求められている。だが「廃止」には、中央省庁から大きな反発が予想され、分権推進委は、一月からはこの試案を基に各省庁からのヒアリングを実施し、三月中に出す中間報告に盛り込む計画だ。
(丸山:もう少しこっそりやると思ったが、口頭弁論の日に試案をまとめるとは)