辺野古への基地建設を許さない実行委員会
kaeru
http://www.jca.apc.org/HHK/NoNewBases/NNBJ.html
連絡先沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック(090-3910-4140)、市民のひろば(03-5275-5989)



2007年11月14日

普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価方法書の撤回を求める声明

 那覇防衛施設局(当時)は首記代替施設計画が地元沖縄県や名護市とも合意を得ず、また多くの住民からの反対の声があるにも関わらず、本年8月7日首記方法書を沖縄県に提出し、また、8月14日から強引に公告縦覧を開始し、10月22日には沖縄防衛局は住民の意見の概要をまとめ沖縄県・名護市・宜野座村に提出した。
 しかしながら、今回防衛省が進めている環境影響評価方法書は、その内容においてもまた手順についても多くの問題点が指摘されている。現在辺野古沖に棲息するジュゴンの保護を求めてアメリカで行われている「沖縄ジュゴン訴訟」で原告が入手した米国防総省の資料が、10月23日沖縄で公開された。この資料から、新基地計画の機能について環境影響評価方法書に記載のない設備があることなどが明らかになっている。我々は、以下の問題点を指摘し、環境影響評価方法書の撤回をもとめるものである。



1.航空機弾薬搭載場について
方法書には航空機弾薬搭載場の記載がなく、かつ詳細の仕様も不明である。米側からは「同時に何機が搭載可能か」「搭載機間の間隔」「弾薬の輸送方法」など詳細な質問が出されている。この軍事的機能は、搭載作業の危険性のみならず、弾薬を積んだ航空機が北部地域の上空を飛行することになり、住民生活に重要な影響を及ぼすものである。沖縄防衛局長は、10月25日の記者会見で初めてその設置を認めたが、これまで非公開であったことは、重大な問題である。

2.岸壁の計画について
米側資料には、米側が214mの岸壁を要求した記載があり、未解決とされている。この背景には米側が、兵員や物資の輸送可能な輸送揚陸艦の着岸可能な軍港としての機能を持たせようとする意図を読み取る事ができる。政府はこの件について現時点では否定をしているが、基地機能が強化されることは明白であり、断じて認められるものではない。

3.航空機洗浄場の設置について
方法書には具体的な記載がないが、米側資料には日本側が2カ所の洗浄場を確認している。しかし米側の条件を満たすためには一度に3機洗浄できる施設を求めている。この設備も海洋汚染につながる可能性がある。

4.陸上部の環境調査について
 米側は「(埋立土砂発生区域の)辺野古ダム区域やシュワブ陸上区域に関して、生息地や計画事項について言及するように勧告」している。事実、方法書には「埋立土砂発生区域」と図示しているだけで、環境影響を評価できる一切のデータが記載されていない。また、陸上部には、米側によれば、兵員だけで6千人規模の増大であり、その家族の利便性のための学校、病院、福利施設などが必要とされ、巨大なコミュニティが形成される可能性が高い。しかし、方法書では何も触れていない。

5.騒音コンタについて
米側は「新しい滑走路の形状や運用に関する騒音コンタ(分布図)」の必要を指摘している。しかし、方法書には航空機の種類や、その運用内容が一切記載をされていない。しかも当初の説明に反し民間地区の上空を飛行することも明らかになった。また米軍側からは2014年から16年にCH46ヘリの後継機として垂直離発着機MVオスプレイの沖縄配備をする計画がたびたび公表されている。政府はこの件についても一切明らかにしていない。このような状況では、航空機による騒音や振動の影響評価をすることもできない。

6.ジュゴンについて
 ジュゴンは、絶滅危惧種TA類で天然記念物に指定されており、国際的にもその保護が叫ばれている。しかし、方法書にはそうした記載がない。また、行政による調査結果のみが引用され、環境団体や研究者、報道機関による撮影記録など、重要なデータが取り上げられていない。絶滅寸前の沖縄のジュゴンに対して、軍事空港の大規模な埋立と演習がどのような影響を及ぼすと予測されるのか、影響予測とその評価の手法が具体的に書かれていない。事前調査が悪影響をおよぼした可能性もあり、調査期間も短く、パッシブソナーなどの機器による方法
も不適切である。

7.海草藻場について
 沖縄本島では最大規模の辺野古の海草藻場およびホソウミヒルモなどの注目種がある大浦湾の藻場について、既存資料などの調査が不十分である。海草類の調査は、より密な調査ラインをもうけるべきであり、深場の調査も不可欠である。方法書で示された調査方法では、影響予測と評価に関する十分なデータを得ることができない。

8.サンゴ礁について
 調査方法に関する記述があいまいである。調査時期、調査場所が明記されていないため、何を調べようとしているのか不明である。また、ライン調査、スポット調査ともに、測線数、測点数が少なく、広大な事業予定地をカバーすることは困難である。これでは影響予測と評価に関する十分なデータを得ることができない。また、最近発見された大浦湾のアオサンゴ群落は,その規模から見て,極めて特異な群落と考えられるので,十分な調査と影響予測が必要である.

9.生物多様性の評価について
 辺野古および大浦湾には、ユビエダハマサンゴやアオサンゴの大群落を含むサンゴ礁やマングローブ林、干潟、希少種を含む海草藻場、アジサシ類が繁殖する島や岩礁、ウミガメの産卵の可能性が高い砂浜など、野生生物とその生息環境に極めて高い多様性が認められる。この生物多様性に関しても、影響予測と評価の手法を示すべきであるが、なされていない。

以上からもわかるように、環境影響の評価を求める方法書にもかかわらず、新基地の計画や機能の全貌が明らかになっていない。また、事前調査により、すでに、サンゴ礁や海草藻場、ジュゴンの生息状況に影響を及ぼした可能性が高い。したがって、このような状況では環境影響評価は不可能である。防衛省は、まず建設ありき、まず工程ありきでなく、計画の全貌を隠さずに明らかにし国民の前に説明する義務がある。今日新基地計画について様々な疑義が出されている段階では環境影響評価そのものが意味をなさないことは明らかであり、我々は、そ
の作業を直ちに停止し、方法書を撤回することを求める。

                                     以上
呼びかけ人
照屋寛徳(衆議院議員),赤嶺政賢(衆議院議員),
喜納昌吉(参議院議員),糸数慶子(参議院議員),山内徳信(参議院議員)

呼びかけ団体
WWFジャパン,沖縄リーフチェック研究会,ジュゴン保護基金委員会,ジュゴンネットワーク沖縄,ジュゴン保護キャンペーンセンター,じゅごんの里,沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団,ヘリ基地いらない二見以北十区の会,ヘリ基地反対協議会,辺野古への基地建設を許さない実行委員会

PDF: 12 KB



11.14院内学習会 普天間アセス方法書の大きな過ち(2007年11月14日) チラシ PDF: 116 KB