池原秀明さん
反戦地主会事務局長
こんにちは。雨の中、結集されたみなさん、大変ご苦労さんです。えー、すぐ沖縄から駆けつけて参りました。こういった緊急行動に、私たちは大変感激をし、また、あらためて、みなさんがたに御礼を申し上げたいと思います。
さて、いよいよ、私たちの、反戦地主の刺が、日本政府の大いなる痛みとなって、いま、胎動が起こっております。これまでの、わたしたちの反戦地主会の取り組みの中で、土地収用委員会での公開審理を、実質的にやっていくんだということが、今回、方針として出されてから、着実に政府を追いつめている。このことがはっきりと言えるだろうと思います。
まず、第一回目の公開審理の間までは、政府は、収用委員会の裁決が下りるまでは、期限切れをしてもなお引き続き継続使用ができるという暫定使用の法改正をしようというもくろみをやっておりました。これは文字どおり、県収用委員会が、裁決を、当然国の意向に添って下ろしていただけるという前提条件のもとに、なされる法改正であった。わたしたちはその時に、これはまもなく、2回3回とつづく公開審理の場で、この政府のもくろみは確実に打ち崩せるものだというように、内外にアピールをして参りました。文字どおり、そのようになって参りました。
第二回目の求釈明の中で、「象のオリ」の法的期限切れについて、政府に求釈明を求めると、「審理になじまない」、あるいは、一坪地主の石原正一さんの問題では、「登記簿殺人事件」というかたちで、人の違った申請をやっているとか。こういうものに対して、最初から法的手続きをやり直さなきゃ、これは当然却下に値するんだと指摘をしたが、これも「審理に馴染みません」ということになったけれども、過去の判例から、やはり政府はこれを乗り越えることができない。こういうことになって、今回改めて、ふたつの条例改正をくっつけて、三つの内容を提示してきたのは、みなさん、すでに今回の改正案上程によって、明らかにされて、今、国会審議をしております。
さて、そのなかで、これで闘いはどうも終息するんではないか、ということが、県内外でいま取り沙汰されておりますけれども、私たちは、そうはいかないんだということに自信をもって、これからも闘い続けていきたい。このように考えます。
まず、いま、政府のもくろんでいる法改正の中身というのは、まさに、憲法のもろもろの条項に違反をする。沖縄には、憲法よりも安保が優先する。こういう形で、ずっと、私たちは差別をされて参りました。復帰前から、憲法の適応はなし。復帰後は、私たちはこの憲法の元に帰っていく。こういう願いを込めて、権利を守っていくんだといって、「権利と財産を守る軍用地主会」を作りました。この思いが、今まさに、一顧だにされずに、私たちは憲法の適用外に今為されようとしている。こんなことは絶対に許しがたい。こういう風に思います。
さてその中で、今、マスコミのほうでも、どうも、米軍特措法の一部改正は、沖縄だけの問題だと言うことで、本土ではやむを得ないのではないか、こういう風潮も出ている。そういう面では、ここにおられる皆さん方は、そういう状況ではないと思うんですけれども、多くの国民は、やはり、法改正はやむを得ないという方向に、今、動いている。これはまさに、沖縄差別の温度差以外のなにものでない。こういうことが言えると思います。しかし、この温度差は、かならずや、私たち、沖縄の県民にだけではなくして、皆さん方に、これが覆い被さってくるということが、今回の国会論議の中で、明らかになりました。
例えば、アメリカと日本政府が、こないだ合意したのは、やはり、アジアの10万人体制を堅持する。沖縄の要求や、あるいは、ある政党から要求が出された海兵隊削減などについても、これは、到底アメリカが受け入れないということで、削減はあり得ない、という状況に動いている。
そういいながら、橋本・小沢会談は、まさに、こういったなかで、特別立法を想定したようなかたちでの、いわゆる地方における機関委任事務を取り上げて、国によって、国権によって、わたしたちの土地を取り上げる。そういう方向へと法改正をもくろもうとしている。これが今回の小沢との結託であります。
そのことは、みなさん、これからは、この法改正の中で、今いったい沖縄だけに適応するということになれば、憲法95条に抵触するという法学者なども含めた批判に対して、橋本も含めて、国は、「なにも沖縄だけに適用するものではなくて、一般論として、本土のみなさん方もこの法は適用するんだ、だから、県民投票はいらないんだ」という説明をいま国会でやっております。
そのことは何を意味しているか。
みなさん、これはまさに、沖縄に名を借りた、本土に対して沖縄県民の痛みを、なんとか分かち合って、そして本土に基地転がししていく上での、下準備を今やっているということが、まさに、言えると思います。
このことは、沖縄から基地整理縮小することは、本土に基地移転をさせる。そのことで、本土でもし反対運動が起これば、今回の法改正がそのまま本土に適用されて、そして、まさに、地主の意見を聞かずに、強権的に土地を取り上げる。この改正が今、為されようとしている。こういう点では、まさに沖縄だけにとどめるんだというこの法改正の考え方では、温度差がますます拡大するわけで、この温度差を無くすと言うことは、沖縄の問題を、この改正の問題を、全国の仲間の皆さんと、同じ問題だと、そういう位置付けの中で、対応していかなくてはならない。
当然このことは、沖縄の問題が、本土のみなさん方にかならずしっぺ返しとして、温度差を感ずるならば、かならずや火の粉が降りかかってくる。こういう思いが致します。そのことで、本土に必ず、あらたな基地建設、あらたな基地取り上げの実態が、この法改正によって確実に準備されたということが言えると思います。
そういう面ではこれからも、ぜひ皆さん方といっしょになって、この改正を許さない運動を大きく盛り上げて、国会総包囲網を作り上げていこうではありませんか。
同時に今、マスコミは、こういったもう上程して、新進党と一緒になったから、公明党などと一緒になって、この改正はもう成立ありきだという情報のなかで、もうこの問題は決着がついて、あとは政権再編なるものが動きだしております。
まさにその時に国民のみなさん方に、信を問われている。政権再編になれば、かならず特別立法が準備されていることを、皆さんは、想定しなければならない。そのために、国会再編を行うならば、やはり、文字どおり、有権者たる国民が、きちんと信をここで問わねばならない。。安保廃棄、基地を撤去の勢力を大きく延ばして、まさに今の政局をきちんとつくりかえていく。こういう壮大な運動に、ぜひ、みなさん方が立ち上がっていただけるよう、ご希望いたします。
そして、沖縄には、今あちこちで、本土でもそうですけれども、連鎖集会があっちでこっちで、広がっております。そういうなかで、いま県民では、明日いよいよ違憲共闘幹事会が開かれて、沖縄の県民集会も、これから実施をし、同時にそれを引き継いで、本土で去った去年の4月16、17日におこなったような東京行動を確保していきたい。このように考えております。
具体的な日程については明日決定をし、やりますけれども、ぜひ、その時にも、ここに結集されたみなさん、あるいは多くの国民に呼びかけて、ぜひとも次の東京行動には、国会包囲をして、まさに、政府が悪法に悪法を重ねてやるかぎり、その悪法を乗り越えて、われわれの誠意を勝たしていく。こういう行動に総結集していただきたいことを、呼びかけて、挨拶とさせていただきます。訴えとさせていただきます。大変ありがとうございました。