位置境界明確化作業手続き
付紙 2 位置境界明確化作業手続 位置境界明確化法(以下単に「法」という。)の規定する位置境界明確化の作 業手続は、これを基礎作業、地図編さん作業、復元作業、成果認証作業の4段階 に大きく分類することができる。 1 基礎作業 基礎作業は、位置境界不明地域を指定し、同地域について、市町村界、字界、 物証等を記載した地図を作成することである。 (1) まず、防衛施設庁長官は、位置境界不明地域を指定し(法2条1項、位 置境界明確化法施行令(以下単に「令」という。)1条1項)、上記指定に係る 地域を官報で告示するとともに、沖縄県知事及び関係市町村長に通知する(令1 条3項)。 防衛施設庁長官は、昭和52年11月18日、位置境界不明地域を指定し、同 日付け官報により上記指定に係る地域を告示(防衛施設庁告示第17号)すると ともに、沖縄県知事及び関係市町村長に通知した。 (2) 那覇防衛施設局長(法25条、令16条2項)は、位置境界不明地域に ついて、市町村界にあっては、沖縄県知事及び関係市町村長と、市町村の区域内 の字界にあっては、関係市町村長とそれぞれ協議の上、市町村界、字界及び道路 等各筆の土地の位置境界を明らかにするため参考となる物の位置を記載した地図 (以下「現況照合図」という。)を作成する(法5条)。 現況照合図作成の具体的手続は、およそ次のとおりである。 ア まず、各種測量の基準点となる地籍図根三角点及び地籍図根多角点を設置 する。 イ 次に、航空測量による現況地形図を作成する。 ウ 上記地籍図根点を基礎として、関係市町村、令3条1項により選任された 協力委員、古老、関係土地所有者等の協力を得て、位置境界不明地域内の物証 (道路、河川その他土地の位置境界を明らかにするため参考となる物)、実測可 能地、市町村界、市町村の区域内の字界の測量を行う。 エ 上記測量の結果を平板原図及び総合原図に作成し、市町村界について、沖 縄県知事及び関係市町村長と、字界について関係市町村長とそれぞれ協議し、上 記市町村界、字界の確認を受ける。 オ 上記確認を終了したときは、現況地形図に市町村界及び字界を表示した現 況照合図を作成する。 (3)次に、那覇防衛施設局長は、現況照合図及びこれに関する写真、書面を那 覇防衛施設局等において一般の閲覧に供するとともに、その旨を官報等により公 告する(法7条、位置境界明確化法施行規則(以下単に「規則」という。)2条) 。 (4) 上記公告があったときは、当該位置境界不明地域内の土地所有者は、字 等の区ごとに、代表者を定め、上記代表者はその住所、氏名等を那覇防衛施設局 長に届け出なければならず(法8条、規則4条)那覇防衛施設局長は、上記届出 があったときは、上記代表者に対し現況照合図及びこれに関する写真、書面を交 付し、その旨を官報等により公告する(法9条、合5条、規則5条)。 2 編さん作業 編さん作業は、基礎作業における調査、測量の結果得られた成果、資料等を基 に、字等ごとに、関係所有者間の協議により、各筆の位置、境界、形状、面積等 を地図上において確認(編さん)する手続である。 (1) 那覇防衛施設局長は、関係所有者に対し、全員の協議により、字等の区 域内の各筆の土地の位置境界を確認するよう書面で求める(法10条1項、規則 6条) (2) 上記確認を求められた関係所有者は、全員の協議により、字等の区域内 の各筆の土地の位置境界を確認する(法10条2項)。 (3) 上記協議により各筆の土地の全部又は山部の位置境界が確認されたとき は、関係所有者は全員で那覇防術施設局長に対しその旨及び協議の内容を書面で 通知する(法12条1項、規則7条)。 (4) 上記の編さん作業は、位置境界不明地域内の土地所有者が自主的に行う ものであるが、法11条に基づき、那覇防衛施設局長は必要な援助を行った。 その内容は、およそ次のとおりである. ア 字等の区域(以下「ブロック」という。)ごとに、基礎作業で作成した平 板原図を写したブロック編さん図を作成する。このブロック編さん図を利用して、 関係所有者が各筆の土地の位置境界を協議し確認する。確認されたときはブロッ ク編さん図に各筆を表示した図面(以下「一等地編さん図」という。)を作成す る。 イ 次に、一筆地編さん図に基づき各筆の土地の位置境界を現況地形図に表示 し、現況地籍照合図を作成する。 ウ 現況地籍照合図を作成したときは、その旨を代表者に通知するとともに、 一筆地編さん図、現況地籍照合図、面積測定計算簿その他参考資料を関係所有者 の閲覧に供し、関係所有者に各筆の土地の位置境界の確認を求める。 (5) 関係所有者が上記確認をしたときは、編さん地図確認書を作成し、所有 者の署名押印を求める。 3 復元作業 復元作業は、編さん作業により確認された各筆の土地の位置境界につき、現地 においてその筆界点に表示杭を設置し、関係所有者がこれを確認する作業である。 (1) 那覇防衛施設局長は、法12条1項の通知に係る土地の所有者に対し、 土地の位置境界を現地に即して確認するため、立ち会うべき場所、期日等をその 立会期日の10日前までに書面で通知する(法12条2項、令7条)。 (2) 上記の通知を受けた者は、その通知に従い立ち会って、土地の位置境界 を現地に即して確認しなければならない(法12条3項)。 上記確認に先立って、一筆地編さん図に従い各筆の土地につき、その筆界点に 表示杭又は仮表示杭を設置する。 (3) 那覇防衛施設局長は、土地の位置境界が現地に即して確認されたときは、 その土地の位置境界を表示した図面及び現地確認書を作成し、これに立会者の署 名押印を求める(法12条4項、規則8条)。 4 成果認証作業 成果認証作業は、基礎作業、地図編さん作業、復元作業により既に位置境界が 確認された各筆の土地につき、その土地の正しい姿を登記簿に反映させるため、 土地の所有者、地番及び地目の調査並びに境界及び地籍に関する測量を行い、そ の結果を地図及び簿冊に作成し、国土調査の成果としての認証の申請に至る手続 である。 (1) 現地確認書によりブロック内の各筆の土地の全部又は一部の位置境界が 明らかとなったときは、那覇防衛施設局長は、所要の公示をした上、当該土地に ついて、所有者、地番、地目の調査及び境界、地籍の測量を行い、その結果を地 図及び簿冊に作成する(法14条、国土調査法7条)。 (2) 上記地図及び簿冊を作成したときは、那覇防衛施設局長はその旨を公告 し、かつ、関係市町村事務所等において上記公告の日から20日間上記地図及び 簿冊を一般の閲覧に供する(法14条3項、国土調査法17条1項)。 (3) 上記閲覧に供された地図及び簿冊に測量上の誤り等があると認められる 者は、上記閲覧期間内に那覇防衛施設局長に対しその旨を申し出ることができ (法14条3項、国土調査法17条2項)、上記申し出に係る事実があると認め るときは、那覇防衛施設局長は地図及び簿冊を修正する(法14条3項、国土調 査法17条3項)。 (4) 那覇防衛施設局長は、上記地図及び簿冊について国土調査法19条5項 の国土調査の成果としての認証を申請する(法17条)。 (5) 内閣総理大臣は、上記申請の地図及び簿冊を国土調査の成果と同一の効 果があるものとして指定する(国土調査法19条5項)。 なお、内閣総理大臣は、当該調査に係る土地の登記の事務を掌る登記所に上記 地図及び簿冊を送付し(国土調査法20条1項)、これを受けた当該登記所は、 上記送付に係る地図及び簿冊に基づいて、土地の表示に関する登記及び所有権の 登記名義人の表示の変更の登記を行う(国土調査法20条2項)。
位置境界明確化手続概略図(駐留軍用地内の位置境界不明地域) ◎基礎作業 位置境界不明地域の指定 (施設庁長官) 2条 ↓ 市町村の境界、字界等の確認 (施設局長→知事、市町村長に協議) 5条 ↓ 市町村の境界、字界等を記載した地図の作成 (施設局長) 5条 ↓ 区域毎に土地所有者の代表者を選出 (土地所有者) 8条 ↓ 代表者に地図及び写真等を公布 (施設局長) 9条 ↓ ◎編さん作業 全員の協議により編さん地図上の位置境界を確認 (土地所有者) 10条 ↓ 各筆毎に編さん地図確認書に署名押印 (土地所有者) 12条 ↓ ◎復元作業 各筆毎に現地に位置境界を復元 (施設局長) 12条 ↓ 現地立会 (土地所有者) 12条 ↓ 各筆毎に現地確認書に署名押印 (土地所有者) 12条 ↓ ◎成果確認作業 地籍図、簿冊の作成 (施設局長) 14条 ↓ 国土調査の成果としての認証の申請 (施設局長) 17条 ↓ 国土調査の成果としての認証 (内閣総理大臣(国土庁)) 国土調査法19条
資料提供:安里秀雄(違憲共闘会議)
OCRによるテキスト化:仲田博康