沖縄県収用委員 第8回会審理記録
村上有慶
村上有慶(土地所有者):
嘉手納町に土地をもつ地主の村上です。本来であるならば、きょうこの場に北谷町長の辺土名が来て意見を述べるという予定でおりました。十分町長とも相談をしながら、一人の町民として、この場で発言をさせていただきます。
私は、北谷町に25年住んでおります。北谷町は、前回も少し触れましたけど、57パーセントという土地を基地にとられております。しかし、そこから発生する被害の話、つらい話というのはたくさんあるわけですけど、それは私のほうが作りましたメモのほうで簡単にごらんいただいて、きょうは、基地がなくなればどんなに豊かな街をつくれるのかという明るい話をさせていただきたいというふうに思っています。
スライドをお願いします。
スライドをごらんいただきながら、お話をしたいと思います。
これが戦前のハンビー飛行場という、マリン、海兵隊のヘリコプター部隊を中心とする米軍基地が58号線に沿って存在したわけです。72年の復帰を境にして返還になり、供用が開始されてから10年がたちました。その街がどのように変わったか、次のスライドをごらんください。
これが現在の58号線から見た風景です。多くの民家が建ち、お店が建ち並ぶという新しい、非常にファッショナブルな街ができております。
次、お願いします。
私のおじや弟たちも、この中に家を建てて今生活をしておりますけれど、現在、住宅が250戸、約1,000名近い人間がここに生活をしております。店舗は200近い店舗が営業をして、大変な富を生み出しているわけです。
次のスライドを見せてください。
海側には海浜公園をつくり、この北には野球場や陸上競技場や映画館や、そういう名実ともに北谷の将来を担えるような文化都市としての形成が、現在進んでいるわけです。
次のスライドをお願いします。
これが、そのハンビー飛行場の跡地に建ったハンビータウンという大手のスーパーマーケットであるわけですけど、基地があると困るというようなことは、私たち町民にとっては全くのそれは嘘だということを、具体的な数字でお話をしたいと思います。
ハンビータウン、現在ここに勤務している人は1,150名を超えます。ハンビー飛行場があった当時、軍雇用員として雇用されていた人数は十数名です。雇用の人数だけとっても、このハンビータウン一つで100倍の雇用を確保できたわけです。この周辺には、あと200近い店舗が点在をするわけです。おそらく数千人の人たちがここで働いて生活を営んでいるわけです。
固定資産税、北谷町に入っていた固定資産税、軍用地料等ということですけど、1972年のハンビー飛行場の当時は300万円程度のものにすぎませんでした。現在、250の住宅が建ち、こうした200余りの店舗が建ち、当然、土地評価額も上がっているわけですけど、北谷町に対して入ってくる固定資産は、現在時点で1億2,000万円。300万円の40倍の収益をこの土地は生み出すようになったわけです。
このように考えていけば、基地あるがゆえに貧しさが続いている。基地がなくなれば、私たちは新しい街を形成し、豊かな街を形成できるということを、この24年間の取り組みの中で明らかにしてきたんではないかというふうに思っています。
次のスライドをお願いします。
じゃ、今私たちはどのような生活をしているのかということですけれど、58号線がここへ見えていますけど、こちら側がハンビー、向こうが基地、言ってみれば、こちら側が生きた土地、向う側が死んだ土地です。戦後、北谷町民はそのために山側へ追い上げられて生活を強いられました。
次のスライドを見せてください。
北谷町役場の前から撮影した写真ですけど、現在は山側のこういう谷間の合間合間に家を建てて、せせこましく私たちは生活をしなければならない。山へ追い上げられて、戦前の14の字が基地の中に消え、こういう生活が現在も続いている。これが、57パーセントもの土地を地図の軍隊によって取り上げられた地元町民の生活であるわけです。
最後のスライドです。
今、私たち北谷町では、このキャンプ桑江という基地の中に、今建設中の北谷町役場を建てております。8,000平方メートルを超える大きな役所を、やっと基地の中に建てることができたわけです。しかし、まだこの基地は返還にはなっておりません。あと5年後には何とか返ってくるという約束になっているわけです。基地がなくなれば、ハンビータウンと同じような豊かな街を形成できるというふうに私たちは考えています。
57パーセントを基地が占めているというふうに申しましたけれど、その中でも最も大きな面積を占めているのが嘉手納飛行場なんです。そして、このスライドで見ていただいているキャンプ桑江です。こうした土地を返していただければ、いくらでも住宅を建て、スーパーマーケットを建て、マンションを建て、私たちの生活を数十倍、数百倍に豊かにしていくということは、私たち北谷町民はこの間ずっと努力をしてつくってまいりました。
ぜひ、私たちの土地を返していただきたい。北谷町民の多くがそう思っているということを防衛施設局はよく知っていただきたい。土地収用委員の皆様には、ぜひ防衛施設局の強制使用申請を却下していただいて、早期に北谷の土地を私たちに返してほしいと思います。以上といたします。
当山会長: どうもありがとうございました。次に長嶺哲さん。
写真提供:顔写真(上原成信)、スライド(違憲共闘会議)