沖縄県収用委員会審理記録

島田正博さん(土地所有者)


土地所有者(島田正博)

 どうもこんにちは。ただいま指名されました島田正博でございます。私は、嘉手納に土地を持つ一坪反戦地主の1人であります。わけあって、前回の公開審理は出席できませんでした。それで後で報道等を見ながら、審理の詳しい過程を自分なりに理解をしたつもりであります。

 前回の公開審理の前に、地主の取り違いの件について、静岡県に住む石原正一さんの件について、一坪反戦地主会のほうで記者会見を行い、公開審理の場でもその旨、起業者側に釈明を申し入れてきたところでありますが、私は、この石原正一さんの件を見たときに、かなりびっくりしまして、1人の権利をよもや勝手に国のほうが、その生きている当の本人を抹殺をして、当然、肉体的な抹殺ではありません。登記簿上の抹殺でありますけれども、そのようなことをして、勝手に遺産相続などをする、こんなことがあり得ないだろう、これはわれわれのほうの間違いではないだろうか、こう思ったわけです。

 ところが、よくよく考えてみますと、防衛施設局はこの強制使用の手続きの過程で、私のところにも一度もお願いに来たこともありません。私に面会を申し込んできたこともありません。突然、私の土地の強制使用手続きに入っていったわけであり、こちらのほうが面食らってしまうようなことがたびたびあったわけです。

 こういうふうに、過去3回の強制使用手続きの過程でも、防衛施設局の手続きの方法というのはものすごい安易なやり方をしていて、本当にこんなことをして法的にきちっと整合性のあるものになっていくんだろうかという危惧はずっともっていたわけです。この間、何を頼りにしていたかと言えば、既に結論ありきと思われるような公開審理の状況、私もずっと公開審理を立ち会ってきていますけれども、ときには防衛施設局の職員に守られながら、非常□から脱出をしていく収用委員の姿を見たこともあります。ときには、警察権力を舞台裏にひそませて、いつ打ち切るかというふうな準備をして、突然警察権力が演壇に乱入をしてくる。そして、私たちの仲間が不当にも逮捕されたり、あるいはけがをしていく、こういった公開審理も見てきました。その過程で、国と収用委員会というのはどこかで一つ口裏を合わせながらやっているのかなと。われわれ地主の声は届かずに、いつでも自由に私たちの財産権を侵して、米軍基地のために土地を奪うことができるのかなと、こういう無念さでいっぱいでありました。

 今回、過去の公開審理の有り様を批判して、きちっとした公開審理を行っていく。二度と、過去あった公開審理のような有り様があってはならないという会長の談話を新聞で見たときは、ほっとすると同時に、これで実質的な公開審理が保証されるのかなと。ということは、同時に那覇防衛施設局が強引に進めてきた手続き上の瑕疵についても暴露されていくんだろうと、こういう期待でいっぱいであります。

 そこで、今回の石原正一さんの件について、私たちの仲間の弁護士の三宅俊司さんが、前回のこの公開審理の会場で、具体的な釈明を求めています。そのとき、起業者側は「まだ調査がいっていない。具体的には大至急事実関係を調査中であります。他方、真正な所有者の確認にはある程度の時間を要することもご理解願いたい」ということで、明確な答弁を避けております。

 そういう意味では、きちっとした調査をして、この公開審理の場で全体の前に正確な情報を伝える、それだけの猶予は当然あってしかるべきだ。さすがは国だなと。よくよく好い加減なことは言わずに、ちゃんと調べて答えましょうと、こういうことを言っているんだなというふうに理解をしております。

 そこで、十分な調査時間があったと思いますので、前回、こういうことをおっしゃっているわけですから、調査結果の報告をまず国のほうから受けたいと、こういうふうに考えております。よろしくお願いします。

○当山会長代理

 ご苦労様でした。求釈明事項というのが6点ほど出ておりましたけど、それをすべて答えてほしいというご趣旨でしょうか。

○土地所有者(島田正博)

 再求釈明やってある問題もありますので、それでは国の釈明になりますけれども、改めまして私のほうから再釈明を求める事項について、読み上げて提案をしたいと思います。

 一つ、施設局は当事者を間違えていることを認めるのか、否か。

 二つ目に、当事者の調査方法としては、どのような方法をとったのか、具体的にお知らせ願いたいと思います。

 さらに、3点目に、石原恭子さんらに対しては、どのような調査をしたのか。具体的に電話で確認をしたのか、出向いて行って、ちゃんとお尋ねをしているのか、そういったことがあるのかどうか。

 さらに、それはいつの時点で行ったのかということについても、具体的にお教え願いたい。

 そして、静岡県の清水市にお住まいの方ですけれども、その清水市に対して、初めて住民票を請求したのはいつの時点であるのか。

 さらにそれは、公用できちっと公文書を発送して、お願いをして取ったのか。この申請した日付、そしてどなたの住民票を申請したのか。石原正一さん、お2人のどちらの方のものを請求したのかということですね。

 さらに、裁決申請にあたっては、2度目に申請をしたそのとき、防衛施設局は誰の名義の住民表(票)を請求したのか。

 最後に、当初住民票を請求した後、再度、住民票を請求するまでにどのような調査をしたのか。間違いに気づいてからどういう対応策をとってきたのかということも含めて、具体的に、公開審理に参加をしているみんなが、これだったらよく分かるというふうに、具体的な分かりやすい言葉を使ってお答え願いたいと思います。

 ひとつよろしくお願いします。

○当山会長代理

 はい、ご苦労さま。それでは施設局、釈明をお願いします。

○起業者(那覇防衛施設局施設部長 坂本憲一)

 起業者代理人、那覇防衛施設局……

              (場内より発言する者多数あり)

○当山会長代理

 静かにしていただけますか。求釈明をちゃんと聞かないと、地主も意見をちゃんと述べられないと思いますよ。よく聞いたほうがいいと思いますが、いかがですか。

 それでは、施設局、よろしくお願いします。

○起業者(那覇防衛施設局施設部長 坂本憲一)

 起業者代理人、那覇防衛施設局施設部長、坂本憲一でございます。以下、職名・氏名は略させていただきます。

 まず、石原正一さんの件でございますが、平成9年3月12日の第2回公開審理でご指摘がありました、登記名義人の石原正一氏を同姓同名の別人の方と取り違え、その法定相続人を土地所有者として手続きを取っていたことについて、次のとおり真の土地所有者1名が判明いたしました。本件につきましては、平成9年3月21日付文書をもって、収用委員会に対しまして疎明書及び土地所有者確認の事実関係、経緯を提出しております。

 個別にお答えを申し上げます。まず、施設局は当事者を間違えたことを認めるのかとの事項について回答いたします。

 調査、確認した結果、登記名義人の石原正一(しょういち)氏を同姓同名の別人である石原正一(まさかず)氏と取り間違え、その法定相続人を土地所有者として手続きをとっていたことが判明いたしました。

 2番目でございます。当事者の調査方法としてはどのような方法をとったのかの事項について、回答いたします。

 中頭郡嘉手納町字東野理原350番の土地を管轄する那覇地方法務局嘉手納出張所に備えつけの土地登記簿で、権利の異動状況の調査を確認したところ、住所、清水市江尻東1丁目1番16号、氏名、石原正一氏が、新たな所有者として所有権移転登記をしていたことから、土地所有者が居住している清水市から住民票等の交付を受け、その土地所有者の住所の異動及び存命の有無を確認しております。

 3番目でございます。石原恭子さんらに対してどのような調査をしたのか、直接会いに行って調査をしたことがあるのか、どのような話をしたのか、いつかとの事項について回答いたします。

 清水市役所から送付された住民票除票により、石原正一氏が死亡したと受け止め、その法定相続人を調査するため、同市から同人の戸籍謄本の交付を受け、確認しましたところ、法定相続人は石原恭子さんほか3名であることが判明いたしました。なお、平成8年7月26日、契約説得で自宅を訪問するまで直接会ったことはございません。

 4番目でございます。清水市に対して初めて住民票を請求したのはいつか、公用で取ったのか、申請したのはいつか、また、誰の住民票の申請をしたのかとの事項について、回答いたします。

 昭和62年9月中旬、土地登記簿記載の住所地を管轄する清水市役所に対して、登記名義人の氏名、石原正一氏及び住所、静岡県清水市江尻東1丁目1番16号を記載して、公用で交付依頼いたしました。

 5番目でございます。裁決申請にあたって2度目に申請したのはいつか、誰の名義の住民票を請求したのかとの事項について、回答いたします。

 当局は、土地所有者全員の住所の異動状況を毎年調査しておりますが、裁決申請をするにあたっては、平成7年2月に清水市役所等に対し、石原恭子さんほか3名の住民票の交付申請をしております。

 6番日です。当初、住民票を請求した後、再度住民票を請求するまでにどのような調査をしたのかとの事項について、回答いたします。

 当局は、土地登記簿記載の住所地を管轄する清水市役所に対して、登記名義人の氏名、石原正一氏及び住所、清水市江尻東1丁目1番16号を記載して、住民票の交付を依頼しました。これに対して、同市から同姓同名の別人である石原正一氏、住所、清水市東大曲町3番37号は昭和61年9月19日に死亡している旨記載された、昭和62年10月12日付住民票除票が交付されてきました。このため同姓同名の別人である石原正一氏、住所、清水市東大曲町3番37号の法定相続人を調査し、翌年からはこの法定相続人を調査対象者として確認調査を実施したところであります。

○当山会長代理

 はい、ご苦労さまでした。

 次、松永和宏さん、お願いします。


 出典:沖縄県収用委員会 公開審理議事録
    違憲共闘会議提供、テキスト化は仲田

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