伊志嶺善三弁護士(土地所有者)
○土地所有者(弁護士 伊志嶺善三)
私、代理人の伊志嶺と申します。何点かにわたって釈明を求めたいと思います。
施設局の申請理由の中に、全く出てこないことについて質問をいたします。それは海兵隊にまつわることで、沖縄の米軍基地の約75パーセントは海兵隊の基地であります。2万9,000人の兵員の約6割、1万7.000人余りも海兵隊であります。海兵隊が沖縄でたくさんの犯罪を犯し、事故を起こしていることは、ここではもう申し上げません。その海兵隊について、しかし、申請理由書の中に全く出てこないわけであります。それには理由があります。
ちなみに、1983年に当時のワインバーガー国防長官は、海兵隊は日本の防衛には充てられていないんだと。西太平洋やインド洋等に緊急事態に備えて配置される部隊だということを言っておりますし、同じようなことは1991年のアメリカの会計検査院報告でも出ております。そして、最近、92年でありますが、チェイニー国防長官も在日米軍の任務は日本防衛のためではないということを明言をしております。このことについて、私はその海兵隊自身で語ってもらいたいと思います。
ここに第3海兵隊の指令概要という文書があります。世界地図の上にその領域について地図で示しておりますが、世界の大半を、もちろん南はオーストラリア、もっと南まで、そして北はツンドラ地帯あたりまで、そして東はアメリカ大陸まで、西はアジアをはるかに通り越して、アフリカの東海岸あたりまで到達しております。
これは一昨年の例の少女暴行事件の後に、10・21の県民集会の後に、第3海兵遠征軍が、いわば県民向けとでも言いましょうか、つくった文書です。それをしかるべきところが翻訳しているものがありますので、紹介をしたいと思います。太平洋の要だというふうに記されております。アフリカ大陸の東海岸からハワイまで及ぶ範囲というふうに記載されておりまして、5,200万平方マイル、48ヵ国と境を接すると。こういうふうに記載されております。そして、2010年に経済大国になる15の国のうち七つ、中国、インド、インドネシア、日本、韓国、台湾、タイは、この第3海兵遠征軍の活動領域内にあることが記されております。世界の人口の3分の2が、この第3海兵遠征軍の活動地域内にあることも記載されております。
○当山会長代理
すみません、質問内容がだんだん分からなくなってくるので、的確にお願いします。
○土地所有者(弁護士 伊志嶺善三)
はい、簡単に終わりたいと思います。
太平洋地域における相互的な安全保障上の目的が書かれておりまして、その中にはこういうふうに出ております。地域における敵対権力の出現を防ぐ。意に沿わない政権の樹立を許さない。これも第3遠征軍の目的のようであります。海上及び航空での兵たん路の、これはシーレーン防衛のことだと思います。航海の維持、商業及び経済へのアクセスの確保等が記されております。 こういうふうに、海兵隊自身の発行した文書の中に、海兵隊の活動、第3海兵遠征軍の活動領域が、アジア太平洋地域を越えて、むしろアフリカの東海岸まで及んでいるということが書かれているわけです。
ちなみに、先ほど新崎先生が指摘がありましたように、安保条約6条によって、米軍の駐留は我が国の安全と極東における国際の平和並びに安全のためにということが、いわゆる極東条項と申しますが、明記をされているわけです。我が国と極東における安全、これが米軍の駐留目的なはずであります。
しかし、今、申し上げたように、海兵隊自身の文書によって、日本の防衛とは何ら関係のないことをやっていることは明白ではありませんか。海兵隊は安保条約違反ではありませんか。
これについてお答えをいただきたいと思います。お願いいたします。
○当山会長代理
伊志嶺先生、次の(3)も入っておりますか。海兵隊は陸・空・海。
○土地所有者(弁護士 伊志嶺善三)
次に申し上げたいと思いますが、一緒に回答を求めますか。
○当山会長代理
ええ、お願いします。
○土地所有者(弁護士 伊志嶺善三)
私、海兵隊のことが施設局の申請理由の中に一言触れられていないと申し上げました。実は、安保条約にも、地位協定にも、海兵隊という軍の組織は出てこない。海兵隊というのは、1775年、今から222年前であります。アメリカのイギリスからの独立戦争のときに、2個大隊を編成したというのが始まりだそうです。222年前です。そして、1952年には空軍、海軍、陸軍に併せて、海兵隊についてもきちっとその任務等について定めた法律がアメリカで制定されております。それ以外は、海兵隊というのは3軍と並んだ独立した軍の組織だと言われている。安保条約は1960年、地位協定もそうですが、制定されたものです。
つまり、アメリカにおいて海兵隊という軍の組織がきちっと確立された後に、安保や地位協定がつくられたわけです。しかし、安保条約6条には陸軍、空軍、海軍の規定はありますが、海兵隊がありません。
念のために地位協定、ちょっと読んでみましょう。地位協定の中に「この協定において、合衆国軍隊の構成員とは、日本国の領域にある間におけるアメリカ合衆国の陸軍、海軍、または空軍に属する人員で、現に服役中のものを言う」ここに、海兵隊の兵隊さんは除かれているわけです。ならば一体、沖縄における基地の大半を占める海兵隊というものは一体、この安保や地位協定で言う陸軍、空軍、海軍、いずれに属するのか、属しないのではないか、ここを明確にしていただきたいと思います。
○当山会長代理
はい、起業者、よろしくお願いします。
○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 阪本憲一)
海兵隊は、陸、海、空、いずれの軍隊かとの事項について、回答いたします。
海兵隊は、陸、海、空軍に並ぶ軍隊の一部であると承知しております。
それから、前三の2の(一)ないし(二)につきましては、平成9年3月10日付けで本審理になじまないと思われる求釈明事項であることを回答しております。
○土地所有者(弁護士 伊志嶺善三)
会長代理、実は今、私は阪本部長が、先ほど来引用しております平成9年3月10日付けの文書を今いただきました。これには確かに、こういうふうに書かれています。参照文書で、送付のあった土地所有者らからの求釈明申立書について、下記のとおり審理になじまないと思われる求釈明事項が含まれておりますので、その旨回答いたしますということで、1から9項目まで、私どもの質問事項に対して大半であります、そういうふうに書かれております。
ひとつここで質問をさせていただきます。審理になじまないと思われると結論は書いてありますが、その理由が書かれておりません。その理由をここで明らかにしていただきたい。お願いいたします。
○当山会長代理
明らかにできますか、施設局。
立ち上がらないところを見ると、恐らくそういう質問に対する準備はされてないと。
伊志嶺先生、恐らくそういうことは、皆さんも予測されたでしょうから、できたら次に進んでいただきたい。
○土地所有者(弁護士 伊志嶺善三)
予測はしておりませんでしたけれど、会長代理がそういうことであれば、私の釈明を求める件は終わりたいと思いますが、しかし、私どもはこれで引き下がるつもりはありません。今後、引き続き回答を求めたいと思いますので、政府内部で調整をしていただきたい。回答を準備していただきたい。私の釈明は終わります。
○当山会長代理
それでは、次の方。よろしくお願いします。