新崎盛暉さん:嘉手納の所有者の新崎盛暉です。えー、あの、わたしはみんなに非常にわかりやすくように質問し、防衛施設局に答えやすいようなかたちで求釈明したいと思いますので、ぜひ会長も施設局側に促してもらって。わたしはほぼ10分間で終わる予定です。あのちょこちょこ何度もでてきて、なんだ、なんとかの代理人のなんとかですを何回もやらなくてもいいですから、時間をできるだけ短縮するように、ご協力をお願いいたしたい。
(拍手)
わたしが、あの、求釈明をしたい、質問したいところは、申請の、申請理由に関わる部分、みなさんのお手元の資料の2ページ下の3行目くらいのところにありますので、それを見ながら聞いてください。
ここに申請の理由として、「日米安全保障体制は、我国を含むアジア・太平洋地域の平和と安定にとって不可欠な枠組みとして機能しており、また、我が国への駐留軍の駐留は我が国の安全並びに極東における平和及び安全の維持に今後とも寄与するものである。したがって日米両国とも日米安全保障条約を終了することは全く考えておらず、駐留軍の駐留は今後相当長期間にわたると考えられ、その施設区域の使用も今後相当長期間にわたり使用されると考えられるので、その安定的使用を図る必要がある。」となっています。
つまり、こういう理由で土地の強制使用をするのだというわけです。そのすぐ下の方に、安保条約の第6条が引用されておりますけれども、「米軍は日本国の安全に寄与し、ならびに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。」と規定されております。
ところで、那覇防衛施設局は、これまで5回にわたって米軍用地特措法を発動して、強制使用をしてきました。その度毎に、この申請理由がついています。その申請理由は、前3回までは、えー、82年の強制使用、87年の強制使用。あ、前2回ですか、82年、87年、前2回の強制使用の時までは、この第6条を引用して、この第6条でこう規定されているので、基地の使用は、高度の公共性がある、と主張しております。ところが前回から、つまり、1991年の裁決申請の段階から、ここに「日米安全保障体制は、我国を含むアジア太平洋地域の平和と安定にとって不可欠な枠組みとして機能しており、」という文言を新たにつけ加えてきています。つまり前回と今回にかぎって日米安全保障体制は、我国をふくむアジア太平洋地域の平和と安定のために不可欠な枠組みとして機能しているという文言を、新たにつけ加えてきました。
つまり申請理由を変更してきました。この理由はいったいなんなのか。ここでいう日米安全保障体制とはなんなのか。このことがわたしが求釈明をもとめたいことです。つまりわたしたちは安保体制という言葉を使います。安保体制とは安保条約に基づく日米関係というものを規定しているのだというふうにわれわれは理解しています。ところが、第6条をこれまで引用してきたにもかかわらず、この第6条と並列させる形で、別に日米安全保障体制という概念を、起業者側は持ち出してきました。ここでいっている日米安全保障体制とはなんなのか。われわれがいっている日米安保とはちがうのか同じなのか。条約とかけ離れてなぜこの文言が必要なのか。これをお答えいただきたいと思います。
兼城会長:起業者の那覇防衛施設局さん。あの、マイクの前に、ちょっと立たれてですね、答えてもらいたいんですけど。いちいち職名を何回も言う必要はございませんので、お願いいたします。
(拍手)
坂本部長:では、省略させていただきます。「日米安全保障体制」とはなにか、「日米安保条約」との関係はどうか、という事項についてお答えします。
我国が憲法のもとですすめている防衛政策は、昭和32年5月、国防会議および閣議によって決定された国防の基本方針に、その基礎をおいており、国防の基本方針は、まず、国際協調などの平和への努力の推進、民政安定などによる安全保障基盤の確立、次いで、効率的な防衛力の整備と、日米安全保障体制を基調することを基本方針としています。日米安全保障体制は、日米安全保障条約を基調とするものであり、我国の安全に対する直接的な貢献、我国の周辺地域の平和と安定のための貢献という役割を果たしており、さらに日米関係の中核をなすとともに我国の幅広い外交関係の基盤となっているものであります。以上です。
新崎さん:いま、あの昭和35年とおっしゃいましたよね。
坂本部長:いや32年です。
新崎さん:32年とおっしゃられた。
坂本部長:はい。
新崎さん:とすると、32年から安全保障体制は基本的にかわっていないにも関わらず、なぜ、82年、および82年の強制使用のときにはそれを持ち出さないで、87年、あ、いや、82年と87年には持ち出さないで、91年と今回、あらたに安全保障体制という概念を持ち出してきたのか。そこをうかがっているわけです。その前にも安保条約第6条が必要だと言うことは書かれています。なぜそのように申請理由を変更せざるを得なかったのかについて、おうかがいしたい。
坂本部長:よろしいでしょうか。
兼城会長:はいどうぞ。
坂本部長:求釈明の事項につきましては、日米安全保障体制とはなにか、ということと、日米安保条約との関係はどうかということでしたので、それについて、さきほどお答えいたしました。
新崎さん:だから、そのことで、な、なぜ変わってきたの?
坂本部長:・・・・。それにつきましては今回の審理に馴染まないことですから。
(場内大爆笑。なんだそれは、のヤジ)
新崎さん:今回ここで答えられないなら、次回でもいいですけど、会長のほうも、これが本当になじまないことなのかどうか。収用委員会でも検討をお願いします。では次にすすめます。
兼城会長:はい、どうぞ。次に進めてください。
新崎さん:えー、安保条約第6条は、ここで、施設局側も、あ、まだ終わってないよ。(かえろうとする坂本さんに声をかける)引用しているように、日本の安全に寄与し、ならびに極東における国際的平和及び安定の維持に寄与するため、ということで駐留をみとめられいるわけです。それに対して、ここであたらしくつけ加わった日米安全保障体制なるものは、我国を含むアジア太平洋地域というあらたな地域概念を持ち出してきています。そしてこの日米安保条約にいう極東というのはどういう地域かということについては、すでに1960年の安保改訂に際しての政府の統一見解というのがあって、フィリピン以北、そして台湾、中華民国が有効に支配している中国の沿岸、そして、朝鮮半島の韓国が有効に支配している地域、沿海州沿岸および日本。大体こんな風に極東というのは規定されていたわけです。そしてその極東という全体のなかで、米軍の駐留というのは許可されていたはずですが、その極東概念とアジア太平洋地域とはどう違うのか、その範囲は、どこが同じで、言葉が違う以上、わざわざ書いている以上どっか違うはずですから、どのように違うのかを明らかにしていただきたい。
坂本部長:3の1と(2)の事項に着きましては、平成9年3月10日付で本審理になじまないと思われる求釈明事項であるとして回答しております。
(場内騒然)
新崎さん:あの、会長、わたしたちは3月10日付の文章というものを全く知っていませんけれども。これはなんでしょうか。さきほどから、3月10日付、3月10日付といっておりますが。
兼城会長:3月10日付の収用委員会宛の防衛施設局長・嶋口武彦からの「求釈明申立書の送付について」ということですが、えー、その、なかで、これ求釈明書は添付されておりませんが、「求釈明に馴染まないと思われる事項が含まれておりますので、その旨回答いたします。」ということで、求釈明申立書、1、2、3、えー、求釈明申立書、算用数字の1、2、3、4、5、6、7、8、9という、9項目にわたって馴染まない部分を、その番号だけを列挙したのを送付したのがあります。これのことと考えます。
新崎さん:あのー、つまり馴染まないか馴染むかの判断は収用委員会に今後きちんとしていただかなくてはならないと思います。それはおとといの文書なのですから、改めて……。
兼城会長:それは、収用委員会で、釈明の必要があるかどうか、まあ、それは検討して対処したいと思います。今日はそういうことですので、どんどん進めていただきたいと思います。
新崎さん:はい。お願いします。それで、この安保体制、日米安全保障体制との関連で、後一つだけうかがっておきたいと思います。
それは1991年10月17日付けの公開審理の議事録によると、つまり前回の公開審理の議事録によると、つまり前回の強制使用の申請のときでありますけれども、その申請のなかで、今いったような理由を述べてあった後、「駐留軍の駐留は、我国の安全、生存と安全の維持という国益を確保するという上で重要であり、高度の公共性を有するものである。」とあります。なぜこれが高度の公共性を有するかということについては、ずいぶんこの公開審理でも議論になったところではありますけれども、今回の申請理由からは、なぜか、このわが国の生存と安全の維持という国益を確保するという上で重要だとか、高度の公共性を有するという文言は、出てきません。落ちています。つまり、この間の日米の軍事力の強化等などがあって、すでにこの駐留軍の駐留は、我国の生存と安全の維持という国益を確保する上に重要ではなくなったのか。あるいは、高度の公共性を有するという理屈はもう通らないということを、起業者側自らが認めているのか。この点についても、この日米安全保障条約、安保体制との問題でお答えいただきたい。
兼城会長:どうぞ。
新崎さん:これで終わりますので。
兼城会長:どうぞ、起業者の那覇防衛施設局さん、お願いいたします。
坂本部長:ただいまの質問には、ここにつくっておりませんので、出ておりませんので、お答え致しかねます。
新崎さん:じゃあ、次回お願いいたします。