新垣勉弁護士(土地所有者代理人)
地主代理人の弁護士の新垣ですけれども。収用委員の皆さんは、大変な政治的な圧力の中で、賢明に実質審理を遂げようとしていることに敬意を表します。ただし、今日のこれまでの審理の状況を見て、一言苦言を申し上げた上で、釈明を続けさせていただきたいと思います。
何のためにこれだけの時間をかけて釈明を求めるのか、もう一度確認をしておくことが重要だと思います。形式的に、地主から求釈明の申し立てが出たから、起業者側に釈明を求めるというものではないはずであります。私たちが求釈明を申し立て、収用委員会が求釈明を是として、起業者側に釈明を求めるのは、ただ一つの目的のためです。
それは、この審理をいかに実質的な充実あるものにするかという観点から、収用委員会は時間を労して起業者側に釈明を求めているはずであります。このことを、もう一度収用委員の皆さんはかみしめていただかなければならない。私は、一言苦言を申し上げたいと思います。
そうでありますならば、起業者側が必要がないといったからといって、それで終わることはできないはずであります。私たちは、今後の審理を充実し、実質的な審理を図るために、重要な点を質問をしているわけであります。ですから、ぜひ当山会長代理をはじめとして、収用委員の皆さん方に、真摯に起業者側に釈明をするよう、注意をしていただきたいと思います。
先ほどからの当山会長代理のご発言をお聞きしますと、防衛施設局に対する恐らく不信感があるのでしょう。だから、聞いても答えないだろうというふうに、或いは考えているかもしれません。
しかし、仮にそうだとしても、私たちはこの審理の手続きの中で、きちっと起業者側に釈明を求め、その理由を問いただすことが重要だと思います。また、収用委員会の責務でもあると私は思います。そういう観点から、先ほどの求釈明に引き続いて、起業者側に釈明を求めたいと思います。
起業者側は申請理由の中で、現在強制収用の対象になっている土地は、日米両政府で土地を提供する協定を締結したがゆえに、強制収用をしなければならないのだということを申請理由の3ページ目に記しております。
そこで、私たちは考えます。一体、日米両政府で土地を提供するとした協定というのは何なのか。どのような協定で、どのような施設がアメリカ合衆国政府に提供されたというのか。復帰後25年たちますけれども、再三の私どもの要求に対して、国は一貫してこのことを明らかにしてきませんでした。その典型が、5・15メモと称する文書だと思います。
そこで、申請理由書の3ページ目に記載をしてあります、日米両政府で提供を合意した協定があると書いてありますので、その協定の中に5・15メモと称する文書が含まれているのかいないのか、はっきり答えさせていただきたいと思います。なぜ、この答えが重要であるのか、皆さんはもうご承知のことだと思います。安保条約があるという一言だけで、土地が強制収用できないことはもう公知の事実であります。安保条約、地位協定を踏まえて、具体的に日米合同委員会でどの土地をアメリカ合衆国に提供するのかということが、協定という形で締結されることが必要なのであります。ですから、この協定というのは何なのか。この協定の中に5・15メモが含まれるのか含まれないのか、定かでありません。
もし、協定の一部だというのであれば、5・15メモの中には具体的にどの土地を必要とするのか、その主要条件はどうなのかというのが明記されているはずであります。ですから、私どもはこの5・15メモが復帰後25年間もずっと秘匿をされ続けたまま、土地が強制的に取り上げられて、このことに対して異議を申し立てているのであります。
ですから、ぜひ収用委員会においても、事の重要性を十分に認識をされ、一体、日米合同委員会で締結された協定の中に、5・15メモが入るのか入らないのか、はっきりと答えさせて下さい。
今日は、局長が出席をしておりませんけれども、阪本さんは局を代表する者として本日は出席しているはずであります。そうであれば、答えられるはずであります。このことが答えられないはずはどうしてもない。私はそう思いますので、よろしくお願いします。
○当山会長代理
はい、防衛施設局、回答をお願いします。
○起業者代理人(那覇防衛施設局施設部長 阪本憲一)
那覇防衛施設局の施設部長、阪本でございます。
繰り返しになりまして、大変恐れ入りますが、三の3の事項につきましては、平成9年3月10日付けで本審理になじまないものと思われる求釈明事項であることを回答したところでございます。
○当山会長代理
質問者にとっては、おそらく引っ込みにくいかもしれませんけど、これ以上同じようなことが繰り返されると思いますので、次の質問者に進んでいただけますか。