名護市における米軍のヘリボート基地建設の
是非を問う市民投票に関する条例
を公布!


 名護市における米軍のヘリポート基地建設の是非を問う市民投票に関する条例が、10月6日に公布されました。同条例は、9月16日に宮城康博条例制定請求代表者より17,539名の署名を添えて請求された条例案に対し、市長の意見書を付して9月市議会定例会に提案し、議会における慎重なる審議の結果、10月2日に修正可決されたものです。

 宮城氏から提出された請求の要旨では、「ヘリポート基地建設問題は、名護市民一人ひとりのみならず、名護市の未来、次代にも影響を与える重要な問題である。そのような重要な問題について市民一人ひとりが熟慮し、意思を明確に表明していくことは、市政に対する市民の参加意識・責任感を養うことにもなり名護市行政の民主的かつ健全な運営のためにも大きな意義がある。」として条例の制定を求めていました。

 市が議会に提出した意見書では、条例施行日から60日以内に市民投票を実施するの困難であるとして実施時期を「市長が議会の日を得て実施するものとする」とし、また投票の方式についても、市民及び各種団体には様々な意見があることから、賛成、反対、そしてその中間領域の方々の意見を把握するために「賛成、環境対策や経済効果が期待できるので賛成、反対、環境対策や経済効果が期待できないので反対」としていました。さらに、「法制面からの字句等の修正が必要である」と思料するとしていました。

 市議会では、会期を延長して条例案につい慎重なる審議を行った結果、市民投票の実施時期(第3条)については「条例施行の日から60日以内に実施する」を「平成10年1月18日までに実施するものとする」に、投票の方式(第11条)については賛成、反対の二者択から四者択一に修正するとともに法制面から字句等の修正を行い可決しました。公布された条例全文を掲載します。

市民投票実施本部を開設!

 市では、10月15日に比嘉鉄也市長を本部長とする市民投票実施本部(13名)と東江重正市選挙管理委員会事務局長をチームリーダーとする市民投票実施プロジェクト・チーム(10名)を設置しました。今後、市民投票の実施に向け、取り組みを強化してまいります。


名護市における米軍のヘリポート基地
建設の是非を問う市民投票に関する
条例案に対する意見書(名護市)

 今回の名護市における米軍へリポート建設問題は、本市の将来にとって重大な問題であり、市民一人ひとりが自主的かつ主体的に意思を表明することが重要である。

 その意思を集約する方法の一つとして、市民投票を行うことは地方自治の本旨にかなうものであると認識している。

 しかしながら、市民投票の実施にあたっては、建設の是非を判断するための基礎資料となる施設の規模、機能、運用計画及び市民生活や自然環境、生産環境に与える影響並びにその対策、あるいは地域経済に及ぼす影響等について、市民に対し事前に十分な情報が与えられていることが必要である。また、本問題は、普天間飛行場返還に伴う代替施設としての性格を有するものであることから、県の本問題に対する意向を確認する必要がある。したがって、投票の実施時期については、慎重に検討すべきであると思料する。

 同時に、現在、市民及び各種団体においては様々な意見があり、そのなかで市長及び議会が投票の結果を尊重し最終的に判断するためには、できるだけ多くの意見を把握することが肝要であり、そのためには投票方式の選択肢を広げる必要があると考えている。

 したがって、法制面からの字句の修正とあわせ、別紙のとおり修正されることが必要であると思料している。(別紙は省略)


名護市における米軍のヘリボート基地建設の是非を問う市民投票に関する条例

(目的)

 第一条 この条例は、名護市字辺野古地先の会有水面に建設計画されている米軍の普天間基地の返還に伴う代替ヘリポート基地(以下「へリポート基地」という。)の建設について、市民の賛否の意思を明らかにし、もって本市行政の民主的かつ健全な運営を図ることを目的とする

(市民投票)

 第二条 前条の目的を達成するため、へリポート基地の建設に対する賛否について、市民による投票(以下「市民投票」という。)を行う。

 2 市民投票は、市民の自由な意思が反映されるものでなければならない。

(市民投票の実施とその措置)

 第三条 市民投票は、平成十年一月十八日までに実施するものとする。

 2 市長は、へリポート基地の建設予定地内外の市有地の売却、使用、賃貸その他へリポート基地の建設に関係する事務の執行に当たり、地方自治の本旨に基づき市民投票における有効投票の賛否いずれか過半数の意思を尊重するものとする

(市民投票事務の執行)

 第四条 市民投票に関する事務は、市長が執行するものとする。

(市民投票の期日)

 第五条 市民投票の期日(以下「投票日」という。)は、第三条第一項の期間内で市長が定める日曜日とし、市長は投票日の十日前までにこれを告示しなければならない。

(投票資格者)

 第六条 市民投票における投票の資格を有する者(以下「投票資格者」という。)は、投票日において、本市に住所を有する者であって、前条に規定する告示の日(以下「告示日」という。)において本市の選挙人名簿(公職選挙法(昭和二十五年法律第一○○号)第十九条に規定する名簿をいう。以下同じ。)に登録されている者及び告示日の前日において、本市の選挙入名簿に登録される資格を有する者とする

(投票資格者名簿)

 第七条 市長は、投票資格者について、名護市における米軍のへリポート基地建設の是非を問う市民投票資格者名簿(以下「資格者名簿」という。)を作成するものとする。

(秘密投票)

 第八条 市民投票は、秘密投票とする。

 (一人一票)

 第九条 市民投票は、一人一票とする。

(投票所においての投票)

 第十条 投票資格者は、投票日に自ら市民投票を行う場所(以下「投票所」という。)に行き、資格者名簿又はその抄本の対照を経て、投票をしなければならない。

 2 前項の規定にかかわらず、規則で定める理由により、投票所に自ら行くことができない投票資格者は、規則で定めるところにより投票をすることができる。

(投票の方式)

 第十一条 投票資格者は、へリポート基地の建設について、投票用紙の次の各号のいずれかの欄に自ら○の記号を記載して、投票箱に入れなければならない。

(1)賛成

(2)環境対策や経済効果が期待できるので賛成

(3)反対

(4)環境対策や経済効果が期待できないので反対

 2 前項の規定にかかわらず、身体の故障又は文盲により、自ら投票用紙に○の記号を記載することができない投票資格者は、規則で定めるところにより、投票をすることができる。

(投票の効力の決定)

 第十二条 投票の効力の決定に当たっては、次条の規定に反しない限りにおいて、その投票した者の意思が明白であれば、その投票を有効とするものとする。

(無効投票)

 第十三条 市民投票において、次の各号のいずれかに該当する投票は、無効とする。

(1)正規の投票用紙を用いないもの

(2)○の記号以外の事項を記載したもの

(3)○の記号のほか、他事を記載したもの

(4)○の記号を投票用紙の2筒所以上の記載欄に記載したもの

(5)○の記号を投票用紙の記載欄のいずれに記載したかを確認し難いもの

(結果の告示等)

 第十四条 市長は、市民投票の結果が明確になったときは、速やかにこれを告示するとともに、市議会議長に通知しなければならない。

(投票運動)

 第十五条 市民投票に関する運動は、自由とする。ただし、買収、脅追等市民の自由な意思が拘束され、不当に干渉されるものであってはならない。

(投票及び開票)

 第十六条 投票場所、投票時間、投票立会人、開票場所、開票時間、開票立会人その他市民投票の投票及び開票に関しては、公職選挙法、公職選挙法施行令(昭和二十五年政令第八九号)及び公職選挙法施行規則(昭和二十五年総埋府令第一三号)の例によるものとする。

(委任)

 第十七条 この条例の施行に関して必要な事頂は、規則で定める。附則この条例は、公布の日から施行する。


 出典:『市民のひろば』名護市 11月号


 関連記事:

  • 名護市民投票条例案に対する修正案(沖縄タイムス 10月3日)
  • 名護市議会、投票条例を修正可決(沖縄タイムス 10月3日)
  • 住民投票条例案を修正可決/海上基地で名護市議会(琉球新報 10月3日)

  • 海上ヘリポート建設計画


    声明・決議等][沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック