知事声明に対する「市民・大学人の会」の見解 「市民・大学人の会」の見解

知事声明に対する「市民・大学人の会」の見解


 沖縄県知事は、内政的・外交的状況のなかで公告・縦覧の代行を受諾した。しかしながら、沖縄の軍事基地の整理縮小に向けての具体的な施策が不明確な段階での代行手続きはもっと慎重に処理すべき問題ではなかったか。同時に、大田知事の裁判闘争を支えてきた県内外の人びとの声に耳を傾け、広く県民各層の声をくみ上げる努力をすべき問題ではなかったか、と私たちは認識している。


 沖縄の軍事基地問題に対する日本政府の姿勢が、どのように変化したのかを見極めることが肝要であるが、現状では政治的思惑の域を出ていないように思われる。


 そもそも、「10・21県沖縄決起大会」に込められた沖縄県民の意思とは何であったか。さらに、「県民投票」の結果に表れた県民の意思とは何であったか。私たちはこの根源的な問いかけの前に厳粛な思いを込めて立たねばならない.


 そこに表れた意思は、まさに50年余の軍事基地重圧に対する県民の根底的な異議申し立てであり、人権蹂躙の現状に対する抗議の意思表明であった。


 さらに、都道府県レベルでは、日本初の「県民投票」をとおして、沖縄県民は憲法の精神に則った崇高な民主主義の実践を体験し、主権者としてのあるべき存在を内外に厳かに示した。


 この間、私たち沖縄県民が進めてきたものは、人権保障、地方自治の確立、司法のあり方の問題などを問い、沖縄の平和・自立・自治をめざし、ひいては日本の民主主義の発展を促進する壮大な精神史的運動であった。


 知事が公告縦覧の代行を応諾したとはいえ、これによって沖縄米軍基地の整理縮小問題が終わったわけではなく、今後の沖縄の平和的発展をめざすためには、引き続き真剣に取り組んでいかなければならない課題であることは論をまたない。


 私たち「市民・大学人の会」は、県内外および諸外国からのご支援に対し、心から感謝するとともに、今後とも沖縄の軍事基地の縮小と、平和な沖縄社会の建設に向けて邁進することを警うものである。

                1996年9月13日

沖縄県知事の「代理署名拒否」裁判を支援する市民・大学人の会

代表 米盛裕二(琉球大学教授)


 出典:市民・大学人の会 > 沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック 上原成信さん > 丸山

声明・決議等][沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック