軍用地特措怯「改正に」反対する国会議員の
『緊急の集い』アピール
特措法「改正」案が本日から衆議院で審議される事態となりました。
政府は、来る四月二十五日に予定されている日米首脳会談の手土産とするため、わずか二週間程度の審議で特措法「改正」を完了しようとしています。
この憲法違反の疑いが濃厚な法律案には枚挙のいとまがないほどの法的手続きの欠陥が含まれており、平和主義、国民主権、基本的人権の保障という憲法の基本原理すベてにも抵触するおそれがあると考えます。これでは沖縄県民の願いは踏みにじられ、法治国家の崇高な理念や現行土地収用法制は骨抜きにされ、日米関係もうわべだけの友好関係になってしまいます。
それにも拘らず国会においては、民主的な論議を尽そうという努力はなされず、政党の組み合わせをめぐる駆け引きが優先したり、法案成立の帰趨が一夜にして密室で決められたりしています。
この問題は、今なお放置された沖縄の戦後処理と、政府が描く米戦略下のアジア・太平洋地域における軍事力による国際秩序の将来像を浮き彫りにしました。このまま特措法「改正」を強行するならば、橋本内閣はわが国の政治・法制史上、ぬぐい去ることのできない一大汚点を残すことになるでしょう。
この問題の根底には戦後五十二年、依然として強大な在沖米軍のプレゼンスがあります。政府には主権国家としてわが国民の生命・財産・生活を擁護すべく対等、平等な対米外交が求められるべきですが、残念ながら海兵隊削減要求一つをとっても、毅然とした外交姿勢は窺えません。
ここで今一度、思い起こしてみましょう。
わが国は占領下の一九五二年、沖縄県を米軍政権下にゆだねることと引き換えに、独立と国際社会への復帰を果たしたことを。
わが国政府は一九七二年、本土復帰を契機に平和憲法の恩恵享受を期待した沖縄県民の願いを無視し、広大な基地と基地被害を二十五年間も沖縄県民に負わせ続けていることを。
これらの歴史的事実は、本日の特措法「改正」の本格的審議開始と二重写しになり、政府の沖縄に対する一貫した差別的な基本姿勢を表現するものです。
つまり、沖縄への地域差別、法的差別は過去のものではなく、現在も続いているのです。
一連の沖縄問題、米軍基地問題において、駐留軍用地特別措置法という法律はきわめて重要な役目を果たしてきました。それにとどまらず今回は、最小限の「部分手直し」に名を借り、事実上は強制使用を永続化するものであり、沖縄のみを狙いうちにした実質的な特別立法にほかなりません。
私たちはこの政府の所業に対し厳重に抗議し、沖縄県民と共に怒り、連帯して闘います。
法治国家にとってあるまじきそのような法案を私たち国会議員が成立させるなら、国民の信託を受けた者としての重大な責務を放棄することになると考えます。
私たち国会議員有志は、政党政派を超えてこの問題に取り組み、今後、政府のあらゆる強行策に対峙することを誓い、あらゆる手段を尽してこの法「改正」を阻止するための行動を開始することを確認します。
右、決議します。
一九九七年四月七日