決議文
今回の日米安保共同宣言は、米国が極東における米軍10万人体制を引き続き維持し、その行動範囲を極東からアジア・太平洋へ拡大した。一方、日本政府はこれを追認するばかりか、日米防衛協力指針(ガイドライン)の見直しを約束し、共同で極東有事に対処しようとしている。このことは21世紀にもわたり、沖縄の基地を維持・固定化することにつながる。
沖縄の米軍基地は戦争のための出撃・訓練施設であり、構造的に基地公害・犯罪を生み出している。したがってこれを完全撤去し、土地を地主に還すべきものである。
貴防衛施設庁は昨年、大田・沖縄県知事を訴えた「職務執行命令訴訟」の原告に名を連ね、裁判所の訴訟指揮に助けられながら3月25日、形式的な勝利判決を引き出すに至った。しかしながら審理過程で明かにされた土地・物件調書作成のずさんさは、貴防衛施設庁の土地使用に対する姿勢を厳しく問うものではなかっただろうか?
さらに契約拒否地主の意思をあえて無視し、強制使用裁決申請を行ったことの不当性と合わせ、10年使用という年限にはいったいどのような根拠があるのであろうか?
また楚辺通信所の一部土地につき、所有者・知花昌一氏の再契約拒否にもかかわらず、今日までの45日間にも及ぶ不法占拠に対して強く抗議するものである。継続使用の根拠とされた4項目については、当初から違法であると指摘されていた。しかし去る5月11日、沖縄県収用委員会の緊急使用申し立て不許可により、いまや完全にその正当性を失ったものと考える。よって貴防衛施設庁はその桔果を真摯に受け止め、ただちに上記土地を知花氏に明け渡すよう重ねて要求するものである。
さらに新聞報道によれば、知花昌一氏所有の土地に加え、来年5月をもって使用期限切れを迎える約3、000名の地主の土地使用につき、現行法での対応を危倶する政府は駐留軍用地特別措置法の「改正」を、今週初めにも検討すると伝えられている。米軍用地提供のためには、自国の法律を変造して憚らないものである。この「改正」自体、独立機関である県収用委員会に対する予断に満ちているばかりか、これをなきものとするに等しく、暴挙と言わざるを得ない。
私たちはこのような国の姿勢に厳重に抗議するものである。
1996年5月15日
防衛施設庁長官
請冨 増夫 殿
5・15集会参加者一同
連絡先:東京都千代田区三崎町2-2-13-502
沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック