声明
一 本日、沖縄県収用委員会は、反戦地主・一坪反戦地主らが所有している土地について、那覇防衛施設局長がなした強制使用の裁決申請及び明渡裁決申請についての裁決を行った。
裁決の内容は、13施設242筆の対象土地のうち229筆の土地については強制使用権を設定することを認容するものであり、他の13筆の土地については強制使用権を設定することを認めないとする裁決(却下の裁決)である。
二 私たちは、1996年10月、強制使用裁決手続きが開始されて以来、米軍用地特措法、土地収用法に基づき、収用委員会に意見書を提出して強制使用裁決申請の不法不当性を強く指摘し、かつ1997年2月21日から開始された延べ11回に亙る公開審理においては、各施設ごと、各土地ごとに強制使用の違法性を具体的に主張し、可能なかぎり立証を尽くしてきた。
今回の229筆の土地についてなされた認容裁決は、地権者の意思を踏みにじるものであり、公開審理の審理経過から見ても到底容認できるものではない。ここに、強く遺憾の意を表明するものである。
三 今回、却下裁決の出された13筆の土地は、地籍不明地域内に存する土地である。
地籍不明地についての強制使用は、法的に問題があり、政府自身、米軍用地特措法の適用は不可能と言明し、これに代わる特別立法を画策してきた経緯を有するものである。
今回の裁決は、地籍不明地について、裁決申請対象地の特定がなされておらず、結局、裁決申請手続きに治癒することのできない重大な違法があるとして、申請を却下したものである。
今回の裁決は、過去の収用委員会の誤った判断を糺し、法的常識に合致した本来あるべき正しい判断を下したものであり、その点においては沖縄県収用委員会がその中立性を維持したものとして評価するものである。
四 却下裁決につき、建設大臣への不服申立てを行うことが予測されているが、強制収用・使用裁決の判断は、準司法機関である収用委員会が最終判断を行うものとされている。政府は、収用手続きの基本的原理・精神を尊重して、収用委員会のなしたこの厳正なる決定に従うべきである。
われわれは、政府・防衛施設局がこの裁決を真摯に受け止め、裁決の取り消しを求めるための一切の画策をやめ、却下裁決の出された全ての土地を地権者らに直ちに明渡すよう強く求める。
1998年5月19日
沖縄軍用地違憲訴訟支援県民共闘会議
権利と財産を守る軍用地主会
一坪反戦地主会
反戦地主弁護団
一坪反戦地主弁護団
6・4米軍用地強制使用裁決報告集会(東京 1998年6月4日)