沖縄を重んじる有志市民の会 声明

 問答無用の強圧的な人権侵害に直結しかねず、資本主義の根幹たる私有財産権をすら有名無実化し、何よりもウチナーの皆さんへの公然たる差別立法がとうとう起立裁決によって圧倒的多数で衆院を通過してしまいました。国会はいまやブルドーザーで整地されたかのごとき趣を示しています。

 この状況をみて、いくら心やさしいウチナーの皆さんですら、またもやヤマトの犠牲にされたという思いをつよめられたことでしょう。

 米軍基地の固定化はすなわちウチナーへの差別固定化に他ならぬからです。恥多きヤマトの一員としてわれわれの心は痛みます。

 アメリカにすら、大統領あてに反対声明を出した心ある日米関係の専門家が十数名もいるほどで、彼らの間からは日本政府がアメリカ政府の後光を背負って、日本国民、なかでも沖縄県民の多数に相対峙していることに、これで果たして日本は独立した近代民主主義国家といえるのか、という深刻な疑問が出てきています。日本のイメージダウン、これにすぐれるものはありません。

 このように考えてくると今回の法案改正が公聴会などの通常の手続きもなしに、あまりにもそそくさと衆院を通ったことに、なにか表に出せぬ隠れた理由が彼我にあるのでは、という疑念が萌したとしても、弁解の余地はないのではありますまいか。

 一政権への不信や疑念を通りこし、国会とか政治プロセス自体への抜きがたい不信が、とくにウチナーの皆さんに定着していけば、民主主義政治が自らくびれていくことに通じかねません。このあたりの危うげな機微を政府自身や立法府の皆さんが勘案され、その決定的なマイナスの大きさに止目され、参院での慎重審議を願って、われわれのアピールとするものです。

1997年4月11日  

  沖縄を重んじる有志市民の会

井出孫六 (作家) 岩崎駿介 (NGO代表)
宇井純 (大学教授) 岡部伊都子(作家)
川田龍平 (東京HIV訴訟原告) 喜納昌吉 (歌手)
旭堂小南陵(講談師) 國弘正雄 (大学教授)
佐高信 (評論家) 田中康夫 (作家)
中村敦夫 (俳優) 福島瑞穂 (弁護士)
本多勝一 (記者) 山崎朋子 (作家)
吉武輝子 (評論家) 広瀬隆 (作家)
天野祐吉 (コラムニスト)


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