米軍用地特別措置法の改正に反対する決議
橋本政権は5月14日に使用期限切れとなる沖縄の米軍用地を、期限切れ後も強制使用できるようにするため、米軍用地特別措置法の改正に乗り出しました。
現在、県土地収用委員会によって公開審理が行われていますが、国はその裁決を待たずに一方的に国の強権で約3、000人の土地を強制使用しようともくろんでいます。このことは、例えば公式スポーツの試合途中、負けそうになった側が「勝手にルールを変える」、大相撲で寄り切られそうになった者が「勝手に土俵を広げる」のと同じで、正義に反し人間性を欠く卑劣な行為です。
3月28日マスコミで知らされた「改正案」によれば、その骨子は
1、収用委員会が審理中は暫定使用できる(15条)
2、使用裁決が出た場合、不服申し立てができるが、その場合でも使用を継続できる(15条)
3、却下されても不服申し立て継続中は使用を継続できる(15条の1)
4、使用期限切れまでに裁決申請していれば、さかのぼって暫定使用を適用できる(付則)
となっております。
つまり、地主が嫌だと言っても、首長・県知事が代理署名を拒否しても、さらに例え土地収用委員会が裁決を下しても下さなくても、それらの一切の手続きと関わりなく日米安保条約と地位協定によって土地を強制的に使用するという、理不尽なものです。
そもそも、「米軍用地特別措置法」そのものが、沖縄県だけに適用される憲法違反の差別立法であります。本土各地で米軍や自衛隊が使用している土地は、そのほとんどが国有地もしくは公用地であり、同意の上で提供しているという歴史の違いがあります。
第二次世界大戦で敗北した日本国は、1951年サンフランシスコ講和条約締結の際、沖縄を切り離して米国の軍事支配に委ね、独立国となり反映を享受し、その間在日米軍基地を本土から沖縄に集中させました。1972年5月15日、沖縄施政権返還の際、日本国は再び密約を結び、沖縄基地を引き続き米国に自由に使用させる処分を行いました。戦後50年余に及び沖縄を基地・軍隊の被害地に恣意的に放置してきました。今回、特別措置法の改正を行うことは、21世紀まで沖縄に基地を固定化し、苦しみを押しつける許しがたい3度目の沖縄処分と断定できます。
沖縄において、米軍基地は諸悪の根源です。
由美子ちゃん、隆子ちゃん、国場くん、そして宮森小学校の17人の子どもたちは、基地あるが故に命を奪われました。その他数えきれない多くの人々が命を財産を奪われ、或いは危険と隣り合わせの生活を強いられ、人権の侵害を受けています。それは決して金銭的保障で解決することではなく、軍事基地の撤去と軍隊の撤去以外に根本的解決策はありません。
もしも、今後も安保条約・地位協定を「国益」のために継続する必要があるならば、それは日本政府の責任において、全国民の理解と同意の上に、正当な法手続きと国会における十分な論議を踏まえて実施すべきであります。今回の如く安易で差別的、人道にもとる政府の行為は絶対に容認することはできません。
以上の観点に立ち、私たち女性は米軍用地特別措置法の改正に強く反対することをここに決議します。
1997年4月1日
特別措置法改正を許さない女たちの会