何度こうした事件が繰り返されれば済むのでしょうか。何人の犠牲者が出れば、ピリオドが打たれるのでしょうか。どれほど叫べば、女性への暴力はなくなるというのでしょうか。
言葉を失うほどに、私たち女性は怒りにふるえています。
北谷町美浜で起きた今回の女性への性暴力犯罪は、穏やかに暮らす沖縄の女性の権利をまたもや根こそぎ揺るがせ、さらに、心身ともに平和な日々を願う沖縄の女性たちにツバを吐く卑劣な挑戦であると受け止めました。
強姦救援センター・沖縄(REICO)は、1995年複数米兵による少女への強姦事件をきっかけに設立された民間の相談機関です。被害にあった女性の立場にたって話を聞き、痛みを共有し癒しながら救助する活動を続けています。
このような構造的暴力や犯罪をなくするために、私たちは、もう黙ることをしない。
ただ抗議するだけの、虚しい方法も取らないでおこうと、強姦救援センター・沖縄を開設し苦境にある女性の相談を通して活動してきました。
昨年1月海兵隊上等兵の強姦未遂、7月普天間基地所属海兵隊員による就寝中の女子中学生への準強制わいせつ、8月基地内宿舎での普天間基地所属一等兵による強姦事件と、劣悪な性暴力時間が多発しています。誰が考えても、凄まじい戦場ではないでしょうか。
今年に入ってからでさえ、1月、人目も多い夕方の住宅街で米海兵隊二等兵が路上を歩いていた女子高校生のスカートをめくり撮影するなど、とても許すことのできない事件が起こり続けており、今日明日の目先の安寧さえ全く見えない沖縄の状況は、あまりのことではありませんか。
女性であれ男性であれ、誰であれ、何時にそこを歩いたから被害にあって当たり前などと言われていいはずはありません。ここはまさに、私たちが生きる場所であり、ここを安全に歩き生活することは県民の人間としての権利なのです。
沖縄県民の人間としての権利が、たびたび奪われてきたことに、女性としての権利が何度も侵されてきたことに、これ以上の忍耐を強いるのであるとするならば、それこそ国際法廷に全県民が原告団となって訴えるべき人権侵害の行為に当たる問題ではないでしょうか。
私たちのもとへは、年間100件を越す相談・カウンセリングが持ち込まれます。殺人や強盗、放火が事件として即対応されるのに比べ、同じ凶悪犯罪としての強姦に限り親告罪として被害者が届け出しなければ事件ともならず、逆に被害者が心理的に追い詰められて沈黙することも多く、相談者の苦痛は深くかつ長期にわたる場合が多いのです。
女性の人権が守られ、誰もが安心して平和に暮らせる沖縄に私たちは暮らしたい。
アメリカ政府、日本政府及び沖縄県に対し、その願いに逆行する現状に怒りをもって抗議します。特に今回被害にあった女性の人権を取り戻すべく、為政者としての責任を果たしてほしいとここに重ねて抗議するものであります。
2001年6月30日 強姦救援センター・沖縄