Table of Contents
本書の著者など
著者 7amleh – アラブソーシャルメディア振興センター(アフマド・カーディ 校閲者:ジャラル・アブカター)
グラフィックデザイン:カフゼー – デジタルマーケティング&プロダクション
本出版物の編集内容は、クリエイティブ・コモンズ 非営利 4.0 国際ライセンスの下で提供されている。
ライセンスのコピーを確認するには、以下のリンクを参照のこと:https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/
原著連絡先 7amleh
メール:info@7amleh.org
ウェブサイト:www.7amleh.org
ソーシャルメディアでフォロー:7amleh
日本語版連絡先 JCA-NET
メール:toshi@jca.apc.org
ウエッブサイト: jca.apc.org
要約
報告書『ハッシュタグ・パレスチナ2025』は、7amlehが毎年発行する報告書である。国家、テクノロジー企業、新興テクノロジーの複合的な役割によって、パレスチナ人のデジタルの権利がどのように制限されているかを検証する。継続する占領、戦争、重大な人権侵害という状況下で、国家機関とテクノロジー企業は、検閲、抑圧、監視、情報管理を可能にするシステムにおいて重要な役割を果たしてきた。
報告書『ハッシュタグ・パレスチナ2025』の調査結果は、この抑圧がイスラエルの法律、国境を越えた政治的圧力、プラットフォームのルールと差別的ポリシー、自動化された執行システムの組み合わせによって構築されていることを示している。イスラエル当局は、オンライン上の発言、象徴的な連帯、政治的組織化を犯罪化する法律を拡大してきた。同時に、ソーシャルメディア活動の監視とそれに伴う抑圧的措置が増加している。その結果、学生、ジャーナリスト、人権活動家を含む多くのパレスチナ人が、結果を恐れて自己検閲を行ったり、デジタル空間から完全に離脱したりしている。
ソーシャルメディア・プラットフォームはこの現実において中心的な役割を果たした。Facebook、Instagram、TikTok、YouTube、LinkedIn、Xといったプラットフォームは、過去1年間にパレスチナおよびパレスチナ支持コンテンツの削除、制限、拡散範囲の縮小を行った。多くの場合、ユーザーは明確な説明を受けず、決定に対する効果的な異議申し立て手段も持てなかった。自動化されたモデレーションシステム、組織的な大量通報、政府による削除要請により、人権侵害を記録したコンテンツ、政治的意見を表明したコンテンツ、人道援助のための資金調達を目的としたコンテンツが削除された。一方で、パレスチナ人に対するヘイトスピーチや扇動は、しばしばオンライン上に放置され、アルゴリズムや有料コンテンツを通じて増幅されたりした。7amlehは昨年、ソーシャルメディアプラットフォーム全体で暴力的なコンテンツや検閲事例を含む計3,452件のデジタルの権利侵害を記録した。
この報告書はまた、Google、Microsoft、Amazon、Palantirといった主要テクノロジー企業や、NSO Groupのような監視企業と、イスラエル軍・情報機関との密接な関係にも言及している。クラウドサービス、AIシステム、データ分析ツール、スパイウェアを通じて、これらの企業はジェノサイド下におけるパレスチナ人への大規模監視と標的化を支援している。ガザはAIベースの軍事テクノロジーの試験場であり続け、自律的標的システムが世界的に前例のない形で民間人に甚大な危害をもたらしている。
パレスチナ人の権利侵害は、繰り返されるインターネット遮断、通信インフラの破壊、デジタル経済プラットフォームへのアクセス遮断、人道援助資金調達の制限によってさらに悪化している。
本報告の調査方法
ハッシュタグ・パレスチナは、記録された事例、監視データ、文献調査を組み合わせたものである。目的は、個々の事件に焦点を当てるのではなく、パレスチナ人とパレスチナ支持の表現に影響を与える検閲、監視、デジタル抑圧のパターンを特定することにある。
主なデータ源は、7amlehのデジタルの権利監視・事例支援プラットフォーム「7or – パレスチナデジタルの権利侵害監視所」である。このプラットフォームを通じて、個人、市民社会関係者、パートナーがデジタルの権利侵害の報告を提出する。これにはコンテンツ削除、アカウント停止、シャドーバンニング(※)、リーチ減少、オンラインハラスメントなどが含まれる。報告事例は審査・記録され、プラットフォームが実際にルールをどう適用しているかを把握するため追跡調査が行われた。
(※)訳注 コンテンツ表示のランクを下げるなどの行為。たとえば、WIRIDの記事参照「ガザの投稿はSNSで“シャドーバンニング”されている──パレスチナ人や支援者が訴え」
本報告書は、アラビア語とヘブライ語で有害・暴力的なコンテンツを追跡する自動監視ツール「7amleh Violence Indicator」のデータも活用している。このツールは7amlehチームが注釈を付けたデータで訓練された機械学習モデルに依拠しており、言語・文脈・政治的意味の理解を向上させている。
加えて、分析には活動家、ジャーナリスト、学者、人権活動家など影響を受けたユーザーと7amlehとの継続的関与が反映されている。これには事例の追跡、異議申し立て手続き、プラットフォームとの対話、特に緊張が高まる時期におけるモデレーション動向の継続的監視が含まれる。
最後に、これらの知見をより広い文脈に位置付けるため、デスクリサーチを実施した。これには、プラットフォームガバナンス、監視テクノロジー、コンテンツモデレーション、政治的抑圧に関する調査報道、学術研究、市民社会報告書などのレビューが含まれる。
言論と意見表明の自由
イスラエル当局
イスラエルは、オンライン上の表現、政治活動、象徴的な連帯を犯罪化することで、パレスチナ系市民に対する法的弾圧を強化した。2025年3月、イスラエルのクネセト[国会]は、イスラエルに「敵対的」と見なされるパレスチナ系グループに対して大学学生団体が支持や連帯を表明することを禁止する法案を可決した。これは、イスラエル国内の大学でパレスチナ系学生と関連する学生組合や政治団体を明確に標的とした措置であり、事実上、キャンパス内での彼らの政治的表現を制限するものだ。1この動きは、過去の法改正と相まって、恐怖が蔓延する環境を生み出した。2オンライン表現が法的・行政的結果を伴うようになるにつれ、広範な自己検閲、ソーシャルメディア上の投稿削除、デジタル空間からの撤退が進行した。
2025年11月、イスラエルのクネセトでは国家安全保障相イタマル・ベン・グヴィルの主導で、検察庁の監督機能なしに警察が「扇動」容疑を捜査する権限を拡大する法案が提出された。この法案はオンライン表現に対する刑事捜査の基準を危険なほどに緩め、警察が発言を恣意的に解釈して事件を立件し個人を拘束することを可能にするものだ。3この法案提出以前から、ベン・グヴィルが大臣に就任して以降、関連捜査の約96%がイスラエルのパレスチナ市民とエルサレム住民を対象としてきた。一方、ユダヤ系イスラエル人による同種の投稿はほとんど処罰されてこなかった。4ガザ戦争期間中には、ソーシャルメディア活動で1,400人以上のパレスチナ人が逮捕され、多くは起訴されずに釈放された。これは権限の恣意的かつ差別的な行使を浮き彫りにしている。5
報告期間中、親パレスチナ表現への弾圧はイスラエル国外にも拡大した。調査によれば、米国や欧州の活動家、学者、学生らは、親パレスチナ政治活動により監視強化、職場での不利益、ビザ関連の不利益、法的制約などが増大した。6こうした動向は、パレスチナ連帯を表明する個人に法的権利の不安定化を招き、パレスチナ政策提言活動への制限が国境を越えて影響を拡大していることを示唆している。
同時に、欧州の一部地域ではコンテンツ監視への人工知能(AI)活用拡大により、政治的表現の余地がさらに狭められた。ドイツの当局はAIベースのツールを導入し、「反ユダヤ主義的コンテンツ」と分類されるものを特定してきたが、その定義はある種のイスラエル批判も包含していた。7この手法はコンテンツ削除や正式な捜査につながり、特にパレスチナ人や親パレスチナ政策提言活動家の間の公的な議論に萎縮効果をもたらした。文脈への配慮を欠くことが多い自動化システムへの依存は、不平等をもたらし、
結果として、政治的発言の評価や規制について懸念が提起された。
国連の意見及び表現の自由に関する特別報告者アイリーン・カーンは、国とテクノロジー企業がオンラインプラットフォームの規制においてますます連携を深めていると指摘した。こうした規制はしばしば安全保障やテロ対策の枠組みで正当化され、マイノリティの声や政治的に機微なコンテンツを不平等に隠匿する可能性がある。8アルゴリズムによるモデレーション、自動化された取り締まり、不透明なコンテンツポリシーは、恣意的な削除、シャドーバンニング、特定のユーザーやコミュニティへの不均衡な標的化を可能にするために、表現の自由に対する主要な脅威であると断定された。
これらの動向を総合すると、国家による立法・警察活動・プラットフォームのガバナンス・国際的圧力・AI監視が統合されたアーキテクチャが浮き彫りになる。この環境はパレスチナ及びパレスチナ支持の表現を組織的に制限し、言論の自由を侵食している。周縁化されたコミュニティが直面するデジタルの権利環境の深刻な脆弱性が露呈されている。
ソーシャルメディア・プラットフォーム
2025年、ソーシャルメディアプラットフォームは、パレスチナに関する物語が形成されるとともに制限される、ますます争いの場となった。YouTubeは3つの著名なパレスチナ人権団体——Al-Haq、Al Mezan人権センター、パレスチナ人権センター——のチャンネルを永久削除し、ガザとヨルダン川西岸地区における戦争犯罪を記録した700本以上の動画を消去した。9Youtubeは、これらの削除が国際刑事裁判所と協力するこれらのグループに対する米国政府の制裁措置に従うものとして行われたことを認めた。この措置により、膨大な証拠資料が公衆のアクセスから排除された。米国拠点のテックプラットフォームを介した国家の圧力がいかに責任追及を妨げ、パレスチナ市民社会を沈黙させるために利用されたかが示された。
7amlehの調査により、LinkedInがパレスチナ人の政治的表現を不平等に制限するコンテンツモデレーションを実施していたことが判明した。ユーザーからは、ガザ情勢、イスラエル軍の行動、パレスチナ人の権利に関する投稿の削除、アカウント制限、表示頻度の低下を報告する声が上がった一方で、パレスチナ人を非人間化するコンテンツはしばしば閲覧可能なままだった。この結果はプラットフォームポリシーの不平等な適用を示し、職業ネットワークプラットフォームがパレスチナ人の声の周縁化にどう寄与したかを明らかにしている。10
BlueSkyもガザ関連募金アカウントの検閲で批判に直面している。ユーザーからは、自分のアカウントが「スパム」と表示されたり、停止・制限を受けたり、新規アカウント作成を阻まれた事例が報じられている。11
学術的表現に対しても昨年、企業によるモデレーションの圧力が高まっている。欧州のイスラエル機関への資金提供をジェノサイドへの共犯懸念を理由に停止するよう求める請願文を、Google が削除したことが記録されている。12この請願文の削除は、学者や活動家間の可視性を制限し、特に国家機関との結びつきや資金提供に疑問を呈する取り組みにおいて、主要テクノロジー企業がイスラエルのポリシーへの批判を抑制し、学術的連帯活動を制約する広範な傾向を象徴している。
Wikipediaを巡る論争もこの動きを浮き彫りにした。ボランティアがガザジェノサイドに関する詳細な記事を作成した後、プラットフォーム共同創設者は偏向した編集であることを理由に、更なる編集をブロックした。13この介入により、重大な局面についての記録が凍結され、大量虐殺に関するオープンソースの報告が制限された。
Drop Site Newsの報道によれば、イスラエル政府はMetaのプラットフォーム上で親パレスチナ派コンテンツを削除する大規模キャンペーンを展開していた。2023年10月7日以降、Metaは削除要請の94%に応じ、9万件以上の投稿を多くの場合30秒以内に削除した。削除要求は主にアラブ諸国やムスリムが多数派を占める国々のユーザーを対象としており、これによりイスラエルは世界で最も多くの政府による削除要求を発する国となった。
自動化モデレーションが拡大し、約3880万件の投稿が削除された。ポリシー違反ではないパレスチナ側の見解を表明した投稿が頻繁に削除対象となり、親パレスチナ表現に不均衡な影響を与える組織的な検閲が明らかになった。14
最後に、米国における禁止をめぐる論議の中で、TikTokのモデレーションとガバナンスが焦点となった。公式の根拠は国家安全保障と中国資本であるとされたが、実際のTikTokに対する反対意見は、主に親パレスチナコンテンツの可視性の問題に影響されている。アナリストは、TikTokの推薦アルゴリズムとコンテンツの可視性が地政学的圧力と絡み合い、紛争に対する世論形成に影響を与えていると指摘する。保守的な政治ネットワークと結びついたアメリカ人テック・メディア関係者がTikTokの所有権を獲得したことで、今後パレスチナ支持コンテンツが隠される懸念が高まっている。しかし、ユーザーは政治的表現の場として代替プラットフォームを模索し続けている。15
以下は、7amlehが7orプラットフォームを通じて受け付けた検閲事例の分析である。




憎悪的・差別的コンテンツを禁止する義務
昨年、イスラエルはガザにおけるジェノサイドへの米国の支持を再構築するため、高度なデジタルプロパガンダにますます依存するようになった。最近の調査によれば、イスラエルは生成AIによるコンテンツ、教会を基盤とした広報活動、VR体験に資金提供し、自らの主張を推進しつつパレスチナ人の現実を隠蔽するよう仕組んできた。16 これらのツールは、感情に訴えるメッセージをカスタマイズし、捏造された証言を生み出し、紛争の一方的な見解を提示する没入型シミュレーションを制作した。標的を絞った説得キャンペーンに新興テクノロジーを導入することで、イスラエルは誤解を招く差別的な主張を増幅させ、一般の人びとの認識をさらに歪め、パレスチナ人の声が軽視されるようなオンライン環境を助長していると思われる。
これに加え、反パレスチナの人種差別が戦争についての解釈を支配し続け、有害な固定観念が強化され、パレスチナ民間人への共感を減退させた。研究者らは、メディアやソーシャルメディアについて、パレスチナ人を非人間化する表現で描くことが多く、彼らを本質的に暴力的あるいは自分たちを苦難に陥れた元凶と位置づける傾向があることを指摘した。この偏見は、破壊や民間人の犠牲者の画像に対する視聴者の認識に影響を与え、イスラエルの暴力を正当化したり見過ごしたりする傾向を強めた。結果として、差別的なコンテンツ・エコシステムがオンライン上で蔓延し、パレスチナ人を標的としたヘイトスピーチが広く拡散する一方で、パレスチナ人のアイデンティティや悲嘆の表現は不釣り合いに監視・削除された。17
こうした構造的偏見に加え、調査から、イスラエル政府機関及び関連団体が、ガザ地区の飢餓状態に対する国際的懸念を打ち消すためにYouTube広告を利用した事実が明らかになった。18これらの広告は人道危機を軽視し、飢餓に関する検証済み報告を疑問視し、イスラエルの封鎖批判を誤情報として描いていた。
このデジタル操作は組織的なオンライン言説キャンペーンにまで及んだ。調査によれば、デジタル空間は、パレスチナ人が組織的な正当性剥奪と非人間化に直面する主要な戦場となっていた。組織的なヘイトスピーチ、扇動、偽情報の波がパレスチナ人を敵と位置付け、民間人への暴力を正当化し、人道的懸念をプロパガンダとして描いた。影響力のあるアカウント、政治的アクター、アルゴリズム・システムがこれらの言説を増幅させる一方、人権侵害を記録するパレスチナ人の声ははるかに高い頻度で削除または隠匿された。このデジタル上の非対称性は現実世界の差別を強化し、有害で人種差別的な言説が野放しに流通する環境を生み出した。19
最近の事例として、イスラエル指導部が招集した非公開会議がある。これはより標的を絞った手法を示しており、多様なプラットフォームのソーシャルメディアのインフルエンサーが採用され、彼らは投稿ごとに報酬を受け取りながらイスラエルの主張を宣伝し、軍事行動を正当化し批判に対抗する役割を担った。
インフルエンサーは、欧米の視聴者、特に若年層に影響を与えるための論点、厳選されたビジュアル、メッセージ戦略を提示された。この戦略は、ソーシャルメディアを単なるコミュニケーションツールとして使用する段階から、物語をめぐる戦争における戦略的戦場として扱う段階への移行を示していた。20
同時に、プラットフォームのコンテンツ・モデレーションポリシーもこの動向に寄与した。2025年初頭、MetaはInstagramとFacebookのコンテンツモデレーションを緩和し、人種・民族・国籍・ジェンダー自認・性的指向を標的とした誹謗中傷や非人間化表現を許容範囲とするようになった。この変更により事実確認プログラムの一部が停止され、保護対象グループへの軽蔑表現が容認された。モデレーションの実施は選択的であり、中立的なポリシーというより政治的影響を反映したもので、専門家らはこうした変化が非人間化ナラティブを増幅し現実世界の差別を永続させるリスクがあると警告した。21
Metaのプラットフォームでは2025年3月以降、イスラエル国防軍(IDF)の軍事装備への寄付を募る有料広告も掲載され、少なくとも117件の広告が戦闘関連目的の資金提供をあからさまに要請し、EUと英国だけで少なくとも76,000インプレッションに達した。The GurdianとEkōがMetaにコメントを求めた後、Metaは、広告をレビューし自社ポリシー違反したとして削除した、と述べた。22しかし同一コンテンツの繰り返し承認はモデレーションの不十分さを示し、オンラインプラットフォームが現実世界の暴力を助長し得る実態を浮き彫りにした。
Metaのプラットフォームは、パレスチナ人への暴力を扇動し、集団処罰を正当化し、ジェノサイドの最中に軍事攻撃を称賛する有害コンテンツを増幅する役割も果たした。自動化されたモデレーション実施ツールと不透明なモデレーションプロセスがアラビア語コンテンツやパレスチナ人の政治的表現を不平等に標的とした結果、記録や証言が大規模に消去される一方で、Metaは自社ポリシーを一貫して適用できず、ジェノサイド期間中のパレスチナ人の苦難は隠蔽され、責任追及が損なわれ、デジタル空間で非人間化が常態化する情報環境を助長した。23
同様に、Metaのプラットフォームは占領下のヨルダン川西岸地区における違法なイスラエル入植地や極右入植者活動を宣伝する有料広告を掲載した。アリエル、マアレ・アドゥミーム、エフラトなどの入植地住宅を販売する100件以上の広告が確認され、中にはパレスチナ人住宅の破壊を呼びかけたり、ガザでの軍事作戦資金を募るものもあった。24国際法がヨルダン川西岸地区の入植地を違法と認定しているにもかかわらず、これらの広告は標準的な不動産広告として扱われ、モデレーションを回避した。法律専門家は、Metaがこうしたコンテンツを掲載し利潤のために違反行為に加担し得ることを主張した。これはプラットフォームのアルゴリズム・システムと広告システムが、オンライン上で差別的な言説を増幅させる仕組みを明らかにしている。25
デジタルプラットフォームは、偽情報を含む国家主導のキャンペーンも促進した。証拠によれば、Google はイスラエル政府に対し、ガザ封鎖打破を目指す非暴力運動「グローバル・スムード船団」を標的としたスポンサー付き検索コンテンツの購入を許可した。スポンサーコンテンツは、参加者をテロ組織と結びつけ、脅威として描き、人道的使命を貶めた。この取り組みは Google 検索と YouTube にまたがる4500万ドル契約の一部であり、デジタルプラットフォームが国家主導の偽情報を拡散し、世論を形成し、民間人を危険に晒すために利用された実態を示している。26
こうした動向と連動し、7amlehはソーシャルメディア・プラットフォーム上で、主にヘブライ語で発信されたパレスチナ人及び親パレスチナ活動家を対象とした膨大な数の暴力的・有害な投稿を検知・記録した。




ビッグテック
2025年、Microsoft、Meta、Google、Amazonを含む主要テクノロジー企業は、ガザ地区と西岸地区におけるイスラエル軍の軍事作戦を直接支援する監視・AIツールの提供を継続した。これによりパレスチナ人コミュニティに対する大規模な監視、検閲、標的化が可能となった
Microsoft、Meta、Google、Amazonがガザ地区と西岸地区におけるイスラエルの監視・軍事作戦支援への共犯関係を継続したことが複数記録されている。漏洩文書と内部告発者の証言は、これらの企業がクラウドコンピューティング、AI、データ分析を提供し、パレスチナ人の声に対する大規模監視、AI支援標的化、検閲を可能にしたことを示した。。27
Microsoftはガザ地区と西岸地区におけるイスラエル軍の監視活動を可能にした疑いがある。調査によれば、イスラエル軍8200部隊はMicrosoft Azureクラウドサービスを利用し、傍受した通信データ11,500テラバイト以上を保存・処理し、パレスチナ人に対する組織的な監視を支援していた。28「ラベンダー」のようなプログラムは標的特定を支援し、その利用の大部分は翻訳サービスとAIサービスが占めていた。2023年6月から2024年4月にかけて、軍事用クラウドストレージは155%増加し、2024年5月のラファ攻撃前にピークに達した。技術支援には1000万ドルの費用がかかり、さらなるプロジェクトが計画されていると報じられている。29
GoogleのProject Nimbusも、軍事化AI導入における企業の共犯関係を浮き彫りにした。新たな内部文書によれば、契約署名前にGoogleは自社クラウド・AIツールの使用状況を完全に監視できないことを確認していた。最大23年間延長可能なこの契約は、イスラエルの承認なしにGoogleが外国の法的要請に応じることも制限した。AIツールの提供を差し控えるべきとの勧告にもかかわらず、企業・軍事・金融のクライアントから33億ドルの収益を見込んで契約を推進した。パレスチナ人・アラブ人従業員の保護を求める従業員たちの抗議は報復解雇につながり、紛争地域での軍民両用テクノロジー供給の道徳的・法的ジレンマを露呈した。30
大手テクノロジー企業は、イスラエルの軍事作戦に必要な技術インフラを提供し続けただけでなく、パレスチナ人の権利擁護を求める内部の政策提言活動をますます罰するようになった。これにより従業員とユーザーは検閲と報復に晒された。
Meta社に対する最近の訴訟では、ガザジェノサイドに反対しパレスチナ人の人権擁護を訴えたムスリムの従業員が解雇されたことを主張している。訴状によれば、従業員は内部メッセージを共有したことにより、エスカレートする報復に直面した。そのメッセージは責任追及を求め、Metaによるパレスチナ関連コンテンツの検閲への懸念を提起する内容であった。
この事例は、政治的圧力がいかにしてユーザーのオンライン表現だけでなく、従業員の社内発言までも形作り、パレスチナ人権支持の見解がリスク扱いされる環境を生み出すかを示している。31
同様に、2025年10月には、パレスチナ人従業員のアフメド・シャールールが、イスラエル政府との契約に公然と抗議した後に解雇された。シャールールは、パレスチナ人を標的とした監視活動などに利用されるテクノロジー・物流サービスを提供しているAmazonを批判し、企業の人権侵害への共犯への懸念を軸に活動していた。32
これらの事例は、人権侵害を非難されている国家との関わりについて雇用主に懸念を表明した従業員が、解雇を含む報復に直面し得ることを示している。
さらに昨年、GoFundMeはガザへの人道援助を目的とした募金キャンペーンをブロックまたは凍結した。こうした制限は医療、緊急物資、その他の救命支援への重要なアクセスを阻害し、紛争地域におけるデジタル差別を反映している。同プラットフォームのポリシーは、人道援助への公平なアクセスを確保する企業責任の必要性を浮き彫りにするとともに、危機下におけるデジタルの権利、金融包摂、説明責任に関する広範な懸念を提起した。33
結論
ハッシュタグ・パレスチナの証拠が明らかにしているのは、テクノロジーがパレスチナ人を標的にした管理システムの中核をなしているということだ。これは孤立した事例の集まりではなく、国家権力、企業インフラ、アルゴリズムが互いに補強し合う一貫したパターンである。監視、検閲、デジタルアクセス制限を通じて、パレスチナ人は物理的世界をはるかに超えデジタル領域にまで及ぶ支配に直面している。
テクノロジー企業はこの状況において決定的な役割を果たしている。イスラエルの国家機関や軍事組織にクラウドサービス、AIツール、データ分析、コンテンツモデレーション基盤を提供することで、彼らは受動的なサービスプロバイダーから人権侵害の積極的な加担者へと変貌した。中立性を主張する姿勢は、知識の存在、持続的な提携関係、軍事・安全保障分野への利益追求型拡大を示す記録された証拠の前では崩れた。ガザをAI活用戦争の試験場として利用する行為は、地域をはるかに超えた影響を伴う憂慮すべき前例を築いている。
同時に、ソーシャルメディアプラットフォームは、表現の自由、平等、安全という自らの公約すら果たせていない。パレスチナ人の声は不釣り合いに封殺され、人道支援資金調達は妨害され、人種差別的あるいは非人間的なコンテンツは容認され、あるいは増幅さえされている。権利に基づく原則よりも政治的圧力によって形作られるプラットフォームのガバナンスは、公共の議論を歪め、コミュニティを孤立させ、大量虐殺への説明責任を損なうという現実的な危害を生み出している。
インターネットアクセス制限、ジェンダーに基づくデジタル暴力、経済的排除は不平等と脆弱性を深化させる。それでもパレスチナ人はレジスタンスを続ける。記録活動、代替プラットフォーム、安全な通信手段、集団組織化を通じて、彼らを消し去ろうとする空間で自らの存在を主張しているのだ。
提言
ソーシャルメディアプラットフォーム及びテクノロジー企業へ
- デジタル侵害の通報メカニズムを合理化し、迅速かつ証拠に基づく対応を確保すること。
- 地域的・言語的・社会政治的リソースと専門知識を投入し、人権を尊重する形でコンテンツモデレーションを行うこと。
- 定期的かつ透明性のある人権影響評価を実施し、明確な期限内にその提言を実行すること。
- コンテンツモデレーションにおいて比例原則・説明責任・適正な法的手続きを確保すること。
- コンテンツ削除決定についてユーザーに明確な説明と異議申立の機会を提供し、削除されたコンテンツを合理的な期間保存すること。
- 画一的なポリシーを避け、差別のない対応を確保する。
- 報道の自由を尊重し、市民ジャーナリストのコンテンツを、禁止組織や紛争関連事象に言及する場合でも許可する。
- 軍事用途が知られているテクノロジーを、人権侵害を助長する可能性のある方法で導入してはならない。
- コンテンツモデレーションのプロセス、政府からの要請、自動化システム・アルゴリズムの使用(関連言語のキーワードリストを含む)について完全な透明性を提供する。
市民社会及び国際的関係機関への要請
- パレスチナ人のデジタルの権利に対する組織的な侵害を即時停止させる措置を促し、通信インフラへの攻撃を含む深刻な虐待に対する説明責任メカニズムを確立すべきである。
- 国際人権基準に基づき、オンラインプラットフォームがデジタルサービス法(DSA)及びその他の規制を文脈に応じた非差別的かつグローバルな視点に立脚した形で遵守するよう確保すべきだ。
- 欧州域外で展開されるテクノロジーを含むAI及びプラットフォーム規制の欠陥に対処し、パレスチナ人に対する差別的慣行を防止すること。
- 企業に対し、特に危機時において人権原則、国際人道法、及び適正評価義務の遵守を要求すること。
- パレスチナ人のデジタルの権利を効果的に保護・推進するため、市民社会との積極的関与を促進すること。
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日本語版作成 訳者 としまる toshi@jca.apc.org JCA-NET https://jca.apc.org
Footnotes:
Middle East Monitor (2025). Israel Declares War on Its Own Palestinian Citizens.https://www.middleeastmonitor.com/20250320-israel-declares-war-on-its-own-palestinian-citizens/
テロ関連出版物の消費を禁止する新法(2023年)https://7amleh.org/post/7amleh-releases-a-position-paper-on-the-israeli-law-prohibiting-the-consumption-of-terrorist-publications
7amleh – The Arab Center for Social Media Advancement (2025). Israel moves to expand police powers on Palestinian free expression. https://7amleh.org/post/israel-moves-to-expand-police-powers-on-palestinian-free-expression-en
Under Ben-Gvir, 96% of Incitement Cases Opened by Israel Police Targeted Arabs (2025) https://www.haaretz.com/israel-news/202510-11-/ty-article/.premium/israeli-police-data-nearly-all-incitement-investigations-under-ben-gvir-targeted-arabs/0000019a-6a4b-d0d1-a9bb-fb6ba4550000
同上。
Inkstick Media (2025). Deep Dive: The American War on Palestine Solidarity. https://inkstickmedia.com/deep-dive-the-american-war-on-palestine-solidarity/
Jacobin ( 2025). Germany Is Using AI to Erase Pro-Palestinian Speech. https://jacobin.com/202505//germany-ai-palestine-israel-antisemitism
United Nations General Assembly (2025). Report of the Special Rapporteur on the promotion and protection of the right to freedom of opinion and expression, A/80341/. https://docs.un.org/en/A/80341/
The Intercept (2025). YouTube Quietly Erased More Than 700 Videos Documenting Israeli Human Rights Violations. https://theintercept.com/202504/11//youtube-google-israel-palestine-human-rights-censorship/?utm_content=buffer69040&utm_medium=buffer&utm_source=Twitter&utm_campaign=theintercept
7amleh (2025). New Report by 7amleh Exposes Biased Content Moderation Practices on LinkedIn During the Genocide in Gaza. https://7amleh.org/post/digital-rights-under-threat-en
MADR Alliance (2024). Bluesky is suspending Palestinian fundraiser accounts — here’s how to avoid it. https://madr.network/bluesky-is-suspending-palestinian-fundraiser-accounts-heres-how-to-avoid-it/
Aurdip (2025). Google takes down academic petition “STOP European Funding for Israeli Institutions – Stop Complicity in Genocide, Occupation and Apartheid.” https://aurdip.org/en/google-takes-down-academic-petition-stop-european-funding-for-israeli-institutions-stop-complicity-in-genocide-occupation-and-apartheid/
New York Post (2025). Wikipedia co-founder blocks editing of Gaza genocide page over “egregious anti-Israel claims.” https://nypost.com/202503/11//business/wikipedia-co-founder-blocks-editing-of-gaza-genocide-page-over-egregious-anti-israel-claims/
Dropsite News (2025). Leaked data reveals Israeli censorship on Meta. https://www.dropsitenews.com/p/leaked-data-israeli-censorship-meta
7amleh – The Arab Center for Social Media Advancement (2025). Civil society express concern over the impending sale of U.S. TikTok. https://7amleh.org/post/civil-society-express-concern-over-sale-of-tiktok-en
The New Arab (2025). Israel funds AI, “church,” and VR propaganda to rebuild US support. https://www.newarab.com/news/israel-funds-ai-church-and-vr-propaganda-rebuild-us-support
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The Washington Post (2025). Google email shows it ruled Israel’s ads claiming ‘There is food in Gaza’ aren’t misleading. https://www.washingtonpost.com/technology/202515/10//israel-ads-youtube-famine-gaza/
7amleh – The Arab Center for Social Media Advancement (2025). A War Without Bullets: How Disinformation Reshapes the Reality of Palestinian Youth on the Backdrop of a Genocide. https://7amleh.org/post/a-war-without-bullets-en
The New Arab (2025). Narrative warfare: Inside Israel›s battle for influence on social media. https://www.newarab.com/analysis/how-social-media-became-new-frontline-israels-digital-war
The Intercept (2025). Leaked Meta Rules: Users Are Free to Post “Mexican Immigrants Are Trash!” or “Trans People Are Immoral.” https://theintercept.com/202509/01//facebook-instagram-meta-hate-speech-content-moderation/?utm_medium=email&utm_source=The%20Intercept%20Newsletter
The Guardian (2025). Meta allows ads crowdfunding for IDF drones, consumer watchdog finds. https://www.theguardian.com/technology/2025/jul/21/meta-idf-drone-ads-israel
7amleh – The Arab Center for Social Media Advancement (2025). Meta’s Role in Amplifying Harmful Content During Genocide in Gaza.. https://7amleh.org/post/meta-s-role-during-genocide-en
Al Jazeera (2025). Meta profits as ads promote illegal Israeli settlements in West Bank. https://www.aljazeera.com/features/202531/3//meta-profits-as-ads-promote-illegal-israeli-settlements-in-west-bank
同上。
Truthout (2025). Google allows Israel-sponsored propaganda about Global Sumud Flotilla. https://truthout.org/articles/google-allows-israel-sponsored-propaganda-about-global-sumud-flotilla/
Anadolu Agency (2025). 2 years of genocide: Big Tech complicit in Israel’s destruction of Gaza? https://www.aa.com.tr/en/middle-east/2-years-of-genocide-big-tech-complicit-in-israel-s-destruction-of-gaza/3711449
The Hindu (2025). How Israel used Azure to monitor Palestinians | Explained. https://www.thehindu.com/news/international/how-israel-used-azure-to-monitor-palestinians-explained/article70103052.ece
Dropsite News (2025). The Israeli military is one of Microsoft›s top AI customers, leaked documents reveal. https://www.dropsitenews.com/p/microsoft-azure-israel-top-customer-ai-cloud?publication_id=2510348&utm_campaign=email-post-title&r=i8o90&utm_medium=email The Guardian (2025). Microsoft launches inquiry into claims Israel used its tech for mass surveillance of Palestinians. https://www.theguardian.com/world/2025/aug/15/microsoft-launches-inquiry-claims-israel-used-tech-mass-surveillance-palestinians
The Nation (2025). I’ve worked at Google for decades. I’m sickened by what it’s doing. https://www.thenation.com/article/society/google-employee-speaks-out-war-contracting/tnamp/ & The Intercept (2025). Google worried it couldn’t control how Israel uses Project Nimbus, files reveal. https://theintercept.com/202512/05//google-nimbus-israel-military-ai-human-rights/
Council on American-Islamic Relations (CAIR) (2025). CAIR Sues Meta for Discriminatory Treatment of Muslim Employee Over Pro-Palestine, Anti-Genocide Advocacy. https://www.cair.com/press_releases/cair-sues-meta-for-firing-of-muslim-employee-over-pro-palestine-anti-genocide-advocacy/
CNBC (2025). Amazon fires employee who was suspended for protesting company›s work with Israel. https://www.cnbc.com/202513/10//amazon-fires-ahmed-shahrour-for-protesting-companys-work-with-israel.html
7amleh (2025). GoFundMe Must Stop Blocking Lifesaving Fundraising Campaigns to Gaza. https://7amleh.org/post/gofundme-must-stop-blocking-lifesaving-fundraising-campaigns-to-gaza
Date: 2026年2月
Author: 7amleh – アラブソーシャルメディア振興センター(アフマド・カーディ 校閲者:ジャラル・アブカター)
Created: 2026-02-21 土 21:53

