14 市民の意見30の会・東京の合宿で戸隠に行きました。(1999.4.21..掲載)
4月17(土)、18(日)の2日間、市民の意見30の会・東京の事務局の討論合宿のために、戸隠高原に行きました。総勢11人の参加でしたが、ガン治療の薬のため、食欲が減退していた藤本義一さんも参加されました。
思想の科学の人たちもよく利用する中社の「戸隠山荘」(落合さん)のところへ一泊しました。中社のあたりはさすがに雪はなく、桜の季節ですが、奥社への入り口や鏡が池のあたりにはまだかなり雪も残り、雪割草や水ばしょうが咲き始めたところでした。2日目は雨だったのですが、落合さんの案内で行った鏡が池から見た雪をいただく戸隠連峰や池のほとりの白樺は実にきれいな風景でした。(右の写真は鏡が池)
参加者11人の合宿では、NATO空爆問題、非暴力の基本的立場、広い層に反戦を訴えてゆくための方策、事務局の強化、機関誌問題など、さまざまの議題について討論し、その後も、かなりの人が深夜の3時すぎまで談論風発しましたが、それについては、いずれ、市民の意見30の会・東京のホームページの上などで紹介されると思いますので、ここでは触れません。
翌日は、車に全員が分乗して、戸隠から上田まで行き、上田市の郊外にある戦没画学徒の遺作を展示している「無言館」を訪ねました。ここは一昨年の開館当時、ずいぶん話題になり、一度訪ねてみたいと思っていたところでした。小高い丘の頂上に西欧の中世の教会に似た十字の建物があり、中には、戦没画学徒の遺作多数のほか、パレットや絵筆、戦地から家族に送った手紙や自作の絵葉書なども展示されていました。(左の写真は「無言館」全景)
私は、絵もまったくの素人なのですが、戦地へ赴く前、人に見せるためでもなく、ひたすら今の生を一点の絵の中に集中しようとした若い魂の作品には、心打たれるものが少なくありませんでした。上田の駅からはかなり距離があるのですが、ぜひ、まだの方は一度お訪ね下さるといいと思います。
出口のところで、関連の書籍を売っていました。館主の窪島誠一郎さんの著書ですが、『無言館――戦没画学生「祈りの絵」』(講談社、アートルビナス、1997年 ¥1456 + 税 写真=右)は、展示されている主な作品の画集。澤地久枝さんや野見山暁治さんの文も載っています。これはお勧めです。
同じ著者の『「無言館」ものがたり』(講談社、1998年、¥1400 + 税)は、出たばかりの本で、小学生高学年から中学生向けの本。同じく『「無言館」への旅――戦没画学生巡礼記』(小沢書店、1997年、¥1900 + 税)は、著者がこの遺作を集めるために全国の戦没画学生の遺族を訪ねたときの記録。
いずれも感動的ですが、最後の本では、戦争がいかに異常か、いかに若い人びとがその犠牲になったかが切々と訴えられてはいるものの、そうした異常な戦争をもたらしたものが何なのかということへの考察がまったくないこと、天皇をはじめとする戦争責任への言及は何もなく、ひたすら、自分自身の戦後の人生へと内向し、自責の思いのみが語られる記述が、私には不満というか、違和感を感じさせました。著者が元号を使っていることにも。
(注)「無言館」は、上田市大字古安曽山王山3462 電話:0268-37-1650
開館時間:10:00〜17:00(年中無休)。入館料:随意制(一人200〜500円)
交通:JR信越線「上田駅」から車で20分。