25 ビラ配布無罪判決について (2006年08月30日 午前3時 掲載)
一般紙にも大きく報道されましたが、昨年12月23日の東京・葛飾区でのマンションへのビラ配布弾圧事件について、8月28日、東京地裁は、無罪判決を下しました。この事件については、すでに本欄の
No.7 (昨年12月27日掲載)
で、私は意見をのべましたが、そこで指摘したように、そもそも、逮捕自体がまったく不当な言論・表現の自由への弾圧でしたから、無罪は当然の帰結だと言えます。しかし、私には、これを手放しで喜ぶわけにもゆかないという思いもあります。
というのは、今回の無罪判決によって、警察による不当な言論抑圧の行為が止まるとは、安易に思えないからです。
今度の判決文は、近年、プライバシー意識、防犯意識の高まりがあることを認め、マンション等で、チラシやパンフレットの投函などを禁じる掲示も多くなっているとした上で、しかし、「内部的には、被告人のような政治目的のビラ配布目的も含めて立入りが禁じられていた事実は認められるが、そのような意思表示が来訪者に伝わるような表示がされていたとはいえない。したがって、明確な立入禁止の表示がされていない本件マンションの管理者の意思に反する立入行為を被告人がしたとしても、これを『正当な理由』のない立入行為であると解することもできない」とのべ、「違法な行為であるとは認められない」と結論しています。私は、今後、警察が、この部分を受けて、各マンションの管理者に対し、「政治目的のビラの配布を禁止する」とした掲示を大きく出すような「指導」を一斉に行ない、今後はそれをもって政治的ビラ配布への弾圧の口実とする恐れをたぶんに感じられるからです。立川テント村の活動家3人の1審無罪判決に対して、検察側が控訴したことからもわかるように、彼らが、この種の表現行動を徹底的に抑えこもうとしていることも明白です。
市民による監視の目をゆるめず、言論・表現の自由に対する侵犯行為には、その都度、強い抗議、反撃を用意しなければならないと思います。