4 障害者は「不特定多数」の存在なのか?! (2001/10/10記入)
いい人は介護する(?)――障害者として、介護者としての雑感
(その4)
前項で、障害者に対する措置が変更されても、障害者個々人には自治体から通知がされない、ということを書きました。それで、用事があって市役所の身障者の窓口に出かけた際に、その問題について聞いてみました。
「調べてみないとわかりませんが、おそらく市の『広報』か何かには載ったと思いますよ。でも、障害者の方に個別に通知することはありません」という返事でした。
私は、有料道路通行料の適用範囲の変更を知らなかったために、みすみす6万円近くも損をしたという話もし、また、航空運賃の割引率変更の問題ももちだして、そういう変更は障害者に文書で通知すべきではないか、と言いました。
「それはできませんね。航空運賃の割引は確かに最近変更になったのですが、これは改悪ではなく、改善です。そして仮に、障害者の方がそれをご存知でなかったとしても、実際に航空機を利用しようという場合には、窓口で必ず3割割引が適用されるわけですから、障害者にとって不利になることはまったくないわけです。この市内(合併前の昨年の話ですので、いまの西東京市ではなく、保谷市のこと)には2千5百人もの障害者の方がいるんですよ。そういう不特定多数の人に通知するのは不可能ですよ。予算がありません」 (合併後の西東京市在住の障害者数は、2001年3月末で約4千人)
この返事には唖然としました。保谷市内に居住する市民のうち、障害者手帳を保持している2千5百人の人、これほど具体的で、特定数の人たちが、なんで「不特定多数」ということになるのでしょう! もちろん、私はその場ですぐ抗議し、市の係員は、「言い方は悪かったが……」と訂正しましたが、こうした対応がされるところに、自治体側の認識、姿勢が実にはっきりと表れていると思います。2千5百人の障害者全員にはがきを出したところで、12万5千円ではない ですか。前に書いた、「拡大読書器」1台分の補助費にも及ばぬ額です。
また、有料道路の割引問題では、変更を知らず、割引券をもらわなければ損をするが、航空運賃の場合は、確かに窓口で3割引が適用されるわけで、損はないはず……、という話も、まったく違 います。たとえば、年金暮らしの障害者の老夫婦が、たまには飛行機に乗って九州の温泉にでも行ってみたいね、と相談をする。費用を計算してみる。古い『身障者手帳のしおり』を見て、航空運賃は2割5分引きか、せめて3割引きだったら、どうやら行けるのにね、やっぱり無理か」と温泉行きをあきらめてしまう、などという状況がある、という ような場面は、市の障害福祉課の役人の頭には、まったく浮かばぬことなのでしょう。
決まった予算の中で、決まったことだけを事務的、実務的に処理する。前例のないことは一切やらない。どうすれば身障者や弱者の福祉を向上させることになるのか、などということは毛頭考えない。それが大部分のお役所の職員なのだと思います。前例のある、なしの話。それを次に書きます。