19. 酸素濃縮器の欠点――視力障害のものにとっては使用は楽ではない (2004/09/03記入) 
     いい人は介護する(?)――障害者として、介護者としての雑感  (その19)

 暗闇の中で静かに運転を続け、酸素を供給し続ける機械のライトグリーンのランプの灯りが感動的ですらある、と前回書きました。それはそうなのですが、しかし、連れ合いの生活にとって、この機械はまだ十分便利だとはいえません。使い出して、ちょうど2週間になるのですが、具合の悪い点もはっきりしてきました。
 一言で言うと、この機械は、視力障害を持つものには、かなり使いづらいということなのです。上部についている運転スイッチはかなり大きく、また、酸素の流量表示ランプの表示文字も大きく、はっきり見えて、これは、他の器具の、手触りだけではまったくわからないスイッチや、薄ねずみ色の小さな文字で表示される液晶の数字などに比べて、実によろしい、と思いました。
 ところが、せっかく、スイッチや流量設定ツマミが大きく出来ていたり、表示が見安かったりするのに、延長チューブをとりつける「酸素取り出し口」の金具が実に小さいのです。階を移動するため、チューブを替えようとするには、そこからチューブを抜いて、別の階用のチューブに差し替えるのですが、抜くには、その金具の上の小さな部分を下に押し下げてフックを外してから、引き抜くことになります。その上で、別の階用のチューブの先端にある金具を、本体の「酸素取り出し口」の金具の穴に差し込まねばなりません。それが目の不自由なものには非常にやりにくいのです。小さな穴にうまく金具が差し込めません。そばで見ていると、必死に穴に差し込もうとしているのですが、うまく合わず、穴の周辺にただぶつけているだけ、ということになってしまいます。あせればあせるほど、うまくゆきません。
 そんなことを何度もやっているうちに、金具のいちぶについているパッキングのゴムの部分を損傷してしまい、何としても差し込めない状態にもなってしまいます。そうなると、もう、チューブの先の差込用金具自体を交換しなければならなくなります。視力のほとんどない連れ合いにとっては、そこでお手上げです。2階のその機械の置いてある廊下から、1階にいる私を大声で呼んで、応援を求めることになります。でも、下でテレビなどをつけていると、その声もよく聞こえません。昨日、その機械のところに、呼び出し用のチャイムのスイッチを取り付け、それを押せば、1階のチャイムが大きな音を出して私に知らせるようにしました。
 私が在宅しているときならそれでいいのですが、私が不在のときに、そういう事態になったら、この酸素供給器は使えなくなってしまいます。何とか、手探りだけでうまくはめられるよう、よく練習して、その差し替えに慣れるよう、今努力中ですが、まだうまくゆきません。私の外出のときが不安です。
 さて、この「酸素取り出し口」の部分の金具をもっと大きくして、チューブを差し替えるための金具の着脱が簡単にできるようにすることは、技術的には容易なはずです。要は、この機械は、目の不自由な患者が自由に使えるようには、まったく配慮されていない、ということなのです。以前、電子調理器のことでも書きましたが、視力障害者への配慮は、まだまだ多くのところで、欠けたままです。この点は、至急、改善してほしいと、テイジンに要望しておきます。