17.   連れ合いが在宅酸素療法をすることになりましたところで、右の絵に出てくる鼻に差し込んでいるビニールのチューブを何と言うか知っていますか?(2004/08/26記入) 
 いい人は介護する(?)――障害者として、介護者としての雑感  (その17)

 以前から、私の連れ合いは、肺機能が完全でなく、呼吸が容易ではなかったのですが、ここ半年ほど、呼吸がかなり辛そうになってきました。少し動いても、しばらくは肩を大きく上下させて息をします。気候がよいときに、外出を勧めて、近所を少し歩いてみるのですが、50mも歩くと、息が切れて、2〜3分は立ち止まって息を整えないと、歩き始められません。
 医師は、自宅に「酸素濃縮器」を設置して、呼吸の酸素を補う措置が必要だろうと言っていました。病院などで、小さな車の上にそれを載せ、鼻にチューブをつないで酸素を補給している人を見かけられた方も多いでしょう(右の図、我が家では、この絵の男女が逆ですが)。あれです。しかし、何も持たなくても、階段を上下するのが容易でなく、階段昇降機を使っているわけですから、あんなボンベを載せた車を持って階段の上下は出来そうもなく、二人とも、なかなかやってみようという気になれず、ついつい引き伸ばしてきたのでした。
 これまでも、体内酸素量を測定するとかなり低かったのですが、8月に入って、きちんと採血をして測定しようということになり、かかりつけの病院で「血液ガス分析検査」なるものをやりました。その結果は、体内酸素量が57.8mmHg 二酸化炭素の量が54.2mmHgというものでした。健康体の人の酸素量正常値は80〜95程度、PCO(二酸化炭素)の量の正常値は35〜45mmHgだそうですから、酸素は半分ほどしかなく、一方、二酸化炭素は1.5倍ほどだということになります。
 これ以上、酸素補給をしないでいると、心臓など、他の臓器に大きな障害が発生する可能性が大きくなり、危険だという医師の診断でした。
 酸素補給の量を、連れ合いの状態に合わせるよう測定するための検査で、8月の16日から5日間、入院しました。その間に、機器を提供する業者が病院へ来て、器具の設置についていろいろと打ち合わせをやりました。器具は、退院の前日、8月19日に自宅に届けられ、翌日の退院までに何とか、家の中でそれを使い、また、1階〜3階を移動できるような酸素チューブの配管などもやりました。(自宅の中では、ボンベを積んだ車を持って歩くのではなく、固定させた酸素発生器からビニール管で鼻につなぐのだ、ということも、初めて聞かされました。)
 それから1週間、どうやら不安なくそれを使えるようになったとは思いますが、この間、感心したり、驚いたり、心配したり、憤慨したりの連続で、いささか疲れました。新しいこともずいぶん知りました。この欄で報告したいこともたくさん出てきました。それらをこれからおいおいご報告してゆきたいと思っておりますが、とりあえず、今回は一つだけ。
 上の絵にある男性が、鼻に差し込み、耳に引っ掛けて車の上の酸素ボンベについないでいる、あの鼻に差し込んでいるビニール製のチューブ、あれがなんという名前かご存知ですか。私ははじめて知ったのですが、「カニューラ」というのだそうです。「カニューラ」って、何語なんでしょう。これを病院にもってきた業者(専門家のはずです)に聞いたのですが、「さぁ、何語なんでしょうね。私も知りません」という答えでした。帰宅してから、さっそく『広辞苑』。出ていませんでした。つぎに、平凡社と小学館の大百科、そしてエンカルタの総合大百科。やはりどれにも「カニューラ」は出ていませんでした。google の検索で調べたのですが、「カニューラ」という言葉は実にたくさん見つかるのですが、すべてカタカナで、spelling をつけたものは見当たらず、Randomhouse 大英和に、思いつく spelling を片っ端から入れて探してみました。”canyura", "canyula", "kanyura"……と入れてみた結果、ようやく 

can・nu・la[kJnjul¹]n. (pl. can·nu·las, -lae[-lì}w]) ¡外科¢カニューレ,排管,套管(とうかん):身体に挿入して排液や薬物注入に用いる金属管.(また canula) 

[1684.<近代ラテン語,ラテン語「小さなアシ」,canna CANE より」

 という記述を捜し出しました。やれやれです。「在宅酸素療法」――これが、Home  Oxygen Therapy その頭文字をとって「HOT」(ホット)というのだ、ということもはじめて知りました。