知人で、作家の戸井十月さんが、最近の『毎日新聞』でのインタビューで、肺ガンになったと自分から言われました。私の知人や友人で、ガンになった人はかなり増えてきているのですが、最近は「いい人になった」情報などに載せたりして人に知らせないでな、という人が増えているようです。それで、本欄にも最近はほとんど、そういう情報を載せていなかったのですが、戸井さんはマスコミの上でカラッと発表され、元気でインタビューに話し、記者はホッとしている記事を載せているようです。
以下は、『毎日新聞』2011年5月27日夕刊の「人生は夕方から楽しくなる」の面で「道、まだ果てず 男に磨きをかける ――バイクで五大陸走破した作家 戸井十月さん」というタイトルで載せられているインタビュー記事のごく一部の、ガン話題の部分です。記者は鈴木琢磨さんです。
……さあ、とびっきりの土産話を聞かせてくださいな、録音のスイッチを入れた、そのときだった。喧騒から外れ、いかにも昭和っぽい喫茶店で、アイスコーヒーをすすっていたおっさん作家、テレながら帽子を脱いだ。えっ? 「ハハハ、坊主にしちゃったんですよ」。あの天山山脈の寒風になびかせていたトレードマークの長髪がない。きれいさっぱり。「がんになっちゃってね。肺がん。わかったのはこの4月。12年かけた五大陸走破行が終わって、やっと本も出たって思ったら、次なるテーマが目の前に現れて」 |