news-button.gif (992 バイト) 79.メルボルンはじめオーストラリアでの反戦行動の報告。(2003/02/19 掲載 )

オーストラリア在住の知人から、同地の反戦デモについての様子がメールで送られてきました。筆者の了承を得たうえ、転載いたします。

(2003/2/18送信)
 世界中で繰り広げられた反戦マーチ、オーストラリアでは全部で50万人以上が参加しました。先週の金曜日(14日)にメルボルンで行われたマーチを皮切りに、土曜、日曜と各州の州都で順番に開催されました。メルボルンでは、金曜日の昼間であったにもかかわらず15万人が参加しました。シドニーは日曜日開催となりましたが、予想を圧倒的に上回る人出で、警察の発表では20万人、主催者側発表は30万人、新聞の報告では25万人という結果になりました。集合場所のハイド・パークには入りきれず、周囲の通りに人が溢れていました。私たちは先頭グループの後について歩きましたが、市内を一時間ぐらいで回ってハイド・パークに戻って来た時、大勢の人たちがまだ出発も出来ずに順番を待っていました。
 シドニーの人口が約400万人ですから、16人に1人がデモに来たことになります。オーストラリア史上で最大のデモであったそうです。同日開催になったブリスベンとアデレードでは、それそれ10万人の参加がありました。
 タカ派でブッシュ政権ベッタリのハワ−ド首相は、『数は問題ではない。』と、強きで無視するかまえのようです。政府関係者の中には左翼中心のデモだったなどと言っている人もいますが、これは現実を完全に無視しています。
 デモには、ありとあらゆる人たちが来ていました。家族で来ている人たちが非常に多かったです。小さいプラカードを持って、両親や祖父母と歩いている子どもがたくさんいました。お年寄りもいました。赤ちゃん連れの若いカップルもいました。パンクもいたし、ハーレー・クリシュナも、仏教のお坊さんも、イスラム教徒のお母さんや小学生たちも、みんな一緒に歩いていました。『Bones Not Bombs』(爆弾じゃなくて、骨をちょうだい。)と書かれたジャケットを着たワンちゃんも、飼い主と一緒にデモをしていました。歯医者さんのグループは『Attack Plaque Not Iraq』(イラクじゃなくて歯石をアタックしろ。)と言うユーモラスなサインを掲げて歩いていました。デモの解散地点では若いお父さんが芝生の上に座って、まだ2ヶ月ぐらいの赤ちゃんにボトルでミルクを飲ませているというほほえましい光景も見受けられました。とても和気あいあいとした、ファミリー・ピクニックのようなマーチでしたが、『戦争には絶対反対』というメッセージはハッキリしていました。
(http://www.smh.com.au/photogallery/2003/02/16/1045330463100.htmlで、当日の写真が見られます。)
 多くの人が、ハワ−ド政権が国民には真実を知らせないままに戦争の深みに入り込んでいっているのを、非常に心配しています。このまま戦争突入になれば、オーストラリアもテロリスト・グループの攻撃の対象となるであろうというのは、大いに可能性があることです。政府側では『反戦主義者はサダーム・フセインを支持していることになる。』などと短絡的な議論で、運動が盛り上がることをくい止めようとしていますが、大勢の人が戦争参加の結果テロ攻撃が始まるのではないかと不安に思っていることを理解しようとしていません。
 多くの人が何よりも怒っているのは、首相が国民にブッシュ政権との間の話しがどうなっているのか知らせず、しかも世論を無視して、一方的に戦争への道を突っ走っていることです。これは民主主義の冒涜であると怒っている人たちがたくさんいます。何だか、60年安保の時の岸信介の強引な戦略を彷佛とさせる話です。友人たちと話していても、最後には民主主義を守るために反対の声をあげていこうという話しになります。民主主義の伝統を誇る西洋社会であっても、民主主義の原則は国民が努力して行使し守らなければ、簡単に権力者に無視されてしまうようです。
 それから1月中旬に発表された、こちらの世論調査を参考のために付け加えておきます。
オーストラリアが戦争に巻き込まれるのは絶対に反対。(30%)
国連安保理が認める場合のみ参加すべし。(62%)
国連が認めなくても参加すべき。(6%)
 なお、戦争に参加した場合、オーストラリアがテロリスト攻撃の対象になる可能性は非常に高いと考えている人は、65%に昇りました。

 以上です。また何か御報告できることがありましたら、ご連絡させていただきます。
        牧野 恵