42 「いい人情報」 薮内正幸さんと戸井昌造さんの散骨、フィジー島へなど (2000/08/19掲載)
動物画家の薮内雅行さん(60歳)は6月18日、食道ガンでなくなられましたが、このほど、夫人の薮内幸枝(戸田杏子)さんらから、寄せられた弔意への謝辞とともに、以下のような、散骨についてのお知らせがありましたので、転載いたします。(右の絵は薮内正幸画 斉藤惇夫作 『冒険者たち』岩波書店より)
暑さが厳しい毎日ですが、いかがお過ごしでしょうか。
6月19日、20日におこないました薮内正幸の「お別れの会」には、大勢の方にいらしていただき、心より感謝しております。また、こちらの連絡不備や遠方にいらして、当日お越しいただけなかった方からも、様々な形での「お別れ」の気持ちをいただいたことにも、重ねてお礼を申し上げます。
気がつけば正幸が飛び立って1ヵ月以上が経過しました。そこで、いくつかの報告をさせていただきます。
「お別れの会」の時にお話しましたように、正幸は「遺言書」を残しておりました。そこには「散骨して欲しい。場所は2人にまかせる」とありました。そこで、
1)正幸の野鳥観察の原点でもあり、多くの野鳥や野生動物たちが生活している北海道根室の海へ。
2)ここ20数年間、毎年10月に猛禽類の渡りを観察に行っていた愛知県の伊良湖岬恋路ケ浜の海へ。
3)太平洋のフィジーの海へ。
の3カ所に散骨をすることになりました。
フィジーに関しては少し説明をいたします。正幸にとっては大先輩である画家の戸井昌造さん(今年4月17日に胃ガンで逝去)といっしょにフィジーの海に散骨しようというものです。昌造さんと正幸は生前、意気投合できる「飲み友だち」でもありました。発病してからは、お互いに相手の病状を気にかけながら、それぞれ前後して去って行きましたが、これからも生前の続きを存分にできるように、と考えたからです。
最後のご報告ですが、皆様から頂戴した「ご香典」などのことです。
すでに、東京衛生病院と、北海道根室市に寄付させていただきました。東京術生病院は、正幸が最後の2ヵ月を過ごしたところです。細やかな医療と暖かい看護がどれほど正幸の励みに、同時に私たちへの勇気とそして心のささえになったか、はかりしれません。
根室市は、希少鳥類であるシマフクロウヘの保護活動のためです。
病室の窓の外にやってくるカラスやスズメの観察を最後までしていた正幸。常に野鳥や野生動物、そして自然保護にそそがれていた正幸の気持ちを忘れずに、私どもは歩んでいきたいと思っております。今年の夏の暑さは格別と聞きます。どうぞ皆様もご自愛ください。
2000年8月
薮内幸枝(戸田杏子)
薮内竜太
(吉川注 薮内さんの入院、治療などのニュースは、ご家族のご希望もあり、これまで、この「ニュース」欄には掲載をしてきませんでした。)