214 今年の憲法記念日の意見広告、『読売 新聞』全国版,『西日本新聞』に全面掲載。 (2010/05/04掲載 )
今年の年賀状でもみなさんにお願いしていた5月3日の反改憲意見広告運動は、今年は『読売新聞』全国版と『西日本新聞』とに全面掲載が出されました。右にある図面のように、昨年からは、憲法9条とともに25条が並ぶようになっていますが、今年は賛同者のお名前のリストのところで、沖縄の地図が白く抜かれているデザインで、これまでと同じく、デザイナーの鈴木一誌さんによるものです。この「市民意見広告運動」は、私が代表をしている運動です。今年も運動は成功でき、お力をお貸しくださった皆さんに、心からお礼を申し上げます。
当日、事務局からはかなりの方から、『朝日』にも『毎日』にも『東京新聞』にも意見広告が出ていない、どうしたのか、という問い合わせをがかなり頂きました。『読売』には、今まででも何度か意見広告を出したことがあるのですが、どうも、改憲を方針としている新聞社などに、金を払ってこんな広告を載せるのはおかしい、という感情が少なくないようです。そういう気分もまったくわからぬというわけではありませんが、運動の立場をもう少し客観的に考えていただきたいと思います。
『朝日新聞』が、今年の4月半ばに行なった世論調査によると、憲法9条改定には67%が反対で、「変える方がよい」の24%を大きく上回ったとのことです。(『朝日』5月3日号)
これに対し、『読売新聞』が3月末に実施した世論調査によると、「今の憲法を改正しないほうがよい」と答えた人は42%、「改正する方がよい」と答えた人は43%で、僅か1ポイントの差で、この意見は拮抗していることが発表されました。昨年の3月の同紙の調査との比較によると、「反対」が6ポイント増、「賛成」は9ポイント減だとのことですから、憲法改悪は大きく後退したことになります。戦争放棄をうたう9条については「これまで通り解釈や運用で対応する」との回答が44%で、昨年の33%を上回り、02年に同質問を始めて以来、最高のポイントでした。一方、「解釈や運用で対応するのは限界なので改正する」と答えた人は32%で、昨年の38%より減少でした。反対の理由(複数回答)は「世界に誇る平和憲法だから」が42%、「基本的人権、民主主義が保障されているから」が29%でした。
『朝日』の4月調査は「電話」による実施、『読売』の調査は「面接方式」だとのことですが、一ヵ月の差としては、大分、この二つの差があります。やはり、『読売』のほうが僅か1ポイントとは言え、「憲法改正」を上にされており、『読売』の改憲の社の方針に影響を与えているのかもしれません。
ところで、私たちの意見広告は、『朝日』と『読売』のどっちを支持するか、というようなことで、掲載の新聞を決めているわけではありません。ときどき、『読売』のような憲法反対の新聞に巨額な広告費用を払うべきではない、というような意見をいただくことがあるのですが、どっちに金を払うかなどで決めるものではありません。私たちの意見広告は、自分が支持したり、好きだと思っている新聞の上に広告が大きく載ることで、見るのがいい気分になる、というような目的でやっているわけではないでしょう。大事な目的は、この意見広告を目にすることで、読者に少しでも私たちの意見に賛同するようになり、改憲の世論が少なくなるような結果になるためのはずです。とすれば、反改憲に多い『朝日』の読者に見てもらうよりも、改憲の意見が多くいる『読売』の読者のほうにまずこの意見を目にしてもらい、今年の『読売』の世論調査でわかるような、世論の動きをさらに進行させるような影響を与えたいのです。『読売』とともに、『西日本新聞』に広告を載せた理由もあります。沖縄の米軍基地の移転問題の中で、鹿児島県の奄美群島や徳之島、あるいは長崎県の話が出たり、九州での基地の話が次々と出されていました。そのため、九州で多くの読者がある『西日本新聞』を選択したのです。
4月28日には、改憲派の議員による「新憲法制定議員同盟(会長・中曽根康弘元首相)が、「新しい憲法を制定する推進大会」を国会の憲政記念会で開催しました。それには、民主、国民新、自民、公明、みんな、新党改革の6党代表が全部挨拶をし、改憲手続き法にもとづく国民投票法の「施行期日」が5月に来るとして、改憲の気勢をあげたそうです。民主党では、松原仁国対副委員長が、「鳩山総理は内面では憲法改正への熱い思いがある。それを前面にだせる政治環境をつくる」と述べたとのことです。(『赤旗』4月29日号)こういう状況の下では、改憲阻止のための運動は、手を抜くことは出来ません。私たちまでが、仲間だけが集まって「気勢をあげ」ただけで気分を出しているだけでは決してしてはなりません。民衆の人びとの中で、憲法9条を変えようとしたり、海外に派兵しようとする意見の人びとを。大きく変更させる必要があるのです。今後も、私たちの運動にお力を添えてくださいますよう、お願いする次第です。