公開質問状
成田国際空港株式会社ならびに黒野社長殿
あなた方は私たち東峰地区住民に対し、ここ数年の間、「東峰区の皆様へ」と題する書状、謝罪文、あるいは「回答書」という形をとった書面を数通寄せてきました。
あなた方はその中で何度も反省しお詫びする言葉を述べています。しかしながら、現在、平行滑走路の北伸にむかって突き進んでいる姿は、その書状の文面とは正反対の、極めて強権的なものとなっています。
対等な話し合いの相手、共生するに値する相手とは、少なくとも自分の発した言葉に責任を持つものでなければならないでしょう。私たちは、あなた方が寄せてきた書状、書面を公にし、そして問いたいと思います。これはあなた方が書いたものに相違ないですね。そして、現在との矛盾をどう説明されるのですかと。
一、 東峰の森について
「東峰の森(以下「森」という。)」につきましては、平成8年からの東峰区との話し合い及び同行調査等により、そのあり方や具体的な整備方法を決定してまいりました。これは、空港公団が平成7年に策定しました「成田空港周辺緑化計画」に基づく周辺整備を行うにあたり、森の利用者でもある区民の皆様のご意見をお聞きしようということが、端緒となったものです。
最初に区の皆様にご相談申し上げた際、今後の森の整備については区の意見を取り入れながら行ってほしいとの要望もあり、今日まで区・公団双方の話し合いの下で森の整備・保全作業を行ってまいりました。これは、単に要望があったからということではなく、この森の存在が、東峰区にとって、永年慣れ親しんだ、いわば生活の一部であることを、私どもなりに理解したからに他なりません。そして、私どもの認識は今日も変わってはおりません。
加えて今回「申し入れ書」をいただく際に、何年か先の農業を考え森を堆肥づくりの場として利用している等の貴重なご意見を直接頂戴し、この森と区の皆様の有機的な繋がりこ対し、 思いを新たにしたところです。
したがいまして、森につきましては、区の皆様とご相談することなしに、公団が一方的に計画を策定し進めていくということはあり得ませんと、重ねてお約束いたします。
(2003年(平成15年)2月20日受付『回答書』 新東京国際空港公団)
東峰の森についての質問
1. 東峰の森は東峰区が長く入会地として利用してき、部落として長年手間を掛け、維持してきました。あなた方がそのことを認めていたことは上述の文書からも明らかです。
東峰区は東峰の森への誘導路建設を認めていません。またこの問題について何の説明も受けていません。東峰区にとって、東峰の森はとても大切な森です。「区の皆様と ご相談することなしに公団が一方的に計画を策定し進めていくことはあり得ませんと重ねてお約束いたします」との文言に相違ないことを確認していただきたいと思います。
2. 東峰神社の神社林を無断で伐採したことを、2年半前に正式に謝ったばかりです。東峰の森で再度の伐採の強行は許されるはずがありません。そのことを確認していただきたいと思います。
二、 過去の手法について
東峰区に空港問題の今日的なひずみの多くが残ってしまったことは、私どもの手法にその原因があったと言わざるを得ません。円卓会議において「平行滑走路の建設を必要とするという運輸省の方針は、世論の趨勢や地域社会の多くの意見を踏まえれば理解できるところである。なお、平行滑走路のための用地の取得のために、あらゆる意味で強制的な手段が用いられてはならず、あくまでも話し合いにより解決されなければならない」との最終所見を関係者に受け入れていただきましたが、その後の私どもは、前段の部分ばかりが頭にあり、ただただ平行滑走路を早く完成させたい、それに必要な土地をお譲りいただきたいと、そちらにばかり気持ちがいっていたのだと思います。特に暫定滑走路建設にいたる過程においては、「あくまでも話し合いにより解決されなければならない」という後段の精神を欠落したまま、Wカップまでに滑走路をつくりあげることのみに専心し、東峰区の皆さまの心情に思いをめぐらすことが極めて不十分であったと感じています。
つまりは、皆さま方と相談することなく計画を一方的に策定し、その計画について賛否を問うことなく、ただ説明するだけという手法でした。皆さまからすれば、何と一方的なと感じられたことと思いますが,そのような私どもの、ある意味、身勝手な手法によって今日の東峰区に見られる多くの問題をつくり出してしまったことをまず反省しお詫びしなければならないと痛感しております。
今後は、この円卓会議の精神こ今一度立ち返り、一方的に空港建設のみを追求するのではなく、計画の段階から皆さまのご意見を伺うという民主的な手法を念顕に取り組んでいきた いと考えております。
(2003年(平成15年)3月14日付け『東峰区の皆さまへ』
新東京空港公団 総裁 黒野匡彦)
暫定滑走路整備にあたっては、東峰区の皆様こ対して、「話し合い」や私どもからの十分な「説明」はなく、「通告」だけと言われても致し方ない状況でした。
……東峰区の皆様との合意形成を図ることなく、取得所有地を使った一方的な計画を策定してしまいました。工事についても、事前こ十分なご説明をしないまま、滑走路の使用時期から逆算した工事スケジュールで一方的に進めてしまいました。その過程で昭和28年創建以来東峰区総有の社として、皆様の心の集り所であった東峰神社の神社林を無断で伐採してしまいました。また工事の完成が早まったからといって、一日でも長く静穏な環境で暮らし続けたいとする皆様のお気持ちに配慮することなく、1か月も供用を前倒ししてしまいました。
その結果、工事やこれに続く供用によって、現に皆様が生きておられること、生活していることが一方的に無視され、生活環境が破壊されたことについて、皆様が非難し、怒り、以後私どもを信用できないと思われてしまったのは、もっともなことだと思います。
(2005年(平成17年)5月9日付け『東峰区の皆様へ』「謝罪文」)
成田国際空港株式会社 代表取締役社 長黒野匡彦)
過去の手法についての質問
黒野社長は、「計画を一方的に策定し、その計画に賛否を問うことなく、ただ説明するだけという」「身勝手な手法軌を反省し、お詫びしなければならない」と述べています。
今回の北側延長計画の進め方は、これまでの手法についての反省やお詫びと、まったく相反するものとなっています。何故、「身勝手な手法jを繰り返したのでしょうか。
私たちが生業としている農業は一度でも農薬を使ったら無農薬・有機栽培とはいえないのです。言葉での反省・お詫びは一回にして、あとは行動で示していただきたいと思います。
三、 生活破壊について
暫定滑走路を供用して3年が経過しました。暫定滑走路の供用によって、皆様の生活環境破壊してしまったことは事実でありますし、当方の非によるものであることは明らかです。
(2005年(平成17年)5月9日付け『回答書』成田国際空港株式会社)
……滑走路供用後2年間の騒音測定結果では、平均96デシベル、最大で110デシベルを超えてしまいました。さらに、頭上を離着陸する航空機への恐怖心は表現できないものだと思います。
そもそも、今振り返ってみますと、暫定滑走路計画時に、皆様が日々生活を営んでおられるまさにその場所の真上数十メートルに航空機を飛ばすことが、皆様にどのような被害をもたらすかについて、深く検討もせず、皆様の存在を軽視してしまったというのが正直なところであり、航空行政に携わるものとして、全く恥ずべきことであると大変申し訳なく思っております。
(2005年(平成17年)5月9日付け『東峰区の皆様へ』「謝罪文」)
成田国際空港株式会社 代表取締役社長 黒野匡彦)
生活破壊についての質問
1. 滑走路の北伸=ジャンボ機の飛行により、今までの騒音の最大値110デシベルが日常化すると聞いています。今回の決定に当たり、「どのような被害をもたらすかについて深く検討」されたのでしょうか。
2.. 「皆様の存在を軽視してしまった」と言われましたが、今回は私たちの存在をどう見られたのでしょうか。
3. 生活環境の破壊が「当方の非によるものであることは明らか」という反省と今回の決定はどう繋がるのでしようか。
四、 人間の尊厳について
これまで申し上げましたことは、今考えますと、単なる空港建験の手法や生活環境の問題にとどまらず、人間としての名誉、尊慮に触れる問題であると思います。空港問題が発生してからの長い間の皆様のご労苦、そして失われた名誉・尊厳に対して、私どもは十分心を砕かねばならなかったのだと痛感しており、改めて深くお詫びし、反省する次第です。
私は永年運輸省に籍を置き、成田空港の問題については、深く関知しているつもりでしたが、それは私の思い込みでした。成田空港の責任者として現場に立ち、何度か皆様と接してみて、初めて皆様のお気持ちが少しでも理解できるところに自分を置けたように思います。
そして、今私は、今後皆様の生活環境や人間としての尊厳を損なうようなことは二度とやってはいけないとの強い決意でおります。
私は、平行滑走路の問題については、あくまで皆様との話合いによって解決してまいりたいと思っております.
(2005年(平成17年)5月9日付け『東峰区の皆様へ』(「謝罪文」)
成田国際空港株式会社 代表取締役社長 黒野匡彦)
人間の尊厳についての質問
1.「人間としての尊厳を損なうようなことは二度とやってはいけないとの強い決意」と述べておられます。今回の決定が同じ人の行動とは信じられません。
改めて、今回の決定と人間の尊厳について伺いたいと思います。
2. あなた方にとって謝罪とは何でしょうか。『広辞苑』によれば「罪をあやまりわびること」とあります。あなた方の机の上にはどのような辞書があって、それには何と書いてあるのでしょうか。空港を作るための方便とでも書いてあるのでしょうか。教えて下さい。
以上、自分の言葉に照らし合わせた回答をお願い致します。
なお、回答は文書にて、区長あてにご送付くださいます様お願い致します。
2006年8月3日
東峰区 区長 小泉英政
住民一同 |