「平和公共哲学研究会」主催、グループ「はてみ」協力、公開討論会「デモとパレードとピースウォーク ――世代間対話の試み」 於 東京・荻窪地域区民センター
拘留されている3人の日本人の今後が心配され、釈放と自衛隊撤兵を求める運動が一挙に噴出しているときに、「世代間対話」の討論などという気分になれないのでは……と心配していたのですが、その日の朝、24時間以内に解放とのニュースが伝わり、ホッとした気持ちで集会に参加できました。それでも、この日も国会や首相官邸付近での市民の行動は続けられ、そのため、出席予定の人がかなり来られなくなるということもありました。パネリストの一人、天野恵一さんも、参加はされましたが、夕刻に自分の呼びかけ、主催する行動が急遽、計画されたということで、閉会以前に中座されました。討論の途中では、司会者の岡本敦さん(雑誌『世界』編集長)から、イラクの「サラヤ・ムジャヒディン」が発表した声明が紹介され、大きな拍手がおこりました。
討論は、国会周辺での行動に参加している人びとが間に合うようにと、予定を少し繰り延ばして、午後2時から開会され、途中、2回の休憩をはさんで、午後7時まで続きました。収容人員100人ほどの会場は、満員となり、予定していた配布資料が足らなくなって、急いで追加プリントするというようなことにもなりました。
4人のパネリスト(天野恵一、小林一朗、小林正弥、吉川勇一)は、それぞれ、レジュメを用意し、ほかに関連文献のコピーなども多数、参加者に配布されました。主催者が私が用意したプリントは、議論のきっかけとなった私の『論座』3月号の文「デモとパレードとピースウォーク」、私が主催者側にお願いして用意してもらった文書は、吉川勇一「自由の危機」(鶴見俊輔ほか編『講座・コミュニケーション』第5巻所収 研究社)と、福富節男「共同行動と連帯の条件」(『デモと自由と好奇心と』所収 第三書館)でした。これとは別に、私は、自分で、東一邦「『左』を忌避するポピュリズム」、同「ネットワークと連帯」、黒目(関西有象無象)「『内在』する事の可能性のものものききであるのだ」、吉川勇一「.『有事法体制』下の九条的生き方」(『マスコミ市民』03年6月号所載)をプリントして配布しました。私のレジュメは、これだけでは分かりにくいとは思いますが、最後に掲載してあります。
討論の記録は、いずれ主催者側から、何らかの形で発表されるものと思いますので、ここでは省略しますが、一言で言って、非常にいい意見交換ができた集まりだったと思います。終わったあと、私の所に寄せられた何通かのメールは、すべて好評で、「予想外に面白かった」、「期待以上の出来、ぜひとも継続して続きを」、
「小林一朗氏にはいい印象を得た」、「つぎは吉川・小林一朗対談を」などという意見でした。私も、気持ちよく討論に参加できました。ただ、気持ちよすぎたためか、いささかベトナム反戦運動の経験をしゃべりすぎ、「もう少し謙虚になってほしい」という参加者からの意見をもらったり、出席していた市民の意見30の会・東京事務局の仲間からは「
吉川さんのあのきつい言い方は、性格の問題でしょうがないんですよ」という発言が出されて笑われたりしました。「人生の賞味期限を過ぎてしまった人間です」と最初に自己紹介で言ったくせに、いっこうに年寄りらしく円満になれないのは、お恥ずかしいかぎりです。
問題になっているのは、はたして「世代間の差」ということだけにくくっていいのか、という問題は、かなりの人から発言されましたが、いずれにせよ、運動の参加者の間に、感じ方、問題意識、運動に対する姿勢などの違いがあることは当然で、その間の対話・討論が今後も必要であり、大切だということは共通の認識になったと思います。とくに、討論の最後のほうで、意識的なものではないにせよ運動の中に「差別・排除」が生じているのではないか、ということがかなり出されたのは、重要だったと私には思えました。それを、今後、対立・分岐へとすることなく、有機的につなげる方策が、共同で模索されなければならないのだと思います。
いずれにせよ、この集会は、今後の運動の進展にプラスになると思います。
以上、とりあえずの感想です。
04/04/11討論集会へのレジュメ 吉 川 勇 一
1. 手続き、経過、人選などといった形式的なことでなく、実質的な議論を。これまでの経過はいささか残念だったが、ようやく議論らしい議論が登場。今日の集まりもその努力の一つ。
2.
この集会のタイトル「世代間対話」とされているが、必ずしも、「世代間対立」あるいは「世代間の感じ方の違い」とだけでくくれない面もある。
3.
『論座』3月号の小論、および、昨年6月号の『現代思想』掲載の私のインタビュー「ベトナムからイラクへ」の主要点
4.
反響が出てきたことを歓迎。しかし、誤解に基づく点もあり、また私の表現のまずさもあったと思うので、2.〜3の追加や訂正説明。 5. 『労働情報』3/15号の座談会について――経験の継承ということ
6.
実例二つ @権力の恐ろしさ → 吉川勇一「自由の危機」(鶴見俊輔ほか編『講座・コミュニケーション』5巻 研究社)
7.
今回、あるいは今後、議論してほしい問題点
吉川の連絡先 202-0015 西東京市保谷町6-17-4 職業は、予備校講師(英語)、いくつかの私立大学、専門学校などの講師、現在はほぼ無職。身障者手帳4級。老々介護の家庭。 (以上) |