拝啓 .
たいへんご無沙汰いたしておりますが、お元気でお過ごしでしょうか。
今までさまざまな形でご支援をいただいていたにもかかわらず、なかなかご連絡することができず、申し訳ありませんでした。
二年前の三月に議員辞職をして以来、多くのご心配やご迷惑をおかけいたしましたことを、あらためてお詫びいたします。
また、多くの方々から暖かいお言葉や励ましをいただきましたことに、心からお礼申し上げます。
先月の十二日に判決を迎えました。懲役二年、執行猶予五年という判決でした。この判決を冷静にそして厳粛に受け止めたいと思っています。
この二年間、議員辞職、逮捕、裁判という激変の連続でしたが、その中で自分の起こした問題と向き合い続ける日々を送ってまいりました。今まで経験したことのない不安や孤独との闘いでした。
昨年夏の勾留中、私は、家族も接見禁止という状況下におかれました。そんな中、全国から寄せられた多くのご意見や励ましのメッセージが、毎日、担当弁護士を通じて伝えられました。肉体的にも精神的にも厳しい環境でしたが、その声に支えられ乗り越えることができました。
昨秋には裁判が始まりました。友人たち上げが、私の裁判を支える会を立ち上げてくれました。そしてその会の呼びかけで多くの方々が署名を寄せてくださいました。
裁判には、誠実に、また毅然とした態度で臨みたいと考えていましたが、緊張の連続でした。そんな中、多くの方々の署名や叱咤激励に支えられて、最後まで被告人席で背筋を伸ばしていることができたように思います。
判決で一区切りを迎えることができましたのも、多くの方々のご支援のおかげです。感謝の言葉もみつかりません。本当に、ありがとうございます。
この出来事は、私にとって大きな意味を持つものとなりました。
自分の間違いと真正面から向き合い、間違ったことを認める勇気がどれだけ大切かということを再認識いたしました。
そして、今まで見えなかった自分の欠点や甘さを自覚し、自分を見つめなおす最大の機会でもあったように思います。
また、この間に介護の勉強をし、ヘルパー二級の資格を取得することができました。施設実習では、人生の先輩のお世話を通じて多くのことを学ばせていただくと共に社会保障の現場を知る機会にもつながりました。
「これから、何の仕事をするのか?」と多くの方に声をかけられます。今はまだ、「頭と心を空っぽにして考え中です。どんな形でも一から出直したいと思います」とお答えさせていただくのが精一杯の状況です。
これまで、私は、ピースボートや国会議員としての活動を通して、NPO支援や人道援助などの平和構築や安全保障問題などをライフワークとして取り組んでまいりました。
イラク戦争をはじめ厳しい諸情勢の中で、これらの取り組みはますます重要になっていき
ます。どのような立場になりましても、これらの問題へのかかわりは続けていきたいと思っておりますので、何か私にできることがありましたら、お声をかけてください。よろしくお願いします。
私は、この二年間、自分に寄せてくださった期待ヤ信頼を傷つけてしまったとと心を痛めてまいりました。そして、途中経過をみなさまに十分に報告できなかったことが最も気がかりで苦しかったことでした。
特に、大阪十区の方々には、直接国会へ送り出していただいたにもかかわらず、最後まで仕事をまっとうすることができず、本当に申し訳なく思っております。
今後は、この間のさまざまな反省と経験を人生の糧として、もう一度、みなさまから信頼していただけるように努力していきたいと思います。
季節は、寒い冬から暖かい春をむかえようとしています。
この移り変りとともに、私も「過去としっかり向き合い、未来を切り拓いていく」再スタートを切ることができればと願っています。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
季節の変わり目、ご健康にはくれぐれもお気をつけください。
敬具
二〇〇四年三月
辻 元 清 美
(なお、この手紙には、追伸として、今後の連絡先が記されていましたが、嫌がらせメールなどのことも考え、ここでは公表しません。辻元さんにご連絡なさりたい方は、私のホームページ宛にお問い合わせのメールをお寄せくだされば、お知らせいたします。――吉川)
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