01/12/14「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会
(第17回)」議事録
厚生労働省年金局年金課
「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会(第17回)」
議事次第
日時 平成13年12月14日(木)14:00〜15:00
於 全国都市会館 第2会議室
1.開会
2.委員出席状況報告等
3.議事
・報告書(案)についての討議
4.閉会
○袖井座長
定刻になりましたので、ただいまから「女性のライフスタイルの変化等に対応した年
金の在り方に関する検討会」を開催いたします。
本日は大変お忙しいなか、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
それでは、事務局より委員の出席状況を報告していただきます。よろしくお願いしま
す。
○中原企画官
本日の委員の出欠状況についてご報告を申し上げます。本日は堀岡委員、山口委員、
藤野委員が所用のため欠席されておられます。その他の委員は全員出席されております
。以上でございます。
○袖井座長
どうもありがとうございます。それでは早速議事に入りたいと思います。本日は、前
回のご意見を踏まえて修正したこの検討会の「報告書(案)」についてのご議論をお願
いし、報告書の取りまとめまでこぎつけたいと考えておりますので、よろしくご協力の
ほど、お願い申し上げます。
それでは、前回と同様に起草委員を代表いたしまして宮武委員から前回のご意見を受
けての起草委員会での検討の経過についてご説明をいただき、具体的な「報告書(案)
」の修正箇所につきましては、事務局に説明していただきます。それから、ご意見等が
ございましたらよろしくお願いいたします。
それでは、宮武委員よろしくお願いいたします。
○宮武委員
私の方からは大きなポイントのみご報告させていただきます。お手元に配付された報
告書の最初は14ページです。「目指すべき方向と基本的な3つの視点」と書いてござい
ますが、そこの中段のところに、従来はキャッチフレーズが2つございました。1つは
「女性自身の貢献がみのる年金制度」、もう一つは本文の方に移動しております。「夫
一人で築く年金から、夫婦のそれぞれで築く年金へ」という表現でしたが、この2つ目
のキャッチフレーズについては、夫婦という特定の範疇に偏した表現ではないかという
大変強い反対意見がお一人の委員から出ました。
私どもとしては、この本文の始まるところの3行目ですが、「夫婦であっても単身で
あっても、男女が家族的責任を果たしつつ」ということで、決して単身者を除外してい
るわけではないと考えておりました。
また、夫婦のそれぞれというところに、自立した男女の姿をイメージしたと、こうい
うことで皆様のご了解を得たのですが、大変強い反対意見でした。内容が大事でござい
まして、キャッチフレーズで全体を壊すということは本末転倒ですので、それでは「女
性自身の貢献がみのる年金制度」という1つのキャッチフレーズでまとめるということ
です。
ただ、皆さんもご了解いただきました2つ目のキャッチフレーズについては本文に移
しまして、夫婦世帯を例にとってこれを表現するという形で、折り合いをつけていただ
きたいと思います。それぞれご異論もあるかと思いますけれども、何とぞご理解をいた
だきたいと考えております。
2つ目は第3号被保険者にかかわる問題でして、78ページをごらんいただけますか。
「6つの課題についての議論のまとめ」というところでございます。もちろん前回の検
討会で、3号被保険者制度については、なお幾つかのご注文がございましたので、それ
については吟味をした上でできる限りご意向に沿う形で報告書の中に挿入を入れたり、
文章の修正をしておりますが、それは後ほど事務局の方で報告をしていただきます。
私の方で1つだけ申し上げておきたいことは、この「第3号被保険者制度」という小
見出しがございますが、そこの文章で、「この問題についても、必要な改革が行われる
ことを強く望む」というセンテンスが、前は後段の方にございましたが、大島委員から
この検討会の姿勢を示すためにも、もっと前に出して明確に示すべきだという大変いい
ご提案をいただきましたので、そのご指摘のとおり、順番を入れ替えまして、先に「必
要な改革が行われることを強く望む」というセンテンスを出しました。
この問題については、前回の検討会でも、第3号被保険者制度を見直すべきかどうか
については意見がまとまらないと報道された新聞もございましたけれども、私どもは一
貫して見直す方向で意見の集約をしてきたつもりです。しかしながら、大方の人が具体
的な1つの提案を推すには至らなかった。それだけ問題が大変難しい。我が国の年金制
度が国民皆年金という体制を築き上げて、それを今後とも維持していくという大きな目
的を持っていて、もう一方では能力に応じて払い、そしてニーズに応じて受け取るとい
う社会保険方式の大事な原則がある。その大きな目的と大事な原則をいかに調和するか
、どういうふうに調整するかという難問が第3号被保険者制度にいわば凝縮されている
からだろうと私はそう考えております。起草委員会もそういう意見の方が多かったわけ
です。
でありますが、見直すということについては、大方のご意見が一致をした。しかも定
型化された改革策を提起をして、国民に議論をしていただきたいと示すことができた。
もちろん補強材料として言えば、第3号被保険者制度にかかわる人、短時間労働者の厚
生年金適用拡大をしていく。離婚時においても、女性たちが年金権がしっかり確立でき
るように、年金権の分割を検討してもらう、あるいは遺族になったときも、自分自身が
お払いになった女性たちの保険料が生きないケースもございますので、それも改善して
ほしい、こういう形の補強もしておるわけでございますので、決して第3号被保険者制
度に対して逃げたわけでも、先送りしたわけでもなく、見直す方向で一致ができたとい
うことです。
最後は、私の蛇足でございますが、誤解を避けるためにもう一度再確認をして、私の
報告を終わりたいと思います。
袖井座長 どうもありがとうございました。それでは、事務局から具体的な修正につ
いてお願いいたします。
○度山課長補佐
事務局の方から具体的な修正事項についてご報告申し上げます。文章全般にわたりま
して、言葉の整理を行いましたので、微細な修正はたくさんあるわけでございますが、
内容にかかわるもののみ報告をさせていただきます。
まず6ページ目でございますが、上から5行目、6行目、「夫婦それぞれの基礎年金
」と書いておりましたのを「夫と妻」としております。これは文章全体にわたりまして
、「夫と妻」という言葉と「夫婦」という形でしか言いあらわせないものもございます
ので、そういうものの文言整理をする中で整理をしたということでございます。
次に10ページでございますが、「(3)様々なライフスタイルを選択する女性の間で
の不公平感」の中で、就労していない女性を優遇と書いておりましたが、パートタイム
で適用されない人ということも含めてということでございますので、ここは「被扶養」
の女性というふうに書き換えたところでございます。
隣の11ページ、(2)「遺族年金制度」の@のところ、個人単位化の考えを貫き、遺族
年金を廃止するというご意見の紹介のところでございますが、すぐに廃止してしまうわ
けではない、あるいは別建ての制度として考えるというご意見だったということでござ
いますので、ここはその意見を正確に記述をしております。
それから、12ページ、「(4)女性の長い老後期間に対する保障」のところでござい
ます。生活保護で単身女性の割合が高いということを記述しておりましたが、生活保護
の記述について多少ちょっと離れすぎてはいないかというご指摘がございました。ここ
では65歳以上の者のいる世帯の平均的な所得金額というものを引きまして、高齢単身女
性の水準が低くなっており、このような老後の期間の長い女性について保障が大切だと
いう形で記述を直しております。
併せまして、「資料II−31」ということで1つ資料を加えておりますのでごらんくだ
さい。
14ページは、今、宮武先生からご紹介のあったとおりでございます。
それから、39ページでございますが、大きな項目の「2 諸外国における配偶者の取
扱い」の、この39ページから40ページにかけまして、外国との社会実態の違い、制度の
違いというものと配偶者給付のあり方ということでのご指摘がございましたので、この
点2行にわたって記述を加えております。
それから42ページにまいります。帰属所得につきまして述べた部分でございますが、
これに加えまして、いわゆる家事費用が共働き世帯では余分にかかるという視点につい
ても、併せまして記述をいたしております。この点につきましては、前回の検討会でご
議論のあった様々な見方を反映する形で記述をいたしました。
それから、43ページでございますが、婚姻費用分担請求権に基づきます保険料負担能
力の考え方ですが、これも前回ご指摘のありました、一たん被用者の賃金全体を保険料
負担能力としてとらえた上で、更に婚姻費用の考え方をとるということがダブルカウン
トにならないかというご指摘について記述をしております。
それから、44ページでございますが、短時間労働者等の厚生年金適用拡大とこの第3
号の問題でございまして、従前、前回の案では短時間労働者のところに記述があったも
のでございますが、第3号被保険者の見直しが必要であるという考え方ということで、
こちらの方に移しまして、これもまた前回検討会でございましたそれぞれの意見を紹介
する形で整理をいたしました。
続きまして、52ページでございますが、第3号の論点を整理しておるところでござい
ますが、「雇用行動に対する影響等に関する論点」のところで、片働きであるか共働き
であるか、事業主にとってはかかわりのないということの記述に対しましていろいろな
見解がございましたので、ここはあえてそういうことを記述をしないという形で整理を
しました。
それから、その下の「その他の論点」で、V案に対する論点については、部分的な解
決策にとどまるのではないかということのみ掲げておりましたが、賃金の高い者により
多くの負担を求めるという手法が、今日の取得再分配の施策の流れの中でどういうふう
に位置づけられるのかという問題提起がございましたので、これを記述いたしました。
67ページでございますが、年金分割のところで、非常に我が国は協議離婚が多いとい
う事実をどこかに記述をすべきということでございまして、67ページの最初のパラグラ
フのところに記述をいたしております。
それから、74ページの「遺族年金のあり方」のところで、これは前にも出てきたのと
繰り返しでございますが、「個人単位化を貫き廃止すべき」という意見の紹介について
、将来的には、あるいは「別建ての制度とすべき」ということで整理をしております。
75ページでございますが、「男女差を見直していく方向で考えることが適当」という
中で、生計維持要件の問題が提起されましたので、こういうことの検討と併せてという
形で記述を修正しております。
それから、78ページのまとめのところにつきましては、宮武先生からご紹介のあった
とおりでございます。
最後に80ページでございますが、女性と年金の実態の把握の必要性ということにつき
まして、2番目のパラグラフの中ほど、「女性と年金の実情の一層の把握を図りつつ」
という文言を加えてございます。本文の主な修正事項は以上でございますが、あとつけ
加えました資料といたしまして、5ページに関連いたしまして、資料編の方の25ページ
、26ページにありますが、「資料II 日本の年金制度における女性に関係する制度改正
の経緯」ということで資料を追加しております。
その次に、資料II−25で申し上げますと、28ページでございますが、昭和60年改正の
遺族年金の改正の中身についての資料を加えてございます。
それからII−30で33ページでございますが、パートタイムのいわゆる就業調整の問題
につきまして、年収分布の関係の資料を加えております。
次に資料編で申し上げますと、53ページになりますが、第3号と類似をする配偶者に
対する給付をアメリカやイギリスでやっておるということで、これに関します資料を検
討会に提出いたしました資料を加えております。
続きまして、その次の54ページの現行の制度における保険料負担と給付でございます
が、1枚目は従前より付けておりましたが、標準報酬が上限を超えるとという問題につ
いて、資料に追加する形で明確にしております。
一番最後の93ページの資料ですが、前回の検討会でご指摘のありました国連開発計画
が作成しております「ジェンダー・エンパワーメント指数」に関しまして資料を添付し
ております。
修正事項のご報告、以上で終わります。
○袖井座長
どうもありがとうございました。ただいまご報告にありましたように、皆様方のご意
見をかなりたくさん取り入れて報告書を作成しておりますけれども、なお、この上、何
かご意見とかご質問がおありの方はどうぞ。何か言い残して心残りということがあると
困りますので、どなたかありますでしょうか。
高島委員よろしいですか。いっぱいご要望がありましたけれども。
○高島委員
せっかく指名されましたので、何か言いましょうか。
○袖井座長
言わなければよかったかな。
○高島委員
幾つか申し上げたいと思いましたのは、「女性のライフスタイルの変化」ということ
が、従来の女性の、自営業で行く人たちは自営業だと、被用者になる人はずっと被用者
になる。女性の場合は大方の人が結婚して、離婚もしないでずっと暮らしていくという
ことを前提にした年金制度が今ではどうも適用がしにくくなっているという問題がたく
さん出ているということであります。加えて、最近の雇用状況から見ますと、パートだ
とか派遣の働き方が若い人たち、女性、中高年の人たちにも非常に広がってきている。
請負労働みたいなものも広がってきて、今までの2号の中もかなり変わってきている。
どうしたら国民皆年金で老後の生活が安定したものにすることができるのかという意味
で、私はぜひ、一番最後に注文をつけた女性と年金だけではなくて、こういう生活の中
身はかなり変わってきている。安定した年金制度を国の年金制度として維持するために
はどうしたらいいかということについて、ぜひ、できるだけ多くの人たちに議論をして
もらう必要があると思います。そのための討論の材料も、年金を制度の仕組みからだけ
議論するのではなくて、自分たちにとって年金とはどういうものなのかという議論がで
きるよう期待をしたいと思うんです。
ですから今回のこの報告書、かなりページ数が長くなって、私自身でさえ最後まで読
むのはもう嫌になるなというぐらい長いのですけど……。
○袖井座長
高島さんの意見で長くなってしまった。
○高島委員
だけど読んでもらわないと困ると思うんですよね。この報告書がパブリック・コメン
ト、これがある意味では中間まとめなんですよ、という意味で、できるだけ多くの人た
ちがこの報告書に対して意見をいただき、そのいただいた意見が次の検討というのです
か、年金部会の中で活かされていくことが望ましいのではないかと思います。ですから
、この報告書がそのように使われるように、年金局の方でも努力をしていただくという
のが一番いいのではないかと思います。
前回の年金審議会の中で一番強く期待をされたのは3号被保険者問題どうするのだと
いうことで、このことについて年々意見が強くなってきているわけですから、3号被保
険者問題についても、ここでは「強く期待する」という文言になっていますけれども、
これも本当に早く解決をしないといけないと思いますから、次の年金改革のときに、こ
れよりもっと進んだ議論がされるように議論を進めるべきではないかと思います。
女子労働の面から言えば、均等法ができたときに3号被保険者ができるというのは納
得できない。この報告書ではやむを得ず「費用負担を求めずに」という表現になってい
ますけど、何らかの形で連帯経費は払ってもらいたい。仲間としての負担はしてもらい
たいというふうに思います。
それから、ここに付けていただいた資料で、私が再々言ったシングルの人たち、シン
グルマザーの人たち、どうしても年金が安くなってしまう人たち、いただいた資料の中
に、65歳以上単身世帯の所得金額だとか、所得に占める社会保障の割合だとか、こうい
うデータを見ていても、どうしてこうなってしまうのかがわかるといいと思うのです。
今、介護保険は全ての人が払うという仕組みになっています。それを年金から払うとい
う仕組みになっているけど、介護保険料よりも少ししか年金をもらってない人が、払わ
なければいけない人の中の2割ぐらいいる。介護保険料でさえ払えない程度の年金しか
もらってない人が2割もいる。こういう人たちは一体どういう人生を送ってきたのだろ
う。結果として年金が低くなってしまう人たちというのは一体どういう生活状況にあり
、過去どういうことなのかということをきちんと議論し調べることが、言ってみれば、
これからの年金の仕組みをつくる上でも私はとても大事ではないかと思うんです。
○袖井座長
すいません、ちょっと。
○高島委員
標準的な姿ということを中心にして議論してしまうと、どうしてもその部分が抜けて
しまうということを再度強調したい。
○袖井座長
長くなりますので、ほかの方にもお話しいただきたいのですが。
○高島委員
全部感想として言ってしまいますから。
○袖井座長
今、高島委員のお話で、これを今後どうするかというところまで話が行ってしまいま
したので、一応この内容で取りまとめということについての合意をまずとりたいと思い
ますが、よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○袖井座長
では、一応これで取りまとめということにさせていただきまして、本日、私の方から
坂口厚生労働大臣にご報告させていただきます。皆さんの熱心なご議論ありがとうござ
います。
今、高島委員の方から、今後ここからスタートして、どうこの報告書にまとめられた
内容を現実化していくか、展開していくかということ、あるいは女性の年金をよりよい
ものにするために、年金だけではなくて、ほかの諸制度あるいは諸政策にどういうふう
に活かしていくかというようなお話もありました。この検討会の報告書はこれでまとめ
ておりますが、これから本当に国民的な議論を深めていくということ、あるいは次の年
金審にどう活かすかとか、そのほかのいろんな展開の仕方があると思います。それらの
ことについて何かご意見がありましたらお聞かせいただきたいのですが、全体的に割に
発言の多かった方にはちょっとご遠慮いただきまして、余り発言のなかった方にご意見
をお伺いしたいのですが、今井委員はいかがでしょうか。
○今井委員
感想も含めてでいいでしょうか。私は第1号ということで参加させていただいていま
すけれども、今までに勤めていましたので2号を経験しております。職業として、私は
農業を選んだことで初めて1号になったということで、その時点ではわからなかったの
ですけど、後でよく考えてみたら、勤めをやめて農業をやるということは2号から1号
になるのかというのが大分たってからわかったんですね。ここへ来て初めて具体的ない
ろんなことがわかったのですけれども、そういうことをわかったときに、先ほども皆年
金ということで、1号の中で三十数%の方が多分未加入だと思うのですけれども、フリ
ーターのような方がだんだん増えていくし、2号の方もいろんな2号の方がいらっしゃ
るし、3号の方もいろんな3号の方がいらっしゃるということを知ったときに、1号の
三十数%はどうなっていくのだろうというのがすごく私は今心配なところなんです。
話題にはなりませんでしたけど、そういったところの視点も、それこそ皆さんの、き
ょうできた、湯気が立っていますけど、これを資料として皆さんで話し合っていただく
中に、そういう広い意味でのお話もどんどんいただけたらいいかなと思いますし、3号
に集中しちゃいましたけど、これからというのは、3号の方も1人の人間として生きて
いく中で、やっぱり夫のかさの下というのは、絶対これからというのは望む人が少ない
と思うので、生き生き生きていく、それこそ男女共同参画社会を築く上で形が当然変わ
っていくと思います。自発的に変わっていく体制を、私はここへ来てもっと活発な意見
で年金制度から男女共同参画社会が変わっていくかなという思いで最初来たんですね。
実際来てみたら、全然雰囲気的には違った足踏み状態が結構続いたかなと思うんですけ
れども、でも後半に入りまして、変えていこうという皆さんの意識とか事務局側のあれ
もわかりましたので、これをぜひ男女共同参画社会を進めていく上で絶対年金制度から
いい方向に変わっていくということを期待して、この活かし方も、どんな活かし方をす
るのかで変わっていきますので、ぜひいろんな方に読んでいただけるものとして使って
いただければなと思います。
そんなところです。
○袖井座長
どうもありがとうございました。確かに1号について十分議論をしていなかったとい
う点もございますし、1号が定額の保険料でいいのかどうかということも非常に大きな
問題で、3号も多様ですけど、1号はそれ以上に多様ですので、そのあたりのことも今
後の重要な検討課題かなというふうに考えております。
それでは佐藤委員いかがでございますか。割にお休みが多かったので、ぜひ何か。
○佐藤委員
恐らくそんなに休んでないと思うのですが、起草委員会のときにたいがい言いたいこ
とはしゃべっていますから余り残っていないのですが、起草委員として少しかかわった
責任もあって一言だけ申し上げます。
この報告書のつくりというのが、総論部分のIV章までと各論に入っているV章という
形になっております。このV章で6つの大事な問題点を扱っているわけですけれども、
ここの各論点間の関連というのは必ずしも明確には実は示されておりません。最初の草
稿から比べるとはるかに相互の関係をよく示してくださる小見出しというか、小項目が
増えたということは全く確かでありまして、それは大変な改善であると思いますが、な
お、この6つについて、1についてはこの答え、2についてはこの答えという選び方が
完全に自由にできるわけではないということは確かなことだと考えております。
その意味で、これからの議論というのは、これだけの論点に対して、これだけの選択
肢があるということが示されたわけですから、更にどういうパッケージで選択肢という
ものが存在するのだろうかということを考える。恐らく3つぐらいになるのではないか
と私は見ているんですけれども、それは正しいかどうかわかりません。しかし、それぞ
れについて3つの選択肢があるから、3の6乗の答えがあるというわけではないという
、そういう意味でどういう整合的なパッケージがあるかということを次の委員会でぜひ
検討していただきたいと思っております。「整合性に留意する」という文言が入ってい
ることは重々承知しておりますが、なお各論のところについて一言申し上げました。
○袖井座長
ありがとうございました。翁委員はいかがでしょう。
○翁委員
私は基本的に今回の報告書で改革の方向が打ち出されたことは、長くこの3号の問題
というのは解決しなければならない問題として余り具体的な方向が出てきていませんで
したので、1つの大きな一歩だというように思っております。
私が感じておりましたことは、1つは今、佐藤委員がおっしゃった点と非常に関連し
ていますけれども、個人単位と世帯単位というような括りで論点は示しているのですけ
れども、例えば個人単位とか世帯単位ということについて、この3号のいろいろな幾つ
かの案というのが、どういうふうにそれを答えているのか、そういう問題などについて
はもう少し、どういうふうな答え方をしていくことがより国民にわかりやすい説明なの
かということについて、その論点と個々の課題についての説明を国民に対して説明して
いくときに心がけていくことが必要だと思っております。
それから、最後のところにほかの政策との整合性について書いてありますけれども、
本当に女性のライフスタイルの変化に対応して、年金だけでなくて、社会保障全般、女
性が働くという時代になっていったときの育児、介護の仕組み、これは横断的に社会保
障のことを議論していかなければもう間に合わなくなってきておりますし、それから雇
用政策に関してもそうでございますし、また、今、小泉内閣がやっている都市再生とか
そういったことに関しても、本当に機能複合的な都市をつくっていくというようなこと
をしなければ、こういった女性のライフスタイルの変化には対応できなくなってきてい
るということだと思います。
ですから今回大きな方向観として共働きをモデルとするとか、そういったことはかな
りキャッチフレーズとしても大きな時代の変化を先取りしていくレポートだと思います
ので、こういったこときっかけに、制度全般を見直していくきっかけになっていくよう
な議論が起こればというふうに思っております。
○袖井座長
どうもありがとうございました。それでは中田委員はいかがでしょうか。
○中田委員
この検討会は問題自体もかなり複雑で、なおかつ議論もかなり錯綜したこともあった
と思うのですが、非常に上手に議論をおまとめいただいて、座長、起草委員の方々、そ
れから事務局などにまずお礼を申し上げたいと思います。
せっかく出された報告書ですので、年金部会の議論に反映させていただくというのは
当然なのですが、何かコンパクトな形の印刷物にしていただいて、広く読んでいただく
というようなことも考えていただくこともあっていいのかなと思います。
それから、要約版というのができていますから、英文にしていただくということも必
要なのかなというふうに思います。
もう一点、データの関係で、先ほど高島委員もちょっとおっしゃいましたけれども、
実情の把握ということが報告書に入っているのですけれども、年金ですと、働きだして
から死ぬまでの話ですので、1時点の横断面のデータでは把握しきれない問題があろう
かと思います。最近ですと、ロンヂチュージナルスタディとかパネルデータといって個
人、世帯を個票のベースで追いかけていってデータとしてつなげるというようなことが
よくやられているわけですけれども、そういったもののご検討をお願いしたいと思いま
す。
アメリカでは1992年からミシガン大学で50歳代の個人を追いかけていく調査が始まっ
ているようでございます。そこで特徴的なのは、個人ベースで追いかけていくわけです
けれども、それと行政上のデータを結びつけているということでございます。年金は制
度自体も複雑で中身が難しいので、聞き取り調査だけではなかなか正確な答えが出てこ
ないと思いますので、行政上の情報とうまく結びつけるようなこともお考えいただけた
らと思っております。
○袖井座長
ありがとうございました。それでは、どなたかどうしても発言なさりたい方がありま
したら、短めに。
○下村委員
この報告書を受けて、今後どうしたらいいかという点についての私の考えですけれど
も、先ほど高島さんも言われたように、ぜひ次回の審議会ですか、社会保障審議会があ
るようですので、それにはぜひ引き続き活かしていただきたいということは当然なので
すけれども、男女共同参画社会基本法ができましたときには、その成立前にはかなり論
点整理ということでいろんなところで説明会をやっておりますので、できればそうした
会を何回か設けていただいて、注目度が高いと思いますので、広く意見を聴く場所をぜ
ひ設けていただけたらいいかなと私は思っています。
○袖井座長
下村委員とか大島委員など、そういう女性のいろんな会合とかセンターとかの活動を
なさっていらっしゃるので、ぜひそういうところでも活用していただきたいと思うので
すが、大島委員いかがでございますか、何か。
○大島委員
私もこの報告書につきましては、起草委員の方々ありがとうございました。この報告
書を基に国民的議論を期待するということでしたので、その議論の前提としてはいろん
なマスメディア使うとか地方自治体などの協力を得て情報提供、意見の吸い上げはお願
いしたいと思いまして、それでちょうど市川ですが、こんなのが(「いちかわ」)出て
いまして、こんな大きく出してもらうといいのかなという気がしますので、こういうこ
ともお願いしたいと思います。
それと私自身も、先ほどから座長さんから言われたように、何かそういう場を設けて
いきたいと思いますので、そういう場合には委員の方々に講師をお願いしたりすること
もあるかと思いますので、よろしくお願いいたします。
○袖井座長
委員の方々というよりも、大島委員も委員でいらっしゃいますので、ぜひご自分でや
っていただけたらと思います。ほかに何かございますでしょうか。堀委員はいかがです
か。
○堀委員
結論的には女性と年金の問題でかなり前進を見るのではないかと、そういうことで評
価をしたい。女性と年金の問題については必ずしも正確でない理解があって、代替案な
んかも出されるのですが、代替案にも問題がある。あるいは代替案も無いということも
あります。そういった点で、この報告書はかなりいろんな角度から論じていますので、
そういう正しくない理解、誤解がこれを読むことによってかなり正される面があるので
はないかということから、将来に議論に向けてのいいたたき台であると思います。ぜひ
ともこれは公刊するような形で出してほしいと思います。
○袖井座長
どうもありがとうございました。私も今回初めていろんなことがわかったという感じ
でして、年金に関する書物を見ましても、女性と年金については割にあっさりとしか取
り上げられてなくて、本当にこんなにいろいろ複雑に絡み合っているということが今回
初めてわかりました。皆様のお手元に概要版とかあらましとか届いておりますが、概要
版だけではよくわからないと思いますので、できましたら本当は多くの方に本文の方を
お読みいただけるとありがたいと思っております。
そのほか、永瀬委員はいかがですか。もしありましたら。
○永瀬委員
本当に今日本のあり方というのが大きく変わる時期だというふうに思っています。202
5年の高齢化の1つのピークまでにあと二十数年しかない。そういう中で、そして、ま
た、女性の生き方が大きく変わっていっている中で、どうしたらいいのかということを
ここで検討して、そしてここまでの合意が得られたというのがこの検討会です。しかし
、ここをスタートとして、2004年の改正に向けて、現実的にどういう形に具体的に制度
としてつくっていくのか。その形によって非常にまた結果には大きな差が出ると思うの
で、そこのところを今後ともぜひ考えていきたいというふうに思います。
そういう意味で、ここでできた合意を新しいスタートとして更に考えていきたいとい
うふうに思います。
○袖井座長
ありがとうございました。住田委員何かありますか。
○住田委員
随分長期間にわたって関係する方々のご努力がございました。特に最後、起草委員の
方々は大変だったと思います。心からお礼を申し上げたいと思います。私自身、はから
ずも、この検討委員会に入りまして、最初民法の視点からと言われていたのですが、こ
れはそれだけではとどまらない非常に大きな問題であるということを実感いたしまして
、今もこの間出ました意見に対して本当は反論を言いたい気持ちはたくさんあるのです
が、そういう大人げないことはここではいたしませんけれども、そのぐらいにやはりこ
れから研究していかなければならないテーマというのはたくさんあるかと思います。
ただ、今、永瀬委員からお話が出ました、高齢化社会のことですが、実際は働き手の
数は数年前にピークを迎えておりまして、今働き手というのが少なくなっています。日
本は世界に比類のないほどの超高齢社会に今突入している最中でございます。そうする
と世界の常識若しくはこれまでの日本の常識というのは、今後は日本にとっては非常識
になってしまうという、大きな転換点であるということは間違いないかと思います。そ
ういう意味では、これを出発点にしまして、21世紀、これからによりふさわしい制度と
いうことでいろんな議論が積み重なっていくことを心から期待したいと思います。
特に私自身、この検討会に対しては予想以上に反響、期待が大きかったことを実感い
たしました。これに終わらず、逆に言うとどんどん広がりを持っていくことを個人的に
も強く希望しております。また、それが期待できる社会になるかと思っております。
○袖井座長
どうもありがとうございました。それでは駒村委員、一番お若いのではないですか。
これからの支え手の方になられる方ですけれども、よろしくお願いします。
○駒村委員
ありがとうございます。支え手になるのが果たしてハッピーなのかどうなのかわから
ないですけれども、全体の中で、特に専業主婦モデルが必ずしも中心ではなくて、共働
き世帯モデルというのが初めて表に出てきたということは大変評価されるのではないか
。特に年金分割は非常に大きな評価を受けるのではないかと思います。
3号については、ステレオタイプの個人単位ということだけではなくて、ここに出て
いる選択肢をよく理解していただきたい。税は負担面だけの議論でいいですし、社会福
祉の給付は給付面だけでもいいのですけれども、負担と給付に一定の対応関係がある社
会保険の特質を考えて、どういう効果があるのかという視点から代替案を選んでいただ
きたい。特に、私の気持ちとしては、原稿の3号制度も1つの案として一緒の選択肢と
考えて、これを積極的に選ぶのかどうなのかという気持ちで多くの国民の方に議論をし
ていただきたいと思います。
日本的雇用慣行というのがもう崩壊しつつあって、ワークシェリングという形で、正
面から共働きというのを想定しなければならない。世帯が性別役割分業というスタイル
からリスクシェアリングの主体というふうに変わりつつある中で、3号という制度をま
た今後も選んでいけるのかどうなのか、この辺の評価をしていただきたい。年金が働き
方を引っ張るということはないと思いますけれども、人々の就業に対して柔軟な制度に
なっていただきたいなと思っております。
また、児童関連の給付も、共働きの方にモデルが変わってくるという中で、政府の責
任であり、年金にできるところはどこなのかというところも大いに議論していただきた
いなと思っております。以上です。
○袖井座長
ありがとうございました。それでは宮武委員何かありますか。
○宮武委員
いや、もう何もありません。ここで何か失言して、また再燃するのが嫌ですからしゃ
べりません。
○袖井座長
失言してまた元へ戻ってしまったりね。
どうも皆様、本当に長い間ありがとうございました。ライフスタイルに中立的な年金
制度をつくるということは随分前から出ておりまして、社会保障制度審議会とか年金審
とかいろいろありまして、男女共同参画審議会からも出ていたのですが、ほとんどそれ
を見るとちょろっと1行ぐらいしか書いてないんですね。恐らくここまで深く議論した
というのは、この検討会が初めてではないかと思います。
私は実を言うと年金の専門家ではありませんので、本当にどうなることやらと心配し
ておりましたが、皆様のご協力でこういうふうにまとめることができましたし、事務局
の方が本当に夜も寝ないでというか、すごい努力をしていろいろ立派な資料をつくって
いただいたりして、本当に感謝しております。私もいろんな審議会とか検討会とかかか
わってきておりますが、こんなにオープンだったというのは私の経験では初めてござい
ます。今、審議会等は一応基本的には公開ということになっておりますけれども、余り
参加なさる方が多くないのですが、ここは毎回たくさんの方が来ていただいて本当にあ
りがたいことだと思っておりますし、それから議事録も普通の審議会は要約版で、誰が
しゃべったかわからないのが普通なんですね。ところがこれは全部誰が何をしゃべった
か、失言まで全部出てしまって、本当にすごいという感じです。
これも初めてで、私はこのやり方はとてもすばらしいと思っております。それででき
ましたらこういう方法を今後もほかの検討会や審議会も続けていっていただきたいもの
です。私もいろんなお手紙とかFAXとかいただきまして、中にはちょっとむっとくる
のもありましたけれども、そういうことで相互にコミュニケーションすることによって
よりよいものになっていくと思います。それから本当に活発な議論がございまして、時
どきはこのままバトルでどうなることかと心配でした。右と左で火花が散ったりしたこ
ともございましたが、でもその結果として、こういうふうに報告書にまとまったという
ことが本当によかったと思います。
委員の皆様の何人かがおっしゃいましたように、ここからがスタートだと思うんです
ね。これをスタートとしていろんな形で議論を深めていく、あるいは広げていくという
ことが必要ではないかと考えております。幸いここに来ていらっしゃる方はいろんな分
野での代表的な方でいらっしゃいますので、それぞれの領域において、ぜひ女性と年金
の問題についての議論を深めていただきたいと思いますし、それからこの報告書がぜひ
今後の審議会、あるいは2004年の年金改正にうまく活かされるということを本当に心か
ら願っております。今まででも、報告書は出たけど、それっきりになってしまうという
ようなこともなかったわけではありませんので、ぜひ将来女性が自立して生きられる、
そして本当に女性自身の貢献が実る年金制度というのが実現する。それが遠くない将来
に実現するということを心から願っております。
本当に皆様方のご協力に感謝しております。
ここで、辻年金局長よりご挨拶をお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたしま
す。
○辻年金局長
昨年の7月以来1年半、私、1月から参加させていただきましたけれども、非常に精
力的にご検討いただきまして、特に個別の課題に入りましては月1回、最近は月2回、
それから起草委員の皆様方には夜遅くまで本当に熱心にご審議をいただきまして、事務
局を務めさせていただきました私どもといたしましても勉強になりました。
そんなことで、このたび、このような報告書をおまとめいただきましたことにつきま
して心から御礼申し上げます。
私どもご承知のとおり、年金制度というのはお金の流れ、給付と負担をつかさどる制
度ですので非常に頑固にできておりまして、ロジックを変えるということは非常に大き
な影響を持つ制度でございます。そういうことから、私ども場合によっては事務局がち
ょっとかたくななことを言っているようにお聞こえになったかもしれませんが、私ども
は悩み悩みこの問題に向き合ってまいりました。
そういう観点からこうしてまとめていただきましたものを、来年1月から社会保障審
議会の年金部会で、これをスタートラインにして本格的なご議論をいただきたいと思い
ますし、開かれた議論を引き続きお願いしたいと思います。
それから、もう一つは、るるご意見ございましたように、本当に国民的なご議論いた
だいて、国民的な議論の中から相当大振りな基本的な問題があることは明らかになりま
したので、国民的な議論をしていただき、国民的に方向性を決めていただくということ
が必要だと思いますので、私どもは極力この報告書というものをスタート台にして読ん
でいただくように、そしてご議論いただくように努力いたしますし、またこれだけ突っ
込んで、一堂に会してご議論くださいました委員の皆様が各方面でこの問題をPR、P
Rと言っては変ですけれども、問題点あるいは課題の広がりというものについてお話を
くださいまして、より踏み込んだ議論が国民の皆様の間で行われますようによろしくお
願い申し上げたいと思います。そういうことで今後ともまた委員の皆様にご指導いただ
きたいと思います。
そんなことで重ねて御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
○袖井座長
ありがとうございました。委員の皆様には昨年の7月に検討会が発足いたしまして、
本日で17回目でございます。大変にお忙しいなかを毎回精力的なご議論をいただきまし
て本当にこういう立派な報告書にまとめることができたことを大変ありがたく思ってお
ります。皆様に本当にお礼を申し上げます。
それでは、これをもちまして、女性と年金検討会を終了いたします。どうもありがと
うございました。
以上
(照会先)
厚生労働省年金局年金課
課長補佐 度山
企画法令第3係長 三浦
電話03-5253-1111(内3335)
03-3595-2864(夜間)