[背景]
1970年に進められた「むつ小川原大規模工業開発計画」の破綻によって莫大な負債と、残った土地。1984年、電気事業連合会からの立地協力要請を断れるはずも無かった。そして核燃料サイクル各施設は建設された。
現在、施設は「ウラン濃縮工場」「低レベル放射性廃棄物埋設センター」「高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター」「再処理工場(建設中)」。
六ヶ所村は酪農が盛んな土地である。
[感想]
以前から六ヶ所村を見学したいとは思っていた。思わぬ休みが取れたため、一路東北に向かった。上野から寝台特急で野辺地駅まで。朝早く付いたのは良いが、バスが全く無い(一日3本程度だった)。ここでボーっとしてもしょうがないので、タクシーと交渉して少し安い値段5000円で原燃に向かう。もし、見学を検討している人がいるなら、レンタカーなど車を借りて見学&観光を考えたほうがよいだろう。
日本原燃PR館では休日は11時と14時に見学バスがPR館から出ている。コースは「ウラン濃縮工場」「低レベル放射性廃棄物埋設センター」「高レベル放射線廃棄物管理センター」「再処理工場(まだ工事中)」の建物を外から見て、コンパニオンが説明する。当日でも参加可能。
○低レベル放射性廃棄物埋設センター
立地要請の際には貯蔵施設だったが、事業許可時には埋設最終処分場になっていた。事業の申請段階で、地下水位の問題等から設計を全面的に変更するなど、計画のずさんさが指摘された。
立地要請では、原発の廃炉解体廃棄物の受け入れも対象とされており、最終計画ではドラム缶換算300万本埋設としている。1998年6月の段階では全国の原発から11万本以上のドラム缶が搬入された。
バスに乗り込んで「ウラン濃縮工場」を見ながら「低レベル放射性廃棄物埋設センター」へ。ここではバスを降りて見学が出来る。説明によるとコンクリートの箱内に積み重ねたドラム缶をモルタルで充填、更にコンクリート箱をコンクリートで固める。その後、300年間監視するとの事。「監視して漏れたらどうするんです?」との問いには「低レベル放射性廃棄物は従業員の服など、あなたが着ている服みたいなものなので問題無い」という答えが帰ってきた。いったい何を監視するのだろう、疑問だ。
低レベル放射性廃棄物は各原発で、水や蒸気から放射能を回収するのに使われたフィルター類、放射能で汚れた紙や布を燃やした灰、汚れた水を煮詰めた濃縮液などをセメントに混ぜたりアスファルトやプラスティックに混ぜたりしたものをドラム缶に詰め込んだ物であり、決して低い放射能レベルではない。一般見学者を馬鹿にしているのだろうか。
○高レベル放射線廃棄物管理センター
英仏に再処理を委託し、発生した高レベル放射性廃液のガラス固化したキャニスターを保管する。キャニスターは2キロワットもの高発熱物体で30〜50年間の冷却貯蔵の後、地層深く最終埋設処分する計画だと言う。ガラス固化体の信頼性も地層処分の技術もまだなされていない。現在の地下処分地として狙われているのは幌延・東濃・人形峠と言われている。
1998年3月までに128本のガラス固化体が搬入・受け入れされた。
○再処理工場、「使用済み核燃料貯蔵プール」
再処理工場は建設着工から5年たっている。説明では「進捗率15%」という事だったが、実際は土台の仕様もまだ決まっておらず、再処理工場自体のの進捗率は7%という事。日本原燃では2003年には再処理工場の稼動を予定している。プルトニウムの利用の見通しも無いのに。
再処理工場の建設はほんど進んでいないのに、「使用済み核燃料貯蔵プール」は既に完成している。使用済み燃料の搬入は1998年10月2日に行われた。持ちこまれた使用済み燃料は福島県富岡町の東京電力福島第2原発4号機(沸騰水型軽水炉、出力110万キロワット)から出たもので、プールへ試験
搬入目的。専用運搬船「六栄丸」(3000トン)が2日午前7時ごろ、同村のむつ小川原港に運ばれた。
つい最近のグリンピースの報告では「再処理工場のあるイギリス・セラフィールドはひどい汚染で、アメリシウムはチェルノブイリの立ち入り禁止地区より高く、セシウムも同等の汚染度であった。セラフールドではごく一般の生活が行われている。」とある。
プルトニウム利用の柱としてきた高速増殖炉「もんじゅ」は、二次系ナトリウム噴出炎上で停止し、再処理によって得られたプルトニウムの使い道は今ない。
各地の原発の使用済み燃料貯蔵プールは満杯に近い状態のため、六ヶ所村に再処理工場用に建設された使用済燃料プールに使用済燃料を持ちこむ為にプルトニウムの使い道をはっきりさせる必要がある。つまり「プルトニウム利用する為、再処理を行う。持ちこむ使用済燃料は一時貯蔵だ」と。このため、軽水炉でプルトニウムを消費するプルサーマル計画が浮上した。
結局、使用済み燃料永久貯蔵となるだろう。
六ヶ所村を核のゴミ捨て場にしてはならない。核の被害者をこれ以上出してもいけない。その為には、まず原発をとめなければならない。