産廃ツアー[所沢〜いわき〜宇都宮]感想


 10/18〜19にかけて産業廃棄物処分場見学ツアーに参加してきました。その感想を書きます

★所沢
◎所沢
 高速道路を走っていると、煙があちこちから上がっている。この辺りの中間処分場などははインター付近に立地している。

 業者がまさにインターの出口でガンガン燃やしているのには驚きました。殆ど野焼きの状態で燃やしている事が多いという話を聴き、更に驚き。目の前に「カルネステーション」という焼き肉屋があり、昼間に意外に客が入っているのには驚きました(講師の方が言うには名前が変わっているので経営者が変わったのではないかと)。

◎くぬぎ山
 くぬぎ山には産廃業者が乱立しており、無法地隊となっている地帯。産廃業者が進出するまで、埼玉の軽井沢と呼ばれた造成林の緑豊かな一帯で、かつては療養目的で引っ越してきた人もいたと言う。

 くぬぎ山の産廃業者無法地帯は報道などで見聞してはいましたが、実際行ってみて余りのひどさに驚きました。一番驚いたのは、やはり悪臭です。こればかりは現地に行かなければ嗅げないので、知り合いの方に「機会があれば是非行くべき」と言われておりましたが、思った以上でした。産廃業者の周りはひどい悪臭なのですが、造成林の美しい森の中もどこももやがかかり、悪臭がたち込めており数分で気分が悪くなってしましました。道中の道は最初森の中のより低かったそうですが、産廃のゴミをを敷き詰めた道路だそうで森の中より20cm位高く広くなっています。瓦の破片が目立ち、中には焼却灰もあり無法地帯もここまで来たかと感じました。産廃業者の周りの松が立ち枯れ(塩素ガスの為らしい)しているのが、非常に印象的でした。この状態でも2年前に比べれば全然マシらしいのですが、現在でもあまりのひどさに驚いているのに当時は想像出来ないほど酷かったのでしょう。今までにどのくらいのダイオキシンがすでにばらまかれてしまったのか、と思うと気が滅入ってきました。

 くぬぎ山から4kmも離れた航空公園からドイツでは小児の土壌接触を禁止する100TEQ(pg/g)検出された言う話にはびっくりしました。航空公園はくぬぎ山からみて南に位置し、ほぼ9ヵ月を占める北風が理由だろうと考えられますが、現地の方が言うように所沢一帯はかなり汚染されていると想像出来ます。さらに気が滅入ってきました。

★いわき
◎沼辺町の廃油不法投棄現場
 (有)大谷総業が下請け業者を使って炭鉱廃鉱に約3万7千本のドラム缶の廃油を流しこむ。廃鉱内は危険なガスが充満し、中に入れない。

炭鉱廃鉱の入り口に近づくと油のいやな匂いが微かに漂っていました。入り口を閉鎖しており、危険な為中に入れないのが残念でした。見えない所ほど目茶苦茶な事をしているはずなので。いわき市の1/2の水道水源が近くにあると聴き心配になりました。











◎渡辺 堺化学の堺化学チタン廃棄処分場
 マレーシア輸入のイルメナイト鉱のチタン廃棄物を処分する予定。トリウム232という放射性廃棄物が含まれている。市内の街中にチタン廃棄物処理所があり、子供がそこで遊んでいた。

 小学校、保育園から400m程の地点に存在していおり何故建造できるのか非常に疑問を感じました。(500m以内の住民に了解をとらないといけない)
 放射性廃棄物をも棄てると言う廃棄予定地は街に対して冬の吹く北西風の風上にあり、住民への深刻な被害が安易に予想されます。小さな子供がいるお母さんは本当に恐ろしく感じている事でしょう。排水が1kmもの配管を通して街中に放水される話で二度驚きました。
 産廃処分場予定地は農業用水である鮫川、天然の鮭と鮎が上ってくる釜戸川の支流天神川にも隣接しており、そこからの汚染の被害も恐ろしい事です。産廃処理所の周りに広がる田んぼが印象的でした。
 地元の方の「住みやすいと聞いて引っ越してきたのにだまされた」「産廃処分場の工事での排水で鮎がいなくなってしまった。処分場建設の工事の段階で環境への配慮をしない会社が、廃棄物処分での環境への配慮をするとはとても思えない」と言う話が重くのしかかる。

◎大谷総業のドラム缶
 2万本、3万本ともいわれる大量のドラム缶が蜂の巣城を形成している。ドラム缶は雨曝しで廃油は仁井田川に放出。すぐ下流に水道水の取り入れ口がある。トリクロロエチレン、水銀、カドニウムが含まれる。地元の人はここの米は絶対に食べない。

 ドラム缶のあまりの多さに唖然。ドラム缶は雨曝しでただ重ねてあるだけで、その多くが錆付きぼろぼろになっており中の廃油がとても保持されているとは考えられないひどい状況で、車や大型タンクも投棄しており、廃油の悪臭もかなりきつく無法地帯ぶりになんと表現していいのか分からないほどでした。廃油が腐っているらしく本当に凄い悪臭。
 近くに水道水源である仁井田川が流れており、廃油が流れ込みがどんな被害を生み出すのか非常に心配です。ここも近くに田んぼが広がっています。




◎新八茎鉱山の廃止鉱山地下管理型構内処分場
 火力発電の石炭焼却灰を水で溶いて廃止鉱山地下抗内に流し込む。上擦みをポンプで汲み出し放流している。
 フライアッシュを水で溶いて、廃坑に流しているという処分場という事ですが、中が覗けないので非常に不気味に感じました。水は緑色(銅の酢酸イオンの色という説明でした)をしており、水の上澄みを貯えた「80mダム」では魚を飼っているのですが「絶対に取るな」という看板が3枚もあるのには思わず苦笑しました。ある人がパトロールの人に「その魚を食べないのか?」と訊ねたところ「いや、我々は食べません」と正直に答えたという話が印象的です。
 この水は水道水源である川の支流袖玉山川に流れており、ダムの土から砒素が検出されたそうで非常に心配です。





◎小野町の処分場
 ウィズ・ウエスト社の安定型最終処分場。いわき市の水道水源、夏井川の支流が近くを流れている。小野町の水源は違う所。

 ゴムシートは5層構造になっているらしいですが、メーカーであるブリジストンの人に何年もつのか訊ねたところ自信を持って「50年です」と答えたそうです。そんな短い間しかもたないとは。ゴムシートに穴が空いたらどうするのかウィズ・ウェスト社に訊ねたところ「穴を掘って補修する」と言ったそうですが、本当に実行されるんでしょうか?
 周辺の水の電気伝導度の測定では「下流では電気伝導度が高く、開業半年で上り傾向にある」という結果が出ており、いわき市の水道水源、夏井川の汚染が心配です。


★宇都宮
◎宇都宮大谷石採掘跡産廃ドーム
 宇都宮市新里町の安定型処分場。すり鉢状で15〜30mの深穴である大谷石採掘跡が処分場となった。道路上1mで完了のよていだったが、地上15〜20m積み上げた。

 目に入った時余りの無法ぶりにしばらくポカーンとしてしましました。写真の電信柱の右に人が確認できるでしょうか。異常な状態です。
なんだこれは?ゴミの山!!?ただゴミを積み重ねただけで20m!!これが安定型??
 正面から見ている時は匂いには気付かなかったのですが、側面に回った時丁度風下になり悪臭が漂っていました。最盛期にはもっとひどい悪臭がたちこめていたのでしょう。
 ここも周辺に田んぼが広がっており、雨の日などは産廃処分場の水が流れ込んでいる事が想像されぞっとしました。他の大谷石掘跡も産廃処分場となっているという話で心配です。




○後述
 どの処分場も水源の近くや、田んぼ・畑に隣接した非常に危険な立地条件で驚きの連続でした。また、無法地帯化した処分場には無茶苦茶腹が立ち胃が悪くなりそうでした。
 講師の方が言うには高速道路のインター付近が産廃処分場として狙われやすいそうです。もちろん東京からのゴミを運び出すわけです。

 「ドイツではリサイクル出来る物は徹底してリサイクルし殆ど焼却されず、その焼却灰もドラム缶に詰めて処分場用の穴に厳重に保管する。」と報道番組で観ましたが、日本との余りの違いに驚くばかりです。
 講師の方が「下流で頑張るよりも上流で原因を無くすのが重要だ」という話をされましたが、正にそのとおりだと思います。なるべくゴミを出さないような世の中への変革が今必要とされており、変革がなされないとゴミ問題の解決は有り得ないでしょう。

 現地に行き、記事などで想像していた以上にひどい状態が世の中に起こっており、自分の認識の浅さを実感しました。最近は、「所沢=ダイオキシン」とあまりにも騒がれてしまった為、所沢に集まったゴミは各地に分散させて燃やしているらしいです


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現地を訪ねて