1999/02/04[新聞記事より]
◇所沢産野菜入荷中止相次ぐ、ダイオキシン濃度高いの報道◇

 「埼玉県所沢市の野菜はダイオキシン濃度が高い」と、1日夜、テレビ朝日系「ニュースステーション」が報道したのをきっかけに、埼玉産や所沢産の野菜の入荷を中止する動きが広がっている。入荷の中止に踏み切ったのは、3日現在で少なくとも大手スーパー9社、約三百五十店。青果市場では埼玉産の野菜の価格が半値以下に暴落した。埼玉県は「所沢の大気中のダイオキシン濃度は高くない」として、各市場に説明に回るという。
 ニュースステーションはハクサイに降りかかる焼却灰の映像を紹介、野菜のダイオキシン濃度を調査したJA所沢市がデータを公表しないことなどを伝えた。また、東京都内の民間研究所の調査として、同市内の野菜から1グラム当たり0.64―3.80ピコグラム(ピコは1兆分の1)のダイオキシンが検出され、厚生省の全国調査(0―0.43ピコグラム)を大きく上回る、と報じた。
 所沢市によると、市内の青果市場では市内産ホウレンソウの卸値が半値以下に下がった。東京の野菜卸売業関係者によると、2日夜、スーパーなどからは、「埼玉県産の野菜はいらない」と注文がすべてキャンセルになった。小売店との取引でも、埼玉産の野菜は、品種を問わず半値以下に価格が暴落した。
 所沢市周辺には、産業廃棄物の焼却炉が集中し、ダイオキシン汚染が深刻な問題となっている。JA所沢市は1997年、独自でホウレンソウなど5品目の調査を実施した。しかし、「大騒ぎになれば責任をとれない」として公表していない。
 県の97年の調査によると、所沢市の大気中のダイオキシン濃度は0.79ピコグラムで、環境庁の指針値0.8ピコグラムを下回っている。県はこのデータを基に、市場の混乱を抑えるとしている。
 テレビ朝日は「所沢市は野菜のダイオキシン濃度を調査せず、JAも情報を隠し、農家も市民も不安に思っている。信頼できる分析結果をもとに問題を指摘するねらいだった」としている。

[私はこう思った]

 「ついに、このような事態になってしまった。」と言う気持ちだ。JAが値を公表しないという噂は前からあった。誰も報道できなかった事を報道したニュースステーションの報道内容にも疑問を感じるが、JAはデータを公表すべきだろう。埼玉県の説明も心苦しい。汚染されているとされている野菜は、ダイオキシンの元である周辺の産業廃棄物業者、そして、それを認可した埼玉県、放置した所沢市が全て購入すべき。

 今後心配されるのは「所沢産ではないので安全」と言う安易な安全確認だ。汚染されている可能性のある野菜は所沢産だけではない、所沢は汚染列島のほんの一部でしかない。ただし、私は犯人さがしをしようと言っているのではない。
 消費者は「あそこの野菜は危険だから買わない」と、生産者と対立する事態を避けなければならない。今回の事態も「危険だから、いらない」だけで終わってしまっては、「正直に言うだけ損」の風潮が広がり、他の地域は口を閉ざしたままとなるだろう。そして、消費者は何も知らずに汚染された食物を食べつづけることになる。
 国・県の農家への援助が今必要だ。それが出来ないなら、消費者である我々が援助を行わなければならない。今後の安全な食卓の為に。

テレ朝のニュースの後、所沢を訪れた。出荷されずそのまま枯れたほうれん草畑が
ぽつんとあった。私は泣きたいような気持ちと共に撮って良いのか、かなり悩んだ。
「所沢の野菜は食べません」で始まったテレ朝のニュースは「安全な所沢の野菜を食
べたい」の視点で報道すれば、もっと違った内容になっていただろう。残念だ。


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