1998年11月8日
所沢市長 斎藤 博 殿
ダイオキシン対策についての申し入れ書
日本全土が深刻なダイオキシン汚染を受けていることが明らかになる中、とりわけ所沢市の被害状況が全国的に注目されています。所沢市では、そういった流れを受けて、1997年3月に全国に先駆けて「ダイオキシン規制条例」を制定し、行政としてはじめてダイオキシン規制への具体的な一歩を踏み出してきました。市長自ら「ダイオキシン
0(ゼロ)のまち」を掲げ、ダイオキシン汚染をなくしてゆく決意も示してきたと思います。
しかしそうした先駆的な条例や決意とは反対に、所沢の汚染の現状は深刻さを増す一方です。ダイオキシンの主要な排出源である産業廃棄物処理場からは、「今すぐにでも煙を止めてほしい」という住民の要求に反して、未だに黒い煙が吐き出され続けています。規制、廃止どころか新たな産業廃棄物処理場が作られたとさえ聞きます。このまま先駆的な条例や「ダイオキシン
0」に向けた決意を空語に終わらせるべきではないでしょう。
現在所沢市では、ダイオキシン規制のために高温焼却が可能な「東部クリーンセンター」の建設が進められていると聞きます。しかし焼却炉の大型化には多くの問題点が指摘されています。大型化が進められたために、燃やすゴミが足りなくなり、今まで燃やさなかったような有害なゴミを燃やすとか、あるいはゴミの代わりに重油を燃やすということまでされていると聞きます。これでは
「ゴミは燃やして処理する」という考え方をますます助長し、ゴミを減らそうという意識、分別しようという意識をますます後景化させるばかりです。
今や「ゴミは燃やして処理する」という視点ではなく、「ゴミになるものは作らせない」という視点に基づいてダイオキシン対策を進めるべきです。そうしたときに問題となるのは生産段階での廃棄物管理の考え方であり、事業者責任の明確化ということになるでしょう。
ダイオキシンはサリンや青酸カリなどのように急性毒性を示すのではなく、次世代にまで渡って影響を及ぼすものです。所沢市教育委員会の小、中学生を対象とした調査によると、40%に近い子どもたちが、アトピーまたは喘息にかかっていることが判明しています。まだまだ被害実態は全面的に明らかにされていませんが、事態は緊急な対策を必要とするところまで来ています。現在の一部の利益を守るために、次の世代を担う若者や子どもに「ツケ」を回すべきではありません。一刻も早い根本的な対策を求めます。
以上のことから、
一、ダイオキシン規制条例に罰則規定の盛り込み
一、「東部クリーンセンター」の建設見直し
一、被害実態を明らかにするための住民の健康被害調査の実施
一、「ゴミになるものは作らせない」という視点に立った具体的な政策の実施
を申し入れます。
ダイオキシン汚染をなくそう!
11・8 若者と市民のパレード 参加者一同