98/10/25 反原子力の日 東海村パレード

 
 連日の悪天候が嘘のように快晴の10/25日、反原子力茨城共同行動のパレード・事業所への申し入れ・シンポジウムが開催された。例年「原子力の日」である10/26を反原子力の日として、共同行動を行ってきたが、今年は日曜である25日に開催された。

○パレード
 パレードは日本原子力発電株式会社からスタートし、核燃サイクルで終了。パレード参加者は約120名、「原子力は環境破壊エネルギー」「日本の原子力・核開発を阻止しよう」「RETFプルトニウム再処理施設建設反対」などのノボリをもち行進した。
 パレードに先立ち、反原子力茨城共同行動代表:丹野清秋さんより「動燃事故が解明されていないのに、核燃料サイクル開発機構への名称変更によってごまかすあり方に怒りをかんじないわけにはいかない」と出発の挨拶をおこなった。
 最初、日本原電で申し入れ。「東海発電所の生態遮蔽保存管理、東海発電所使用済み燃料を再処理せずに貯蔵・情報公開、JPDR解体作業での廃棄物処分問題を明らかにし、原子炉解体作業の不十分性と責任を認め、今後の廃炉技術・方法においての安全性の確立」の内容の申し入書を提出。多くの警備員が見守る中、日本原電の担当者は不在の為、警備員の方に申し入れ書を手渡した。
 パレードを行いながら次に訪れたのは日本原子力研究所・東海研究所。「廃炉処分技術・放射性廃棄物の処分技術の研究・東海原発の廃炉措置はJRR-1と同様の密閉管理法式を提言する事、ITER計画からの撤退の決断、JPDR解体作業での産廃処分問題の解明」との内容の申し入れ書を提出。職員不在の為、警備員に申し入れ書を手渡した。
 核燃サイクル開発機構では「再処理工場の運転の停止、RETFの建設の中止、MOX生産の中止とプルサーマルの中止、放射性廃棄物の保管・管理状況を明らかにする事、プルトニウム・マフの公開、動燃当時の予算決算の公開、再処理工場の原因究明の公開、使用済み燃料・放射性廃棄物の輸送の現況・期日の公開、環境放射線の測定の数値・モニタリングシステムのデータ公開、住民側との定期的話し合いの場をもうける事」の内容の申し入れ書を提出。警備担当職員が受け取った。

パレードは日本原子力発電株式会社からスタート。申し入れ書を渡して、出発。

○シンポジウム
始めに
 「廃炉をどうするの?」シンポジウムは15:00から核燃サイクル開発機構から200mほどの村松コミュニティーセンターで行われた。
 始めに、反原子力茨城共同行動代表:丹野清秋さんより「廃棄物・廃炉をどうするのか考えなければいけない。責任・技術・社会体制も整っていないのに、今だけ良ければ良いと開発ばかりおこなっている。前東海村村長の「原子力は地場産業と発言」とは何事か」と発言した。

ガンマー線測定中間報告
 シンポジウムの前に、核問題調査室の坂本国明さんより「東海村ガンマー線測定中間報告」が行われた。ガンマ線調査は、1997年9月から1ヵ月におきに「はかるくん」を用いて測定しており、多くの反原子力茨城共同に参加した200人近いボランティアによって得られた1年間の測定(動燃)で得られた貴重なデータである。坂本さんはこのプロジェクトの中心人物。
 ガンマ線調査プロジェクトは、ガンマ調査だけでなく最終的には疫学調査も合わせて行って汚染の状態を掴む予定。
 信州大学の三輪さんやR-DANの方々にさまざまなコメントを頂いた。

 データの解析は砂利・砂の係数、自然放射線の値の仮定の下で行われた。
 解析の結果は原電・原研・動燃の風下(北東方向からの風)はあきらかにガンマー線レベルが高い結果となった。原因が、それぞれの施設にあるとは断定出来ていないが、来年の最終報告では断定したい。
 動燃は止まっているため、動燃由来のガンマ線は測定できない。もし動いていればちがった分布になるだろう。
  ガンマ線調査は今後も1年間測定を行っていく予定。


シンポジウム
 シンポジウムではパネラーとして「地元から見た原子力」相沢一正さん、「廃棄物を中心とした海外の動向と運動の提携」アイリーン=スミスさんが報告した。コーディネーターは根本がんさん。相沢さん根本さんは東海第二原発訴訟の原告。スミスさんはグリーンアクション。

相沢さんの報告
 1997年3月の動燃の事故の後、キャッシュカード不正使用の事故が起こった。事故によって動燃が止まったため仕事が来なくなった業者が犯人だった。東海村ではそういった孫受け・ひ孫受けの末端業者が非常に多い。東海村の経済は原子力関連によって成り立つ経済構造となっている(原子力漬けとなって非常に弱体化している)。
 
 廃炉の問題
1)廃棄物一般
 東海第二では1997年3月時点でドラム缶4万2000本。動燃東海ではドラム缶12万本以上、ガラス固化体62本のキャスク(10m3)。原燃・核燃料最工場などでも、放射性廃棄物が満杯になってきた。ある試算によるとドラム缶は31万本にもなると言う。
2)処理の方法が無い
 廃炉処分について行政・住民がものを言う事が出来ない。原子力安全協定では廃炉は事業体から自治体に報告すれば良いものでしかすぎない。議会などで検討をおこなう事態はなく、どこもチェックする機構が存在しない。
3)クリアランスレベル
 通産省の廃炉小委員会が検討しているが、一般産業廃棄物にするレベルをどうするのか。96%ものもの廃棄物はクリアランスレベルで放射性廃棄物以外として処理される危険性がある。
4)処分の場所
 処分の仕方、場所については何も決まっていない。
5)廃炉の土地の問題
 廃炉処置を行いさら地になった場所では東海3・4号炉を計画している。東海3,4は150万KWもの出力の地下埋設ABWRが計画されている。そういう意味でも(解体)廃炉を許してはいけない。

アイリーン=スミスさん
 世界に4百数十基あるが、そのうちの半分は25年以上立っている炉で、まさしく廃炉の時代に入っている。新しい建設は欧米では斜陽の産業となっている。ヨーロッパの西では建設予定は1基もない(フランスでは現在1基建設中)。アメリカでは1980年に入った段階から計画建設は1つも無い。膨大な廃棄物を生み出す廃炉をこれからどうするのかが、大きな課題。
 ベルギーの最高裁判所がMOX燃料加工工場に対して「建設する町の町議会の決議・町の公聴会が済む前に、建設認可は違法である。町の声を聞かなかった」として、違法とした。
 イギリスは1990年にマグノックス炉は閉鎖してから135年様子を見る、解体は行わない事が決まった。イタリア・スペインは40年以上かける、フランスは少なくても50年、日本の十数年は余りにも短すぎる。
 セラフィールドはひどい汚染で、つい最近のグリンピースの報告では、アメリシウムはチェルノブイリのゾーン内より高く、セシウムも同等の汚染度であった。セラフールドではごく一般の生活が行われている。このレポート訳は原子力資料情報室WEBに載せている。
  ネイチャー10月号でイギリスの民事利用コルダーホール炉の再処理プルトニウムはアメリカの核兵器に入っているとしか考えられないという記事が掲載された。もちろん、東海の再処理も混じっている。

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