- 11月下旬の臨時国会山場に総結集しよう!
- 在日米軍再編関連法案と
教育基本法・国民投票法案など継続審議法案を廃案に追い込もう!
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小泉内閣は5月30日、「在日米軍の兵力構成見直し等に関する政府の取組について」を閣議決定しました。しかし米軍再編関連法案については164国会には提出せず、秋の臨時国会に持ち越しました。また国民投票法案・教育基本法改悪案・共謀罪新設法案・防衛「省」法案・自衛隊法改正案なども継続審議となりました。臨時国会では、こうした重要課題と絡み合いながら、米軍再編に関する事態が進んでいくことになります。
ブッシュ大統領と小泉首相は6月29日、米国で会談し、「新世紀の日米同盟」を宣言しました。日米は、「共通の脅威に対処するのみならず、自由、人間の尊厳及び人権、民主主義、市場経済、法の支配といった中核となる普遍的価値観を共に推進していく」、「テロとの闘いにおける勝利、地域の安定と繁栄の確保、市場経済の理念・体制の推進、人権の擁護、シーレーンを含む航海・通商の自由の確保、地球的規模でのエネルギー安全保障の向上といった利益を共有している」としています。日本は、米国と共通の価値を持ち、共通の外交と安全保障を行い、テロと戦うことを約束したのです。
また日米は、「普遍的価値観」をアジアに拡大するとしています。テロとの戦いや、そのための米軍再編は、国連憲章や国際法に違反し、日米安保条約からも逸脱しています。しかし日米政府は、「日米安保体制を中核とする日米同盟関係が日米両国の安全と繁栄を確保し」「地域及び世界の平和と安定を高める上で死活的に重要な役割を果たし続けることを認識」(共同発表2005年2月19日)として、日米安保体制を根拠として、日米同盟を位置づけているのです。
青森県つがる市の航空自衛隊車力分屯地に、米軍がミサイル防衛(MD)用に開発した「Xバンドレーダー」を配備しました。それにともない国土交通省は、青森県つがる市上空に飛行禁止空域を設定し、青森空港と函館空港を利用する航空機の発着ルートを一部変更しました。レーダー波が航空機の計器に悪影響を与える恐れがあるためです。「Xバンドレーダー」の配備に際して日米政府は、航空機に悪影響を及ぼすほど強力なことを隠してきました。負担が軽減されるはずの沖縄県には、新たに対空誘導弾パトリオット3(PAC3)24基、兵士600人、家族900人が駐留することになりました。中間報告や最終報告で政府が隠してきた中身が、次々と明らかになっています。
★日本政府の北朝鮮のミサイル発射に伴う偏狭なナショナリズムを許すな!
米国と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との間では、緊張が高まっています。米国は北朝鮮をテロ支援国家に指定し、核を含む先制攻撃の対象としています。昨年9月には、米国は北朝鮮の口座があるマカオの銀行に制裁を科し、北朝鮮の国際決算の一部が停止しました。本年6月22日には日米合同で海上配備型迎撃ミサイルの実験を実施、7月8日にはイージス駆逐艦「マスティン」を横須賀基地に配備し、さらにイージス巡洋艦「シャイロー」を同基地に配備しようとしています。前述の「Xバンドレーダー」や「PAC3」の配備も含めて、日本を前進基地とした北朝鮮包囲網の形成が進んでいます。
北朝鮮は米国に対して、金融制裁解除のための2国間協議を求めましたが、6カ国協議の再開を優先する米国は拒否しました。
こうした中で7月5日、北朝鮮は弾道ミサイル7発の発射演習を行いました。北朝鮮は外交官の発言や国営放送の報道を通して、米国の圧力に屈しないことを鮮明にしています。
日本政府の阿倍官房長官声明では、「極めて憂慮すべきもの」とし、「わが国の安全保障や国際社会の平和と安定」そして「大量破壊兵器の不拡散」という観点から「重大な問題」であり、日朝ピョンヤン宣言にあるミサイル発射モラトリアムにも反する疑いが強いとして「厳重抗議・遺憾の意を表明」をして、6カ国協議への早期かつ無条件の復帰を強く求めたのである。同日午後には、北朝鮮に対し1)厳重抗議し、ミサイル開発中止、廃棄、輸出停止と、6カ国協議への早期かつ無条件復帰 2)万景峰号の日本の入港禁止 3)北朝鮮当局の職員の入国の原則禁止、また入国審査の厳格化。北朝鮮船籍の船舶乗員の上陸原則禁止 4)在日北朝鮮当局の再入国の原則禁止 5)日本の国家公務員の渡航の原則見合わせ、北朝鮮への渡航自粛の要請などの措置を明らかにした。発射からほぼ1日たった6日には、国連安全保障理事会のメンバー国に対し、制裁を含む国連憲章第7章に基づく決議案を提示した。結果は、16日に制裁を含まない非難決議(第1659号)が全会一致で採択された。
この間、日本国内では北朝鮮バッシングが加熱し、9日は額賀防衛庁長官・麻生外相が、敵基地攻撃能力保有を主張し、10日には安倍官房長官も法律上敵基地をたたくことは可能であり検討を行うことは必要だとの見解を示しました。政府は7日には08年3月をめどにしているミサイル防衛システムのPAC3の配備予定を前倒しして年内に行うことを決めた。韓国政府の国連憲章第7章を援用した決議案は事態を悪化させかねないとして反対の意向や日本の政治指導者の先制攻撃発言など新たな状況が事態を悪化させる憂慮があると日本政府を批判しました。安倍官房長官は12日、敵基地攻撃能力保有は先制攻撃ではない、能力を持つべきだというのでなく研究する必要があるということだと弁明しました。
ミサイルは日本をめがけたわけでなく、ナホトカ沖に着弾し、テポドン2号については、発射台から1.5キロ以内の地点の上空で爆発し、ほぼ真下に落下したと米政府が日本側に伝えたことも判明しています。一部のマスコミの新潟沖など煽ったことに対し、戦前の翼賛報道とも思える行為に私達は看過してはなりません。また嘉手納基地配備しようとしているPAC−3は、その後、年次を追って入間基地、浜松基地、岐阜基地の順に4箇所に配備される計画になっています。PAC−3の射程距離は200キロ前後で、もし飛んでくるミサイルが撃破されたとすれば、その下にはミサイルの破片が落下してくることになる。首都圏でも同様である。
北朝鮮が日本にミサイル攻撃を行うときは日本との全面戦争であり、現行の日米安保からすれば、米軍が軍事行動をとり北朝鮮へ直接攻撃を行うだろうし、果たして北朝鮮は日本と米国との全面戦争だけに限定した軍事行動をとることがあるだろうか。また、在韓米軍の行動により韓国と北朝鮮との間で戦端が開かれ、かつての朝鮮戦争が起こる。要は朝鮮半島そのもので火が噴出している事態となるときにしか、北朝鮮が日本へのミサイル攻撃は考えられないのである。それゆえ、北東アジアでの非核化や安全保障の進展が外交に求められており、小泉・阿倍の米国一辺倒の路線を転換させなければなりません。
★アメリカの先制攻撃・単独主義に反対し、日米同盟の強化と米国追随をやめさせよう!
朝鮮半島以外の地域でも、国際紛争に発展しかねない問題が起こっています。米国は北朝鮮と同様にテロ支援国家に指定したイランに対しても、核開発・ウラン濃縮を中止させる圧力をかけています。これに対してイランのアハマディネジャド大統領は7月1日にアフリカ連合首脳会議の場で、米国を強く批判。ベネズエラのチャベス大統領もイランに同調して米国を批判するなど、米国に反対する国々の連携が深まる可能性があります。
インドは7月9日に、核弾頭搭載が可能で、中国を射程に入れる弾道ミサイルの発射実験を実施しました。インドに対しては米上下両院・外交委員会が6月末、核技術供与を認める法案を可決したばかりです。
パレスチナ自治区ガザでは6月以来、イスラエル軍の攻撃によって多数の犠牲者が出ています。国連人権理事会は7月6日、イスラエル非難決議を採択しましたが、日本は反対票を投じました。8月12日安保理は、イスラエルとヒズボラの戦闘停止の決議を採択しました。国連レバノン暫定軍を増強して緩衝地帯やヒズボラの武装解除を目指すとしていますが、根本的な問題の解決には至っていません。
米国が自国の正義を唯一の基準とし、世界を「対テロ戦争国家」と「テロ支援国家」に2分することで、各地で対立と紛争が拡大しようとしています。しかしアフガニスタンとイラクでの戦争が長期化し、米国は第3の戦争を行うのに十分な兵力を保持していません。米国が行う次の戦争に、自衛隊が投入される可能性が高まっています。
平和フォーラムは、地球上にある全ての大量破壊兵器の廃絶を求めます。また、いかなる国であれ、どのような理由があれ、武力による威嚇・武力の行使に反対します。米国に対しては、テロ組織の壊滅とテロ支援国家の体制転換まで戦いを継続するという「長い戦争」戦略の放棄を求めます。また朝鮮半島情勢を利用して、日本政府が十分な議論の無いままに在日米軍再編を加速させることや、先制攻撃力保持に向けて自衛隊を増強すること、米国と一体となって他国への軍事介入を行うことに反対します。
そのために、臨時国会や自治体の9月議会にむけて、米軍再編を止めることができる法律や条令の検討を進めます。沖縄米軍基地問題連絡会をはじめとした平和運動団体、反基地運動団体、沖縄等米軍基地問題議員懇談会、基地に反対する自治体議員との連携を強め、国会・自治体議会・全国・現地が一体となった反対運動を行えるように準備を進めます。
そのために、11月下旬の大集会を成功させましょう!
★小泉首相の靖国参拝を許さない!
戦後61年目の8月15日、退任を目前に控え小泉首相は、靖国神社に参拝しました。これまでも小泉首相は、アジアをはじめ内外の厳しい批判の声を無視して、就任以来、5年連続靖国参拝しましたが、8月15日には強行できませんでした。小泉首相は靖国参拝は平和を願うかのごとく発言していますが、靖国神社は、A級戦犯の合祀・顕彰や遊就館の展示に示されるとおり、日本の侵略戦争に参加し犠牲となった兵士を「英霊」「神」としてまつる戦争美化の宗教施設にほかならず、中国・韓国・朝鮮など東アジア諸国の人々との和解と友好を決定的に阻害するものです。首相として靖国参拝することは、2004年4月福岡地裁、2005年9月大阪高裁の違憲判決など政教分離の原則を定めた憲法を明らかに否定するものであり、サンフランシスコ講和条約、日中共同声明、戦後50年国会決議などをも踏みにじるものです。
小泉首相は靖国参拝について、「これは心の問題」「行く行かないは個人の自由」という言い方を繰り返しています。参拝後の首相会見では、「過去の5年間の私の靖国神社参拝への批判は大方3点に集約されるとし、一つは、中国、韓国が不愉快に思い、反発しているからやめろという意見だがこれはどうか。靖国神社参拝を条件に首脳会談をするしないを決めるのはよくない。もし、私が「中国、韓国が日本の国連安保理常任理事国入りに反対するのは日本にとって不愉快だ。中韓と首脳会談しない」と言ったらどちらを非難するだろうか。二つ目が、A級戦犯が合祀されているから行ってはいけないという点だ。私はA級戦犯に参拝しているのではない。犠牲者に心から哀悼の念を表すべきだ。これは日本の文化だ。第三に憲法違反だから参拝してはいけないという考えだ。私は神道奨励や軍国主義を慫慂(しょうよう)するために参拝しているのではない。憲法19条をどう考えるのか心の問題だ。」と述べ総理大臣である人間小泉純一郎と参拝し、職務として参拝しているものではないと記帳と公式参拝について答えた。小泉首相は「私の心情から発している参拝に他の国が干渉すべきでないと思っている。心の問題だ」「不戦の誓いをもって毎年参拝している」と言いつつ、公約とした靖国参拝を続けてきた。
靖国がA級戦犯を合祀しているから問題であるだけでなく、そもそも靖国神社は国家の戦争を美化し、戦争犠牲者を「英霊」「軍神」と祀ることで、国の戦争責任と加害者責任を回避する、国家儀礼装置であり、英霊システムである。これまで欺瞞的な「戦争謝罪」ですまし、本音は戦争のできる国のためには靖国が必要であり、天皇やお国のために死ねる教育や「国を愛する心」など進めようとしている。
他の国が干渉すべきでないなど述べているが、1994年に米国は終戦50年を記念する特別切手を印刷する計画があり、切手のひとつはキノコ雲の絵でした。「原爆のおかげで戦争の終結が早まった」とかかれた切手でした。このとんでもない計画を村山首相はじめ外務大臣、官房長官など強く批判してクリントン大統領が日米関係の重要性に鑑みその切手の印刷を止めさせた。日本政府が怒るのも当然で、抗議したのも当たり前です。戦争の歴史について、外国の政府高官が意見を言う権利はあるし、まして外国の学者が意見を言ってはいけないという議論の方がおかしいと思います。ポスト小泉の有力候補の阿倍官房長官は、総裁になった場合「靖国に行くのか、行かないのか言う必要がない」と言っています。臨時国会では、憲法改正を公約にするポスト小泉の戦いが控えています。この秋の闘いに立ち上がりましょう!
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