東京平和運動センター63-2

TKOPEACENEWS

　2面　NO.63　06.6発行

在日米軍再編に関する記事クリップ

【資料】在日米軍再編に関する記事クリップＮＯ13　　６月13日
米軍再編の閣議決定に関して政府と、自治体の対応を中心にまとめました。

■政府側
●着実な実行を－外相　財務相は防衛費合理化
　麻生太郎外相は30日午前の閣議で、在日米軍再編に関する閣議決定について「抑止力を維持しつつ（沖縄県など）地元負担を軽減する道筋を描くもので、この再編を着実に実行していくことは極めて重要だ。関係省庁と連携して努力したい」と強調した。
　その後の記者会見で「約束はしたけど実行はできないでは意味がない」と指摘。同時に「沖縄県に限らず、もろ手を挙げて賛成なんてあまりない。誠心誠意話し合いをしていかねばならない」と、関係自治体の理解を得るため努力する考えを示した。額賀福志郎防衛庁長官も記者会見で、沖縄県への対応について「県全体や地域の要望についてしっかり受け止めて対応していきたい」と、地域振興策への取り組みを強める考えを強調した。
（共同通信　５月30日）

●再編関連法案の提出見送り　政府、今国会会期切れで
　政府は30日、日米両政府が最終合意した在日米軍再編を円滑に実行するため政府が検討している「駐留軍等再編円滑化特別措置法案」（仮称）の今国会提出を見送る方針を固めた。
　政府は最終盤の国会情勢などをにらみ法案提出の可否を検討してきたが、小泉純一郎首相は同日昼、記者団に「（今国会の）期間内になかなかそういう状況にならないのではないか」と提出は困難との認識を表明。安倍晋三官房長官も午前の記者会見で「会期も限られている」と指摘した。秋の臨時国会に提出する見通し。
（共同通信　５月30日）

●米軍再編「迅速に実施」　政府が閣議決定
　政府は30日午前の閣議で、日米両政府間で合意した在日米軍再編に関する最終報告を「的確かつ迅速に実施する」と明記した実施方針を閣議決定した。新たに負担を担う自治体への地域振興策や、再編経費捻出（ねんしゅつ）のための中期防衛力整備計画（中期防）圧縮などが盛り込まれた。米軍普天間飛行場（沖縄県宜野湾市）の移設先は具体的に明示せず、「日米安全保障協議委員会（２プラス２）で承認された案を基本」として、政府、沖縄県、関係自治体でつくる協議機関で早急に建設計画を策定することとした。
　３年以上にわたった在日米軍再編協議は実質的に終了。最終報告の工程表に基づき、2014年完了を目指し実施段階に移る。ただ沖縄をはじめ多くの自治体が日米合意に反発しており、なお曲折が予想される。
（共同通信　５月30日）

●米軍再編関連の経費で補正予算は考えず＝安倍官房長官
［東京　30日　ロイター］　安倍官房長官は閣議後の記者会見で、在日米軍再編をめぐる経費の負担について、「現在のところ補正予算（による措置）は考えていない」と明言した。また、経費全体の見積もりが明確となる時期については「何とも言えない。どれぐらい時間がかかるか全力を挙げて積算している」とした。そのうえで「基本的な措置については、これから検討する課題だ」と述べた。政府はけさ、在日米軍再編について閣議決定した。このうち関連経費について「厳しい財政事情のもとで、政府全体として一層の経費の節減合理化を行なう中で、防衛関係費においてもさらに思い切った合理化、効率化を行い効率的な防衛力整備に努める」とした。
　また中期防衛力整備計画については「在日米軍の兵力構成見直しなどの具体的な内容を踏まえ、再編関連措置に要する経費全体の見積もりが明確となり次第、見直す」としている。
（ロイター　５月30日）

●米軍再編方針を閣議決定、普天間移設先は明記せず
　政府は30日午前の閣議で、在日米軍再編に関する基本方針を決定した。普天間飛行場（宜野湾市）の移設については、日米両政府の合意案を基本として早急に代替施設の建設計画を策定するとしている。また再編費用を捻出（ねんしゅつ）するため中期防衛力整備計画を見直すことなどを明記した。今後は、在日米軍再編推進のための特別措置法の制定や、個々の再編案実施に向けた具体的計画の策定、費用負担などが焦点となる。
　普天間飛行場移設については、防衛庁側は当初、キャンプ・シュワブ沿岸部（名護市）案を「辺野古崎とこれに隣接する大浦湾、辺野古湾の水域」と具体的地名を入れて書き込む方針だったが、「政府案で合意したわけではない」とする県側に配慮して、具体的地名の記載を見送った。一方、従来の普天間飛行場移設についての政府方針だった1999年12月の閣議決定は「廃止」と明記した。
　巨額の再編関連経費を捻出するため、米軍再編の経費見積もりが明確となった段階で、中期防（2005～09年度、24兆2400億円）を見直す。地元対策としては、「新たな負担を担う地元の要望に配慮し、地域振興等の措置を実施する」とした。名護市や、厚木基地（神奈川県大和市など）の空母艦載機が移駐する岩国基地のある山口県岩国市など、再編で負担増となる自治体への振興策を拡充するというものだ。
　額賀防衛長官は閣議後の記者会見で、普天間飛行場移設に関する文言について、「沖縄県との基本確認書、名護市、宜野座村との合意書を踏まえた内容になっている」と述べ、地元に配慮したことを強調した。
　安倍官房長官は30日午前の記者会見で、関連法案について、「今国会はもう会期が限られている」と述べ、今国会提出は見送る考えを示した。
　稲嶺恵一知事は「県や地元関係市町村と十分な協議が行われたとは言えない中で、閣議決定されたことは、極めて遺憾」との考えを示した。
（読売新聞　５月31日）

●＜米軍再編＞閣議決定　普天間移設、なお漂流
　在日米軍再編をめぐる日米の最終合意から１カ月。政府が30日、ようやく閣議決定した実施方針は普天間飛行場の移設先などの明記は見送られ、移設の実現可能性に不透明感が残った。沖縄県は11月に知事選を控え、引退の意向を固めている稲嶺恵一知事が日米合意案の受け入れを表明するのは難しいのが現状。沖縄県との調整は「ポスト小泉」に引き継がれる可能性が高い。世界規模の米軍再編とともに日米同盟の強化が進む構図の中、火種はくすぶり、普天間問題の漂流がなお続きそうだ。【三森輝久、古本陽荘、大場伸也】
　「私がシンガポールでラムズフェルド米国防長官と会談する６月初旬までに閣議決定しないと日米関係上まずい」29日に首相官邸で開かれた在日米軍再編の関係閣僚会議の席で、額賀福志郎防衛庁長官は30日に政府方針を閣議決定するよう強く主張した。日米合意から１カ月たっても政府方針が決まらなければ「日本はやる気がない」と米側から不信感を持たれかねないからだ。
　５月１日の日米合意後、政府が連休明けにも行いたかった閣議決定がここまでずれ込んだのは、普天間移設をめぐり暫定ヘリポート案の検討などを盛り込むよう求める沖縄県との調整が難航したためだ。結局、沖縄で開かれた太平洋・島サミットが終わるまで待ったうえＶ字形滑走路案の明記も見送りながら、県側が同意しないままの閣議決定となったことで、政府内には「県の同意取り付けはさらに難航する」（防衛庁幹部）といらだちの声も広がった。
　稲嶺知事が11日に「政府案を基本に対応する」との確認書を額賀長官と交わしながら、なお慎重発言を続けるのは「頭の中に常に知事選があるから」（沖縄県幹部）。稲嶺知事が選挙前に政府案受け入れを表明し後継候補が当選するというのが政府側の描くシナリオだが、野党陣営は早々に「米軍再編反対」を打ち出し候補者選定を進めている。知事側には、下手に受け入れれば後継候補が負けるという危機感があり、暫定ヘリポート案への修正を求め続ける以外に身動きが取れないのが現状だ。
　そのため、政府側は10月に移設計画を決める日程を閣議決定に盛り込もうとしたが、県側の強い反対で見送った。沖縄振興策を主管する内閣府は沖縄への一層の配慮を求め、日米合意実現を重視する外務省、防衛庁との足並みの乱れも露呈した。日米合意後、小泉純一郎首相自らが稲嶺知事の説得に乗り出すなどリーダーシップを発揮する場面も見られなかった。
　計画具体化が秋の首相退陣後に持ち越される可能性が高まり、県側には「政権が代われば政府の対応が変わるかもしれない」と移設案の見直しを期待する声も出ている。
　閣議決定では、現行の中期防衛力整備計画（05～09年度）を見直し、正面装備などの削減により在日米軍再編経費を捻出（ねんしゅつ）する方針が示された。だが、具体的な内容は詰まっておらず、政府内の調整はこれからだ。財務省は中期防の即時見直しを要求するが、防衛庁は閣議決定に「再編関連の経費全体の見積もりが明確となり次第、見直す」と、あることを理由に早期見直しに抵抗している。
　もともと、04年12月に閣議決定された際、中期防は「３年後に見直す」とされており、見直し時期が来年になれば既定方針通りになるとの思惑が防衛庁にはある。防衛庁幹部は「そもそも大規模な削減は急には不可能」としており、中期防見直しだけで３兆円とも言われる巨額の再編経費を賄うのは困難とみている。財源問題は当面、政府・与党の財政・経済一体改革会議のテーマになるが、６月下旬の「骨太の方針」の閣議決定に間に合わせるのは難しい情勢だ。首相官邸は在沖縄海兵隊グアム移転や地方への新交付金を柱とする在日米軍再編特別措置法の成立を秋の臨時国会以降に先送りしており、年末の予算編成を見据え激しい綱引きが続きそうだ。
　一方、横田基地（東京都）やキャンプ座間（神奈川県）の「司令部共存」などの同盟強化策は順調に進みそうだ。08年９月までにキャンプ座間に陸軍第１軍団司令部が改編して移転し、陸上自衛隊の中央即応集団司令部も12年度までに移る内容で、早くも水面下で建物の建設場所を協議するほどの順風満帆ぶりだ。

●世界の米軍　対テロのシフト明確に
　ブッシュ政権が進める米軍再編（グローバル・ポスチャー・レビュー）は、東西冷戦型だった駐留米軍の配置をテロなど「新たな脅威」に対応する陣容に整え直すのが狙い。2014年までをめどにドイツや韓国などの駐留米軍を約７万人削減し、欧州ではより中東に近い旧東欧に前方展開させ、アジアでは西太平洋地域の空海軍力を強化するのが特徴だ。
　「私が01年に国防長官に就任した時、世界の駐留米軍の配置は欧州でも韓国でも50年前とほとんど同じだった」。ラムズフェルド米国防長官は17日の上院公聴会で米軍の変革と海外駐留米軍の再編の必要性を強調した。
　米軍再編は、ラムズフェルド長官が取り組む軍変革（トランスフォーメーション）の一部。「機動的で自立した軍」を目指すのが狙いで、ブッシュ大統領が04年８月に正式に発表した。
　これまでの再編で、ドイツ駐留の陸軍部隊約３万人の順次撤退を開始する一方、ルーマニアなど新たな米軍基地を開設し、在欧州海軍司令部をロンドンからイタリア・ナポリに移すなど中東や対テロのシフトを明確にした。在欧米軍全体ではほぼ半数の約５万人を削減する方針。また、３万7000人の在韓米軍は08年までに１万2500人を撤退させる計画だ。
　一方で今年２月の「４年ごとの国防政策見直し（ＱＤＲ）」では、空母を現有の12隻から11隻体制にしたうえで、11隻のうち６隻以上、さらに潜水艦の６割を太平洋に配備することを打ち出し、アジア・太平洋地域での脅威に手厚く備えている。【ワシントン及川正也】
（毎日新聞　５月31日）

■沖縄県
●協議なく遺憾と知事　厳しい対応迫られる
　沖縄県の稲嶺恵一知事は30日、在日米軍再編をめぐる閣議決定を受け、事前に地元と十分な協議が行われなかったとして「極めて遺憾だ」とするコメントを発表した。額賀福志郎防衛庁長官と11日に交わした基本確認書に政府と協議することが盛り込まれており、県民から厳しい対応を迫られることになりそうだ。
　基本確認書について、政府は普天間飛行場をキャンプ・シュワブ沿岸部に移設することに基本合意したと判断していたが、県幹部には「認めたのは移設場所であり、日米政府が合意したＶ字形滑走路案ではない」と不満がくすぶり続けていた。
　知事が署名した背景にも、受け入れ姿勢を明言しないことで移設問題を政府との協議を断ち切らず、可能な限り経済振興策を引き出すぎりぎりの選択があった。
（共同通信　５月30日）

●使用協定なく不満／島袋市長
　島袋吉和名護市長は30日、同市役所で会見し、在日米軍再編の最終報告を受けた閣議決定について「内容は名護市の考え方を十分反映した内容とは言えず、納得のいくものではない」と述べた。
　1999年の閣議決定で明記された普天間飛行場代替施設の基地使用協定締結の方針について、具体的な記述がなかったことに「われわれの意見を入れてほしいと言ってきたが、今回入っていない」と強い不満を表明した。北部振興策の来年度以降の見通しが示されていないことには「非常に残念だ。これから協議機関で協議していきたい」と強調。普天間飛行場の移設に関する政府との基本合意で確認された地元との協議について「こうしてほしいということは言った」ものの結果に結びつかなかったとの認識を示した。
（沖縄タイムス５月30日）

●出発点で視界不良／米軍再編閣議決定膠着状態長期化も／防衛庁、関係修復図る
　政府は30、在日米軍再編の実施方針を閣議決定した。地元の意向を反映していない閣議決定に県は反発を強め、米軍普天間飛行場代替施設の建設計画を策定する協議機関への不参加を表明。在日米軍再編は実施段階のスタートラインで「視界不良」に陥った。県内部では総裁選や知事選などの政治日程を見据え、「主役の顔触れ」が刷新されるまで膠着状態が長期化する、との見方も出ている。一方、防衛庁側は「知事とは以心伝心だ」（首脳）と早期の関係修復を図る考えだ。

●想定問答
　牧野浩隆副知事「県は政府案に納得しておらず、容認もしていない。従って、これを前提とする協議には対応するつもりはない」稲嶺恵一知事「関係市町村とよく連携を取りながら話をしていきたい」
　閣議決定後の30日午前。県庁で記者会見した牧野副知事と、出張先の県東京事務所で記者団の質問に応じた稲嶺知事は、普天間飛行場代替施設建設計画の協議機関への県の参加意向を問われ、それぞれニュアンスの異なる回答をした。県の真意について県幹部は、事務方が作成した想定問答を取り出し、「知事と副知事は同じ想定問答をもって臨んだ。二人は別の役割を演じただけ」と説明。想定問答のペーパーには「閣議決定に示されている協議機関には、県が対応できるものではないと考えている」と明記されていた。稲嶺知事の婉曲な言い回しは、政府との協調路線を完全には絶ち難い、県の微妙な立場を反映したともとれる。稲嶺知事は11日に額賀福志郎防衛庁長官と「政府案を基本」とする確認書を交わしたことで、政府案の「事実上の容認」との受け止めが政府や県内に広がり、窮地に追い込まれた。
　県幹部は「県は今回の閣議決定への対応で、政府案を容認していないという旗色を鮮明にすることができた。確認書の誤解を修正することができた」と「成果」を誇る。今後、政府との膠着状態が続くことも予想されるが、県内部では「普天間移設問題で政府と県の見解が異なる以上、実行段階でこうした局面を迎えることは避けられない」と淡々とした受け止めが目立つ。

●面目つぶれ「完全に二枚舌だ」
　稲嶺知事と牧野副知事の発言の違いに、防衛庁幹部は不快感をあらわにした。幹部は稲嶺知事が記者団に「閣議決定は政府がなされることであり、国の考え方であることは十分認識している」と述べたことに着目。「知事の発言が県の本音。『やむを得ない』ということだろう」として、普天間飛行場代替施設の建設計画や振興策を話し合う協議機関への参加に期待感を示す。内閣府幹部も知事発言に「合意ととられても仕方がない。県の真意が分からない」と戸惑う。別の幹部は「小池百合子沖縄担当相は腹をくくって、閣議の場でも（地元の反発を）訴えた。面目がつぶされた」と憤りを隠さない。小池沖縄相は（１）関係閣僚会議（２）閣議前の安倍晋三官房長官、額賀防衛庁長官との会談（３）閣議での公式発言―の三回にわたって「県と名護市は同意できないと言っている」と述べた。退けられれば政府内の求心力を失うリスクを承知で閣議決定案に抵抗した小池沖縄相は、はしごを外された格好だ。（政経部・渡辺豪、東京支社・吉田央、島袋晋作）
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振興策の行方懸念／補助頼み事業山積み　北部市町村　計画中断なら混乱
　在日米軍再編に関する新たな閣議決定で、北部振興策の枠組みを定めた1999年の閣議決定が廃止されたことを受け、北部の自治体では振興策が今後も継続されるのか懸念が高まっている。北部振興策は「公共」「非公共」の両分野合わせ、10年間で一千億円の予算措置がされる。予算の繰り越しが認められる「公共」分野については、2009年度までの後期５カ年計画として、道路建設や港湾整備に県全体で57事業、225億円の実施計画がすでにまとめられている。
　「非公共」分野についても、多くの自治体が今後のまちづくりに活用することを予定しており、来年度以降の予算がストップすれば大きな混乱を招きかねない。「非公共」は事業費の九割を国が補助し、残りの一割も後に交付金として還付される。「公共」の補助率は従来の法律の枠内だが、あらかじめ予算が確保されているため、補助が下りやすい。名護市は非公共分野で、名護十字路の再開発や名護漁港関連施設整備、みらい３号館建設など今後のまちづくりの核となる事業に北部振興策を見込む。同市幹部は「どの自治体も振興策を前提にした計画を立てており、いまさら国が中止することは常識的に考えてあり得ない。継続してもらうのは当然。今後、国との協議会で話し合うということだろう」と冷静を装う。
　一方、「今の枠組みが維持されるのか、交付金制度のような新制度で対応することになるのかも分からず、防衛予算か内閣府予算かも不明だ。特に高率補助が得られる非公共がなくなるとすれば影響は大きい」と不安ものぞかせる。

●防衛庁は「地元理解」強調
　額賀福志郎防衛庁長官は30日の参院外交防衛委員会で、在日米軍再編の最終報告を受けた閣議決定前に県を含めた全国の関係自治体の合意が得られていないとの指摘について、政府と名護市、県が交わした「基本合意書」「基本確認書」を挙げた上で、「（関係自治体の）一定の理解を得ているものと思っている」と述べた。また、同決定に盛り込まれた1999年の閣議決定「廃止」と、北部振興策の来年度からの打ち切り示唆については「北部振興策を全部廃止するとは言っていない。もっと大きく、新たな発展構想を考えるべきだ」と述べ、県全体を視野に入れた新たな振興策に意欲を示した。
　一方、衆院安全保障委員会では県との実質的な協議がなかったとの指摘について、額賀長官は、決定に「これまでの協議の経緯を踏まえ」との文言があることを指摘し、「協議の経緯というのは99年決定の県と名護市にかかわる問題の重要な部分を取り出し、配慮しながらよく考えていくということだ」と述べ、北部振興策の新たな枠組みなどを検討していることも示唆した。
　防衛施設庁の北原巌男長官は、名護市キャンプ・シュワブ沿岸部に建設される米軍普天間飛行場代替施設の面積について、「まだ確たる数字ではない」と断った上で海にかかる面積が約140ヘクタール、陸が約40ヘクタール、計約180ヘクタールに上ることを初めて公式に明らかにした。
　参院財政金融委員会で与謝野馨金融相は同日の決定について「これからも県民の声をきちんと聞く姿勢を政府は持っていかなければならないと思っている」と述べ、地元の要望に配慮する必要性を強調した。それぞれ緒方靖夫氏（共産）、大田昌秀氏（社民）、仲村正治氏（自民）、辻元清美氏（社民）、糸数慶子氏（無所属）への答弁。
（沖縄タイムス５月31日）

■神奈川県
●再編方針閣議決定で反発と容認交錯／地元
　政府が30日、閣議決定した在日米軍再編の実施方針に、基地を抱える県内の地元は複雑な反応を見せた。地元の同意が不十分なまま“見切り発車”したことへの反発と、負担軽減や地域振興策への期待から「やむを得ない」と容認をほのめかす声が交錯した。
　キャンプ座間を抱える座間市の星野勝司市長は「国との協議を重ねている段階での閣議決定は残念。基地の将来に責任を持てる恒久化解消策を今後も国に求める」とのコメントを出した。ただ、保守系市議の一人は「反対一辺倒では駄目。良い面も見ながら交渉しなければ勝ち目はない」と条件闘争入りを促す。
　キャンプ座間や相模総合補給廠（しょう）などがある相模原市の小川勇夫市長は、補給廠の一部返還に「長年基地負担を強いてきた経過を受け止め（返還部分の）無償譲与などに十分な措置を」と求めた。一方、座間市には「基地恒久化に反対する取り組みでは今後も協力する」と配慮をみせた。
　「キャンプ座間などの将来が見えないのは残念だが、利便性が向上する補給廠の一部返還は大歓迎」と市内の自治会幹部。だが、基地監視グループ「リムピース」の金子豊貴男・同市議は「政府は地元同意を得る努力をしていない。日米首脳会談に向けて形を整えただけ」と切り捨てた。
　空母艦載機が岩国基地（山口県）へ移転する厚木基地の地元綾瀬市の笠間城治郎市長は「移駐後の運用形態が明確でない」と、国に説明を求める。大和市の土屋侯保市長は「従来型の地域振興策では真の地元理解は得られない。国の防衛のあり方という本質的な議論で理解を得ていくべきだ」と注文を付けた。
（神奈川新聞　５月31日）

●在日米軍再編：閣議決定　首長の評価、分かれる　大和市長、他自治体を批判　
◇賛成の大和市長、他自治体を批判
　30日に閣議決定された在日米軍再編の基本方針は、基地を抱える県内自治体で評価が分かれた。
　米海軍厚木基地（大和市・綾瀬市）の空母艦載機部隊が岩国基地へ移駐することについて、土屋侯保大和市長は「ほっとしている」と述べ、騒音解消が前進すると高く評価。さらに、土屋市長は「再編をみんなで議論する良い機会だったが、地域振興策の話が中心だった。国防問題をしっかり考える場にしてほしかった」と地域振興策を求める周辺自治体の取り組みをやんわり批判した。
　一方、笠間城治郎綾瀬市長は「将来の厚木基地の在り方などが基地周辺住民に対して明らかにされていない」と艦載機部隊移駐後の運用形態が明確に示されていないとコメントで不満を表明。
　米陸軍と自衛隊の新司令部が設置されるキャンプ座間について、星野勝司座間市長は「最終報告同様に残念。恒久化解消策を国に示すよう引き続き根強く求めていく」とコメント。小川勇夫相模原市長は「司令部移転に伴う住宅増設など整備計画の詳細が明らかではない」と指摘。【長真一】
（毎日新聞　５月31日）

■山口県・広島県（岩国基地）
●「民意無視」地元ぶぜん　米軍再編閣議決定
　政府は30日の閣議で、在日米軍再編について日米両政府の最終報告に基づき「法制面、経費面を含め、的確かつ迅速に実施する」と明記した取り組み方針を決定した。米海兵隊岩国基地を抱える岩国市や広島県では首長や住民らが怒りの声を上げ、撤回を求める姿勢をあらためて示した。一方で、「政府の強い決意の表れ」との見方や、国の振興策を期待する声もあった。
　岩国市の井原勝介市長は「地元との協議が尽くされていないままでの決定であり、大変に残念」とし、移転撤回を目指して国と交渉を続ける姿勢を強調した。地域振興策は「議論する段階にない」と一蹴（いっしゅう）。「地元から要望する気もない」と述べた。
　岩国基地に近い同市の車第二自治会の山本満治会長は、旧市の住民投票や移転問題が争点となった新市の市長選を挙げ、「市民が基地問題を真剣に考え意思を示した。国は『誠意を示す』と言いながら、地元を無視するのか」と憤る。「国のやり方は不信を招き、政治に無関心な人が増えるだろう」と言い切った。
　一方、二井関成山口県知事は「（在日米軍再編の）最終報告を実現させるという、国の強い決意の表れ」と受け止める。「地方も、国と接点をみいだす努力をしないといけない」とし、岩国市との温度差が浮き彫りになった。地域振興策は「国の責務として提示すべきだ」と述べた。移転に伴う騒音拡大を懸念する同県周防大島町。中本冨夫町長は「これで白紙撤回がさらに難しくなったと感じる」とみる。
　訓練用滑走路の増設を条件に、新たな基地機能の誘致を決議している岩国商工会議所。長野寿会頭は「誘致が現実になってきた」とし、国の振興策に期待感を示した。
　広島県西部三市の反対期成同盟会長を務める山下三郎廿日市市長は「民意がまったくくみとられず遺憾だ」とぶぜん。中川洋大竹市長も「住民の不安を解消できるような説明と措置を求める」とコメントした。
　藤田雄山広島県知事は「安全・安心を脅かすような懸念を払しょくしないままで遺憾」、秋葉忠利広島市長は「関係自治体と連携し、政府に反対を訴えたい」とのコメントをそれぞれ出した。
　再編に反対する「広島県西部住民の会」の坂本千尋事務局長は「振興策と引き換えに安全が脅かされたり、健康を損なったりしては意味がない。巻き返すために頑張りたい」と力を込めた。
（中国新聞　５月31日）

●国、岩国市議会に説明　市長は撤回要求方針報告
　在日米軍再編の実施方針を政府が閣議決定したのを受け、岩国市議会が二日開いた全員協議会で、国の担当者が説明して理解を求めた。これに先立つ本会議で、井原勝介市長は米空母艦載機の移転撤回を求める方針を報告した。
　議員111人のうち108人が出席。防衛施設庁の渡部厚施設部長は「滑走路の沖合移設で移転後の騒音は減る」と述べた。「地域振興策の具体的な要望があれば、前向きに検討する」とし、同市の愛宕山に建設が取りざたされる米軍住宅は「基地外に整備する場合、周辺と調和するよう地元と相談する」とした。
　議員が「沖合移設の目的は基地拡張だったのか。振興策を振りかざしても納得できない」と反発。別の議員は「国の姿勢に誠意を感じた。沖合移設で騒音が減るのも理解できる」と評価した。
　本会議では、井原市長が撤回を国に求める考えをあらためて表明。議員は「国との協議が尽くされていない責任は市にもあるのでは」との声が出たが、方針に反対する意見はなかった。（川井直哉、田中美千子）
（中国新聞　６月６日）

●米軍再編閣議決定に怒り広がる
政府が在日米軍再編の実施方針を閣議決定した30日、米海兵隊岩国基地を抱える岩国市や広島県では首長や住民らが怒りの声を上げ、撤回を求める姿勢をあらためて示した。一方で、「政府の強い決意の表れ」との見方や、国の振興策を期待する声もあった。
▽岩国市、撤回崩さず　国振興策に期待の声も
　岩国市の井原勝介市長は「地元との協議が尽くされていないままでの決定であり、大変に残念」とし、移転撤回を目指して国と交渉を続ける姿勢を強調した。地域振興策は「議論する段階にない」と一蹴（いっしゅう）。「地元から要望する気もない」と述べた。
　岩国基地に近い同市の車第二自治会の山本満治会長は、旧市の住民投票や移転問題が争点となった新市の市長選を挙げ、「市民が基地問題を真剣に考え意思を示した。国は『誠意を示す』と言いながら、地元を無視するのか」と憤る。「国のやり方は不信を招き、政治に無関心な人が増えるだろう」と言い切った。
　一方、二井関成山口県知事は「（在日米軍再編の）最終報告を実現させるという、国の強い決意の表れ」と受け止める。「地方も、国と接点をみいだす努力をしないといけない」とし、岩国市との温度差が浮き彫りになった。地域振興策は「国の責務として提示すべきだ」と述べた。
　移転に伴う騒音拡大を懸念する同県周防大島町。中本冨夫町長は「これで白紙撤回がさらに難しくなったと感じる」とみる。
　訓練用滑走路の増設を条件に、新たな基地機能の誘致を決議している岩国商工会議所。長野寿会頭は「誘致が現実になってきた」とし、国の振興策に期待感を示した。
　広島県西部三市の反対期成同盟会長を務める山下三郎廿日市市長は「民意がまったくくみとられず遺憾だ」とぶぜん。中川洋大竹市長も「住民の不安を解消できるような説明と措置を求める」とコメントした。　藤田雄山広島県知事は「安全・安心を脅かすような懸念を払しょくしないままで遺憾」、秋葉忠利広島市長は「関係自治体と連携し、政府に反対を訴えたい」とのコメントをそれぞれ出した。
　再編に反対する「広島県西部住民の会」の坂本千尋事務局長は「振興策と引き換えに安全が脅かされたり、健康を損なったりしては意味がない。巻き返すために頑張りたい」と力を込めた。
▽広島では被爆者が座り込み
　米海兵隊岩国基地（岩国市）への空母艦載機移転を盛り込んだ在日米軍再編に関する実施方針が閣議決定された30日、被爆地広島では、抗議の座り込みが広島市中区の原爆ドーム前であった。
　広島県原水禁と県平和運動センターの呼びかけで、被爆者ら約60人が「岩国基地機能増強反対」と書かれた横断幕やのぼりを手に約30分間、座り込んだ。県原水禁の片山春子代表委員は「国民の反対を無視した閣議決定に原爆ドームも怒っている」と抗議。県平和運動センターの向井高志議長も「岩国基地をアジア太平洋地域の軍事拠点にしないため、引き続き闘う」と訴えた。岩国基地の機能強化や在日米軍再編の白紙撤回を求めるアピールを採択し、小泉純一郎首相あてに送った。
　また、県被団協（金子一士理事長）と県原水協は同日、「ヒロシマの県民として強い怒りを禁じ得ない」とする閣議決定への抗議文を小泉首相あてに送った。31日には、抗議の座り込みを原爆慰霊碑前で予定している。
（中国新聞５月31日）

●閣議決定　ピースリンクが首相らに抗議書－－中区　／広島
　在日米軍再編の基本方針が閣議決定されたのを受け、市民団体「ピースリンク広島・呉・岩国」は31日、中区上八丁堀の広島防衛施設局で、小泉純一郎首相や額賀福志郎防衛庁長官らにあてた抗議書などを手渡した＝写真。
　抗議書では「米軍は、米国の権益を守るために米軍と自衛隊の一体化を目指しており、閣議決定は日本を世界での戦争に引きずり出す危険極まりないものだ。地元住民や自治体の意思を全く無視した日米合意で、白紙撤回を求める」としている。湯浅一郎世話人は「岩国市民らは騒音緩和と事故防止を理由に岩国基地の滑走路沖合移設のための沖合埋め立てを認めたのに、政府は勝手に基地機能を強化して市民らは怒っている。閣議決定の撤回以外に怒りは静まらない」と迫ったが、同局の国政敏男広報官は「現地の声を（政府に）届けてこういう判断になった」と答えた。【吉川雄策】
（毎日新聞　６月１日）

■茨城県（Ｆ15訓練移転）
●在日米軍再編：Ｆ15訓練移転　小美玉市長、態度決定急がず　／茨城
◇国への要望まとめる姿勢
　米軍の戦闘機訓練の一部移転問題で、航空自衛隊百里基地がある小美玉市の島田穣一市長は６日、市として「移転容認か否か」の態度決定を急がずに、国への要望をまとめていく姿勢を示した。同市議会で、市議からの一般質問に答えた。
　市議が「閣議決定されても、住民をこれ以上の騒音から守るため反対を貫いてほしい」と要望。島田市長は「市としては、議会や周辺住民の意思を尊重し、周辺市、県と協議しながら進めていきたい」と応えるにとどめた。「百里基地周辺地域整備協議会」（藤田幹泰会長）が求める市長との懇談会については、議会の日程を見ながら早急に開きたい考えを示した。
　同市議会は19日まで。一般質問は６～８日。【清野崇宏】
（毎日新聞６月７日）

■北海道（Ｆ15訓練移転）
●在日米軍再編：Ｆ15訓練移転　苫小牧市議会、国からの直接説明の要請検討　／北海道
　在日米軍再編に伴うＦ15戦闘機訓練の航空自衛隊千歳基地（千歳市、苫小牧市）への移転問題で、苫小牧市の三上信夫助役は８日、防衛施設庁の担当者から市議会で直接説明を受ける考えを明らかにした。今後、議会側と協議し、説明を受ける場や日時などを調整する。市議会総合開発特別委員会で明らかにした。
　市は５月、地元対応や訓練内容、騒音など計30項目について札幌防衛施設局に質問したが、回答は16項目にとどまっている。三上助役は「回答は肝心な部分がなく、漠然としていて歯がゆい。議会が同意すれば直接説明に来てほしい」と語った。移転問題を巡っては、千歳市議会が５月22日、全員協議会を開き同庁の担当者から説明を受けている。【笈田直樹】
（毎日新聞　６月９日）

■宮崎県（Ｆ15訓練移転）
●在日米軍再編：新田原基地の米軍使用　知事、防衛施設庁の回答に不満示す　／宮崎
◇「具体的内容ない」
　在日米軍再編を巡る自衛隊新田原基地（新富町）使用問題で県は９日、騒音や事故対策など９項目の質問に防衛施設庁から回答があったと発表した。騒音には「必要に応じて調査し、適切に対処する」としているが、回答全体に対して安藤忠恕知事は「具体的内容が含まれていない」と不満のコメントを出した。
　回答書は５日、県に送付された。主な内容は、米軍の事故には「原因究明、再発防止などを強く申し入れる」▽訓練計画への地元の要望は「宮崎防衛施設事務所などを通じて米側と調整したい」▽訓練中の米兵の外出は「過去の日米共同訓練でも許可されており、同様の取り扱いになる」――などとなっている。【中尾祐児】
（毎日新聞　６月10日）

■福岡県（Ｆ15訓練移転）
●米軍再編の最終合意を閣議決定
　政府が米軍再編の最終合意の実施を閣議決定した30日、機能強化が計画されている航空自衛隊築城基地（築上町）の地元では「地域の声は顧みられなかった」と失望や反発が広がった。
　行橋市の八並康一市長は「地元との調整が終わらないまま閣議決定されたことは残念。地元の気持ちに配慮がほしかった」と話し、政府の一方的な姿勢に不快感を示した。閣議決定に盛り込まれた関係自治体への地域振興策には「再編計画の実施を前提とした議論はすべきではない」。さらに「反対のスタンスを変えるつもりはない」と強調した。
　築上町の新川久三町長も「自治体の意向を聞いてから米国と協議するのが筋」と批判。米軍普天間飛行場の緊急時の拠点機能を築城基地に移すことに触れ、「普天間の返還は８年後だから性急に決める必要はない。いろんな方法があると思う」と述べ、政府に改めて撤回を求めた。
　みやこ町の白石春夫町長も「国は決定通り再編計画を進めるだろうが、反対の意思に変わりはない」と語った。
　基地前で月１回、反戦の座り込みをしている築上町のグループ「平和といのちをみつめる会」の渡辺ひろ子さん（58）は「閣議決定で終わり、ではない。反対の声を上げ続ける」。基地に隣接する行橋市仲津校区の区長会長、池田辰夫さん（77）は「小泉政権は聞く耳を持たない。強権的にことを運んでおり、反発は強まるばかりだ」と話した。
（朝日新聞　５月31日）

【資料】在日米軍再編に関する記事クリップＮＯ14　　６月13日

■原子力空母の横須賀母港化問題
●在日米軍再編：原子力空母配備　放射能観測機増、要請へ－－横須賀市長　／神奈川
◇具体策に初言及
　横須賀市議会の一般質問が30日あり、米海軍横須賀基地への原子力空母配備問題が質疑された。蒲谷亮一市長は、原子力艦船の安全・防災対策として「放射能の観測機器の増加」や「防災協定の締結」を日米両政府に要請していく考えを明らかにした。「あくまで通常艦配備」を求めてきた市長だが、「通常艦の可能性は限りなくゼロに近い」と述べたうえ、原子力空母の安全性や具体的な対応策に言及したことで、容認への動きが加速しそうだ。
　蒲谷市長は観測機器増加の具体策として、原子力空母が接岸するとみられる12号バース（ふ頭）対岸に設置するよう国に働きかけると明言した。さらに「万一の原子力災害を想定した、市と米軍の防災協定の締結や、原子力艦船事故を想定した防災訓練への米軍参加を日米両政府に求めていく」と強調した。
　他に▽オフサイトセンターの監視対象に原子力艦船を含める▽原子力艦船入港前の放射能データ提供▽データに問題があった場合、市と国と米軍による協議会設置――などを求めると答弁した。
　空母の安全性確保について、蒲谷市長は「国を上回る調査権限や能力は、市にない」と述べ、国が主体となるべきだという認識を示した。配備の賛否を問う住民投票実施は「市に決定権がある事項ではない」との理由で改めて否定した。
　市議事課によると、傍聴者は延べ66人で、04年の一般質問21人、05年の同19人から３倍増。同課は「原子力空母問題への市民の関心の高さが表れているのでは」と話している。【内橋寿明】
（毎日新聞５月31日）

●定員６倍超の応募／横須賀の原子力空母の意見を聞く会
　原子力空母配備問題をめぐり、横須賀市が６月８日に開催する「第２回意見を聞く会」の出席希望者申し込みが５月31日締め切られ、応募総数は定員（120人）の６倍を超える772人まで増えた。蒲谷亮一市長から方針転換をにじませる発言が続き、市議会では容認議論が活発に交わされていることもあり、市民の関心も急速に高まっているようだ。
　ヴェルクよこすか（同市日の出町）で開かれる同会では、蒲谷市長が一般市民から空母問題に関する考えを聴取する。発言できるのは２日の抽選で選ばれる120人で、当日は30人の傍聴を受け付ける。市側が出席者を選び、市民に公開しなかった第一回が批判を浴びたことに配慮した。
　今回は反対派の市民団体メンバーらが大量に応募しており、市長批判などで紛糾することも予想される。会場の都合で今回も２時間で打ち切られる予定で、30日の市議会でも「120人が話したら、一人１分しかない」と質問が出るなど、疑問の声も上がる。
　市は当日の会場で抽選し発言者を決めながら進行する方針。「話が大きくそれたり、同じ話の繰り返しになったりしない限り、自由に話してもらいたい」（基地対策課）とした上で、各自が簡潔に話せば全員が意見を表明できるとみている。
　聞く会への参加を呼び掛けてきた「原子力空母の横須賀母港問題を考える市民の会」の呉東正彦弁護士は、「市は、抽選に外れる650人の意見を含め、もっと広く市民の意見を聞くべきだ」と話している。
（神奈川新聞　５月31日）

●原子力災害の相互支援協定締結など要請／横須賀市長
　在日米海軍横須賀基地の原子力空母問題で、横須賀市の蒲谷亮一市長は２日、日米両政府が取り組むべき「最低必要条件」として、原子力災害に関する日米間の相互支援協定締結や、基地内の放射能観測体制の強化などを外務省に申し入れた。市長が空母問題で外務省に要請するのは九度目だが、原子力空母入港を想定した安全対策に言及したのは初めて。
　河相周夫北米局長と面会した蒲谷市長は、【１】原子力災害を含む災害時の、市と米海軍との相互支援協定の早期締結【２】原子力艦船の事故を想定した防災訓練への米軍の積極的な参加を求める【３】それらを実現させるために市、日本政府、米軍が日常的に協議する場の設置を要望【４】さらに日本政府が基地内の原子力艦の放射能観測体制を強化する【５】横須賀市内にある原子燃料製造会社の災害に備えたオフサイトセンター（緊急事態応急対策拠点施設）の活用を進める-ことを要請した。
　河相局長は「関係省庁と早急に検討し、横須賀市民の安心のために政府として最善を尽くしたい」などと答えた。
　面会後に会見した市長は、先月30日の市議会本会議で各会派から出た意見を踏まえた行動だと強調し、「通常型配備の可能性は薄く、ただ通常艦を求めるだけでは市民の安全を確保する役目を果たせない」と要請に至った経緯を説明。市長は「喜んで容認する人はほとんどいないし、私も喜んで容認したくて、こういうことを言っているのではない」とした上で、「容認する、しないにかかわらず（日米政府が）原子力空母を配備するという以上、安全確保の措置は絶対必要。それをやらずに、原子力空母配備の話をしてほしくない」と訴えた。
　米側は「原子力艦船の事故はあり得ない」という立場で、日本政府も同調しているため協議難航は必至。しかし市長は「人間のやることだから、万一、何か起こったときでも安心できる体制に（地元は）してほしいことを理解すべきだ。米本国でやっていなくても、日本は違う」と主張した。
（神奈川新聞　６月２日）

●原子力空母反対デモに1600人参加／横須賀
　原子力空母横須賀母港化を許さない全国連絡会など４団体は３日、在日米海軍横須賀基地への原子力空母配備に反対する集会を横須賀市内で開き、国会議員や市議らを含む約1600百人（主催者発表）が同基地前などをデモ行進した。
　原子力空母問題をめぐっては、蒲谷亮一市長が２日に外務省で、原子力災害に関する日米間の相互支援協定締結を要請するなど、配備が徐々に現実化してきている。
　集会であいさつした市民団体共同代表の呉東正彦弁護士は「米政府から、とんでもない内容のファクトシートが示され、意見を聞く会で容認論が大半を占めるなど、蒲谷市長に圧力がかかっている。市議会でもどっちを向いているのか分からないような発言が続き危険な状況だ」と強調。「反対署名は50万人を超えた。みなさんの力で市民投票に持ち込もう」などと呼び掛けた。
　蒲谷市長からは「通常艦の可能性をまだ捨ててはいませんが、極めて厳しい状況という認識を持っているのは事実。いずれにしても、市民の安全を守る立場で問題解決の努力をしたい」などとするメッセージが届けられた。
（神奈川新聞　６月３日）

●第２回「聞く会」で申し入れ／横須賀の市民団体
　原子力空母の横須賀母港問題を考える市民の会は５日、８日に開催される「第２回意見を聞く会」について、抽選に外れた市民にも発言の機会を与えるよう横須賀市に申し入れた。
　意見を聞く会には772通の申し込みがあり、抽選で120人が市長に意見を述べられる権利を得た。同会の呉東正彦弁護士は「３回目以降も開くべきだ」としたほか、専門家からの意見聴取や住民投票実施などを求めた。同会は６日午後２時から６時まで、京急線横須賀中央駅前で原子力空母配備の是非を問う市民投票を行う。７月には米国の資源安全保障研究所のゴードン・トンプソン所長を招き、空母問題をテーマにシンポジウムを開催するという。
　また、５日の市議会総務常任委員会で広川聡美企画調整部長は、意見を聞く会に関し「同会がすべてではなく、はがきやメール、まちづくりミーティングでも市は意見を受け付けている」と説明。第３回については「２回目をやってみて判断する」と答弁した。
（神奈川新聞　６月５日）

●横須賀基地　米軍ＨＰ、工事「原子力空母就航用」と説明
　08年に米海軍の原子力空母の配備が発表された横須賀基地（神奈川県横須賀市）で、03年から進められてきた12号バース（ふ頭）の拡張工事を米海軍が「原子力空母就航のため」とホームページで説明していたことが分かった。工事を発注した横浜防衛施設局はこれまで「老朽化のための工事で原子力空母配備とは無関係」と説明しており、抗議も検討。原子力空母の受け入れを決めていない横須賀市も反発しており、米海軍は訂正する方針だ。
　問題の説明は、米海軍のホームページにある「海軍ニュース」５月25日付の記事。「12号バースは2008年就航予定の原子力空母『ジョージ・ワシントン』に対応するため拡張された」と英文で記載されていた。バース全長を277メートルから410メートルに延ばす工事は、今年３月末に終了。６日の完成式典で高見沢将林横浜防衛施設局長は、現在の空母「キティホーク」のための工事だったとあいさつした。記載について同局の担当者は「米側に事実関係を確認し、抗議を検討する必要がある」とコメント。通常型空母配備を求める横須賀市の秋本丈仁基地対策課長も「日本政府と合意しているからその気になって書いたのだろうが、市の主張が伝わっていない」と話す。
　毎日新聞の取材に、在日米海軍司令部は「ジョージ・ワシントン配備に関連した工事は一切ない」と釈明、訂正する意向を示した。【内橋寿明、足立旬子】
（毎日新聞　６月７日）
●原子力空母「聞く会」で容認、反対派が火花／横須賀
　在日米海軍横須賀基地の原子力空母配備問題をめぐり、横須賀市は８日夜、一般市民の意見を聴取する「第２回・後継艦問題について意見を聞く会」を市内で開催した。27人が容認、14人が反対の意向を蒲谷亮一市長に伝えたが、時間内の発言が49人にとどまったことで、閉会後は市側への抗議が相次ぎ、会場は一時混乱した。772人が応募し、抽選に当たった120人のうち90人が出席。２時間にわたり抽選で発言者を決める方式で、男性44人、女性５人が発言した。「容認」「反対」を示す発言には、それぞれを支持する拍手が巻き起こるなど会場には対立ムードが漂った。８人は賛否を明言せずに意見を述べた。
　容認派の大半は「原子力艦事故の確率より、他国から攻められる確率の方が高い。日本の安全保障を考えると、自衛隊だけでは守れない」などと日米安保の重要性を強調した。ＯＢなど自衛隊関係者の出席も目立ち、「海自の戦力だけでは、日本の安全は守れない。空母は必要だ」などと主張。「経済効果がある」との指摘や、容認の立場で「安全性の追求」を市長に求める声も少なくなかった。
　反対派からは、「市街地に原子力艦が停泊するのは危険だ」と安全性そのものを疑問視する声に加え、「米兵の事件は後を絶たず、日ごろから油漏れなどの事故を隠している」などと、米軍への不信感を理由に挙げた。さらに「空母は防衛のためでなく、戦闘のための軍艦だ」との声や、市長選で「反対」を掲げた市長の公約違反という指摘のほか、住民投票の要求も多かった。また、配備された場合のメリット、デメリットなどの情報を、市が市民にもっと提示すべきだとの提案も数人から出た。
　蒲谷亮一市長は会合後に会見し、「いろんな立場から、それぞれ真剣で貴重な意見を伺えたと思う」と感想を述べた。容認派が発言数で上回ったことについては「今日は多数決をとる目的ではない。関心があったのは、市民のみなさんが、どういう理由でどういう意見を持っているかだ」などとした。
　69人が傍聴を希望し、抽選で30人が議論を見守った。第一回（５月）では、市側が人選した38人が出席、約三分の二が容認の意向を示している。
（神奈川新聞　６月８日）

●原子力空母問題で14日に全員協議会／横須賀市議会
　原子力空母配備問題で９日、横須賀市の市議会全員協議会が14日に開かれることが決まった。蒲谷亮一市長が市の質問書に対する外務省の回答について説明するとともに、２回開いた「空母後継艦問題について意見を聞く会」の総括を述べる。原子力空母に関してこれまで以上に踏む込むのではないかと、市長の発言に注目が集まっている。
　在日米海軍横須賀基地の空母接岸用「12号バース」について、原子力空母入港には浚渫（しゅんせつ）工事が必要とされている。横浜防衛施設局による横須賀市への浚渫工事関連の協議申し入れが近いとみられ、焦点となっている。関係者の間では、申し入れ間近となる今回の協議会で、外務省の回答で市民の安全性について一定の確保がされ、通常型空母配備の可能性がまったくないと判断した場合、市長が事実上、原子力空母受け入れの意向を示すのではないかという見方が強まっている。
　市によると、外務省の河相周夫北米局長が12日、市役所を訪れ、市長に原子力艦の安全性に関する文書（ファクト・シート）についての質問書に回答するという。外務省から８日夜に連絡があり、市は９日、市議会議会運営委員会（角井基委員長）に全員協議会の開催を申し入れ、了承された。
　全員協議会は午後１時から本会議場で開かれ、公開で行われる。代表質問・個人質問の形式に沿って質疑も実施し、７会派から各１人と届け出をした一人会派の議員が質問に立つ。質問は会派構成順で、一人会派はくじ引きで順番を決める。質問は当初質問に限り、再質問は認められていない。
（神奈川新聞　６月９日）

●外相が横須賀市長と会談へ／原子力空母配備問題
　在日米海軍横須賀基地の原子力空母配備問題で、麻生太郎外相が12日に横須賀市を訪れ、蒲谷亮一市長と会談することが11日、急きょ決まった。異例の展開には、長引く協議を政府が一気に解決に導きたい狙いがあるとみられ、空母問題は重要な局面を迎える。同問題をめぐり14日に開催される市議会全員協議会での蒲谷市長の発言にも、大きな影響を及ぼしそうだ。
　原子力空母問題をめぐっては、安全性の根拠をただした市に対し、日米政府は４月、「原子力艦の安全性に関する文書」（ファクト・シート）を提示。市は、内容が不十分として５月８日、17項目の質問書をあらためて外務省に提出していた。
　この質問書に回答するため、当初から横須賀入りを予定していた河相周夫北米局長らを伴い、麻生外相が12日午前に蒲谷市長と面会する。外相が「日本政府としての原子力空母の安全性の確証を文書で求める」などとする質問に、どう答えるかが注目される。
　市関係者は「大臣が直接来る以上、国側は再々質問は許さないだろう」と警戒。国会会期中の外相が自ら初めて横須賀に出向いて交渉に乗り出すという”サプライズ”により「無言の圧力」を地元に加える背景には、2008年配備から逆算して、原子力空母が接岸予定の「12号バース」のしゅんせつ工事着工の期限が迫っている上、今月末の日米首脳会談までに解決したい政府の思惑があるとみられる。
　さらに、蒲谷市長に容認を決断させるため、政府側が17項目への回答とは別に、市が外務省に要請している「原子力災害に関する日米間の相互支援協定」や「原子力防災訓練への米軍の参加」「原子力艦の放射能観測体制の強化」などについて、前向きな回答を”手土産”に持参するのではとの見方も出ている。
（神奈川新聞　６月11日）

●原子力空母配備を「黙認」の構え／横須賀市長
　在日米海軍横須賀基地の原子力空母配備問題で、麻生太郎外相が12日、横須賀市を訪れ、蒲谷亮一市長と会談した。麻生外相は日本政府として米原子力軍艦の安全性を保証する考えを示し、市の安全対策での要請にも前向きに回答した。政府の対応を評価した蒲谷市長は、日米政府が推し進める空母配備を「黙認」する構えを示した。しかし、原子力空母受け入れが既成事実化されているにもかかわらず、態度を明確にしていない。
　外相は「原子力軍艦の安全性に関する文書」（ファクト・シート）に対する市の質問書について回答。「原子力軍艦の安全性は確保されていると確信している。空母の安全性はほぼ百パーセントである。通常型空母の可能性は百パーセントない」などと説明した。
　さらに、市が要請していた「原子力災害に関する日米間の相互支援協定」や「原子力防災訓練への米軍参加」について、米政府と協議を始めていることを表明。原子力艦が寄港時の放射能観測体制の強化についても充実を図る考えを伝えた。
　その上で、空母接岸用「12号バース」の原子力空母入港に関するしゅんせつ工事について、15日の日米合同委員会で基本合意する方針を示し、港湾法に基づく今後の横浜防衛施設局による市への協議申し入れなどに協力を求めた。
　市長は記者会見で「政府が安全性を確証してくれた。市の要請に前向きな対応をしてくれたことを評価したい」と述べた。しゅんせつ工事への市の対応はこれからとしながらも、協議を受け入れる意向を示唆。市民の安全性確保の要望は続けるものの、日米政府の動きを静観する意向をみせた。原子力空母を容認するのかという質問には、「通常型空母を求める考えに変わりないが情勢は厳しい。容認する権限は市長にない」と述べるにとどまった。
（神奈川新聞　６月12日）

●横須賀市長　米原子力空母受け入れ－防災協定働きかけ
　神奈川県横須賀市の蒲谷亮一市長は14日の市議会全員協議会で、米海軍横須賀基地への原子力空母ジョージ・ワシントン配備計画を容認する意向を表明した。空母専用岸壁のしゅんせつ工事にも同意する方針。12日に同士を訪れた麻生太郎外相との会談で、通常型空母配備の可能性がないと説明を受ける一方、安全性を確約するとされたことを受け「国から安全性に関する誠実な回答があった」として方針転換した。
市議会後の記者会見で蒲谷市長は「（市が反対を続けて）安全確保のための措置をせず原子力空母が配備されると市民に対する責任を果たせない」などと説明。日本政府を通じるなどして災害時の防災協定締結や共同防災訓練の実現を働きかけていく。ただ防災協定の具体策はこれからで、市民の間でも原子力空母受け入れへの反対論は根強い。市長は市民の理解を求めるのは一義的には国の責任としつつも「至としても安全性の説明を色々な方法でやっていく」と述べた。米軍が2008年退役する通常型空母キティホークの後継として横須賀に原子力空母の配備を決定した昨年10月以降、蒲谷市長は通常型空母の配備継続を日米両政府に求めてきた。市長は「喜んで受け入れたのではない。米国訪問や市民意見を聞く場の設置など、できる限りのことをしてきた」などと語った。
◇神奈川県の松沢成文知事は同日、記者団に「基地と直接付き合っている地元自治体の以降をできるだけ汲むのも基本的な考え方」と述べた。原子力災害は発生時の被害が広域にわたることから、近隣自治体の考え方も聞きつつ県として総合的に判断していくとした。
（６月15日，日経）　

■沖縄県
●移転の狙いは対テロ戦対応　在沖縄米軍トップが会見
　在沖縄米軍トップのジョセフ・ウェバー沖縄地域調整官（海兵隊中将）は31日、共同通信と会見し、海兵隊約8000人の沖縄からグアムへの移転について、沖縄の負担軽減を強調する一方、「対テロ戦争のためこれまでと同じ兵力を沖縄に張り付けておくのは理にかなわない」と述べ、対テロ戦争を効果的に進めるために世界規模で実施されている米軍再編が主な要因とした。
　また、今回の在日米軍再編で「自衛隊が今後より柔軟に抑止力を発揮できる」と指摘。「この地域（東アジア）でテロとの戦いが発生した場合には、日本が関与してくれると確信している」と述べ、自衛隊との一層の連携強化に期待を示した。
（共同通信　５月31日）
●軍民・15年白紙明言／再編閣議決定
　麻生太郎外相は31日の衆院外務委員会で、在日米軍再編の政府方針が閣議決定されたことで、1999年閣議決定に示された米軍普天間飛行場移設に関する「軍民共用」「十五年使用期限」は正式に白紙になったとの認識を明言した。照屋寛徳氏（社民）の「（二つの考えは）完全に消えたと理解していいか」との質問に「そのように理解していただければ幸いだ」と答えた。
　99年閣議決定に明記された「国際情勢の変化に対応し、代替施設を含め、在沖縄米軍の兵力構成等について、米国政府と協議していくこととする」との文言が削除された理由について、外相は「閣議決定のあるなしにかかわらず、当然のことだ」と述べ、在沖米軍の兵力構成の見直しの検討は継続すると説明した。防衛庁の大古和雄防衛局長は、99年閣議決定に明記された地域振興策が、今回の閣議決定では2006年度での打ち切りが示唆されていることに「協議機関で新たに策定された考え方に基づいて行われることになる」と述べた。
（沖縄タイムス　６月１日）

●オスプレイ県内配備／四軍調整官が明言
14―16年　代替完成と同時
　在沖米軍トップのジョセフ・ウェーバー四軍調整官は31日、沖縄タイムス社などとのインタビューで、垂直離着陸機ＭＶ22オスプレイが2014年から16年の間に、米軍普天間飛行場のＣＨ46ヘリ（24機）の後継機として県内に配備されることを明らかにした。日米関係者が同機の県内配備を明言したのは初めて。名護市キャンプ・シュワブ沿岸部に建設される普天間飛行場代替施設の移設が予定通り進めば、完成と同時に配備されることになる。
　ウェーバー四軍調整官は、オスプレイが普天間飛行場のヘリの後継機として導入される時期について「暫定的だが、14年から16年の間ではないか」と述べた。沖縄（普天間飛行場）のＣＨ46ヘリとハワイ（カネオヘ基地）のＣＨ53ヘリを後継の対象にしていることを明らかにした。
　普天間飛行場の移設先として日米が合意したキャンプ・シュワブ沿岸部のＶ字形滑走路の代替施設で運用される可能性については「日米合意では代替施設は14年までに完成と明記されている。予定通りにいけば完成したときに配備される」との見通しを示した。
　キャンプ・シュワブ沿岸部に建設される代替施設は、「ヘリの運用基地機能」に限定しているが、滑走路の長さを1800メートルとし、オスプレイ配備を念頭に置いたものではないか、との指摘があった。
　小泉純一郎首相は５月11日の国会答弁で、普天間代替施設へのオスプレイ配備について「米国政府から配備について『何ら具体的な計画を有していない』との回答を得ている」と説明し、具体的な配備計画はないとしていた。
　一方、ウェーバー四軍調整官は、県が普天間飛行場の危険性除去策として提示しているキャンプ・シュワブ陸上部のみを活用した暫定ヘリポート案について「ヘリパッドではわれわれの現在の運用条件を満たすのは厳しいと思う」と否定的な見解を表明。ヘリに積載の弾薬庫を移設先で新たに確保する予定については「弾薬、燃料など重要な課題は今から具体的に協議される」と述べ、否定しなかった。
［ことば］
垂直離着陸機ＭＶ22オスプレイ　米海兵隊の次期主力機。飛行航続距離が2300キロメートルとＣＨ46ヘリの倍以上で、部隊の作戦行動範囲を大幅に広げることが可能になる。一方、2000年に23人が死亡するなど、開発段階で墜落事故が続発し、安全性を疑問視する見方も強い。
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ウェーバー四軍調整官に聞く／普天間代替施設
暫定ヘリポートに否定的／弾薬庫の建設　今後協議
　米軍再編最終報告を受け、在沖米軍トップのジョセフ・ウェーバー四軍調整官（海兵隊中将）に海兵隊移転の規模や普天間飛行場代替施設の運用などを聞いた。
　―海兵隊8000人のグアム移転の内訳は。
　「通常約18000人の海兵隊と約２万人の家族が沖縄に駐留している。しかし、世界規模のテロ支援などで現在約12000人の隊員がいる。移転部隊は第３海兵遠征軍司令、第１海兵航空団司令、第３海兵兵站軍司令、第３海兵師団司令、第12海兵連隊司令。それぞれに支援部隊がありこの人員も含まれている」
　―普天間飛行場の名護市辺野古キャンプ・シュワブへの移設で、県は暫定ヘリポート建設を求めている。
　「県と日本政府間で協議されることだが、代替施設は現在の普天間飛行場の運用条件を満たすことが重要。ヘリパッドでは今の運用条件を満たすのは厳しいと思う」
　―代替施設へのオスプレイの配備は。
　「暫定的ではあるが、予定では2014一16年の間に配備されるのではないか。今回の合意では代替施設は14年までに完成したいと明記されている。スケジュール通りにいけば、代替施設が完成された時にオスプレイが配備されるだろう」
　「ただ、オスプレイに関する研究が現在行われており、時期の変更もあり得る。オスプレイの配備は、普天間代替施設の完成に必ずしも結びつくものではない。現在の計画では沖縄にあるＣＨ46ヘリ、ハワイにあるＣＨ53にオスプレイが変わる予定だ」
　―代替施設の建設には８年かかる。その間の危険性の軽減措置は。
　「普天間で飛行訓練する際は日常的に軽減を考慮している。１年以上前にヘリ事故もあった。パイロットの訓練や安全面、メンテナンスも強化し、騒音も極力軽減できるようにしている」
　―代替施設がキャンプ・シュワブに移設した際、新たな弾薬庫の建設予定は。
　「普天間にあるヘリを辺野古に移設する際、運用に何が必要かなどを含めて研究されている段階。弾薬、燃料など重要な課題は今後具体的に協議され決定する。ただ、これを行う際には安全を第一にすることだ」
　―代替施設を使用するヘリなどが集落上空を飛行しないと約束できるか。
　「運用は研究中だが、例えば飛行ルートや住宅・観光地上空を極力飛ばないなど今後規制が出てくる。飛行規定やルールを重視する。ただ、人間として、今後間違いを起こさないかといえば、明確に起こさないとはいえない。例えば起こり得る間違いで飛行ルートを外れるとか、住宅地上空を飛ぶなどの懸念は、住宅地に囲まれている普天間飛行場と比較すると（代替施設では）削減できると思う」（聞き手＝政経部・赤嶺由紀子）
「危険機」配備現実に／閣議決定後、住民怒り
　海兵隊の次期主力機「オスプレイ」の配備計画を在沖米軍トップのジョセフ・ウェーバー四軍調整官が認めた。これまで日本政府が同計画を認めたことはなく、地元から「今になって真実が出る」と不信感が高まった。専門家らは移動能力向上で沖縄駐留の必要が薄れると指摘する。
　「普天間飛行場の辺野古沿岸移設に反対する宜野座村実行委員会」の会長を務めた城間盛春村議会議長は「配備は最初から分かっていたこと」と憤り、「使用協定も結ばないと言っているから、オスプレイどころか何でも持ってくるだろう」とあきれた。
　「ヘリ基地いらない二見以北十区の会」の浦島悦子共同代表は「事故の危険性や騒音でいよいよここは住めない地域になる」と不安を募らせ、名護市辺野古で反対運動を続ける命を守る会の金城祐治代表は「配備されないよう、基地建設に抗議の声を上げないといけない」と声を荒らげた。
　ヘリ基地反対協議会の安次富浩代表委員は「政府が閣議決定した後で、本音がどんどん出てくる」と不信感を強めた。
　米軍の実態に詳しいＮＰＯ法人「ピースデポ」の梅林宏道代表は、「米軍のトレンドは船上からも飛び立てる機動性。艦載でき、高速で長距離移動が可能なオスプレイは沖縄に配備する必要がまったくない。その点を沖縄はもっとアピールしていい」と話した。
　軍事評論家の石川巌さんは「オスプレイは輸送用ヘリとされているが、簡単に攻撃用に転用できる。移動距離は国外へ大幅に伸び、海兵隊の戦闘能力は大幅に向上する」と指摘した。
　同機の危険性を強調する平和市民連絡会の真喜志好一さんは「真実をひた隠しにする日本政府の体質が現れた」と批判した。
聞いていない／名護市長
　島袋吉和名護市長は、普天間飛行場の代替施設建設をめぐる協議で「政府からオスプレイが配備される計画があるとは聞いていない」と述べた上で「報告を受け確認してから、コメントしたい」と述べた。
不信感高まる／宜野湾市長
　伊波洋一宜野湾市長は「閣議決定が決まるまで隠していたように感じる。日米両政府が公表していない内容はもっとあるはずだ。（キャンプ・シュワブ沿岸部の）Ｖ字形滑走路は意味を成さず、問い直す必要がある。県民の不信感は高まるだろう」と不快感を示した。
（沖縄タイムス　６月１日）

●「普天間」代替協議機関／日米の計画合意後設置
　防衛庁の守屋武昌事務次官は１日の定例会見で、米軍普天間飛行場代替施設の建設に関する協議機関の設置時期について「米側と代替施設（建設）計画の策定を急ぎ、ある程度形が見えるようになった段階で、地元と話をしていきたい」と述べ、日米間で基本計画が合意された後になるとの見通しを示した。
　ジョセフ・ウェーバー在沖米四軍調整官が、垂直離着陸機ＭＶ22オスプレイが2014年から16年の間に県内に配備されることを明らかにしたことについては「２プラス２（日米安全保障協議委員会）、事務レベル協議でも米側に照会したが、現在のところ何ら具体的な計画を有していないという回答を得ている」と従来の政府見解を述べるにとどめた。
　オスプレイが配備された場合、Ｖ字形滑走路の飛行ルートへの影響は「図で示した通りに航空機の運航ができるよう米側と協議したい」と述べ、名護市と周辺市町村と合意した飛行ルートの順守を求める考えを示した。
確認書は２本案前提／防衛長官
　額賀福志郎防衛庁長官は１日の参院外交防衛委員会で、県と交わした在沖米軍再編に係る基本確認書の「政府案を基本として」との記述について、「Ｖ字案を前提にした上で、という意味だ」と述べ、米軍普天間飛行場代替施設の滑走路２本を建設する政府案を前提とした確認書であるとの認識を強調した。大田昌秀氏（社民）への答弁。
　額賀長官は「（名護市が交わした基本合意書に）稲嶺知事は対談や会見で『地元の判断を尊重する』『安全保障問題は国の専権事項だ』と申している。そういうことを総合的に考えると、『政府案を基本として』ということは、Ｖ字案を前提にした上で、という意味だ」と述べた。
　麻生太郎外相は、ジョセフ・ウェーバー在沖米四軍調整官が垂直離着陸機ＭＶ22オスプレイの県内配備を明言したことについて、「米側にはこれまでも照会してきているが、今の時点で具体的に（配備が）決定したと聞いたことがない」と述べた
（沖縄タイムス　６月２日）

●ボート侵入抗議決議へ／宜野座村軍特委
　宜野座村米軍基地関係対策調査特別委員会（當眞進委員長）は６日、会合を開き、５月に起きた米軍ボートによる同村沖モズク養殖場への侵入事件に抗議決議することを全会一致で決めた。20日から始まる６月定例会で正式に決議する。
　當眞委員長は「潜水中の漁業者がホースを切断されれば命にかかわる。厳しく対処したい」と話した。
　抗議決議案は（１）再発防止のため、提供水域境界線の確認徹底（２）海兵隊員への指導強化（３）原因究明と今後の対応策の報告（４）連絡・通報制度の確立―などを米軍に求める予定だ。
　米軍ボート４隻は５月22日、午前と午後の２回にわたり訓練水域を外れモズク養殖場に侵入。モズク収穫の最盛期に当たり、近くには16隻の漁船と27人の漁業者が操業していた。地元の宜野座・金武・うるま石川の三漁協は抗議決議し、那覇防衛施設局など関係機関に再発防止を申し入れた。
　今回の問題で米軍は「航路標識、漁船の位置を確認し、十分な距離をとって通過した。養殖場の上を通ったという認識はなかった」との見解を示している。
　同村の東肇村長は先月、那覇防衛施設局に対し、「漁業者は潜水作業をしており、ボートを避けられない」と抗議した。
（沖縄タイムス　６月６日）

●町議会抗議決議へ／嘉手納基地騒音
　米軍嘉手納基地内の訓練が激化し、隣接する住宅地域の騒音被害が拡大している問題で、嘉手納町議会の基地対策特別委員会（田仲康榮委員長）は８日午前、Ｆ15戦闘機部隊の即時撤去と即応訓練の全面中止を求める抗議決議案と意見書案を決めた。14日の臨時会に提案、可決される見通し。
　決議案では、訓練激化による爆音が町民生活に深刻な影響を及ぼしたと指摘。騒音の主原因であるＦ15部隊の撤去を要求するとともに、住民を不安に陥れる即応訓練の全面中止を求めている。決議後、議会代表が同基地や那覇防衛施設局、外務省沖縄事務所を訪ね、直接抗議する予定。
　田仲委員長は「米軍再編で基地負担を軽減するというが、本当になされるか疑問だ。抗議決議で、静かな生活を求める町民の声を日米両政府に訴えたい」と話した。
　同町によると、屋良地域で人が不快に感じる70デシベル以上の騒音は１日平均116回程度だが、６日は186回、７日は157回を記録した。
　同町には訓練激化による騒音で、「朝からものすごい音でいらいらする」「爆音で窓が開けられない」など20件を超える苦情・問い合わせが寄せられている。
（沖縄タイムス　６月８日）

■その他
●「岩国基地増強計画、白紙に」連合広島など、知事に撤回要請書　／広島
　連合広島の宮地稔会長と県平和運動センターの向井高志議長は７日、中区の県庁で「米軍岩国基地増強計画を白紙撤回させるための要請書」を藤田雄山知事に手渡した。会見した宮地会長らは「今月末に予定されている小泉純一郎首相訪米の前に、引き続き努力してほしいとお願いした。政府は宮島の伝統文化などに配慮がない」と批判した。
　要請書では「山口県岩国市や周辺自治体が反対しているにもかかわらず、地元に十分な説明もないまま、政府が（在日米軍再編の）閣議決定をしたことは民意を無視したもの。県も岩国基地増強の撤回を目指して政府機関などに強く働きかけてほしい」としている。
　藤田知事は「（同基地に）空中給油機や空母艦載機が来るとミサイル攻撃を受ける恐れなどがある。また（最終合意で明示されなかった）艦載機の夜間発着訓練（ＮＬＰ）施設を県内や瀬戸内海地域に選定することも、とんでもない話だ」と応じたという。【吉川雄策】
（毎日新聞　６月８日）

●岩国基地の軍民共用化、政府要望を見送り－－県　／山口
　県は、岩国基地の軍民共用化に必要な空港施設の整備費について、07年度予算に向けた国への重点要望事項に盛り込まない方針を固めた。00年度以降、県は毎年要請を行い、見送るのは初めて。
　県は岩国基地への米機移転受け入れと、基地の軍民共用化は分離して国に要望してきた。しかし、国は移転受け入れを前提に民間空港施設の整備を進めるとみられることや、岩国市が移転撤回の姿勢を続ける限り国からの財政支援や共用化に必要な米軍との調整は困難とされることから、６月に行う要望では見送ることにした。【佐藤丈一】
（毎日新聞　６月９日）

●在日米軍・実弾射撃訓練：矢臼別の小火器射撃追加、４町が拡大歯止め要請へ　／北海道
　在沖縄米海兵隊が矢臼別演習場で実施している実弾砲撃演習に小火器の射撃訓練を追加する意向を示しているのを受け、道と地元４町は９日、道庁で連絡会議を開いた。訓練内容が拡大しないことを文書で明記するよう、米軍の意向を伝えてきた札幌防衛施設局に働きかけることになった。
　実弾砲撃演習は沖縄県のキャンプ・ハンセンで行われていたが、97年、矢臼別や王城寺原（宮城県）など５演習場に移転。各地ではそれぞれ５年に４回の割合で行われている（矢臼別は今年、実施せず）。米軍は155ミリりゅう弾砲のみを使用しているが、今年４月13日、米側の意向を受けた札幌防衛施設局が道に対し、小火器射撃を追加したい考えを伝えていた。
　この日の会議には、山本邦彦副知事、厚岸、浜中、別海、標茶４町の町長らが出席。同席した札幌防衛施設局は、訓練期間（10日間）の延長やキャンプ・ハンセンで使われている迫撃砲の使用はないと説明。また、騒音拡大など新たな負担を求めない姿勢を強調した。
　道や４町は小火器の使用に反対しなかったが、口頭だけでは訓練拡大に歯止めがかからなくなる恐れを懸念。今後、文書で取り決めを交わすよう働きかけるほか、具体的な訓練内容を知らせるよう求める。【田中泰義】
（毎日新聞　６月10日）

●Ｆ15訓練移転　反対の市民集会－－千歳　／北海道
　米軍嘉手納基地（沖縄県）のＦ15戦闘機訓練などの移転先である千歳市で11日、移転反対を訴える市民集会が開かれた＝写真。約1000人の参加者は「騒音はもうたくさんという市民の声は多い。北海道知事と千歳市長に受け入れ反対の態度を追求することを求める」とのアピールを採択し、市内をデモ行進した。
　集会は市民団体「米軍の移駐に反対し平和で安全な街づくりを考える会」（千歳市）の主催。同会代表の平井史郎さんが「平和で安全な街づくりは全市民の願い。全国に向けて移転反対の意思を発信しよう」とあいさつ。民主党の小川勝也参議院議員（北海道ブロック選出）は「国民への説明、国会での議論がないまま基地の負担が分散されようとしている」と訴えた。【水戸健一】
（毎日新聞６月12日）

●相模原市、米軍施設で475億円損－－税収25年分　／神奈川
◇他用途に使用仮定し、試算
　相模原市内にある米軍施設３カ所が他の用途に使用されたと仮定すると、同市の税収は過去25年間で約475億円も増えることが11日、同市の試算で分かった。
　キャンプ座間、相模総合補給廠（しょう）、米軍住宅の３施設を、住宅地や公園、文化・教育、業務などの分野に利用した場合を想定した。05年度の場合、固定資産税、個人市民税、都市計画税の収入見込額は計40億6035万円になった。一方、国からの基地交付金は11億7884万円に減るため、差し引いた約29億円の増額が見込めたと算定した。同市は81年度以降の25年分だけでも、米軍施設のために475億円も損した勘定になる。
　同市は、基地問題特集の広報号外を11日に発行し、この試算を米軍再編最終報告の内容とともに掲載した。
　号外はタブロイド判４ページ。市内にある米軍施設が再編計画でどのように変わるのか、基地返還に向け市がどのように取り組んでいるかなどを市民に知らせるため、24万部を発行して全世帯に配布する。再編問題の年表や３施設の再編内容を図解で説明。再編や基地返還についての日本政府の考え方も載せている。【高橋和夫】
（毎日新聞　６月12日）

（２）原子力空母の横須賀母港化に反対するとりくみ
地元自治体や市民が問いかける原子力空母横須賀配備の「安全性」について、４月17日、米国は『合衆国原子力軍艦の安全性に関するファクトシート（以下、ファクトシート）』を発表し、「原子力による推進させる合衆国の軍艦は、50年以上にわたり、一度たりとも、原子炉事故や、人の健康を害し、又は、海洋生物に悪影響を及ぼすような放射能の放出を経験することなく、安全に運航してきた」としています。
　６月８日には横須賀で市民を対象とした一般公募の公聴会が開催されましたが、その後、神奈川県横須賀市の蒲谷亮一市長は14日の市議会全員協議会で、米海軍横須賀基地への原子力空母ジョージ・ワシントン配備計画を容認する意向を表明した。空母専用岸壁のしゅんせつ工事にも同意する方針が明らかになりました。このため「原子力空母はきわめて危険である」論拠ならびに声を強めることが緊急に求められています。国内外の研究者と連携、東京・千葉の周辺自治体等への要請をしつつ、原子力空母横須賀母港化撤回に向けて、「原子力空母横須賀母港化を許さない全国連絡会」と連携して、当面、以下のとりくみを行ないます。
�対政府、対自治体への要請行動
ア、国会、政府等に原子力空母横須賀母港化撤回に向けた要請を強めます。
イ、横須賀市、神奈川県の自治体に加え、東京・千葉などの地方自治体にも広く要請行動を行います。
�ファクトシートの分析
　「ファクトシート」の安全性に対する反対の論拠について、早急に原子力資料情報室、ゴードン・トンプソン博士（資源安全保障研究所所長）等、国内外の研究者に分析を要請します。
（５／23平和フォーラム第１回運営会議）

（３）イラク戦争と、自衛隊の海外派兵、戦争のできる国作りに反対するとりくみ
　イラクでは、正式政府樹立が進む一方で、占領軍と占領抵抗勢力、また占領抵抗勢力間の戦闘が激化しています。陸上自衛隊の駐留するサマワでも、占領抵抗勢力による大規模な攻撃が行われています。こうしたなかで自衛隊は撤退の時期を逸しています。しかし占領軍が治安を回復し、正式政府が樹立された後に自衛隊が撤退することになれば、自衛隊のイラク派兵はイラクの民主化に寄与した成功した派兵であるとのキャンペーンが、日本政府によって行われるでしょう。私たちは平和運動と国内世論の力によって、自衛隊の撤退を実現しなければなりません。
　また政府は６月９日に防衛庁の「省」昇格法案を閣議決定し、国会に上程しました。国民投票法案、教育基本法などと一体となって、憲法改悪目論むこうした策動に反対すると同時に、海外派兵を合法化する実質改憲も阻止しなければなりません。
　一方で、市町村段階で2006年度中に整備される「国民保護計画」に対しても、市民・労働者への戦争協力の強要を許さず、あたかも日本で戦争が起きるかのような洗脳を許さないために、反対運動を強めていかなければなりません。
　そのため、当面、以下のとりくみを行います。
�米軍再編に反対すると同時に、自衛隊のイラクからの撤退を求める行動を行います。
�民主党・社民党・無所属の議員と協力して、戦争のできる国作りのための諸法案の成立に強く反対します。
�「国民保護計画」に関する反対を進めるために、研究者・関係組合・地域などによるプロジェクトチームを早急に発足させます。
（５／23平和フォーラム第１回運営会議）

（４）憲法改悪のための「国民投票法案」に反対するとりくみなどについて
　憲法について、自民党は2005年11月、結党50年「新憲法草案」を発表し、憲法の前文や憲法第９条第２項を取り払い、「自衛軍」と海外活動を盛り込むことを打ちだしました。米軍再編やイラク派兵など一連のアメリカの要求を受け入れと対応したものです。自民党の憲法調査会はさらに２次草案に着手し、「愛国心」を盛り込むことを検討しています。また、「公益」と「公共の秩序」を強調した人権の制限、靖国参拝を正当化する政教分離原則の変更など、憲法の平和主義・基本的人権の尊重・主権在民の理念を否定する内容の検討をすすめています。
　他方で、昨秋の特別国会で衆議院に憲法調査特別委員会が設置され、「憲法改正国民投票法」制定に向けた動きが開始され、本年３月末からは自公両党と民主党との間で論点整理と合意に向けた作業がすすめられてきました。
　しかし、�国民投票に関わる報道・表現の自由や運動へのさまざまな制限・規制、�公民権停止者や未成年者の投票権を認めないなど投票権の保障、�憲法改正の発議から投票までの期間、�国民投票の方式について、「一般的な国民投票」も含めた制度とするか、複数条項改正案が発議された場合の投票方法、�憲法改正の成立要件など多くの点で対立し、若干の与党側の方針変更はあったものの、与党と民主党との合意はなされませんでした。連休後、民主党は役員会で、与党と共同提案しない方針を確認したのを受けて、制定を急ぐ自民、公明両党は、与党単独で法案を５月26日に国会に提出した。
　平和フォーラムは、憲法前文・第９条、第３章「基本的人権」、第10章「最高法規」などの改悪に反対するとともに、憲法理念の実現をめざすことを基本的な立場においています。この国民投票法は国のあり方の基本法である日本国憲法をどのようなものにしていくのか、きわめて重要な法案です。どの法よりも、憲法の理念に立脚し、基本的人権の尊重や主権在民の原則に沿うものでなければなりません。また、議論も慎重かつ時間をかけて徹底的に行うことが必要です。いつでも都合よく憲法改悪ができるようにするための危険な国民投票法の制定には強く反対し、署名をはじめとした一連のとりくみを進めます。

�憲法改悪のための「国民投票法案」反対のとりくみ
�「憲法理念の実現をめざす第43回大会」（第43回護憲大会）実行委員会について
　　・11月３～５日、大分県別府・3000人規模で開催します。
　　・第43回大会の実行委員会を７月中旬までに行います。
�「平和基本法学習会」の開催について
　　・雑誌『世界』に平和基本法プロジェクト（首座・前田哲男東京国際大学教授）作成の「平和基本法案要綱」が掲載された後、学習会を行います。
（５／23平和フォーラム第１回運営会議）
（５）教育基本法の改悪に反対するとりくみ
　政府・与党は、教育基本法の「改正」法案を４月28日に閣議決定、国会上程し、連休後の５月11日の衆議院本会議で、同法案を審議する特別委員会の設置（委員数45人、委員長に森山真弓元法相予定）し、16日の本会議で趣旨説明と質疑を行い審議入りしました。与党は今国会での法案成立の実現を会期延長してでも強行する動きしましたが、民主党の対案や院内外のたたかいで次の国会で継続審議となりました。同法案は、�「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」をはじめ、個人の「内心の自由」を否定し、国家主義を助長する徳目が数多く定められていること、�教育行政について国と地方公共団体がそれぞれ教育内容にも介入するものであること、�教育勅語を否定した教育基本法の「教育宣言」としての歴史的意義を抹消していること、などの重大な問題点をもつものです。また、そもそも与党の密室協議の場で作成されたものにほかなりません。

　平和フォーラムも基本法の改悪阻止に向けて組織をあげての全力のとりくみをすすめます。教育基本法の改悪に強く反対するとりくみをすすめます。
�「教育基本法調査会の設置に関する請願署名」のとりくみと集約の推進
都道府県組織（ヨコ）を基本にとりくんでいますが、地域の日教組組織と連携・協議しながら、各地における署名のとりくみをいっそう強化・拡大するとともに、集約を急ぎます。
（第１次集約分612,614筆）
　　第２次集約＝５月31日（水）
　　第３次集約＝６月30日（金）
　　最終集約目標200万
（５／23平和フォーラム第１回運営会議）

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