狭山事件の再審を求める東京集会
・千代田区公会堂
・2005年2月9日
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狭山東京実行委員会は、2月9日、狭山事件の再審を求める東京集会を千代田区公会堂で開きました。今年の集会には労働組合、宗教団体、青年・女性団体、部落解放同盟都連などから400人が結集しました。
集会では、庭山英雄弁護士(狭山事件の再審を求める市民の会・代表)が「狭山事件と日本の司法の現状」のテーマで記念講演をおこなった。講演で庭山弁護士は、「最高裁は憲法判断だけではない。職権による重大な事実誤認を認めることもできる。最高裁は21通の脅迫状に関する鑑定書を8部ずつ取り寄せて、検討がされている。国民の支持が得られれば勝てる。決して希望をすてず、正義は必ず勝つという不退転の決意で新100万人署名に全力で取り組もう」と訴えた。
主催者を代表して遠藤幹夫・実行委員会議長(東京平和運動センター議長)は次のように、あいさつと決意を表明しました。
狭山事件発生から42年、狭山東京実行委員会を結成して10年、そして狭山再審を求める特別抗告審の段階に入り3年目を迎えます。
この間、狭山弁護団のご努力により、石川さんの無実を示す新証拠はさらに充実したものになっています。
しかし残念ながら最高裁判所はこれらの新証拠について「事実調べ」を行っておりません。検察庁も依然多数の証拠を隠し持ったままです。
国際人権規約委員会がこの問題に関し「重大な人権問題である」という指摘をおこなったにもかかわらず、日本政府、検察庁はこの勧告を無視し続けています。
検察庁は、この国際的批判に対し、「日本には証拠開示の義務はない」と開き直り、国際的常識に耳を貸そうとしません。
石川一雄さんは40年以上にわたって無実を主張し、「真実を明らかにせよ」と叫び続けてきました。人権を守ろうとしない検察、国際的勧告に耳を貸そうとしたない日本政府、この流れに手を貸そうとする裁判所、いったいいつになったら冤罪がなくなる日が来るのでしょうか。
司直がこのような姿勢を続ける限り、冤罪や人権侵害がなくなろうはずはありません。
皆さんもご存知のように2003年9月から昨年にかけて、解放同盟員に対し、露骨な差別はがきが大量に送り届けられました。解放同盟の仲間はもちろんのこと、狭山東京実行委員会もこの事件に重大な危惧を持って対応し、昨年10月、ようやく犯人逮捕にこぎつけました。
驚いたのはこの犯罪の特徴は背景に特定団体などのかかわりがあるわけでなく、個人で企画した犯罪であると聞いています。すなわちまさに社会の深層に潜む差別を脅迫行為として犯人が体現したということであります。
私たちは社会から差別意識、差別行為を一掃すべく今日まで闘いをすすめてきましたが、いまもって厳然と存在する差別、人権侵害に愕然とする思いであります。
狭山差別裁判の取り扱いや、その結論によってはこのような社会的差別を助長することになりかねない要因も含んでおり、私たちがこの狭山差別裁判を全力で取り組むことこそが、社会から差別を一掃することにつながると確信してやみません。
私たちは司法反動の流れに抗し、狭山事件の事実調べと「原判決の破棄、東京高裁への差し戻し」を求めて取り組みを強化していきます。
皆さん今後も勝利をめざしてともに頑張ろう!
狭山事件の再審開始を求める決議
02年1月23日、東京高等裁判所第五刑事部・高橋省吾裁判長は、狭山事件の再審請求を棄却する決定をだしました。石川さんと弁護団は、ただちに最高裁判所に特別抗告をおこないました。また、02年9月、ついで04年10月にも、これまでの主張を補強する補充書を提出しました。そして、事実調べを行い再審を開始してほしいと強く訴えました。
狭山事件では、事件発生から42年になる今日もなお、検察による証拠隠しが行われています。このことについて国際人権規約委員会は、「重大な人権問題である」として改善勧告をだしました。ところが日本政府・検察庁はこの当然の勧告を無視しています。アメリカやヨーロッパと違って、日本の刑事訴訟法には、証拠開示を義務づける規定がありません。このため日本の検察は、「国内法上違法ではない」と開きなおっているのです。こんなことが許せるでしょうか。
一昨年、最高裁の大幅な人事異動が発表されました。その中で狭山事件の担当裁判官の一人に、現職の東京高等検察庁検事長が任命されました。東京高検はついこの間まで直接の係争相手であった検察庁であり、証拠開示については現在でも主務官庁です。「石川は有罪だ」「証拠開示は断固拒否する」と主張し活動してきた人物が、いきなりその事件の裁判官になるなどということは、欧米では絶対に考えられません。日本の司法制度ではこのようなことが平気で行われているのです。
私たちは今日、「狭山事件の再審を求める市民の会」代表の庭山英雄弁護士から講演をうけ、狭山事件の無実の確信を深めました。そして、狭山事件の再審を阻んでいるものが何なのか、改めて理解を深めました。狭山事件の再審無実という当たり前のことを勝ち取るためにも、この国の非民主的で不公平な司法制度、司法反動を変えていかなくてはなりません。狭山事件の再審を求める闘いのいっかんとして、私たちはこの活動を積極的に取り組んでいきます。
東京高裁の棄却決定をうけた記者会見で石川さんは、「無念だ。なぜ真実を認めてくれないのか」といきどおりを語りました。そして「しかし私は無実だ。この事実だけは誰も変えられない。皆さんと一緒に最高裁の場で全力で闘う」と訴えました。私たちも石川さんと同じ気持ちです。
03年5月23日は石川さんの不当逮捕から40年を、また04年10月31日には狭山事件の有罪確定判決から30年を迎えました。
あまりにも長く、重い日々です。このように長期にわたって不正義が行われていることを、これ以上許しておくことができるでしょうか。
私たちは今日を起点に、石川さんとともに、真実が認められる日まで、全力で闘います。そして必ずや勝利を勝ち取ります。
右決議する。
2005年2月9日
狭山事件の再審を求める東京集会
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