TKOPEACENEWS
  1面 NO.24/02.1.25発行

東京平和運動センター
2002年1月〜5月にかけての活動について

■平和をとりまく情勢について

1.アフガン、中東、南アジア
 アメリカによるアフガン無差別殺戮空爆は、現在もつづき米軍のもつ通常爆弾では最大級の燃料気化弾(直径約500メートルを光熱で焼きつくし、さらに広範囲を衝撃波で破壊する兵器ー戦術核兵器に次ぐ破壊力がある)を投下しこれまで、米ニューハンプシャー大学のマーク・ヘロルド教授の集計によればアフガンでの民間人の死者はすでに4,000人ちかくに達していると報道されています。こうした民間人の犠牲者は国際法も人倫の根源もすべて無視した計画的かつ一方的「襲撃」であり、これは断じて「戦争」では無い(元共同通記者辺見庸氏ー作家)と「道義なき攻撃の即時停止を」と現地を取材し声明を発表するなど、米軍による攻撃をただちに停止を求める世論は大きくなっています。
 また、アメリカは対テロ軍事作戦としてアフガンに次ぐ第2の標的への本格的行動に入るとして、中東、アフリカ、アジアの各地で幅広く展開するのではないかと、戦争の拡大が具体化しつつあります。
 こうした非人道的な攻撃に対して小泉政権は、憲法が違憲としてきた集団的自衛権に踏み込む戦争支援法を制定するなどして、自衛隊の軍艦を戦場に派遣し戦後56年にしてはじめて日本の軍隊が戦争に参戦することになりました。
 米同時多発テロに伴う米英などの対アフガン攻撃が始まった10月以降、インドとパキスタンの関係が悪化。アジアの「火薬庫」カシミールで停戦ラインをはさんだ両軍による交戦が頻発している。核兵器を保有する両国が本格戦闘に突入すれば南アジアは大きな危機に直面することになります。
 中東においても、イスラエルとアラブとの対立が激化し中東戦争に拡大するのではと非常に憂慮すべき事態になっています。
 核も戦争もない21世紀をねがう世界の人々の声を無視して、世紀の初めから米軍によるアフガン攻撃など戦争に突入しています。私たちは平和を取り戻すため戦争反対の世界的な大きな世論を作り上げるなど全力で立ち向かいたいと思います。
2.憲 法
 戦場であるインド洋において自衛隊の艦船から米軍への軍事燃料の補給や収集された情報が米軍の攻撃に提供されるなど、憲法が違憲としてきた集団的自衛権の行使である「戦闘行為」そのものが行われています。ここでは日本軍による戦争に参戦しています。
 過去の戦争の反省から戦争や武力行使を放棄した憲法を持つ国が、米国の戦争に参戦するとともに、11月20日、国連平和維持活動(PKO)協力法改正し国連平和維持軍(PKF)本体業務への参加凍結解除する法案を成立させました。この法律は「武器防護の対象を外国の部隊まで広げることは、集団的自衛権の行使」になる。「憲法が禁じる海外での武力行使にエスカレートする」などここでも憲法を無視しています。
 戦争支援法(テロ特措法)の成立とともに、「防衛秘密」の新制度を盛った自衛隊改正法が成立し「言論の自由」に重大な影響をおよぼし、今後適用範囲、刑罰の拡大して、本格的な「国家秘密法」に膨らむ憲法違反の法律がテロ法のどさくさに制定されるなど、過去ならば、越えることのできなかったはずの一線を、いともたやすく、しかもまたぐように大きく越えてしまう。(琉球新報11/21社説)議会の多数ならば憲法を無視し、そのうえ、憲法改正国民投票法案と国会改正法案が1/21からはじまる通常国会に提出されるうごきもあり、有事法制などともに憲法は重大な局面を迎えていると思います。

3.核兵器の廃絶
 CTBT(包括的核実験禁止条約)に背をむける米ブッシュ政権は、国連の核廃絶決議にも反対し、米ロ弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約から一方的に脱退を表明したり、1992年以来停止している「地下核実験」の再開の方針決定するなど、超核核大国アメリカは核軍縮の国際的な約束ごとを一方的に破棄しています。世界の核兵器をなくそうとする努力を無にしょうとするものでとうてい許されるものではありません。
 ブッシュ政権の核政策の転換は、ミサイル防衛(MD)構想を導入することによって、ロシア、中国の核戦略政策やインド、パキスタンの核開発競争にまで影響を与え日本やアジアなどの近隣諸国の安全保障に大きな影響を与えることになります。核兵器廃絶の動きに逆風がそれも強大暴風なみになっているのが現状ではないでしょうか。

4.沖 縄
 2001年10月、在沖縄米軍基地の機能を強化し堅持する方針を強くにじませた米国の4年ごとの国防戦略の見直しが公表された。米中枢同時多発テロをうけ、米国土防衛を最優先するとともに、軍事的競争相手が出現する可能性を指摘して「アジア重視」も鮮明に打ち出した内容になっています。このことは、沖縄の米軍基地を堅持する事をいっています。こうした方針に対して戦後56年間背負ってきた過重な負担を、これから先も担がされ続ける事になると沖縄県民は猛烈に反発しています。
 一方、国防総省などは県民の気持ちを逆なでするがごとく、中国と台湾の軍事衝突に備え、空軍が下地島、石垣島、宮古などの空港を後方基地として使用できるような計画を研究しているなど、テロ事件以後沖縄の米軍基地の機能強化が具体的に進行しています。
 12月27日には、代替え施設協議会が首相官邸で開催され建設位置を名護市辺野古沿岸域の「リーフ上」とすることで基本的に合意されたと発表された。規模についてはすべての戦闘機が使用可能な2,600メートルの軍民共用空港となり、沖縄北部にこのままでいけば巨大な軍事基地が出現することになります。
 また、那覇軍港の浦添市への移設問題は、12月20日浦添市議会は軍港建設反対の市民の声を無視して強行採決で決定しています。

5.脱原発
 11月10日静岡県浜岡町「中部電力浜岡原発」において、緊急炉心冷却システム系の配管破断事故が発生しました。放射能を炉外にださないことが最重点に設計されているがそれが損なわれたということは、原発の安全を守る「最後のとりで」の一角が崩れたとして重大事故として見られています。
 日本の原子力政策は、もんじゅ爆発事故、JCO東海臨界事故など住民の生命を直接脅かす重大事故の発生にかかわらず、原発推進を国の法案として強引に位置付ける「エネルギー政策基本法」の制定をねらって次回の通常国会では実質的な審議に入ろうとしています。また、莫大な資金と放射能と核のゴミを残すだけの「核融合炉」の誘致。青森県の再処理工場の2005年運転開始。プルトニウム利用計画の破綻にもかかわらず「もんじゅ」の運転再開など、原発推進に「NO」の声が圧倒的多数を占めた三重県海山町の住民投票、プルサーマル計画に「NO」を住民投票でつきつけた新潟県刈羽村、など、国民の意識が明らかに脱原発に向かっているのを無視して、国家統制的な法律で縛ろうとしています。
 私たちは、日本にいま必要なのは新しいエネルギー源への政策転換だと考えます。そのためにさらに奮闘しなければならないと思います。

6.環  境
 地球温暖化防止に向けて、11月モロッコで開かれたCOP7(気候変動枠組み条約第7回締約国会議)で、先進国の温室効果ガスの排出量を2008年〜2012年に90年比で平均5.2%削減するなどの「京都議定書」の発効にむけた準備が整いました。日本政府が率先して京都議定書を2002年1月21日招集の通常国会で批准・発効を求めることにします。
 環境保全のための、森林や水に関する実効性のある法律や制度などの整備するための活動を強めなければならないと思います。
 水問題については、水を国民共有の財産として、総合的な水環境を取り戻すための「水基本法」の制定をもとめての運動を進める必要があります。

7.狭山異議審闘争
 狭山事件の現在の情勢は、「斉藤指紋鑑定」など新たな有力な証拠を提出し、高木決定や原判決の誤りを立証してきました。こうした中で東京高等裁判所刑事第5部高橋省吾裁判長は、いよいよ異議申立に対する最終的な検討に入った模様です。部落解放同盟中央本部、狭山弁護団などの分析によれば「そう遠くない将来」なんらかの決定がだされるのではと緊張しています。
 私たちは、東京高等裁判所には再審決定、東京高等検察庁には全証拠の開示をもとめつつ、狭山事件の完全勝利まで闘う決意を堅持しつつ、当面は2月6日の狭山事件の再審を求める東京集会の成功を勝ち取る事とします。

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